黎明の守護騎士

月代 雪花菜

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月と華

19.私には譲れない願いがあり、誓いがある

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 何かに納得したように続きを話し始めた時空神は、世界を管理するユグドラシルという聖なる大樹があることを私達に説明し、外を巡る魂もそこで管理されているのだと語った。
 つまり、外を巡る魂はユグドラシルという聖なる大樹に尋ねれば、大抵どこへ行くのか判明するのだという。
 そして、本来のミュリア・セルシア男爵令嬢がこの世界で死亡した後に転生する世界がハルキのいるニホンであることから、時空神はそれを調査しているとのことであった。
 現在、未だ発見できていないようで、死亡扱いで転生したという線は薄そうだ。

 そうなると、彼女の魂が現在どうなっているのかという疑問が残る。
 器から抜け出しているのに転生が出来ていない原因は、3つほど考えられるようだ。

 1つ目は、神々のマナの輝きから稀に誕生する結晶を核に生まれる外を巡る魂が、倫理に反することを行うことで光を失っていき、転生できなくなった。 
 2つ目は、魂がどこかへ封じられている。
 3つ目は、外を巡る魂の核となる結晶を奪われて消滅した……ということのようだ。

 さすがに、最後の理由に該当してほしくない。
 主神オーディナルと時空神も、2つ目が一番濃厚な線だろうと考えているようだが、私個人としては3つ目が気になる。
 ミュリア・セルシア男爵令嬢の魂がというわけではなく、その結晶を奪える相手がいるということについてだ。
 それはつまり、ルナティエラ嬢の魂の核も該当するのではないだろうか。
 大小まではわからなくとも、主神オーディナルの愛し子になれるほどの澄んだ魂の持ち主である。
 核もまた、それだけの力を有していることに間違いはない。

 黒狼の主の狙いがソレであったら?

 力を持つ魂の核が、どれほどの力になるか……それを得た者の力をどれほど飛躍させるかはわからないが、力を求めるヤツの考えそうなことだ。
 しかし、そうなると……誰かがヤツにその知識を与えたことになるだろう。
 黒狼の主には、ユグドラシルという聖なる大樹や世界の理を知る者が協力している可能性があるということだろうか。
 それとも、今のミュリア・セルシア男爵令嬢の持っている『ゲームの知識』という物の中に、そういう記載があるのだろうか……謎は深まるばかりだ。
 そうやって自分の考えに没頭していた私の耳に、ルナティエラ嬢の声が聞こえてきた。

「ということは、リュート様の魂の核になっているマナの結晶は、よほど透明度が高く丸くて大きいのですね」
「ん?」
「オーディナル様にそっくりですもの」
「まあ、そうなるかな」

 含みのある言い方だな……
 どうやらルナティエラ嬢も何かを感じたようで、私の方を見上げてくるが、主神オーディナルの心の内を読むことなど不可能だ。
 肩をすくめて首を左右に振ると、あからさまに「残念」とでも言いたげな表情をされた。
 しかし、リュートと呼ばれる彼にも何かあるのだろう。
 主神オーディナルは、彼について何かを隠しているように感じた。
 ただ……信頼しているというだけではない、何か深い感情を一瞬だけその瞳に宿したように感じたのだが、ルナティエラ嬢に伝えるには不確かだ。
 主神オーディナルのマナの輝きから誕生したリュートの魂は、一体何を秘めているというのだろうか……
 隣で「うーん」と唸っているルナティエラ嬢の頭を深く考えることなく、ただ慰めるように撫でていると吹き出すようにハルキに笑われてしまう。
 しかし、それを言うなら……と口を開きかけて何気なくルナティエラ嬢を見つめると、彼女も同じことを考えていたらしい。
 自然と口元が緩む。
 こういう時、とても深く繋がっていると感じるのだから不思議だ。

「じゃあ、それって……」
「三兄妹ということだな」
「……え、あ……そ、そっか……そう……だね」

 虚を衝かれたように言葉を失ったハルキは私とルナティエラ嬢を交互に見た後、一瞬だけ泣きそうな顔をし、目尻に涙を浮かべて嬉しそうに微笑む。
 そこには、失ってしまった妹に再び兄妹だと言ってもらえた喜びが滲んでいた。
 軽快にかわされる二人のやり取りは、過去の兄妹間でよくやっていたことなのだろう。
 声や言葉に淀みがなく、懐かしさに満ちた響きを宿していた。
 その会話に混じっている私も喜びを噛みしめ、3人で笑い合う。
 稀有な出会いであり、あり得ないことであっただろうが、これからルナティエラ嬢を守るために全力を尽くそうとハルキと共に目で語り互いに頷きあった。

 主神オーディナルと時空神が見守る中、ノエルが主神オーディナルの膝の上からハルキの膝の上に移動して甘え始める。
 どうやらノエルにとっても甘えていい存在だと認識されたようだな。
 ハルキは嬉しそうに微笑みながら「じゃあ、4兄妹か」と言っている。
 そんなハルキの姿を見ながら目を潤ませるルナティエラ嬢にソッと体を寄せると、彼女も甘えたように体を寄せてきた。
 大きく動けば敏いハルキのことだ、気づいてしまうだろう。
 このことは気づかなくていい。
 ルナティエラ嬢が泣きそうだなんて知ったら、きっと慌てふためくだろうからな。

「まあ、とりあえず……元ミュリアの魂は、その3つの内どれかの状態が当てはまると思うんだけど、2つ目が一番怪しんじゃないかなーって考えて今現在は動いている感じかな」 

 時空神が頃合いを見て話を再開し、そのことは私も理解していたので頷くだけに留める。
 しかし、主神オーディナルの目を欺き元のミュリア・セルシア男爵令嬢の魂を封じることなど可能なのだろうか。
 やはり、先程考えていた知識を持った協力者という線が濃厚になってくる。
 確か、ルナティエラ嬢が変化の指輪を使った時に罠を仕掛けた相手は、黒狼の主ではなかったな……同一人物だろうか。
 まだその辺りは調べてみないとわからないだろうが、主神オーディナルが放置しているとも思えない。

『当たり前だ。その辺りは調べている』

 不意に聞こえた言葉に安堵感を覚えるが、違う意味で不安になる。
 この方は、いつから私の考えを読んでいるのだろうか。
 文句の1つも言いたくなるが、今はそんな細かなことに苦言を呈している暇もない。
 時空神の話によると、現在のミュリア・セルシア男爵令嬢が異常なほどの執着を見せているゲームにヒントがあるのではないかと考え、ハルキにその謎を解く依頼をしているのだとか。
 しかも、それはとても難しいようで、神である時空神でもすぐに音を上げてしまうような物のようだ。
 ハルキは人知を超えた才能を秘めているのだな……

「それほど難しいのなら、時間がかかると考えて動いたほうが良さそうだな」
「まあ、進展があればこうやって情報交換をしようと思うんだけど……」

 それはありがたい。
 我々にはその情報が必要不可欠になりそうではあるし、何よりルナティエラ嬢が嬉しそうだ。
 二人で語らい、ゆったりした時間を持つのも良いが、何よりも彼女が喜んでくれるならそれが一番いい。

「ねえ、お兄ちゃん。リュート様のことは全くわからない?聖杯と王笏についてとか……」

 ミュリア・セルシア男爵令嬢が言っていた情報の中で、ルナティエラ嬢が一番反応していた言葉だな。
 やはり、彼が関係しているので気になるのだろう。
 王笏のことについては、国王陛下か王太子殿下に尋ねればわかるだろうが、聖杯は神殿関係の代物になるため、その詳細は不明だ。
 ハルキの方でわかるのなら、それに越したことはない。

「攻略情報なら持ってきたよ。ゲームのほうはまだ手つかずだから、真偽の程は定かではないけどね」
「物語には無かった設定でしょ?」
「そりゃそうだ。あの物語以降のお話という設定だし、リュートだって出てこなかったでしょ?」

 やはり、ルナティエラ嬢が以前に話してくれた物語とは違うところが多々あるようだ。
 ルナティエラ嬢もわかっていたのか「そうですよね」と、ため息交じりに呟いた。
 そんな妹の姿を見ながら、ハルキはテーブルの上にどこから取り出したのか、一冊の本らしきものを取り出すとページをめくってとある箇所を指し示しながら語りだす。

「ここに聖杯と王笏について書いてある。勇者を召喚するアイテムで、2つ揃わないと機能しない。ただ……ここを見て、勇者と書いてある場所に(魔王)って注釈があるのがわかる? 」
「あ……本当だ……」
「つまり、この召喚の儀式は、リュートを『勇者』として召喚するのか、『魔王』として召喚するのか2パターンあるってことなんだよ」

 我が国グレンドルグに置いて、『勇者』とは勇気ある者、弱き者を守る英雄に成り得る器を持つ者の例えだ。
 それに対し、『魔王』とは人ならざる非道を行い、命を軽んじ極めて残虐性が強い者の例えに使われる言葉である。
 相反する存在が同じ……?
 それが理解出来ずにいる私とは違い、納得しているルナティエラ嬢を見ていると、世界によって解釈が異なるのだろうかという疑問が浮かび上がる。

 しかし、ミュリア・セルシア男爵令嬢が言った【一万人の命を捧げる】という行為は、まさしく魔王と呼ぶにふさわしい所業だろう。
 彼女はそれにより勇者を召喚するというが、実際にそれで召喚されてしまうのは本当に勇者なのだろうか。

「あれ?魔王って聞いて驚かないんだ?」

 黙って私達の様子を見ていたハルキが、ルナティエラ嬢を見て不思議そうにそう尋ねる。
 確かにそうだな。
 最初に否定しそうな彼女が否定もせずに考え込んでいる。

「一応驚いているのよ?でも……リュート様は勇者というより魔王のほうがあっているなーって……」

 魔王のほうがあっている?
 非道な行いを平気にしそうな相手ということなのか?
 いや、やはり解釈が違うのだろう。
 ルナティエラ嬢がそんな非道を行う相手に心を開き、全幅の信頼を寄せることなどありはしない。
 
「あの……リュートって……そんなに悪い男なの?  」
「ち、違うのっ! リュート様には何というか……えーと……言葉では言い表しづらい感覚で、魔王っぽいというか何というか……」
「いや、普通の人は魔王っぽいなんて言われないよねっ!? 」

 ハルキの言いたいことはわかる。
 それに対してのルナティエラ嬢は、小首を傾げて「そうですか?」とでも言いたげだ。
 さすがに心配になったハルキが質問を重ねて、本当に大丈夫なのかと問いただしているが……どうにも言葉に言い表しづらいらしく、ルナティエラ嬢は困った様子であった。
 援護をお願いされた時空神も、言葉に言い表すことが難しいのか唸っている始末だ。
 これでは、ハルキが余計に心配してしまうだろう。

『まあ、彼を説明するのは難しいだろうな』

 楽しげに笑っている主神オーディナルの言葉が脳内に響き、それなら主神オーディナル自ら、ルナティエラ嬢を手助けすれば良いのでは?と心の中で呟く。

『それもそうだな』

 出来るのなら、最初からしてください。
 貴方が状況を楽しんでいる間に、可哀想なくらいハルキが心配しているのですから。
 そう怒るなと呟きが聞こえたと同時に、主神オーディナルが口を開く。

「アレを言葉で説明するのは難しいだろう。ゼルディアス、少しばかり僕の愛し子に力を貸してあげたらどうだい? 」
「良いのでしょうか」
「制約上、彼をここへ呼ぶことはできない。でも、他にも方法があるだろう?」
「……あ! ナルホド」

 どうやら、これでなんとかなるようだ。
 ハルキを連れてきたようにリュートをこちらへ連れてくることはできないと説明され、その理由が【血縁関係があった魂同士という制約がある】とのことだったので、少しの驚きを覚えたが、意外とすんなり受け入れることが出来た。
 ルナティエラ嬢が私の妹であったかもしれない……いや、血縁関係だというなら妹以外の関係であったことも考えられる。
 その考えを言葉にするように時空神が呟いた。

「まあ、君たちの場合はソレだけじゃないけど……」
「ゼルディアス」
「あ、いや、まあ、その……えーと、とりあえず、ルナちゃん手を出して」

 どうやら要らない一言であったようだ。
 それだけではない関係性……か。
 しかし、それでも『妹』という立場が一番しっくりくるのは何故だろう。

『妹だったからだろうな』

 やはりそうか……と、主神オーディナルの言葉に納得してしまう。
 いつもならそこで会話が途切れそうなものであるのに、主神オーディナルは何か考え込んでいる様子であった。

『まあ、リュートが上手くやってくれなかったら、今回は夫婦になる可能性もあったが……』

 それはあり得ないでしょう。
 思わずそう即答していたが、主神オーディナルは私にわかる程度に口元を歪める。

『さてな。他の世界で二人がどういう間柄であったとしても、何も変わらん。お前が考えている以上に、お前たちの結びつきは強いのだ』

 ある意味、リュート以上にな───

 その言葉の意味はわからなかったが、主神オーディナルがとても遠くを見据えながら放った言葉は、私の魂に何か引っかかる物があり大きく揺さぶった。
 主神オーディナルに真意を尋ねようとした瞬間、それを遮るように光が生まれる。
 時空神の手にルナティエラ嬢の手が触れたと同時に広がる金色の輪は、小さな宝珠へと姿を変え、輝きを増していく。

 そして、それはどこかの場所を映し出しているようであった。

「調整ができたかな。えーと……ちょうどルナちゃんが眠ったくらいの時間に接続できたみたいだ」

 ぼやけていた景色が鮮明になり、ルナティエラ嬢が変身した小鳥の姿がハッキリと映し出される。
 どこか薄暗いところでもぞもぞしている姿は、先程の愛らしさを思い出してほっこりしてしまう。
 あの手触りは良かったな……

「寝ているのに、もぞもぞしています……」
「まあ、寝心地確認なんだろうね」
「これではリュート様が見えないのではないでしょうか」
「アングルを変えよう」

 そうして宝珠が回りだし、映し出されたのは1人の青年と幼い娘。
 どちらも人並み外れた美貌を持っていて、神族だと言われても納得しそうな風貌だ。
 主神オーディナルと時空神で見慣れていると思っていたのに、彼は戦の神かと問いたくなるほど凛々しい佇まいであった。
 しかし……見たことがある。
 この風貌、以前はハッキリ見えなかったが何回か見た覚えが……

 そうだ、この不可思議な瞳だ。
 深くも鮮やかな青のグラデーションと、黒い瞳孔を彩るような黄金にも見える色彩が織りなす複雑な模様は神秘的である。
 以前見た彼は鋭利な刃を思わせる雰囲気であったが、今の彼はとても穏やかで落ち着いて……いや、どこかとろけそうに甘い。

『ルーが寝ちゃったの、ふわふわなでなでなの』

 彼の腕に抱っこされている頬がふっくらとして色づく愛らしい風貌の幼子は、大きな新緑色の瞳を輝かせてルナティエラ嬢を撫でていた。
 年の頃を考えても、3歳程度か?
 ふわふわ揺れる髪が柔らかそうで、好奇心旺盛な瞳の色はルナティエラ嬢と似ている。
 年齢さえ合えば娘か? と問いたくなるほどそっくりだ。

『そんなにぐりぐり撫でると起きちまうぞ』
『はっ! それはダメダメなの』

 心根が優しいのだろう。
 二人してルナティエラ嬢の眠りを妨げないように気を遣い、穏やかに見守っている。

「彼が……リュート? てか、リアルリュートはイケメン過ぎないっ!? 」
「だから言ったでしょ、イケメンだって……」

 何故かハルキは、私とリュートを交互に見て頭を抱えてしまう。
 何があったのかと見ていると「イケメンしかいない」と、何かにショックを受けている様子だった。
 大丈夫だろうかと心配になるが、呆れた表情をしているルナティエラ嬢を見たら、放置しておくのが良いのだろうと特に声をかけることもなく再度リュートを見つめる。

 以前にも見た彼の風貌は、何故か懐かしく……遠い何かに引っかかる物があった。
 そうだ、あの時も何かを思い出しそうになっていたな。
 気を抜けば、我知らず何か言葉を零しそうで、私は己に言いきかせるように心の中で呟く。

 すまん……まだ……無理なのだ。
 私には譲れない願いがあり、誓いがある。
 だから、すまない。

 懐かしい思いと共にこぼれ落ちた言葉の意味はわからなかったが、霞んで見えない向こうに居る私自身が、強い決意と譲れない願いと共に拳を握りしめ、決して揺るがない心を持っていることだけは理解できた。

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