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第七章 外から見た彼女と彼
お酒との上手な付き合い方と焼酎のサングリア(キュステ視点)
しおりを挟む全員がひれ伏すという状況の中、慌てる奥様になんてフォローを入れるか考えていると、カウンターの方から颯爽とだんさんが歩き、近づいてくるのが見えた。
人が動いた気配に顔を少し上げた人たちは、その姿に見惚れて言葉を失っているようであったが、仕方がないと苦笑する。
あの外見だけ見たら、そうなってしまうのも仕方がないくらい、整った顔立ちをしているが、違うタイプの美形である兄たちがいるせいか、本人はあまり自覚していない。
美男美女が多いと言われるエルフ族や竜人族の中に居ても、その容姿は人目を引くのに……だ。
ホンマに人を惹き寄せる力の強いお人やねぇ……
同性でも息を呑むような外見だけではなく、長身で無駄なく鍛え上げられた体躯。
どこを取っても、非の打ち所がないように見える男である。
口を開かなければ、ロンバウド様と同じように貴公子に……いや、あの鋭い目つきのせいで、どうしても王子様にはなりきれない。
お上品とは言えない口調と、ただ見ただけで睨まれたと感じる鋭い眼光が無ければ、どんな女性だって落とせそうである。
本物の王子様(内面はクズ男)の婚約者であった奥様は、魔王と呼ばれるほどに色々とヤバイが、内面イケメンのだんさんへ嫁ぎに来たのだから、良い笑い話だ。
まあ、そんなことをだんさんは望んではれへんし、奥様以外見えてはらへんけどなぁ。
見惚れる人たちを横切り、奥様のところまでたどり着いただんさんは、ゆっくりと頬に手を伸ばして目を細めた。
「怪我はしてねーか?」
「大丈夫です。リュート様の魔法と、チェリシュの手が支えてくださいましたもの」
ふわりと微笑む奥様の可愛らしさに、頬を染めない男などいないだろう。
ただ、だんさんには見つからないようにしていただきたいのだが、こういうことに敏い人である。
すぐさま、鋭い視線が投げかけられ、頬を染めていた男は慌てて額を地面にこすりつけるように下げてしまった。
普通にしとっても眼光が鋭い人が、マジで睨まはったら普通に怖いわな……
そんなだんさんに睨まれて平然としていられる者など、ごく僅かだろう。
魔王に睨まれることに慣れている、幼馴染みや元クラスメイトならいざしらず、一般人には厳しい状況だ。
「あ、あの……どうして、こういう状況になってしまったのでしょう」
「ん? ルナが女神だと思ったんだろ?」
「え? な、何故ですかっ!? そんな、恐れ多いっ!」
慌てる奥様の言葉に、周囲の人たちも勘違いであることに気がついたのだろう。
伺うように顔を上げて、改めて奥様を見つめた。
「チェリシュもルーに、ぺこーするのっ」
「しないでくださいねっ!?」
我慢できなかったようにプッと吹き出すだんさんの腕を「もうっ!」と言ってぺちぺち叩いた奥様は、チェリちゃんを抱き上げて「ぺこーってしないでくださいよ?」と、いいきかせている。
「あ……あれが……リュート様?」
「笑っていらっしゃるわ……」
「弟たちの言うことは、本当だったのね……」
あの愉快な問題児トリオの身内である彼女たちは、信じられないものでも見るかのように、だんさんの笑顔を、その目に焼き付けているようだ。
そこに恋や愛などの感情はなく、ただ安堵した色だけが見られた。
「そうだ! お怪我はありませんか? 足に力が入らないのでしょうか」
「あ、いえ、あのっ、大丈夫ですっ……あっ」
先程、テーブルに手をついたが結局尻もちをついたままであった酔っぱらいの男は、奥様に声をかけられ、慌てて立ち上がるのだが、かなり酔いが回っているのか体のバランスを崩して倒れそうになる。
それをすかさず片腕で支えただんさんは、ゆっくりと椅子に座らせた。
「エールみたいにガバガバ飲んだんだろ。焼酎の呑み方がなってねーよ。ほら、とりあえず座って水でも飲め」
「は、はい……す、すみません」
蛇に睨まれた蛙状態で、冷や汗をダラダラかきながら勧められた水を飲む。
「お酒を飲むと脱水症状になりやすいので、こまめな水分補給がおすすめですよ」
「え? 脱水症状になるのか?」
足元がおぼつかない男に言った言葉を聞いただんさんが、驚いたように目を丸くして奥様を見る。
「アルコールによる利尿作用と、体内でアルコールを分解する際に水が必要になるため、水分が不足しがちになるようです」
「水分補給なら、スポーツドリンクの方が良いかも?」
「そうですね。一応、スポーツドリンクはアルコールの吸収を助けてしまうので、更に体に悪いかもしれないという話も出ていますが、実際は水分と共に糖質も必要になりますので、スポーツドリンクは良いと思います」
「へぇ……そうなのか。ルナは本当に物知りだな」
「そ、そんなことは……ぜ、全部、兄の受け売りですから」
ちなみに、アルコールというのは僕たちが使う『酒精』のことだと補足説明をしてもらった。
スポーツドリンクという物は、確か、だんさんが学園に勤めているキャットシーたちや、カフェとラテに作らせていた飲み物だったはずだ。
騎士科の人たちには知られている飲み物で、そのおかげなのか、暑い夏の訓練で倒れる人が少なくなったという。
口当たりが良いから飲んでいたのかと思っていたが、ちゃんとした理由があったらしい。
しかし、本当に博識な奥様である。
だんさんがしきりに感心している様子であることに照れていた奥様は、視線を彷徨わせると同時に未だ頭を下げたままの一同に気づいたのか、頬を引きつらせて慌てた様子で声を上げた。
「あ、あの、皆様も、お食事をどうぞ……私は、女神ではなく、リュート様の召喚獣ですので、お気遣いなく……楽しい時間の邪魔をしてしまって、申し訳ございません」
そういってペコリと頭を下げる奥様に対し、驚いたのはお客さんの方だ。
全員、急いで立ち上がって「気にしないでください」「こちらの勘違いですからっ」と、口々に言って席へ戻っていく。
こういう時に、一般人が相手だと助かる。
召喚獣に詳しい人間が居たら、奥様の言葉を理解出来ることに疑問をいだいただろう。
召喚獣の言葉は召喚主にしか判らないというのが、召喚術師の間での一般常識である。
その一般常識をぶち壊した最初の召喚獣ということで、奥様の名は後世に残るだろうが、敢えて教えなくても良い。
知ったら、きっと「そんなことで名前を残さないでくださいっ!」と抗議するに決まっている。
「俺の召喚獣が驚かせてすまない。お詫びとして、今日から作り始めた新作パンを持って帰って欲しい」
だんさんが謝罪をして一同にそう言うと、顔を見合わせたお客さんたちは「本当に良いのかな」というような困惑した表情を浮かべた。
まあ、多少の損害は出るが、これでパンの話が広まるのなら問題無いどころか、有り難い。
大地母神様の事があるのだから、ここにいる人達に一役買ってもらおう。
しかし、奥様……『俺の召喚獣』という、だんさんの言葉に浮かれている場合やあれへんよ?
僕の視線に気づいたのか、奥様はハッとした表情をしてから、慌てて言葉を付け加えた。
「持ち帰ったパンは、魔石オーブンやフライパンで焼いたり温めたりしてから、バターをつけて食べると、とても美味しいですよ」
「ベリリのジャムも、とっても美味しいのっ」
ほっぺが落ちちゃうのっと言って、とても愛らしくふにゃりと笑う春の女神様に触発されたのか、迷っていた人たちがパンを注文し始め、「え? 持って帰っていいのに?」と、困惑するだんさんに、常連たちが「そこまで言われたら、いま食いたい!」などと言い出し、全員が笑いだしてしまった。
人型召喚獣というだけでも驚きがあっただろうが、十神か上位の女神様であると勘違いしたあとであったために、そこまで困惑した様子もなく、奥様とチェリちゃんの可愛らしい姿にほっこりしているようである。
本物の親子みたいと言われているが、否定できないくらい仲が良い。
それに、二人を守るように傍に立つだんさんが、これまたカッコイイと見惚れる女性が続出で、一瞬マズイかもと考えたのだが、どうやら親子セットとして見惚れているようだ。
「あ、お弁当の説明が途中でした」
「こっちは、焼酎の呑み方やら作り方が説明途中だったな。……あ、そうだ、ルナ。女性でも飲めそうな焼酎ってあるかな」
あまり酒精が強い酒を、女性が店で飲むことが少ないため、興味は持っているのだが、手を出しづらいということらしい。
「えーと……サングリアなんてどうですか?」
「え? あれってワインで作るものだろ?」
「焼酎で作るタイプもあるのですよ。あとは、モヒートなども良いですね。グレープフルーツジュースやオレンジジュース割りも良いですが、見た目が華やかなのは、やっぱりサングリアでしょう」
「ふむふむ、さすがにそれは俺やアレンの爺さんでは作れねーな」
「お任せくださいっ!」
問題児トリオの身内に一言詫びてから、意気揚々とカウンターへ移動した奥様が何を必要とするのかわからなかったが、僕もサポートをするために移動して様子を見る。
どうやら、フルーツが沢山必要のようだ。
手慣れた様子でベリリやブルーベリリ、オレンジなどの柑橘系をカットしていった奥様は、思いついたようにだんさんへ顔を向ける。
「リュート様、この果物たちを凍らせていただけますか?」
「それくらいお安いご用だが……こんなもんかな」
「はいっ! ありがとうございますっ」
見事に凍りついた果物を手に取り、「冷たっ」と、言いながらもガラスのデキャンタにカットした果物を入れ、そこに麦焼酎を注ぐと、今度は別の容器に炭酸水を作り、先程のデキャンタへ静かに注いでいく。
「ベリリなのっ」
「見た目も鮮やかでしょう?」
「あいっ」
だんさんに抱っこされたチェリちゃんが「きゃーっ」と歓声を上げ、カウンターで作られる、物珍しい酒を見たくなったのか、店内のお客さんが集まっていた。
人々が注目する中、完成した『焼酎のサングリア』は、女性でも飲めそうなくらい、酒精が抑えられた酒である。
今まで、お酒を敬遠していた女性も多いが、これには興味を持ったようで、どことなくソワソワした様子が伝わってきた。
見た目もそうだが、香りも良さそうだし、女性ウケが良さそうである。
「ルナ、もうちょっと量を作ってくれないか」
そんな様子を察してか、だんさんが奥様にお願いをすると、嬉しそうに目を輝かせて良い返事をしてくれた。
「量だけではなく、バージョンも増やしましょうか。フルーツの系統を変えるのも良いですし、芋焼酎やワインでも作ってみるのも良いかもしれません」
「そりゃいいな」
「では、リュート様。フルーツを凍らせてくださいね」
「それは儂がやろう。リュートは、炭酸水を作ってくれ」
「了解」
分担作業に入り、僕は良さそうな果物を見繕って奥様に手渡し、だんさんは炭酸水をたくさん作り、爺様は奥様のカッティングした果物を次々に凍らせていく。
さすがは氷竜。
指先で触れるだけで、果物が見事に凍りついてしまった。
術式が見えないことに驚く者はいたが、常連たちは爺様が竜人族であることを知っているので、これからは冷たい物が呑みたい時は頼むかと無邪気に笑い、竜人族の特性であると知るやいなや、飲兵衛にかかったら竜人族もかたなしだなと苦笑を浮かべている。
程よく冷えている焼酎のサングリアをグラスに注ぎ、これも先程の詫びだと、最初の一杯を振る舞うことにした、だんさんは策士だと思う。
少しだけ試してみたいけれど、どうしようと迷っている人たちの目の前に、「気軽に試していいですよ」と差し出して、試飲させているのだ。
これは、大きな宣伝効果を生むだろう。
女性でも楽しめる、見た目も鮮やかな酒を出す店───
そんな店は、聞いたことがない。
仕入れた酒を、飲みやすいように水増しして「良い酒だから水のように飲みやすいのだ」という悪質な店は知っているが、フルーツを入れる酒など前代未聞である。
希望者のグラスに、飲みたいタイプのサングリアを注ぎ入れ、少しずつ飲むことを勧め、口にしてみた瞬間に、誰もが驚いた様子を見せた。
僕と爺様もこっそりといただいたが、酒精の強さが炭酸水で緩和されているが薄いという感じではなく、フルーツの香りや甘みを引き立てている。
口当たりが良くて、ついつい飲んでしまいそうであり、危険な感じはするが……節度を持って楽しむ分には良いお酒だ。
「さすがルナ! フルーツの香りがいいな」
「うー……チェリシュは飲めないの」
「チェリシュには、お酒が入っていない物を作りましたよ」
「はっ! さすがはルーなのっ!」
二人の言葉に照れ笑いを浮かべる奥様を、手放しで凄いと褒め称える父娘。
このほのぼの親子の様子を見て、今までだんさんに抱いていたイメージをガラガラと音を立てて崩壊させている人は、いまどれくらいこの場にいるのだろう。
無邪気な笑顔、耳に心地よく優しい声、裏表のない賛美───
どれも、噂のだんさんからは想像もできないことだろう。
これでいい。
酒の宣伝も、パンの宣伝も、だんさんのイメージ改革も、全て良いように転がっていく。
すべては、奥様という存在がそうさせているのだ。
まるで、いままで足りなかった欠片が揃い、リュート・ラングレイという人物が完成されたかのような感覚さえ抱かせる。
数種類あるサングリアのレシピをすぐさま覚えた爺様が、注文に応じて作っていく最中、合間を見つけて必要だと感じて作ったらしい物を手にした奥様は、遠慮がちに声をかけた。
「リュート様、スポーツドリンクも作りましたので、よろしければ……ど、どうぞ」
カフェとラテも興味津々な様子でチラチラ見ているが、手渡されたグラスに入っているスポーツドリンクを一口飲んだだんさんは、口角を上げて微笑んだ。
「ルナの作る物は、全てが旨い。すげーなぁ」
「そうですか? 私のこの配合で良ければ、また作りますね」
「任せた」
「僕たちにも教えて欲しいですにゃっ」
「レシピが欲しいですにゃっ!」
「私も欲しいですーっ!」
ん?
カフェとラテに続いた第三者の声がした方を驚き見れば、何故かマリアベル様が店の入り口に立っていて、後ろには途中で合流したのか、白騎士団長ランディオ様と息子であるコンラッド様の姿も見えた。
い、いや……個室を予約しはったんやったら、入り口違うでしょ……
「すまない。マリアベルの暴走を止められなかった」
「お師匠様っ! 私にも、教えて下さいっ」
ランディオ様の謝罪の言葉をかき消すように、マリアベル様の元気な良い声が響き渡る。
「え、ええ……そ、それは良いのですが……」
「そのスポーツドリンクは、水分補給に良いのでしょうか。そこのところを詳しく教えていただけると、とても助かりますっ」
「は、はい、わかりました」
カウンター越しに奥様の両手を握り懇願するマリアベル様の姿に、誰もが呆然としてしまう。
災害地でも倒れる人が多いと聞くから、水分補給に関しての知識が欲しいのはわかる。
だが、勢いが半端ないから怖い。
「マーリーアーベールー」
「あ……リュート兄様? お、お顔が怖い……ですよ?」
「お前と言う奴はっ! お淑やかになったと思ったら、いきなり昔みたいにやんちゃになりやがって!」
「わ、私は変わっておりません! すこーしだけ、大人しく見せる術を覚えただけですっ」
「尚更、タチが悪いわっ!」
ちょっとこっちへ来いっ! と、引きずられるようにして消えていく聖女候補のマリアベル様と、世話焼きお兄はん発動中のだんさん。
それを呆気に取られて見送る一同。
誰もフォローができない状況に、唖然とするだけである。
とりあえず、ランディオ様たちを個室へ案内してフロアに戻ってくると、奥様は例の問題児トリオの身内と談笑しているようで、その会話を盗み聞きしている他のお客さんも楽しそうである。
内容は、スポーツドリンクからお弁当へ移り変わったところだったようで、誰もがそれに興味を示したようであった。
「お弁当は持ち運びに良いのですし、お店に置いたらテイクアウト……持ち帰りが出来るかもしれないので、家で食べたいという時に良いかもしれませんね」
「それはとても助かります。何せ、食事を取る暇もなく遅い時間に帰ることもありますから……」
「食事問題は切実なんです」
「空腹だと、寝られなくて辛いので……」
確かに、スペースを広くするだけではなく、弁当の注文を取って持ち帰ってもらうという方法を取れば、変な混雑を避けることも出来るのではないだろうか。
いや、店に来て食べることが出来ない人であれば、そういうサービスが受ける可能性が高い。
持ち帰りスタイルなら、ナナトがノウハウを持っているだろうし、相談してみるのも良いだろう。
決定権はだんさんにあるが、奥様が乗り気なのなら嫌とは絶対に言うまい。
だんさんに相談する前に、奥様と話をして、ある程度の形を整えておかないとな……
考えることは山積みであるが、全てが楽しく感じるから不思議だ。
本当は大変で、休む間なく働いている気もする。
だけど、充実している日々を過ごしている感じがして、やりがいもあり、とても力がみなぎってくるのだ。
こういう感覚を、兄は知っているだろうか。
いつも暗い顔をしている兄を思い出し、僕は元気でやっていることを報せたいと、初めて考えた。
今までは、報せたら心配をさせてしまうだけであったが、この状況であれば大丈夫だと心から思える。
反対に、羨ましがられる可能性だってあるな……なんてほくそ笑んでいたら、いつの間にか隣に来ていた奥さんが、こちらを見上げて「仕事」と呟く。
しかし、その目はとても優しく、あたたかかった。
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