悪役令嬢の次は、召喚獣だなんて聞いていません!

月代 雪花菜

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第二章 外堀はこうして埋められる

ハンドサインは不穏の前触れ

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 空から舞い落ちる花びらに人々が手を伸ばし、「創世神ルミナスラ様の慈悲だ」と口々に言う。
 愛の女神様も母上とおっしゃっていましたから、その解釈は正しいのでしょうが、私の知らない間に、とんでもないことになっていましたね。

「リュート様や皆さんの傷が治ってよかった……」

 そう、まずはそれです。
 あのままだったら、リュート様は出血多量で大変なことになっていましたもの。
 この世界の治癒魔法でどこまで癒やせるのかわかりませんが、日本だったら間違いなく輸血が必要なレベルです。

「創世神ルミナスラの慈悲、確かにそうかもしれないな。全て元通りにしちまうなんて、創世神ルミナスラにしかできないことだ」
「それだけではない。その娘の祈りとあのお方の干渉があったからこそ、母上が目覚めたのじゃろう」

 創世神ルミナスラ様は……眠っている?
 確認しようとした私の肩を、リュート様が強く抱く。
 つまり……聞いてはいけないということなのですね。
 チラリと視線を向けると、彼は小さく頷いた。
 どうやら、間違い無さそうです。

「あの方に会ったか」

 『あの方』という言葉が、先程出会った漆黒の髪の青年……オーディナル様のことを指し示すものであるとすぐにわかった。
 そして、愛の女神様は全てご存知なのだと直感的に悟る。
 隠し立てすることもないでしょうと、素直に頷き愛の女神様の言葉を肯定した。

「はい。確かに、お会いしました」
「何かおっしゃっておられたじゃろうか……」

 少し憂いを含んだ気配……
 それにより、オーディナル様と愛の女神様に、何らかの繋がりがあるのだろうと察することが出来た。
 だけど……異世界の神であるあの方と、愛の女神様が知り合いというのも不思議な感じですね。

「無理にとは言わぬ。久方ぶりに感じた父の気配に、ガラにもなく嬉しくなってしもうた。言えぬことも多かろうに、すまぬな」

 ん?
 いま……とんでもない単語を聞いた気がしますよ?
 少し離れた場所にいる方々は気づいていないようですが、これって……だ、大丈夫ですか?
 リュート様が残り僅かな魔力を使って、魔法を使ったのがわかったけど……不用心すぎませんかっ!?

「大丈夫じゃ。大事な会話は音声認識阻害がかかるようになっておる。抜かり無い」
「そういうことは先に言えよ……」
「良いのか?いつもの口調に戻っておるぞ」
「……先に言ってくださると助かります」
「ふふっ、お主にそう畏まられると変な気分じゃな」
「自分が言っておいて……!」

 苦虫を噛み潰したような顔をするリュート様をからかって遊んでいる愛の女神様は、心の中で色々な葛藤をされているのか、少し陰りが見える。
 言ってマズイことは……ないですよね?

「詳しい話をここでするには難しいじゃろう。あとで時間をとるとしようか」
「あの……『またね』と……」
「そうか……『またね』か。父上が、そう言うておったか。父上が……そうかっ!嬉しいのぅ」

 頬を赤らめ子供のようにはしゃいだ声をあげる愛の女神様が可愛らしくて、思わず嬉しくなってしまいます。
 お父様大好きなんですね?
 確かに、柔らかい雰囲気であるのに凛々しくカッコイイ感じの方でした。
 神様にそういう感想を抱くのはダメかもしれませんけど、見た感じがそうだったんです。
 そうだわ、リュート様に似ている感じでした。
 どこが……と、問われたら困りますが、全体的な雰囲気としか答えられません。
 あ……だから、愛の女神様はリュート様に好意的であったりするのでしょうか。

「他にも……色々おっしゃってましたが、あとの方が良いですよね」
「そうじゃな。そなたのことについても、少し話しておかねばならぬ。リュートも時間を取るようにな」
「ルナに関しての話なのに、俺が一緒にいないとかあり得ない」
「そうであろうな」

 楽しそうにくすくす笑う愛の女神様は上機嫌である。
 お父様のことがわかったからでしょうか……とても嬉しそうですね。
 で、でも……オーディナル様がお父様ということは、あちらの世界とこちらの世界は因果関係があるということになるのでしょうか。
 反対に、創造神や創世神という関連性があったところで、そこの世界に住む者たちには全く関係がないなんてこともあるかも知れません。

 疑問は尽きませんね。

 私が考えて首をひねっている間にも、天高くから舞っていた花びらが落ち着いてきた頃、肩を抱いたままであったリュート様が、テオ兄様とロン兄様の方を見てハンドサインを出していることに気がついた。
 リュート様が手のスナップをきかせて数回素振りしていると、お二人が同じタイミングで頷き同意しているのがわかる。
 指を一本立てて首をコテンと傾けたリュート様と同じ様に、テオ兄様とロン兄様もコテンと首を傾げる姿……

 イケメン三兄弟で小首を傾げるとか、萌え殺す気ですかっ!?

 い、いけません、興奮してしまいました。
 でも、叫ばなかった私を褒めてください!
 このタイプの違う麗しい三兄弟は、時々ものすごく可愛い仕草をしませんかっ!?
 なんだか、見ていて萌えますが、和みます。

 顎に手をあててロン兄様が思案しているような仕草をしたあと、指を三本立てて首を傾げるのに対し、テオ兄様とリュート様は手のひらをパッと見せている。
 驚いた顔をしたロン兄様に対し、譲らんというような険しい表情をしているリュート様と、無表情なテオ兄様。

「チェリシュ、知ってる!」

 春の女神様が知っているハンドサインなのですか。
 ことの成り行きを見守っていると、春の女神様はリュート様の手を引き寄せ、片腕をめいっぱい伸ばして彼の大きな手のひらに小さな指を一本添えた。

「6なの!」
「ほう、6か……」

 リュート様の口角がニィッと上がり、これにはテオ兄様もロン兄様も思案顔。
 ロン兄様が何気なく、テオ兄様の手のひらに指を2本添えて首を傾げれば、春の女神様は焦ったように声を上げた。

「7なのっ!負けちゃうの!」

 え、これってハンドサインではなく、ゲームだったのですか?
 このタイミングでゲーム……疑問を覚えないわけではないのですが、春の女神様があまりにも必死に「んーっ、んーっ!」と言って悩んでいるのが可愛らしいです。

「ルー!助けてなの!」
「あ……はい、こうすればいいのですか?」

 春の女神様と同じ様に、リュート様の手のひらに指を一本添えるのですが、彼女は不満げである。

「同じ……なの」
「え、えーと……じゃあ、これでどうです?」

 ロン兄様が1人で指を二本添えているなら、私がしても問題はないでしょう。
 ということで、リュート様の手のひらに、ロン兄様の真似をして両手で一本ずつ指を添えてみると、春の女神様は嬉しそうにきゃっきゃ声を上げて嬉しそうに笑った。

「8なの!……あーっ!ロンも助っ人呼んだの!」

 本当ですね、なにか報告に来た黒騎士様を捕まえて、指を出すよう言ったのか、テオ兄様の手のひらに恐る恐る指を添えています。
 巻き込みは良くないですよ?

「あちらは9か」
「チェリシュ頑張る!」

 指が届くように手の位置を上げて上げてとお強請りしている春の女神様に笑いながら、リュート様は手のひらを高い位置へと持っていく。
 そうなりますと、今度は私が困りましたよ?
 頑張って背伸びして、ようやく届くような位置になってしまいました。
 背伸びして指を添えていると、こちらを見るリュート様と目があった。

「あぶなっかしいな」

 ふわっと魅惑的に微笑んだ彼は、私の腰に腕を回して固定すると、低い声で囁くように呟く。

「これで倒れねーだろ?」

 い、いけません……不意打ちすぎて顔に熱が……ま、真っ赤になってしまいますよっ!?
 先程まで緊迫した状況であったから、ものすごく油断しました!
 わ、私はどうしたらいいのでしょうっ!

「これで、9なの!んぅ、勝てないの……」
「そうか、ならばキリのいい数字がよかろうな」

 今まで静観していた愛の女神様が、ふわりと笑ってリュート様の手のひらに指を添えた。

「10なの!勝ったの!ルー、勝ったの!」
「えっと、10になれば勝ちなのですか?どういうルールのゲームなのでしょう」
「10はエライの!」

 エライのですか。
 まあ、十神と言われる方々も数は10ですし、この世界最強の数は10なのですね。
 しかし、いつのまにゲームをはじめていたのでしょうか。

「そうか、10か」

 リュート様が含みのある笑いを浮かべます。
 あ……とーっても悪い顔してますよ?
 なんですか、その含み笑いは……色気が増して素敵ですが、何やら不穏なものを感じます。
 同じような顔をする愛の女神様もいらっしゃって……えーと?何が起こっているのでしょう。

「ルナ、10×10は?」
「100ですね」
「だな。てことは、10回1セットを10回ってことで、百叩きの刑だな」
「はい?」

 何かとても不穏な言葉が聞こえました……が?
 なんですか……それは───


「さて、愛の女神様。用意は良いですか」
「椅子があれば助かるのぅ」
「あー、コレでいいでしょうか」

 アイテムボックスから出してきた椅子を設置し、そこに座った愛の女神様はにっこりと上機嫌に笑う。

「ふむ。座り心地が良いのぅ、そなたの持つアイテムはいつも質が良い」
「気に入ったのなら、いつものように依頼してください」
「本当にそなたは商売上手じゃな。さて、妾の準備は万端じゃ」

 な、なんの準備でしょう。
 ステージの前方真中に椅子を持ち出して座り、にっこり微笑む愛の女神様……麗しいとは思いますが……リュート様と同じような含み笑いが怖いです。

「さて、早く終わらせましょう」
「そうだな」

 いつの間にか、こちらに移動してきていたロン兄様の言葉に頷いたテオ兄様が、おもむろに恋の女神様を担ぎ上げた。

「な、何をするのじゃ!」
「大人しくしてください」

 平坦な声で言ってはいますが、どこか楽しそうな気配が感じられます。

「ルナちゃんも春の女神様も、意味がわからずアレやってたでしょ」

 ロン兄様がそう問いかけてくるので、私は素直に頷いてみせた。
 だって、今だって意味がわかりませんもの。

「アレはね、回数を決めていたんだよ。俺は30回くらいでいいかなって思っていたんだけど、よく考えれば、100が妥当かもしれないよね。沢山の人が被害にあったんだし」

 被害……そうですね、今回とても沢山の人が巻き込まれてしまいました。
 怪我人は大丈夫だったのでしょうか……皆さん、創世神ルミナスラが与えてくださった花びらに触れることが出来たのでしょうか。

 ───創世神ルミナスラが降臨した

 多分、今頃聖都内で大きな騒ぎになっているでしょうけど……とりあえずは、目の前の状況をシッカリ見つめましょう。
 テオ兄様の手によって、愛の女神様の膝の上にうつ伏せの状態にされた恋の女神様。
 あー、このスタイルは見たことがありますよ?

「こ、これはいったい……どういうことなのじゃっ!?」
「人間は自らの子供を叱る時、こうすることがあるらしい。親としてそなたに与える罰として選んでみたのじゃ。今回、人間たちに多大なる迷惑をかけたそなたが受けるのに相応しい罰じゃろう」

 状況がわからずジタバタと抜け出そうとする恋の女神様を、無表情で押さえつけるテオ兄様。
 ヤレヤレと溜息をつきながらも、止めようとしないロン兄様。
 口元に笑みを浮かべて、冷ややかに眺めるリュート様。

 ……先程のこと根に持ってますね?
 私のことは気にしなくていいのに……困った人である。

「さて、準備は整った。では、お尻ペンペン100回の刑じゃ!甘んじて受けよ!」

 こちらからは見えないけれども、短いスカートであることが災いしたのか、お尻を守ってくれる布地が少なく、愛の女神様の手が恋の女神様のお尻にクリーンヒットした。
 お尻を叩かれる、とても痛そうな音が辺りに響く。
 う、うわぁ……ものすごく痛そうです!

 思わず、リュート様の肩から降りてきて私にしがみつく春の女神様とぎゅーっと抱きしめあいます。
 知らなかったとはいえ、大変なことをしてしまったかもしれません。

「い、イタイイタイなの。ぺんぺんしてるの」
「痛そう……ですねぇ」

 痛みと羞恥心で真っ赤になって泣いて謝っている恋の女神様が、少しだけ可哀想ですが……しでかしたことが大きすぎますから、自業自得とも言えます。

「今回の件は見過ごせねーからな。さすがにやりすぎだ。人々に見える形のお仕置きは必要だし、神として、十神から処罰も下るだろう。まー、暫くは地上に降りてこれねーだろうな」

 冷たい表情で「ルナにあんなこと言うからだ。ザマーミロ」と呟くリュート様に、私と春の女神様は顔を見合わせて頷きました。

「怒らせちゃダメです」
「メッなの」
「ペンペンされちゃいます」
「ペンペンイタタなの」
「怖いですねぇ」
「こわわなの、ぎゅーしてなのー」
「ぎゅーっ」

 小さく震える春の女神様をぎゅーっと抱きしめていたら、なに?とリュート様がこちらを見て、抱きしめあっている私を春の女神様ごと抱きしめて「可愛い」と、とろけるような声で言ってくださいますが、元凶はリュート様ですよっ!?

「あ!今回は俺もまざるからね!」

 なんて羨ましいことしてるのっ!?というように声をあげたロン兄様が、ガゼボの時と同じ様に3人丸ごとむぎゅーっと抱きしめます。
 あ、なんだか幸せほっこりですね。

「……ズルイぞ」

 恋の女神様を押さえているテオ兄様からそんな呟きが漏れ、「あとでね」とロン兄様が言うのですが……え?増えるのですか?
 麗しの3兄弟に囲まれちゃうのですか?
 これだけでもすごい破壊力ですのにっ!?

 ステージの隅っこでむぎゅーっとしている私達をチラチラ見ながらも、イベント会場にいる人々は、『愛の女神様主催、公開おしりペンペン100回の刑』のカウントをはじめてしまいました。

 百叩きも楽しめますか……
 もしかしたら、この国で一番すごいのは、称号持ちの家ではなく陽気な人柄でノリの良い、この聖都の方々なのかもしれませんね。

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