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第十一章 命を背負う覚悟
11-28 大地母神の神官が作ったパン
しおりを挟む「遅くなりました! リュートお兄様!」
周囲に集まった人々を押しのけて走り込んできたのはマリアベルだった。
息を切らせてリュート様の元へ駆けつけた彼女は、彼が押さえ込んでいるヤトロスのそばに跪いて傷口を確認すると、リュート様の目を見て頷く。
「傷口を確認しました。これだけ綺麗な傷でしたら、すぐに癒やせます」
「そうか……それは助かる。ヤトロス、魔法を解除した瞬間に痛みがあると思うが、少しだけ我慢しろよ?」
「え……くそっ……わかったよ!」
こうなったらヤケだと言いたげな様子で了承したヤトロスの体に力が入る。
「ふふ、大丈夫ですよ。リュートお兄様の魔法解除タイミングは絶妙ですから」
「マリアベルの癒やし魔法が凄いだけだろ。よし……カウントするからタイミングを合わせてくれ」
「はい!」
「行くぞ! ……3、2、1、解除!」
こういう事を何度もしてきたのだろうか、リュート様とマリアベルの動きには迷いが無い。
リュート様の氷魔法が一瞬にして消え失せ、マリアベルの魔法が傷口を覆った。
体に力を入れて痛みを耐えようとしていたヤトロスは、強ばった表情をしていたのだが、暫くしたら首を傾げてリュート様の方を見る。
「痛く……ねぇんだけど……」
「マリアベルのおかげだろ? まあ、これで大丈夫だ。傷は治るが血は戻らないから、暫く安静にしていろ」
リュート様はそう言いながら安堵したように立ち上がり、血で汚れてしまった周囲を洗浄石で綺麗にしてから、私の方へ歩いてきた。
「怪我は無かったか? ルナの判断が早かったおかげで、死者を出さずに済んだ。ありがとうな」
「え……あ……いえ! リュート様が迅速に対応してくださったおかげです! 私は名前を呼んだだけで……」
「俺と真白が重要な打ち合わせをしていると判っていたルナが、あんなに切羽詰まった声で呼ぶってことは、よほどのことが起こったんだって思ってさ……大正解だったな」
「さすがはリュート様です。本当に助かりました……来てくださって、ありがとうございました」
お礼を言った私に、彼は当たり前だろうというように微笑む。
そんな彼の様子から緊迫した状況は脱したのだと判断した周囲の人たちも、ようやく一息ついたようである。
「真白、何か判ったことは?」
「んー……傷口から侵入しているのは、この小さな蛇だと考えて良いと思う。でも、なんで他の人たちは溶解した状態になっているのかがわからないのー」
「傷を負った者全員か……」
「元々は卵だったんじゃないかなぁって……それがある一定の条件を満たすと孵化するんだと推測中ー」
「ナルホド……以前にも似たことをする魔物は居たが、ラミアは前例が無いな」
真白とリュート様の会話を聞きながら内容を理解して、ゾッとしてしまう。
つまり……ヤトロスのように、小さな蛇が動き出す可能性がある人がいるかもしれないということだ。
「全員の検査が必要だな」
「そうだねー……でも、何が弱点なんだろー……」
うーむと悩む真白を見下ろしながら、リュート様も思案している様子だ。
私たちも考えてみるが、良くわからない。
「俺たちも……アレが……いるのかな……」
「一緒に行動していたし……」
「んー? んうー……ふむふむ。溶解状態だから問題ないみたいだよー?」
真白がヤトロスと行動を共にしていた三人を診察するけれども、溶解状態になっていて問題はないらしい。
彼ら自身も、少し熱っぽいくらいだというから驚きだ。
「なあ、アイツとお前らで、何か違う行動をしたとか……少し違うことがあったとか、そういうものに心当たりは無いか?」
リュート様の問いかけに、三人は考え込む。
そして、先頭にいた青年が……「あ……」と呟いた。
「大きな違いというか、心当たりがあるとしたら……昨晩差し入れて貰ったパンをアイツだけ食べていないんです」
「は? アイツ、魔力が低下して大変だったろう? 何でまた……」
「その……リュート様の召喚獣が作ったからって……」
その返答を聞いたリュート様の頬がピクリと引きつった。
あ……リュート様? だ、ダメですよ?
それくらいで怒ってはいけません。
「リュート様、ここは抑えてくださいっす!」
「まずは、問題を解決しないといけません!」
「腹が立つのは判りますが……俺たちも腹が立ちますが……我慢です!」
すぐさま、モンドさんが右腕を抱え込み、ジーニアスさんが左腕を抱え込み、ダイナスさんが羽交い締めにする。
長年一緒にいただけあって、リュート様の怒りポイントを熟知している彼らの行動は迅速であった。
リュート様が質問を続ければ怒りのボルテージが上がるだけだと判断したのか、癒やしの魔法を使っているマリアベルのそばにいたロン兄様が、ヤトロスに問いかける。
「ルナちゃんの料理を食べなかったって本当?」
「あ……ああ……この合宿中……食ってない。家で決められた食事があるから、それを食ってた」
「決められた?」
「最近になって母さんが大地母神の神官達から……魔力保有量が上がるパンと言う物を……大量に購入したんだ」
どうやら、ヤトロス自身も『魔力保有量が上がるパン』というものに半信半疑だったのだろう。
とても歯切れが悪い。
彼はマリアベルの邪魔にならないように気遣いながら体を動かし、腰のポーチから紙に包まれたパンを取り出してロン兄様に渡した。
「俺に渡してもいいのかい?」
「……どうせ、偽物だろ? 俺の母さん……騙されやすい人だからさ……でも、俺が食ってると……喜ぶから……」
不貞腐れたような声で話しているが、母親のためを思っての行動を他人に話すのは恥ずかしいと感じているのだろう。
あの陰険教師とリュート様絡みがなければ、どこにでもいる普通の青年である。
「ルナちゃん、コレ……どう思う?」
「少々お待ちくださいね」
パンだったら新米時空神のルーペを使えば、ある程度判るはずだ。
新米時空神のルーペでロン兄様が持ってきたパンを視てみる。
【大地母神の神官が作ったパン】
聖都レイヴァリスでは一般的に食されているパン。
小麦粉と水を混ぜて焼いている。
水分が少なく、多少日持ちはするが硬いので、スープに浸して食べるのが一般的。
しかし、このパンは有害な植物の葉を粉末状にした物を混ぜ込んであるので、長く食べていると中毒症状が出る可能性がある。
一般的なパンの知識やレシピの内容が書かれていると思っていたら、とんでもない一文が最後に出てきて、私は頬を引きつらせてしまった。
え、えっと……とんでもないことになってますーっ!
「ま、マリアベル! その方に中毒症状は出ていないか調べてください!」
「え、あ、はい!」
傷の治り具合を確認していたマリアベルは、私の言葉に驚きながらもヤトロスの体を調べ始めた。
それからすぐに何か見つかったのだろう。
傷口とは違う箇所を癒やし始めた。
「パンを……欲しくも無いのに食べたいと思うようになっていませんでしたか?」
「あ……最近は、少し……思ったかも」
「そうですか……あのパンを食べ始めて、日は浅いですか?」
「二週間前に貰って……家に帰ったときと、この遠征訓練の時だけ……」
「そうですか……お師匠様にお礼を言っておいてください。ヘタをすれば、酷い中毒症状が出て苦しむことになったはずです」
「え……なんで……だって、大地母神の神官達がくれたパンなんだぞ? 何だよ……その中毒症状って!」
「薬物中毒にしようって魂胆だった――ということか?」
リュート様の問いかけに、私は頷いた。
それ以外に考えられないからだ。
「中毒性のある粉末が混ぜられているので、危険だと……」
「ジーニアス。このパンをロヴィーサに渡して、中に何が入っているか調査してくれるよう頼んできてくれ」
「わかりました」
パンの包みを受け取ったジーニアスさんが颯爽とこの場を走り去り、それを見送っていたリュート様は低い声で呟く。
「人が食う物に有害物質を混ぜるとか……どこまで根性が腐ってやがる。食い物を粗末にするヤツは絶対に許さん」
「まあまあ、その調査は此方で引き受けるよ。俺の同期に頼んでくるから、ちょっと席を外すね」
ロン兄様はリュート様が落ち着くように肩をポンポンと叩いてから、私たちに背を向けて少し離れた場所で通話を開始した。
その後ろ姿を見つめていた私は、青ざめているヤトロスへ視線を移す。
やはり、自分が考えもしなかった状態になっていた事がショックなのだろう。
マリアベルの適切な処置を受けて体は楽になっているはずだが、精神的な負担が大きいようである。
とりあえず……と、私は準備していたスポーツドリンクを持って彼に近づく。
「どうぞ、コレを飲んでください。失われた血を取り戻すことは出来ませんが、先ずは水分補給をしてください。食べられそうなら、温かいスープでもどうですか?」
「……何で……俺は、アンタのこと……召喚獣だからって……」
「弱っている人に追い打ちをかけても仕方がありませんし、反省しているのでしょう? それでしたら、私から申し上げることはございません。……あ、でも、リュート様には謝ってくださいね?」
「……悪かった……大人げなかった……何か……すげぇ……ムシャクシャして……どうしようもなくて……」
マリアベルが癒やしたはずの傷口を見つめる。
影は薄れた。
しかし、やはり彼の感情にあわせて揺らめいているところを見ると、何かが残っているのだろう。
私や真白にしか見えない何かが――
「あのさ……カレーパンだっけ……アレ……良い匂いだった。本当は……食ってみたかった。なのに……意地張って……折角作ってくれたのに……ごめん」
心から反省している声と言葉であった。
後半は涙がにじんだのか、俯いたままで……声は鼻声になっている。
彼が日本に居たら、まだ高校生の年齢だ。
一番素直になれない時期なのかも知れない。
子供でもあり、大人でもある。
とても複雑で多感な時期……
「謝罪を受け入れます。別に捨てたわけではないのですよね?」
「ああ……そいつらが旨そうに食べてた」
一緒に行動していた三人が口々に「旨かったぞー」「残念だったな」と言いだし、ヤトロスは本当に悔しそうな表情を見せる。
そんな彼らのやり取りを見ていたリュート様が苦笑して見ていたかと思ったら、妙案を思いついたとでも言うように私の肩にポンッと手を置いた。
「ルナ、俺の分から一個……」
「良いのですか?」
「ああ。コイツにルナの凄さを判らせてやりたい。今まで食わなかった事を、真の随まで後悔させてやる」
ニッと笑って言うリュート様に、私は笑ってしまった。
言葉では何とでも言えるが、美味しそうな物を食べられなかった悔しさを抱くヤトロスに、カレーパンを食べさせてやりたいのだろうと理解する。
本当に優しい人だと思う。
こういうところが、たまらなく好きだ。
おそらく、お人好しだと言われるだろう。
でも、これがリュート様なのだと私は胸を張って人々に自慢したい。
私の主は最高なのです!
「お許しが出たので、一つだけどうぞ」
「え……いいの……か?」
「腹が減ってるだろ? あんなパンで腹が膨れるかよ。魔力も足りてねーだろ? 回復しとけ。いざって言うときに役立たずは困る……とは言っても、今日は安静にしていろ。魔力が少なくなっていると体の回復にも影響が出てくるから、いつも一定量以上は保持しておくようにしろよ? 基本中の基本だぞ」
「わ、わかってる! あ……ありがとう」
「おう。食って驚け。俺のルナはすげーんだって思い知って、心の底から後悔しろ」
「……言っていることがメチャクチャだ」
ルナの料理を知らないから言えるのだとリュート様が自信満々に言うと、ヤトロスを癒やしていたマリアベルがブンブンッ! と、勢いよく首を縦に振った。
「お師匠様の料理は世界一です! 時空神様も虜にしているのですから、間違いありません!」
いえ……時空神様を虜にしているのは、私の兄ですよ?
さすがにそうとは言えず、曖昧に笑って見せる。
そういえば、今日は時空神様に会っていない。
チェリシュのフォローで忙しいのだろうか。
「温かい……てか、熱っ!」
「揚げたてを、油を切ってそのまま収納しましたので……気をつけてくださいね。中のカレーはもっと熱いですよ」
「ヘタすると火傷するから、かぶりつくのは推奨しない。俺みたいに慣れてからにしろ」
確かに、リュート様は火傷をしないで器用に食べている。
やはり、こういうのはコツがあるのだなぁ……と考えていたら、彼は紙に包まれたカレーパンの端っこを小さくちぎって食べ出した。
すぐさまカレーの良い香りが辺りに広がり、「ゴクリ」と生唾を飲む音が聞こえる。
リュート様はニヤニヤして、周囲の反応を楽しんでいるようだ。
「やっぱさ……ルナの料理がすげーって言われるのが一番嬉しいよな」
「私はリュート様が凄いと言われる方が嬉しいですけど……」
「そうか? 俺は凄くない。ルナの料理がすげーんだって! 魔力の回復量もそうだけど……何よりも味だよ、味! マジで最高! 朝食のピザも楽しみで楽しみで……!」
「カレーソースのピザは、チーズとゆで卵の輪切りを乗せてみました」
「絶対に美味しいヤツだ……」
リュート様はカレーソースのピザを想像したのか、くーっと唸っている。
私の料理を楽しみにしてくれている。
それだけで嬉しくなってしまう。
こうして、「美味しい」と言ってくれる人がいるから、もっと美味しい物を作ろうという気力が湧いてくる。
そのことに、彼は気づいているのだろうか……
「……うま……うわぁ……すげぇ……こんな食い物があるのか……え? なんだよコレ……すげぇ……」
カレーパンを食べていたヤトロスが驚いてカレーパンを二度見している。
目を瞬かせて一口食べては「美味しい」「凄い」と繰り返す。
「そうだろう、そうだろう。俺のルナは凄いだろう」
うんうんと頷くリュート様はご満悦の様子だ。
何故か元クラスメイトたちも満足げに頷いている。
周囲からは「うまそ……」「いいなぁ……」という声も聞こえてきた。
さすがにお腹が空いてくる時間帯だろう。
そのタイミングでカレーの香りは、昨晩のカレーを思い出させるには十分だったようっで、胃の辺りを手で押さえている人が多い。
「魔力の回復量も、考えていたより凄いな……アンタ……本当に召喚獣か? 神族だと言われた方がシックリ来るくらい凄いんだが……」
「私は、皆様と同じ人間ですが……召喚獣でもありますから、特殊なのかもしれませんね」
ふふっと笑った私に、ヤトロスはポカンとした表情を見せて固まった。
どうしたのだろうか……疑問に思って、彼の目の前で手をひらひらさせていたら、いきなり後ろへ引っ張られる。
「ルナ、危険だから下がれ」
「え?」
リュート様にも見えていたのだろうかと驚いて、再度ヤトロスの傷口があった辺りを見たのだが、先ほどまで微かに残っていた影が消えていた。
本当に、跡形も無く消失していたのである。
「あ……あーっ! 消えてます! 黒い影が!」
「なんだってー! 真白ちゃんチェーック!」
勢いよく弾けてきた真白が私の膝上にダイブして、ヤトロスの傷口を確認する。
「本当だ……綺麗に消えてるー! うっすらと残ってなかったー?」
「残っていたのですが……綺麗に消えましたね」
「カレーパン? ま、まさか……真白ちゃんのカレーパンっ!?」
「違いますよ、リュート様のです」
「なーんだ……って……もしかして……まさか……え? カレー効果なのー? いや、ルナの料理だから?」
「おそらく、両方の効果ダネ」
不意に時空神様の声が頭上から聞こえて、全員が弾かれたように顔を上げる。
何も無かった空間から姿を現した時空神様は、優しい笑みを浮かべながら此方を見ていた。
「時空神様……」
「ルナちゃん、ご苦労様。パンのほうは、分析してもらっているところダヨ。カレーに入れたハーブや香辛料が効果を発揮しているみたいダ」
「そういえば、ターメリックは魔物除けに良いと……」
「そういうコト。あれだけハーブと香辛料が入っているのだから、ポーション並みに……いや、それ以上に対魔物効果があったのかもネ。特に、ルナちゃんの魔力は『浄化』の作用があるカラ」
「……ということは、ベオルフ様の料理には『回復』の効果があるのですか?」
「鋭いネ。その通りダヨ」
「だから、ベオルフ様に料理を教えたほうが良いと……」
「察しが良くて助かるヨ」
「さすがはルーなの!」
微笑む時空神様の背中から、小さな手がにょきっと生えたかと思ったら、パチパチ拍手をしてくれる。
どうやら、チェリシュをおんぶしていたらしい。
「チェリシュ、ポーション製造部隊は順調ですか?」
「とっても順調なの!」
ぴょこっと時空神様の肩から顔を覗かせたチェリシュは、キラキラした目で私たちを見て、にぱーっと笑う。
「まっしろちゃん! 言われていたポーション完成なの!」
「さすがはチェリシュ! 仕事がはやーい!」
お子様組がきゃーきゃー嬉しそうにしている中、何故かリュート様だけは、私を後ろから抱きかかえたまま、威嚇するように小さく唸っているのが気になった。
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