479 / 558
第十一章 命を背負う覚悟
11-51 内通者
しおりを挟む昼食後の和やかな時間も、召喚獣達は主のところへ帰るどころか、リュート様のあとをついて回るようになった。
彼のあとを、ぞろぞろとモフモフたちが列を成す。
その様子から危機感を覚えたのか、チェリシュが抱っこをせがみ、真白は頭上から離れない。
リュート様争奪戦でも始まったのだろうか……
もしかして、これは私も参加する流れではっ!?
「ルナちゃん、あっちはもう少ししたら解散になるカラ、こっちに集中しようカ」
「あ、はい」
ラミアとの戦闘を考えて、携帯できる食べ物を作ろうと考えた私たちは、昼食が終わった直後だというのに厨房で作業をしていた。
あの激しい戦闘の中で、ポーションすら飲む暇が無いくらいなのだ。
魔力が枯渇して食べる暇さえ惜しい人に、現在ストックしてある料理を食べろというのは難しい。
そして、ベオルフ様が仕込んだ大幅に回復が見込めるパン生地と、ノエルのリンゴがあるのだ。
コレを使わない手は無い。
一口で食べられて、なおかつ取り出しやすい食べもの……クッキーも考えたが、それではパン生地が――
そこで、苦肉の策にはなるが、プチパンを作ろうと考えたのだ。
中に詰める物は、煮詰めたリンゴとカスタードクリーム。
カスタードクリームには、ラエラエの卵を使っているので、コクと滑らかさが倍増である。
もったりとしたカスタードクリームの上に煮詰めたリンゴを乗せ、パン生地に包み込む。
最後に艶だしのドリュールを塗って、オーブンで焼いた。
いつもとは違い、小さくまとめてあるので、焼成待ちの鉄板に並ぶ、コロリとしたパンが可愛らしい。
「焼けましたよー!」
熱々の鉄板が作業台に置かれ、全員で覗き込んだ。
程よく焼けたプチアップルクリームパンは、甘い香りをさせ、艶々として美味しそうである。
試食した時空神さまからは、ベオルフ様とノエルという最強コンビから提供された食材なだけあって、ポーション以上の魔力回復が見込めると太鼓判をいただいた。
「あ……ヤンさんが戻ってきたみたいですね」
此方が一段落付いた頃、リュート様のそばに一人の青年が降り立った。
少し疲れが見えるけれども、どうやらヤンさんが無事に戻ったようだ。
その頃には、召喚獣達は主の元へ帰ったのか姿が見えず、チェリシュと真白は、リュート様がお仕事モードに入ったのを察してか、パタパタと走って私たちのところまでやって来る。
「チェリシュも、お仕事頑張ってくるなの!」
「真白ちゃんもついていってくるー!」
それだけ言うと、お子様組は迎えに来たらしいラエラエと一緒に駆けていった。
何とも頼もしいお子様組を見送り、それとなくリュート様の方を見るのだが、彼は難しい顔をして頷きながらヤンさんの報告を聞いているようだ。
どうやら、あまり良い報告ではないらしい。
難しい顔をしているリュート様とヤンさんにも試食をしてもらおうと、粗熱が取れたプチアップルクリームパンを持って歩み寄る。
「リュート様、携帯するプチパンが出来ましたので、試食をお願いします。ヤンさんもお疲れ様でした。折角ですから、どうぞ」
「お? 甘い良い香りだな。へぇ……小さくて、これなら女性でも一口で食べられそうだ」
「ルナ様、ありがとうございます。では、遠慮無く」
プチアップルクリームパンを、ぱくんっと食べたリュート様は、目を輝かせて「旨っ!」と言って、少年のように目を輝かせた。
「リンゴの香りがとても良いですね。クリームも濃厚ですし……これなら何個でも食べられそうです」
「だよな。カスタードクリームが滑らかで、口当たりが良くて溶けていく中に、リンゴを甘く煮てトロッとしているのに、程よくシャリッとした食感が残っているのがまた良いよなぁ」
感想を述べながらも、次へ手を伸ばす。
先ほど昼ご飯を食べたばかりだというのに、彼の胃袋はブラックホールのようだ。
ラミアのことを警戒している中なので、何かしらの魔法を使っていると考えられるが、消費が凄まじい。
私という補給源が無い時代は、どうやって戦ってきたのだろう……とても心配になってしまう。
危機的状況でも魔力を使った戦い方をせざるを得なかったリュート様だからこそ、ポーション煮などという恐ろしい料理(?)も、食べなければならなかったのだと思えば泣きそうだ。
「何かあったのですか? 難しい顔をしていたようですが……」
「あー……いや、杞憂であって欲しかったことが、予感的中だったのと……現存しているバリスタの数が思いのほか多かったってところかな」
「調べて正解です。前者は……完全にリュート様の読み勝ちというか……あの段階で疑うという点には恐ろしさすら覚えました。後者は念の為に調査して良かったと思います」
「恐ろしいって……あくまで、可能性を考えて調べて貰っただけだ。あと、後者の方は、持ってきてくれた情報のおかげで、色々と絞り込めそうだな」
そう言って、彼は地図を取り出してテーブルの上に広げる。
片付けを終えた元クラスメイトたちも此方へやって来たので、黒の騎士団の作戦会議が始まった感じに見えたのだろう。
周囲で思い思いに休憩をしていた生徒から緊張が伝わってくる。
「この砦が高台かつ、一面が海沿いの岸壁である事が功を奏したな。バリスタを設置出来る場所は、おそらく、この辺りだろう」
リュート様が印を付けたのは二箇所。
どちらも、高台になっていて木が生い茂っていない場所だ。
「火矢を使う可能性を考えたら、周囲に木が無い場所を選ぶはずだし、アレは出来るだけ平坦なところへ設置したいはずだ。まあ、バリスタだけだというから、壁を破られることもないだろうし、此方から出向いて破壊しよう」
「破壊といっても、割と耐久力がある感じでしたよ? ラミアと戦いながら壊すのは時間がかかるかと……」
「そこで、コレを使う」
リュート様はアイテムボックスから何かを取り出してテーブルの上に出した。
元クラスメイトたちが壁となって、周囲の人たちには見えないだろうが、魔石を平たく磨いた物のようだ。
中央には、複雑な術式が刻まれていて、どういう効果をもたらす物なのか一見して理解することは難しい。
「クククッ……アイツらのバリスタは、コレで一網打尽にしてやる」
リュート様が珍しく、とても悪い顔つきで笑う。
さながら魔王だ。
あ……そういう顔もカッコイイですね……あの、カメラに残しても良いでしょうかっ!
「ルナちゃん、落ち着いテ。ドードー」
私の考えは時空神様に筒抜けだったようで、落ち着くように両肩に手を置かれてしまった。
ざ……残念です。
「えーと、リュート様……それは?」
控えめに質問したダイナスさんを見たリュート様は、テーブルにある薄っぺらい魔石をヒラヒラさせてニヤリと笑った。
「これは、魔物探知機能がついた地雷だな」
「ふぇっ!?」
物騒な単語に、私が驚きの声を上げるけれども、元クラスメイトたちは首を傾げるだけだ。
つまり、この世界に地雷は無いということである。
「つまり、コレは……あー、ちょっと待て」
リュート様はそういうと、時空神様に目配せをして、二人揃って結界を張ったようだ。
私たちの周囲を覆うように張られた、ドーム状のシャボン玉にも見える結界がキラキラ輝いている。
「遮音……ですか?」
「内側を認識できないようにしてある。ちょっとワケ有りだ。理由は、あとで話す」
リュート様は一言そう告げてから、持っているアイテムについて説明し始めた。
「これは地面に設置するタイプだ。まあ、相手に見つかりやすいから、地面に埋めるのが一般的だな。埋められている地雷の上を魔物が通ると、術式が発動して相手を氷漬けにする。相手を行動不能にするのを目的として作った代物だ」
なんだ……吹き飛ばすわけではないのかと安堵していたら、続いて取り出した色違いの地雷に嫌な予感を覚える。
「で、こっちが、攻撃系。爆散させるタイプ。あのバリスタの重量を考えると、鎧を着込んだ人間の十倍くらいの重さがあったようだし、重量探知系で吹っ飛ばすのも良いな」
「えっと……それ、俺たちも吹っ飛びませんか?」
「魔物はラミアの魔力を設定できるし、重量探知系は、お前らが一箇所に集まって、積み重ならなければ大丈夫だ」
「リュート様に吹っ飛ばされないと、そんなことにはならないよな……」
「つーか……リュート様……すげー物騒な物も作ってるんですね……」
説明を聞いて、それがどういう物であるか理解した元クラスメイトたちは、顔色を悪くしている。
それはそうだろう。
そんな物が地面に埋まっていると考えただけで恐ろしい――いや、もしかして、実験台にされないか危惧しているのだろうか。
さすがのリュート様でも、そんなことはしないと思うのだけれども……
「あの、撤去はできるのでしょうか」
ジーニアスさんの言葉に、リュート様はコクリと頷く。
「探知機があるし、俺が術式を無効化することも可能だ」
「それを聞いて一安心です」
「そんな怖い物が地面に埋まってるって考えるだけでもゾッとするっすよ……」
「まあ、人間に被害が出ないよう考えに考え抜いた術式だから大丈夫だろ。バリスタも、全壊しなくて良い。土台の部分か、発射装置を壊せたら良いんだからな」
「なるほど……」
リュート様は、どうやらあの後、バリスタも調査したようだ。
紙にサラサラとバリスタの絵を描いて見せ、破壊すると機能を停止させられる部分を事細かく説明していく。
「意外と構造は簡単なんっすね」
「だが、つがえる矢が大きくて飛距離を稼ぐために、装置そのものが大きいという欠点を持つ。隠すように設置しても、そこから動かすのに時間はかかるだろう」
「そこを狙うっすね。リュート様……すげーっす!」
「俺たちは、その威力を見ていないが……そんなに凄かったのか?」
問題児トリオは私たちと一緒だったので、遠征組の襲撃事件は知らない。
報告を聞いただけの状況なので、より詳しい情報が欲しかったのだろう。
いくつか質問をして、情報を蓄積しているようだ。
「リュート様の多重防壁を抜いて、取り出した盾も抜いて、リュート様の体で受けとめるくらいの威力だな」
「えげつないな……」
「でも、その矢は特別製だったからだろ?」
「いや、普通の矢でも、かなりの威力だった。俺の防壁はすぐ破られた」
「俺くらいにならないと厳しいかも」
「マジかよー」
彼らの中で、バリスタの威力がどれほどのものであったか情報交換がされている中、リュート様はそれとなく周囲を窺っているようだった。
何か気になることでもあるのだろうか。
周囲は、学生がチラホラいるくらいで、結界を張ってからは聞いてはいけない作戦なのだと、気を利かせて距離を取ってくれている。
キャットシー族の子供達も、私たちが真剣な様子で話をしているのを察して、声をかけてくる様子も無い。
「でも、リュート様。どうして結界を張ったんすか? 地雷のことを知られたくなかったって感じでもないっすよね?」
「お前らには伝えておくが……どうやら、内通者がいるようだ」
「へ?」
「はあぁっ!?」
元クラスメイトたちが素っ頓狂な声を上げる中、リュート様だけは「杞憂であって欲しかったんだけどな……」と、ぼやく。
内通者って――え? 魔物に情報を渡している人がいるということですかっ!?
「それまでも、おかしな動きがあったけれども……あまりにも襲撃のタイミングが良すぎた。そして、此方の動きを把握しての対応が多い。バリスタだって、さっき言った通り、重量物だ。設置するのにも、ある程度ルートを絞り込んでいないと難しい。そもそも、なんで魔物がバリスタなんて兵器を所有しているんだ?」
「あ……」
「魔物は本来、そんな道具を使わない。自分の力に絶対的な自信と誇りを持つからな。知能が高ければ高いほど、それが顕著だというのに……だ。武具までは理解出来る。しかし、バリスタはあり得ない。おかしいだろ」
「確かに……」
「誰かが裏で糸を引いている。しかも、人と魔物の協力態勢で、聖都を弱体化させようとしているんだ。奇しくもここには、守りの要が揃っている」
「リュート様とマリアベル様っすね」
「それだけじゃねーよ。上位称号持ちや次代の守り手が勢揃いしてるんだ。もし、俺たちが全滅してみろ。聖都は混乱を極めるぞ」
事の重大性に気づいた私たちは、思わず顔を見合わせる。
リュート様は同じ状況下で、そこまで考えて先手を打っていたのだ。
「聖泉の女神ディードリンテ様が火矢に対する防御壁を作ってくれた。しかし、それに安心は出来ない。この情報だって、すぐに相手へ伝わってしまうだろう。俺たちが警戒している物がなんであるか、奴等は把握しているはずだ」
「最後に放った矢……ですね」
私の言葉に、リュート様が頷く。
「それを逆手に取る。前回は余裕が無くて後れを取った。しかし、今回は設置場所と攻撃範囲が割り出せるんだ。バリスタを破壊するヤンの部隊と、その矢を無効化出来る何かがあれば、バリスタの被害は皆無に出来る」
「でも、リュート様……無効化って……防壁をも貫く矢ですよ?」
「言いたいことは判る。しかし、防壁で防ごうって考えたのが、間違いだったんだ」
「え?」
「物は考えようってことだな」
リュート様が意味深に微笑む。
どうやら、彼の中でバリスタ無効化の道筋は見えているのだろう。
本当に色々と考えているのだと判って頼りになる反面、心配にもなる。
それだけ頭を働かせていたら、倒れてしまわないだろうか。
「ルナのプチアップルクリームパンのおかげで、最後まで頑張れそうだ。ありがとうな」
皿の上にあった最後の一つを頬張って、ホクホク顔で笑っているリュート様を見ていると、そんな不安はすぐさま消えた。
彼が「旨い」と言って食べている間は、大丈夫だ。
「沢山作りますから、皆で乗り越えましょうね」
「ああ、勿論。みんなで無事に聖都へ帰ろう」
リュート様の言葉に、全員で頷く。
避けようのない嵐は、すぐそこまで来ている。
その嵐を乗り切るための対策を練り、力を蓄え、情報を共有するのだ。
リュート様が差し出した手に、全員が無言で手を重ね、気合いの入った声を上げる。
この仲間達がいれば、きっと大丈夫。
ざわめく心に一抹の不安を覚えながらも、私は無意識にキュステさんがくれた龍血玉で出来たブローチを握りしめていた。
339
お気に入りに追加
12,219
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。