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月と華
12.どうやら頼む相手を間違えたようだな
しおりを挟む眠りに落ちているのだとわかるような曖昧な感覚から、ゆっくりと現実世界に存在している時と同じような感覚へと戻っていく。
眠りの中で見る夢の世界は現実味がなく、体を動かしていても何かを通して感じているかのような感覚を覚えるものだ。
しかし、ここは違う。
彼女と会う夢は、指先1つ、いや……空気の振動さえも詳細に感じ取ることが出来た。
現実の世界よりも、遥かに鋭敏である。
まるで、肉体そのものが何かに邪魔をされているような不思議な感覚であった。
手を何度か動かし、感覚を確かめてから周囲を見渡す。
どうやら、オーディナルとノエルはまだ来ていないようだ。
真っ白でなにもない空間で彼女を迎えるのも無粋な気がして、我が家の庭を思い描く。
母や庭師が手入れしている庭は、王宮の庭師が整える庭園の次に美しいと貴族社会でも評判である。
見栄を張っているのではなく、ただ単に植物を育てることが好きなのだと母は笑っていたが、あの美しさを保つのは大変だろうと思う。
だからこそ彼女には一度見てもらいたかった。
きっと、表面だけの美しさではなく、母たちの苦労を理解してくれるだろうから……
不意に人の気配がした。
来たかと思い振り返ろうとするも、ぞわりと総毛立つような感覚がして、考えるより先に距離を取る。
「私のためにこんな庭を用意してくれるなんて、嬉しいですわ」
お前のためとは笑わせると言いかけた口を閉じ、相手を睨みつけるように見つめた。
「何故ここにいる、ミュリア・セルシア男爵令嬢……」
「貴方を思うが故ですわ」
ふふふっと可憐な笑みを浮かべるが、性格の悪さが滲み出ていて、どうにも好きになれない。
騎士たるもの、女性や子供や年配者など弱き者を守る立場ではあるが、ミュリア・セルシア男爵令嬢だけはその範疇ではないと思う。
どちらかと言えば、討伐すべき対象ではないだろうか。
彼女が纏う禍々しい物はなんだ?
先日までこんなものを感じなかったというのに……
「ベオルフ様、ルナティエラ様に騙されてはいけません。彼女は神の花嫁などではなく、悪しき者の使いなのです」
「……その根拠はなんだ」
「あの方は、神の世界に行ったのではなく、主神オーディナル様の手によりこの世界より追放されたのですわ」
言いたいことだけこちらに伝えてくる一方的な会話になりそうな予感がして、彼女が再び口を開く前に問いかけた。
「それはどこから仕入れた情報だ」
「直接、主神オーディナル様からお伺いしましたの」
は?
開いた口が塞がらないとはこのことだ。
あの『僕の愛し子』と言って憚らぬ主神オーディナルが、ルナティエラ嬢をないがしろにすることなど……ましてや、世界から追放することなどありえない。
本当なら手元に置いて、いつまでも慈しみ守りたいと願っていることなど、聞かなくてもわかるほどの溺愛ぶりだ。
主神オーディナルにとって、ルナティエラ嬢は妻ではなく娘であると知る者は少ない。
本気で主神オーディナルを怒らせたいのか?
こんな者に、誰が加護を与えるというのだろう。
ルナティエラ嬢から聞いた物語では得られたのだろうが、目の前にいるミュリア・セルシア男爵令嬢に主神オーディナルの加護などあり得ない。
あの神は、それほど甘くはないのだ。
「ほう?……かの神は、ルナティエラ嬢を妻として迎えたはずだが?」
「それが間違いなのです。あの方は悪の手先で、みんな騙されているのです!」
「主神オーディナルがそう言ったと?」
「そうです!私の夢に現れた主神オーディナル様が、ことと次第を教えて下さいました。本当の聖女は私であると。その力をルナティエラ様に奪われてしまったのだと……ですから、取り戻して欲しいのです。私の力を、私が本来受けるはずだった加護を!」
何者かが主神オーディナルの名を語り、ミュリア・セルシア男爵令嬢を操ろうとしているということなのだろうか。
いかんな……これは、面倒なことになる予感しかしない。
しかも、ソレは随分と力を持っているのか、彼女が夢に侵入するだけの何かを与えた。
嫌な気配や感覚は消えることがなく、彼女が私と距離を詰めようとすればするほど強くなる。
距離を保て。
懐に入れるな。
警戒していないと、何かが来る可能性が高い。
頭の中で、もう1人の自分が警鐘を鳴らした。
「ベオルフ様、お願いです。信じてください……本当の聖女は私なのです」
「聖女など知らん。私が知っている聖女は『ジャガイモの聖女』だけだ」
「え、えっと……ジャガイモ……ですか?何のご冗談を……真剣に話を聞いてください。ベオルフ様はルナティエラ様に騙され、良いように利用されているだけなのですっ」
目に涙を浮かべ、可憐な少女の演技をしていると見て取れるミュリア・セルシア男爵令嬢が発する言葉と共に、かすかに聞こえるザラつく声はなんだ?
何と言っているのか確認するために、彼女の言葉を遮らずに聞いているフリをする。
私が聞く態勢になったと感じたのか、ミュリア・セルシア男爵令嬢は嬉しそうに聞かれてもいないことを語りだし、自らがいまどれほど苦しい境遇に居るか朗々と語りだす。
どうやら、スレイブはいい仕事をしてくれているようで、『顔が良くても冷徹で冷酷な人間』というのが彼女の評価であった。
さすがだ。
狙い通りの仕事ぶりで助かる。
しかも、最近は近衛騎士たちも様子が変わり厳しくなったようだ。
スレイブに感化され仕事熱心になってくれたのなら、こちらの想定以上に頑張ってくれているようである。
『……ろ……せ』
何を言っている……ザラザラしていて聞きづらい。
人の声ではないとわかるだけに不気味ではあるが、これに何らかの意味があるように思えて、意識を集中させた。
『ル……ころ……せ』
殺せ……と言っているのか?
そう感じた瞬間、相手が何を言っているのか瞬時に理解する。
『ルナティエラ・クロイツェルを殺せ』
次の瞬間に感じたのは、途方も無い怒りだった。
腸が煮えくり返るような、形容し難い怒り。
ここまで自分が熱い人間であったのかと思い知るくらい、途方も無い熱量を腹に抱えた。
怒りのままに言葉から発せられる何かを、右手を無造作に振るうことで霧散させ、しつこく残り忌々しい言葉を呟く黒い霧のようなものを握りつぶす。
「ソレを私にさせようと?どうやら頼む相手を間違えたようだな」
低く抑えた声にミュリア・セルシア男爵令嬢の顔色が変わり、怯えたように一歩下がる。
「私は貴女が考えているほど甘くはない。心配している?笑わせてくれる。私の心配など微塵もしていない。むしろ……利用する気で近づいてきたようだな」
「ち、違います、誤解ですベオルフ様!」
「まあ……そういう私も、貴女の心配など微塵もしていないがな……全ては自業自得だろう」
「私は何もしておりません!自業自得なんてヒドイですっ」
私はやってないというように泣く素振りをして見せるが、心揺さぶられることもない。
だいたい、彼女が泣いたところで痛くも痒くもないのだ。
ルナティエラ嬢の涙とは重みが違う。
彼女が珍しく弱音を吐き、流した涙の重みとは比較にならない。
あれほど心に響き、守りたいと心揺さぶられる物はないだろう。
「ルナティエラ嬢にやってもいない罪を着せ、セルフィス殿下を惑わし、まるで悪女のような振る舞いをしておいてか?」
「悪女はルナティエラ嬢で、私ではありませんわっ」
「どこが違うというのだ。人にでっち上げた罪を着せて蹴落とすだけでは飽き足らず、殺そうとしておいてよく言うものだ。しかも、セルフィス殿下を思っていると言いながら、他の男にも色目を使う……節操なしの悪女もいたものだ。物語でいうなら、悪役の令嬢というところではないか?」
「違うわ!悪役令嬢はルナティエラ・クロイツェルであるあの女よ!」
悪役令嬢……その単語はルナティエラ嬢から聞いた。
物語の役回り、配役の名。
ミュリア・セルシア男爵令嬢を主人公にした物語で、ルナティエラ嬢の役回りがそれであったと……何故、彼女がそのことを知っているのだ。
彼女もルナティエラ嬢と同じく、他の世界の知識や記憶を持っているのだろうか。
……いや、それにしてはお粗末過ぎる。
ルナティエラ嬢の博識に比べて、彼女が持つ知識や常識はあまりにもレベルが低すぎた。
「あの女が、私の邪魔をしてくるのよ!善人な顔をして、裏で何をやっているかわかったもんじゃない!」
しかし、化けの皮が剥がれたとはこのことだろう。
先程までの取り繕っていたような可憐さは消え失せ、顔を険しくしてルナティエラ嬢を口汚く罵るさまは、とても上品で可憐な令嬢とは言えない。
この姿をセルフィス殿下が見れば、一気に冷めることだろう。
まあ、私はもともと好意など寄せては居ないから「やっぱりな」という感想しか抱かないのだが……自業自得感を否めないセルフィス殿下に、少しだけ同情した。
「人の夢に不躾に入り込み、ルナティエラ嬢に対する悪態をついていくとは……どちらが悪の手先かわからんな」
「私ではないわ!」
「可憐な令嬢の仮面は、もういいのか?」
そういうと彼女はハッとした顔をしてから、慌てたように視線を彷徨わせて言葉を探しているようである。
化けの皮が剥がれたというのに、この期に及んで……と、思わなくもない。
それに、いまの私は普段よりもタチが悪いのではないだろうか。
妹のように大切にしているルナティエラ嬢を悪し様に言われるだけではなく、まさか『殺せ』などと……許せることではない。
彼女の言葉とともに聞こえた言葉と、ミュリア・セルシア男爵令嬢が無関係なんてことはありえないだろう。
背後にいるのは、主神オーディナルではなくアイツだと直感的に思った。
使い魔が使えなくなり腹に据えかねて新たな手を講じてきたのか、もともと彼女はアチラ側だったのか───
「貴女の背後にいるのは誰だ。誰の命令だ……」
「違う、そうではないの……違うのです、ベオルフ様、私はもともと……貴方のことが……セルフィスではなく、貴方が……」
何の話だ?
涙ながらに戯言を言い出す彼女が続けようとしている言葉を理解し、吐き気をもよおすほどの嫌悪感を覚える。
コレがいいと本気で言っているセルフィス殿下の気持ちがわからない。
何だこの女は……
一途に想い続けるふりをして、平然と他の男に言い寄る。
だいたい、セルフィス殿下とは肉体関係もありながら、何を言っているのか……好きでもない相手に体を許せるのか?
ありえないだろう。
もしかしたら、彼女が持っていた首飾りがあったらこれを「自分のほうが相手より勝っている、好意を持ってもらっている」なんて考えられたのだろうか。
嫌悪感を通り越して、同じ人間であるかどうかも怪しいと思えてくるほど、この世界の常識が通用していない。
だいたい、その考え方は主神オーディナルの考えに背く行為だ。
夫婦になる前に、複数の異性と関係を持っても良いなど、この国の常識からは考えられない。
いや、主神オーディナルを崇める国であれば、そんな考えを持つことは極めて稀である。
体を売って商売をする者との関係を除き、愛人や愛妾を持つことさえ許していない国が多い中、彼女の考え方は異質であった。
主神オーディナルの教えを守る国の常識だからこそ、男女問わず結婚するまで慎重な行動が求められるのだ。
それでも性犯罪なんていうものは起こるもので、その嫌疑をかけられた者は厳密に調べられたあと、有罪であれば私財没収の上、市中引き回しの刑に処されたのち死罪、もしくは劣悪な環境である場所での強制労働を強いられ死ぬまで働かされる。
忌むべき犯罪の被害者は、その後の生活が困難にならないように手厚く国で保護された。
そうなるとわかっているのに、こういったことは毎年数件起きるのだから、頭が痛くなる。
そういうこともあり、貴族社会はその辺りがとても厳しく、貴族同士の婚前交渉は神の前で誓い合う物とは重みが全くと言っていいほど違うのだが、事実上の婚姻だとも言えた。
それ故に、いまのミュリア・セルシア男爵令嬢は仮ではあるが『王族と婚姻関係にある者』として、幽閉されるだけにとどまっているのだ。
以前、王太子殿下が言っていた『万が一王族の子を妊娠している可能性』についても重要視されているが、貴族社会の暗黙の了解な部分が占める割合は大きい。
しかし、彼女の相手はセルフィス殿下だ。
子供ができていないと判断されたあと、セルフィス殿下がミュリア・セルシア男爵令嬢との婚姻を望まないとなれば、捨てられるのは彼女である。
この件に関して言うなら、彼女に決定権はないのだ。
現在の扱いとて、『王族と婚姻関係にある者』という立場であるから許されていることも多いというのに……
もしかして、本当にわかっていないのか?
理解していない?
そんなことがあり得るのだろうか……男爵令嬢とは言え、れっきとした貴族だろうに。
「ミュリア・セルシア男爵令嬢……貴女はいったい何を言って……」
「ですから、私は貴方が好きなのです、ベオルフ様!セルフィスではなく貴方がっ」
その言葉を耳で聞き、嫌なものが体中に広がるのを感じた。
セルフィス殿下に同情したら良いのだろうか、それとも目の前の得体のしれない何かを排除すれば良いのだろうか。
しかし、ここで排除するにも方法が……いや、その前に貴重な情報を持っていそうなので、一時の感情を優先すべきではないと己に言い聞かせる。
奥歯を噛み締め、私の内に広がる感情を抑え込んでいる、そんな時だった。
「えぇーいっ!」
場を引き裂くように、甲高い何かが壊れる音と共に聞き覚えのある声が頭上から降ってくる。
「え、えっ!?空洞になっているなんて聞いていませんーっ!」
悲鳴を上げながら落下してくる人を目に捉え、慌てて腕を伸ばして受け止める。
落下してきた相手も、受け止めた者が私であると気づいたのだろう。
しっかり抱きついて離れまいとしているところに苦笑が漏れる。
今まで感じていた嫌悪感や黒い物が霧散していくのを感じ、腕に力をこめ彼女を抱きしめた。
まったく……貴女は───
夢であっても、どこにいても、誰であるかすぐにわかる彼女は、恐る恐る目を開いて私の存在を認めたあと、照れくさそうに笑みを浮かべたのだった。
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