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第十章 森の泉に住まう者

10-31 プリン・ア・ラ・モード

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 真白風プリンを冷蔵庫に入れたのはいいのだが、大量に保存したりするときにはエッグラックを使えば良いが、食べて貰う際は固定する器が無いことに気づいた。
 今ある食器で考えなくてはと、備え付けの食器棚を探ってみる。
 皿や小鉢、カレー皿のような食器があるのだが、リュート様はいつ準備してくださったのだろうと、知らない間に増えていく備品の数を数えるのが怖くなっている中、少し奥まったところに収納されていた物を出してみた。
 子供用のマグカップだろうか、私たちが普段使いしている物よりも小さめの物があるので、それに入れて出すのが良さそうである。
 チェリシュ用にしては数が多い。

「ん? どうした?」
「卵型のプリンを食べていただくときにお出しする食器を考えておりました。コレが丁度良い大きさみたいですが……チェリシュ用ですか?」
「いや、それはカフェやシロたちにあわせて造ったマグカップなんだ。あ、卵を固定する食器がないのか……そうか、そうだよな……」

 リュート様はそこで考え込むように顎へ手をあてた。
 うー……悩む姿も素敵だなんて、リュート様はもっと自覚してください!
 私がオロオロしている間にも、時空神様は冷やして良いプリンを冷蔵庫へ入れていく。
 その際、何かしているのは見えたのだが、おそらく早く冷えるようにしてくれているのだろう。
 時間の管理は料理の中で一番難しく、数秒の差で味や出来映えが変わってしまうほどだ。
 それを考えると、時空神様のサポートを受けている今が最高で最強なのでは……?

「店で提供するようになったら、アレだな……真白型の器を量産するか」

 ぽつりと呟いたリュート様の言葉に、全員が目を丸くする。
 何を言い出すのだろうか……

「店頭販売専門にして、持ち帰り出来るように陶器で作るんだ。冷蔵機能を付けたショーケースを取り付けた屋台でも良いし、小さなカフェを併設してもいい。昼から夕方はカフェでドリンクとスイーツや軽食、夕方から夜はキルシュで酒と料理だな」

 周囲の土地を確保してあるから出来ることだが……と、リュート様はある程度頭の中で考えをまとめたのか不敵に笑う。

「プリンは殻を使って売るのも良いけど、ラエラエの卵のイメージが良くない可能性もある。俺たち人間はそんなイメージが無いけれども、長寿の種族が多いからな。それに、大量に作るとなれば出来るだけ手間は省きたい。あと、陶器は外注すれば良いし、その際に真白の顔のバリエーションを作るのも良いかもしれないな。きっと可愛い物好きな女性に人気が出るぞ」
「あ……それは可愛いかも……」
「い、いっぱいの……まっしろちゃんなのっ! チェリシュも欲しいの!」
「ま、真白ちゃん、いつでもモデルになるよー!」

 真白だけではなく、猫や犬や狐や……色々なモチーフもあるよな――と、リュート様は笑う。
 近所にあった人気のスイーツ店でも、よく陶器の器に入ったプリンを可愛らしく飾り付けて売っていた。
 中身が変わって、ムースやゼリーやケーキであったこともあるが、そのたびに器のデザインが変わっていて、可愛らしさに目を引かれて購入したことを思い出す。

「器だけでも価値があるのに、プリンが最高に旨かったら……次も買っちまうよな」
「その分、割高になりそうダネ」
「まあ、そこは値段交渉次第だな。うちの工房は、陶器を扱う工房とも繋がっているから、ヘタな金額にはならねーと思う」

 何かを指折り数えていたリュート様は、時空神様の方を見て尋ねる。

「なあ、コフィーの実を本格的に栽培することって……許されるのか? 元々は庭園産だから、そこんとこはどうなんだ?」
「ディードリンテが許可するなら良いんじゃないカナ。一応、母さんか父上の許可が必要になるかもしれないケド……どちらも文句は言わないヨ」
「ルナのおかげだな」
「うーん……ルナちゃんだけじゃないんだけどネ」

 時空神様は曖昧に笑い、リュート様とチェリシュと真白を次々に見ていく。
 おそらく、オーディナル様が反対することは無い。
 私や真白やチェリシュにお願いされたら、快く許可を出してくださるだろう。

「お店……いいですにゃ~、ボクもそういうところで働いてみたいですにゃ~」
「そうだな。この集落のことも今考えているところなんだが……聖泉の女神ディードリンテは、移動できねーくらい弱ってんだよな」
「そうダネ。長距離は難しいカナ。今はあの泉のおかげで何とか保っている感じだからネ」
「出来れば聖都で保護したいな……ここに置いていくのはデメリットしかねーし」
「困ったネ。もう少し回復するか、泉を移動させられたら何とかなるかもしれないんだケド……」

 リュート様と時空神様の会話を聞きつつ生クリームを泡立てていた私は、あの泉を移動させることが難しく、かといってこの場所にキャットシー族とともに放置も出来ない状態で何が出来るのかと考えてみる。
 この地に残っているのは、彼女の力を安定させている泉があるからだ。
 それが他の地にもあるのかと問われたら、正直なところわからない。
 無理矢理引き離して良い結果が得られるとも限らない現状では、聖泉の女神ディードリンテ様を動かすのは得策では無いだろう。
 しかし、この集落は魔物に狙われているので、黒の騎士団としては無視も出来ないのだ。
 今集落を狙っている魔物を退治したとしても、魔物が多い森の中で生きていくのもようやくな彼らにとって、何が最善なのか――
 一つの考えが浮かぶとともに、私の口から言葉が飛び出した。

「オーディナル様に相談しましょう」
「へ? ルナ?」
「え、えっと……ルナちゃん?」

 私の決意がこもった声に反応したリュート様と時空神様が此方を見るが、真っ直ぐに見つめ返して言葉を続ける。

「庭園に関わる事でもありますから、おそらくオーディナル様に相談するのが一番です。本当なら、創世神ルミナスラ様が良いのでしょうが……」
「母さんは……ちょっと難しいネ」
「でしたら、動けるオーディナル様ですね」
「真白ちゃんと紫黒に任せてくれてもいいけど、オーディナルに相談した方が確実かもねー。ちょちょいのちょーいってやってくれるはずー!」
「さすがはじーじなの!」

 まだ問題を解決していないのに、孫娘に「さすが」と言ってもらえたオーディナル様は、上機嫌で頑張ってくれるだろう。
 色々と忙しくて大変かもしれないが……力を失ったとは言え創世神ルミナスラ様の庭園の管理者であり、誰かに命を狙われていた彼女を、このまま放置するのは極めて危険である。

「時空神様」
「ナンダイ?」
「おそらくですが……庭園を管理される方は、普通の神族ではありませんよね? それに、命を狙われているため、ヘタな者たちに預けられませんよね?」
「んー……まぁ……ソウダネ」

 気まずそうに……だがしかし、ハッキリと頷いた時空神様に、私の考えが正しいことを悟った。

「そういうことは、先に言えよ……オーディナルが動いたとしても、結局は俺が面倒を見ることになるんだろ?」
「えっと……リュートくん?」
「そんな気がしてたんだよな……こういう勘はすげー当たるんだ。まあ、ソレが無くても、ここにいる連中全員を引き受けるつもりで手配しようかと考えていたところだ」
「出来るのカイ?」
「出来る出来ないじゃ無くて、やるしかねーだろ。ルナの関係者で、神界に帰せない命の危険がある女神を地上のどこで保護するんだ? アレンの爺さんやキュステもいる俺たちの店が一番安全だろ? ――ってことで、オーディナルには泉の転移を依頼したい。真白、オーディナルだったら出来そうか?」
「出来るよー」
「よし、それだったらキルシュの奥にある岩だらけの土地の購入をキュステとサラ姉に頼んでおこう。岩を全部砕くのは面倒だが……それさえクリアすれば、かなり広い土地を確保出来るだろうし、カフェの併設も考えよう。神族専用の離れと同時進行で建築を依頼して――」

 そこまで言うと、リュート様はすぐさまイルカムを起動してキュステさんに連絡を取り始めた。
 現状を簡単に説明して、土地の確保と取り急ぎ集落にいる人々が仮住まいできる建物を帰るまでに建てるように指示を出している。
 そんなことが出来るのかと驚いている中、時空神様は深い溜め息をついた。

「あの決断力と行動力があるカラ、凄いんだよネ……」
「驚きの行動力です……リュート様は凄い方ですね……」
「察しの良さというか……確かに、リュートくんに頼みたい事ではあったんダヨ……でも、さすがにこの人数は難しいかなっテ……」
「リュートなら絶対にそう言うと思ったよー」
「リューは、ちゃーんと守ってくれるなの!」

 めまぐるしく事態が動き、どういう状況になっているのかイマイチ理解出来ていないモカはポカーンとしていたが、ボロボロの建物や収穫物が限られた小さな畑しか無いこの場所に住むキャットシー族は、色々な意味で助かるかもしれない。
 リュート様はここへ来てからというもの、常に何かを考えている様子であった。
 周囲を見ながら現状把握をして、それから自分に出来ることを考えていたのだろう。
 彼の頭の中で様々な考えが巡り、最適な答えを導き出そうとフル回転していた中で、卵の殻を器にする考えなどが浮かんでいたのなら、とんでもない人だと感じた。

「リュート様が術式を理解して、他の人には出来ない戦闘ができる理由がわかった気がします……頭の回転が違い過ぎます」
「マルチタスク過ぎるよネ……」
「私には無理です……」

 ここまで頭の回転が速い人はそういないだろう。
 ベオルフ様も頭の回転が速いが、彼も負けないくらい凄まじい。
 今もキュステさんと通話をしながら、様々な案を出して話し合いをしている。
 淀みの無い会話の端々で聞こえてくる各方面への対応は、聖都で暮らしているから知っているというにはあまりにも濃い内容だ。
 やはり、聖都で有名な商会長という立場や、【聖騎士】の称号を持つ家の者としての繋がりなどがあり、身につけてきたものであると感じた。

「でもさ……そう言いながら、フルーツを切って生クリームを泡立てて、プリン・ア・ラ・モードの準備を終えちゃっているルナちゃんも大概だと思うヨ?」
「そうでしょうか」
「ベリリがいっぱいなのー!」
「フルーツキラキラー!」
「美味しそうですにゃ~!」

 リンゴとオレンジの皮は確保したが、他のヘタや皮は必要が無いのでラエラエたちに与えると、嬉しそうに「くわっ!」と鳴いてお尻をフリフリしている姿を堪能する。
 お子様組が「良かったねー!」と声をかけている間に、プリン・ア・ラ・モード用の食器は無いので、楕円形の皿を見つけて作業台に並べておく。
 お子様組が戻ってきたのを見届けてから、皿の中央に焼きプリンをカポッとひっくり返して出してみる。
 綺麗に出てきたプリンに大興奮のチェリシュ達を見ながら、バランス良くフルーツを盛り付けていく。
 スライスしたナナト、ベリリ、ブルーベリリ、リンゴ、オレンジを並べてから緑色が欲しいな……と、冷蔵庫にあるフルーツからメロンっぽい物を取り出した。

「時空神様……これってメロンですよね?」
「ソウダネ。リュートくん……本当に各地に飛び回って食材探しをしたんダネ」

 食への執着心が恐ろしい……と時空神様は言うが、彼もリュート様と同じ立場なら似たようなことをしているような気がする。
 とりあえず、冷えているメロンを切って中身を確認すると、キウイのように発色の良い黄緑色の果肉が見えた。
 柔らかそうな果肉と、甘い香り。
 中央の種の部分を取り除き、ラエラエたちに与えると、美味しかったのか「くわっくわあっ」と大騒ぎである。
 いや、真白が悶えて転がるほど苦いコーヒーの粉も美味しいと強請っていたので、この子達の味覚は当てにならない。
 もしかしたら……苦みだけ感じないのだろうか。
 メロンをカットして、見栄え良く盛り付けたのは良いが、何かが足りない。
 普通に生クリームを絞り出して飾り付けるのも良いが……
 そこまで考えて、真白を見つめる。

「真白を乗っけましょうか」
「え?」

 フライフィッシュの浮き袋を取り出してホイップした生クリームを詰めて先端を切り、生クリームが丸くなるように絞り出す。
 続いて、小さめのフライフィッシュの浮き袋を用意してチョコを湯煎にかけて溶かして少量の生クリームを混ぜたものを詰めていく。
 これまた先端を切って、ささっと簡易チョコペンを作り、丸く絞った生クリームに目と口を描いた後に、ハート型にしたベリリを添えたら完成である。

「はい、真白が乗っかったプリン・ア・ラ・モードの完成です!」
「わ、わああぁ! まっしろちゃんが乗ってるのー!」
「真白も乗っかるー!」
「だ、ダメですよ、真白っ!? 食べ物の上に乗ってはいけません! それよりも、これを参考にして皆で他のも作りましょうね?」
「はーい!」

 慌てて真白を掴んで引き留めたあと、チェリシュ、真白、モカの前に皿を並べて中央に焼きプリンをひっくり返して見せる。

「はい、好きに盛り付けてくださいね」
「チェリシュも、まっしろちゃんをいっぱい乗せるのー!」
「じゃあ、真白はチェリシュのためにベリリをいっぱい乗せるー!」
「果物一杯乗せて、キラキラな果物をちびっ子たちに見せるにゃ~!」

 それぞれがプリン・ア・ラ・モードを作り始め、私はホッと安堵の吐息を着いた。
 真白のお転婆なところは誰に似たのだろうか……
 スープクッカーの中にある、滑らかなプリンを大きな皿にひっくり返して出した私を見て、更にテンションを上げるお子様組を眺めていたのだが、何故かベオルフ様の「ルナティエラ嬢に似たのだろう」という声が聞こえた気がして、少しだけ唇を尖らせたのは言うまでもない。

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