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第八章 海の覇者

終焉の黙示録

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 浜辺という地形が悪かったのか、お父様のところへ向かおうとしていた私の足がもつれ、よろめいてしまいます。
 あ……これは地面に激突コースですよっ!?

「いきなり走り出すんじゃ無い。貴女はよく転ぶのだから……」

 そんなベオルフ様の言葉が脳内で響いた気がしましたが、もう遅いです。
 それに、お父様の様子を見て、走り出すなんて当たり前の反応ではありませんかっ!

 脳内のベオルフ様に文句を言っても仕方が無いと理解しながら、バランスを崩した体と地面が近くなり、反射的に身を固くして目をつむりましたが、腰に回された腕がそれを回避し、驚く間もなく体がふわりと重力に逆らって浮きました。
 え、えっと?
 状況が理解出来ずに視線を上げると、リュート様が私を抱えていて、「このまま大人しくしていてくれ」と言うが早いか、お父様の方へ駆け出します。
 リュート様は空間を遮断してお説教していたのでは……?
 そういえば、チェリシュもどこにっ!?

「チェリシュには、バーローを見て貰っている。神力を抑えるアイテムのスペアを持っているみたいだから助かった」
「そ、そうなのですか?」

 リュート様の言葉を聞いて先ほどまで彼がいた場所を見ると、そこにはチェリシュが居て、知識の女神様の足を突き「バーちゃん、しびびなの? しびび~なの?」と楽しげな声を上げていました。
 一瞬だけ此方を見て、コクコク頷いてくれたチェリシュの頼もしさといったらありません。
 そんなチェリシュのそばで知識の女神様は、情けない声を出し「パパとママに……いわれて……忠実に……使命を果たす……とはっ……くぅっ! 可愛い……けど、やーめーてーっ」と、今にも泣き出しそうな様子でその場に伏せています。

 とても可愛い悪魔が降臨していた事実を知り、何とも言えない気持ちになりました。

 会話から察するに、パパとママ───つまり、太陽と月の夫婦神がチェリシュにお願いをしたのですね。
 しかし、よく知っていますよね、正座のあとのいじり方……

 と、とにかく、今はお父様ですっ!
 走るリュート様の邪魔にならないように、彼の首へ腕を回して体を固定しましょう。
 走りやすくなったのか、更にスピードを上げるリュート様は、流石の一言です。
 この身体能力が、私にも少しだけあれば、転けずに済んだのでしょうか。

 そんな私の体重を物ともしないスピードで走り、お父様のところへ到着した彼は、転ばないように注意してゆっくりと地面に下ろしてから、お父様の様子を窺います。
 腕の黒い炎が、先ほどよりも大きくなっていて、不気味な物を感じました。

「すまん……腕が……妙に痛んで……な……」
「お祖母様に定期的に浄化していただいているところですよね? 私は浄化の力が弱いので、お姉様かお祖母様を呼んで参ります!」
「いや、少ししたら治まるはず……そんなに心配しなくていい。お前も、そんな顔をするな」

 片膝をついて顔を覗き込んでいるリュート様の頭に手を置き、心配をかけまいと笑顔を取り繕うお父様の額には、脂汗が浮かんでいて、とても大丈夫そうには見えません。
 いけない、これは……

「治まることはないと思うヨ。ルナちゃん、何か見えてル?」
「はい。黒い炎のようなものが……」

 見えると言いかけた私は、はたと気づきます。
 同じような炎が、海からも感じていることを───

「え? あ、あの……海にも……同じ物が……」
「共鳴したのカナ。アスっ!」
「はいっ!」

 父の声に反応した海神様は、キュステさんと視線を合わせ、彼は気がついたばかりのシロに「いってくるわ」と安心させるように微笑んだかと思うと、きびすを返して海へ向かって走り出します。
 駆けるスピードが上がると同時に、体が淡い光に包まれ、大きくなっていきました。
 ひときわ眩しい光が弾け、そこから綺麗な海を思わせるコバルトブルーから銀色にかけてのグラデーションが見事な、芸術品とも思える美しさを纏う竜が現れたのです。

 う……わぁ……
 こんなに綺麗な竜を見たのは初めてです。
 アニメやゲームで見てきた竜とは違い、その美しさと言葉に出来ないほど圧倒的な存在感は、実物だからでしょうか。
 思わず見惚れていると、リュート様が「あの姿が嫌いなんだって言うから不思議だよな」と、リュート様は苦笑を浮かべておりました。
 本当は、キュステさんの方へ駆けつけたいのかもしれません。
 しかし、今は苦しむお父様を放ってはおけませんものね。
 更に苦悶の声を上げるお父様を見て、弾かれたように駆け出そうとしたマリアベルをアーゼンラーナ様が止めます。

「待て、マリアベル。もしかしたら……ルナ、お主が何とか出来ぬか?」
「え、えっと……私……ですか?」
「アイギスを浄化した時のように……出来ぬか?」

 あのときは、何故出来たのか不思議でした。
 しかし、今は理解しています。
 アイギスは、オーディナル様の作り出した物であったから浄化できたということ───
 しかし、それと同時に、もう一つわかっていることがありました。
 今なら……出来るかもしれません。

 左手に残る、わずかな感覚───

 私たち二人がリンクした時に、特性とも言うべき力が発現する。
 ベオルフ様は、回復。
 私は、浄化。
 つまり、いまの私なら出来るはずっ!

「ベオルフ様の力がわずかに残っている今なら、可能かもしれません」
「そうか。ならば、頼めるか?」
「やってみます!」

 とはいえ……どうやったら良いのでしょう。
 そう思案していると、リュート様は椅子とテーブルを出してお父様を抱えて楽な姿勢で座らせるとテーブルの上に腕を乗せました。

 その時です───
 大きな音と共に飛び出して来たキュステさんが、大きな声で叫びました。

「アカン! アス、波を制御してっ! だんさん! 海底に厄介なもんがおったわ! クラーケンやっ! 産卵しに来とるっ!」

 キュステさんの言葉に、その場が凍り付き、一気に緊張感が高まります。

「ラングレイの者たちは、ハロルドを頼む。此方は私に任せて貰おう」
「儂も行こう」

 ランディオ様とアレン様が急ぎ、動ける人たちへ指示を出します。
 白の騎士団はランディオ様の指示で動き出し、黒の騎士団はアレン様の指示に従っているようでした。

 え……えっと……?
 さんらん?
 さ……さんらんって……産卵ですか?
 クラーケンって……あの、海の化け物ですか?

 頭の中で言葉を整理していると、海面ににゅるりと見たことがある触手が伸びてきて、キュステさんに絡みつきますが、それをかわし、かみつき、引っ掻き、ありとあらゆる方法で、相手を排除しようと交戦を開始したようです。
 そのせいで、とんでもない波が立つのですが、ある一定の区画から出ることはなく、結界でも張られているのかと思える空間でできあがっておりました。

「ふぅ……念のためにやっておいて良かったヨ」
「アスも波の制御ができておるのぅ」
「まだまだだけどネ……」

 珍しく苦言を呈する時空神様の顔は渋いもので、やはり、前任者として正確に力量を把握しているのでしょう。

「まあ、半身と折り合いがつかない間は無理カナ。時間がかかりそうダヨ」
「そうじゃな……」
「半身とうまくやっていくコツを、ルナちゃんに教えて貰った方がいいかもネ」

 私とベオルフ様は、そういうものではありませんよ?
 そう心の中で返答しながらも、クラーケンを覆う黒い炎とお父様の腕から放たれる炎が同じ種類の物であることが気になりました。

「どう見ても、同じ種類の炎……ですね」
「ナルホド。共鳴したようダネ。それで痛みを感じたんデショ」
「同じって……アレがいるから、親父は痛みを感じているってことか?」
「それなら、早く浄化した方が良い」
「ルナちゃん、お願い」

 リュート様の言葉を聞き、早く浄化した方が良いと判断したテオ兄様とロン兄様の言葉に頷き、私は黒い炎に触れようとしたのですが、お父様が腕をかばって隠してしまいます。
 え……な、何故?

「それが……事実なら……ああいう厄介な……魔物を……探知出来るということだ……なら、これは……このままでいい……」
「何を言うの、アナタ」
「この痛みを感じる時に、周辺を探索し、厄介な魔物を見つけ、討伐すれば……もっと救われる命が……あるっ……だから……このままで……いい」
「それはオススメしないヨ。それは命を縮める選択ダ。今だって、命を削られそうになっているのがわかっているよネ?」

 わからない、知らないなんて言わせないという響きが、その言葉からは感じられました。
 時空神様が、ここまで鋭く睨み付ける様子など見たことが無かったので、少し驚いてしまいます。

「しかし……年々、犠牲になる命は多くなっている……少しくらいの無茶は……」
「やめてください。父上がそこまでしても、カバーできる数には限りがある」
「そうだよ。それよりも、その腕を治して、他の対策を考えよう……ね?」

 テオ兄様とロン兄様がお父様を説得している中、リュート様は眉根を寄せて奥歯を噛みしめておりました。
 きっと、お父様の気持ちがわかるのでしょう。
 しかし、「わかりたくない」という気持ちもあり、様々な葛藤が胸を渦巻き、迷いが見え隠れしておりました。
 しかし、お母様が放った「それだけはやめてください。家族を残して逝く気ですか?」という問いかけを聞いて、決心がついたようです。

「親父……」
「お前には……わかるよな?」
「その気持ちは、痛いほどわかる。でも……親父には、家族を残していく痛みを……苦しみや後悔を知って欲しくねーな……」

 リュート様だから言えた、とても重みのある言葉でした。
 彼の言葉の意味を真の意味で理解出来たのは、先ほどのリュート様の激白を聞いた者だけでしょう。
 いぶかしげな表情をしている王太子殿下、シモン様やトリス様、弟子たちやシロも、理解することは出来なかったはずです。
 少し離れた場所で指揮を執っていたランディオ様とアレン様も、此方を一瞥しただけで、すぐに新たな指示を出してキュステさんのフォローへ回っていました。

「……そう……だな。そうだったな。お前に……そんなことを言わせて……すまん」
「俺は、親父の気持ちもわかる。だけどさ、自分を犠牲にしても、良い結果は生まれないって、知っているから……」
「そうだな……本当にすまん」

 リュート様がどういう思いで言った言葉か理解しているお父様の目には涙が浮かんでいて、それを誤魔化すように俯く姿に、お母様だけではなくお兄様たちも安堵したようです。

「私も、その気持ちがわかる。だから、浄化は少しだけ待って欲しい。もし、共鳴しているというのなら、何かがあるはず」
「ハロルド様の決意や想いを、無駄にはしません。僕たちが必ず形にします」

 そう言って、トリス様とシモン様が立ち上がりました。
 トリス様はシモン様の手を取り、意識を集中させたことにより出現した本は淡く輝き、宙に浮いた羽根ペンが、緩慢な動きで本のページに何かを書き記していきます。
 これは……一体?

「トリスの家に伝わる『終焉の黙示録』と呼ばれる神器です。名前は不吉な物を連想させますが、性能的には問題ありません。術者の求める真実を書き記す物なのです」

 ただ、昔の人が求める真実が世界の終焉だったりしたから、変な名前がついたみたいですけどね───と、苦笑するシモン様の言葉を聞き、何となく苦笑してしまいました。
 ま、まあ、色々と思うところはありますが、そういう性能であるなら、問題はなさそうです。

「でも、万能じゃ無いよ? 術者の知識を大きく上回る物は除外されちゃうから」

 そう言ってやってきたのは、先ほどまで足のしびれと格闘していた知識の女神様でした。
 チェリシュにじゃれつかれて、よろよろとしているところを見ると、まだ軽度なしびれが足に残っているのでしょう。

「この炎っぽいもの……かな。コレがなんであるかはわからないけど、共鳴する現象を捉えることは出来るはず」

 言葉だけでは無く、眼鏡をくいっとあげて、お父様の腕とクラーケンを見比べているところから、彼女にも黒い炎が見えていることがわかります。
 私以外にハッキリと見えた方が他にはいなかったので、少し驚いてしまいました。

「シモンは、トリスのサポートをしてあげてね」
「承知しました」
「えっと……あの……あとで、落ち着いたら、皆にもちゃんと謝るけど───迷惑をかけてごめんなさい」

 ペコリと勢いよく頭を下げた知識の女神の勢いに、体勢を崩すチェリシュを抱き上げながら、彼女を見つめます。

「ヤマト・イノユエから聞いて、とても憧れていた料理だったの。だから、我慢できなくて……みんなが美味しそうに食べていて、なくなっちゃうって焦っちゃって……本当にごめんなさいっ」

 心からの謝罪の言葉であると理解出来ました。
 とても申し訳ないと思う気持ちがこもっていて、反省している様子が見て取れます。

「ったく……バカが。面倒かけんじゃねーよ」
「リュート兄ちゃん、本当にごめんね……みんなも、驚かせてごめんなさい。反省してます」

 しゅんっとしている表情を見ていると、なんだか可哀想になってきました。
 そこまで憧れていたのですか……

「でも、独り占めはメッ! なの」
「はい。反省です」
「まあ、今回の件は父上に報告するカラ、そのつもりでネ」
「はい……ごめんなさぁいぃぃ」

 ぴーっと泣き出しそうな彼女に、しょうが無いヤツじゃなぁとアーゼンラーナ様がヤレヤレと溜め息をつきました。
 良かった……これ以上の暴走は無いようで、一安心です。

「お詫びもかねて、トリスのサポートをするね。ハロルドの決意を、絶対に形にして残してみせるから!」

 力強くそう言った知識の女神様は、流れるような動作で本に触れ、それを待っていたかのように本が光を放ちました。
 目を開けていることが難しいほど、まぶしい光が辺りを覆います。
 光が徐々に収まるにつれ、宙を彷徨っていた羽根ペンが何かを察知したようにスラスラ書き記していく様を、その場にいた全員が固唾を飲んで見守りました。

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