悪役令嬢の次は、召喚獣だなんて聞いていません!

月代 雪花菜

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第二章 外堀はこうして埋められる

イベント優勝を目指して!

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 リュート様の頭をナデナデしていたロン兄様は、周囲をチラリと見て口元に柔らかな笑みを浮かべたあと、リュート様のほうに目を向けて優しい声で語りかける。

「まあ、とりあえずはルナちゃんの為に、『恋の花咲きイベント』の優勝を目指して頑張ろうか」

 まるで子供に言い聞かせるかのような口調ですけど、今のリュート様はむぅっと唸っていて子供のような仕草をなさってますね。
 これは甘えているのでしょうか……それとも、こうしていると私の黒モヤさんが消えていくと知っているのでしょうか、離れませんしべったりですし、何より……頼られている感覚がむず痒く……でも、ちょっぴり誇らしい自分がいます。
 それにより、どんどんそれは鳴りを潜め、ついには消えてしまいました。
 いえ、消えたのではなく……形勢不利だと悟り、姿を隠したのでしょう。
 抜け目のない……

「だけどさ、ロン兄……俺は、そういうの苦手なんだが……?」
「大丈夫だって、リュートとルナちゃんだったら、普通にしているだけで票を獲得できちゃうよ」
「できちゃうー」

 本当かよ……と、リュート様は半信半疑ですが……私もそれには同意見で、普通にしていて票が入るなら、皆様苦労しておりませんよ?
 あんなに頑張って演技されていた方もいらっしゃいますもの。

「それとも、リュートはルナちゃんの為に、頑張れないかな?」
「んなわけねーだろ。やってやる」
「そうこなくちゃね」

 にーっこり笑うロン兄様……さすがです。
 リュート様の扱い方をよくご存知ですね。

「あー、んじゃあ、ルナ、食後のデザート食ったら、行くか」
「はい」
「デザート?」
「でざぁとー?」

 見て驚けよ?とリュート様がニヤニヤしますが、この体勢からはセッティングしづらいですね。
 ロールケーキを取り出し、人数分の木製の皿とフォークを取り出します。
 洗浄石が大活躍ですね。

「へぇ、可愛い洗浄石だね」
「リュート様が作ってくださったんです」
「手先が器用だね。母さんも欲しがりそうだ」
「やらねぇよ……母さんが使いだしたらアホみてーに注文入るに決まってる。俺はそんな暇じゃねーし、今は料理の方をなんとかしたい」

 これも、その1つだよと皿に乗せたロールケーキを指さした。

「ベリリなのっ!ベリリすきっ!」

 きらっきらに目を輝かせた春の女神様が、私の顔を見て「たべていいの?いいの?」って確認をとってきます。

「ほら、みんなの準備ができるまで行儀よく待て」
「うーっ」
「待て」
「あいっ!」

 頭をわしわし撫でられて「待て」と言われた春の女神様は、元気よく返事してから「がーまーんーっ!」と唸っている。
 は、早くセッティングしなくては……

「それを切ってくれたら、あとは俺がやるよ」

 動きづらいでしょ?とロン兄様が、切り分けたロールケーキを皿に乗せて、新たなお茶の準備までしてくださって、ようやく全員に皿が行き渡った。

「チェリシュ、食ってよし!」
「あいっ!」

 リュート様……わんこを相手にしてるんじゃないんですから「よし」って……

「ん~~~っ!!んんんぅーっ!」
「飲み込んでから喋ろうな」
「んぁぃ!」

 お口いっぱいですね、頬がぷっくり膨らんでいます。
 ロールケーキを天板で一本作ったら、約3cm幅で切って10個ですか。
 あの天板、やっぱり通常より大きいですね。

「うわぁ……ふわっふわ!すごいねぇ!あー、この甘味が職場にあったら……俺仕事いっぱい頑張れる……」
「ロン兄は少し休もうな。本当に疲れたまりすぎだから」
「今晩バカ親父をなんとかしたら寝る」
「そうしてくれ……ごめんな」
「いいよ。こうして美味しいものが食べられたし!元気いっぱいだよ!」

 またたく間にロールケーキを食べてしまったロン兄様は、満足げにお茶を飲んでいますが、甘い物が好きなのでしょうか。
 今度、何か差し入れにいけたらいいですよね。
 甘いものが好きなら、ミルクレープもいいですし、オムレットもいいかも……あ、天板で大きなケーキを焼いて、皆さんで召し上がっていただくとか?
 いいかもしれませんね!
 見た目も華やかですし、とても喜ばれそうです。

「ルーすごーい!おいしいの!ベリリたくさんなの!」
「ええ、いっぱい入れました。気に入りましたか?」
「んっ!ベリリ、いっぱーい!ルーにいっぱいあげるーっ」

 そう春の女神様が叫んだ瞬間、空中から大小様々なベリリが落ちてきます。
 え……落ちてっ!?
 こういうことに慣れていたのか、すぐにリュート様が魔法を展開させたようで、風が地面に落ちる前に全て回収してしまいました。

「あ……小さなベリリもあるんですね」
「この地方じゃあまり採れないな。確か、竜帝領にあったはずだ」
「じゃあ、可愛いケーキいっぱい作れますね!春の女神様、ありがとうございます!」
「かわいい?けーきいっぱい?つくれる?たべるーっ!」

 きゃーっ!とテンションが上った春の女神様が私に抱きつこうとしますが、その前にリュート様の手がすばやく動き、彼女の顔めがけてタオルを押し付けると、ゴシゴシしているようである。
 な……慣れてますね……

「よし、手もごしごしな」
「ごしごしー」
「ん。抱きついてよし」
「あいっ!ぎゅーっ!」

 リュート様に綺麗にしていただいた春の女神様が、私にぎゅーっと抱きついてくるのですが、何でしょう、この二人の可愛すぎるやり取りは!
 きゅんきゅんしますよねっ!
 隣に座っているロン兄様を見れば、ほんわか微笑ましそうにこちらを見ていて、柔らかな笑みが嬉しくなってしまいます。

「またルナに作ってもらおうな。だけど、今日はもう無理だぞ?」
「んー、またこんど?じゃー、お店に会いにいってもいーい?」
「ええ、もちろんですよ」
「パパとママもー!」
「……ん?」
「え?」
「えーと……それはそれで大騒ぎだろうね」

 太陽と月の夫婦神が一緒って……大丈夫ではないですよね。
 リュート様もロン兄様も、口元が引きつっています。

「だめぇ?」
「だ、ダメじゃ……ねーけど、バレねーように、こっそりな?」
「こっそーり?」
「そうだね。こっそーりね?」
「あいっ!」

 麗しの兄弟に言い含められた春の女神様はご満悦で、元気よくお返事してくださいました。
 バレたら……本当に大事ですね。
 こっそり、ひっそり、ご来店をお待ち申し上げております。

 ケーキを食べ終え、春の女神様にいただいたベリリをリュート様のアイテムボックスに収納し、お茶を楽しんでいたのですが、そろそろ戻らないとマズイかなという言葉と共に、どうやらこの和やかな時間もお開きのようで……なんだか寂しいですね。

「リュー、ルー、ぜったーい、勝ってねぇ」
「二人なら問題ないと思いますよ。はい、抱っこ」
「あいっ!」

 私に抱きついていた春の女神様は、両手をあげてロン兄様に抱っこされ、こちらを見下ろす。
 途端に寂しくなってしまい、ジッと見つめていたら「まってるね!」と言った後で、にぱっと素敵な笑顔をいただき、私は力強く頷く。

「また後で、ですね」
「んっ!リュー、がんばー!」
「任せろ。全部叩き伏せる」
「いや、魔物を相手にするんじゃないんだから……」

 ロン兄様にツッコミを入れられ、皆でクスクス笑ったあと、「じゃあね」と二人が手を振ってガゼボから遠ざかっていきます。

「ああ、リュート、そろそろ良い時間だと思うから、行ってごらん!」
「わかった!サンキュ!」

 何の話かわからなかったけれども、兄弟二人で通じ合う何かがあったのでしょう。
 とても素敵な笑顔を二人で浮かべ、頷きあっています。
 本当に素敵なご兄弟ですね……
 手を振っている春の女神様と、何度か振り返っては手を振ってくれるロン兄様の後ろ姿が見えなくなるまで二人で見送り、寂しい気持ちが一気に胸いっぱいに広がってしまいました。

「なんだ、寂しいのか?」
「そうですね……あったかで、じんわり幸せな空間でしたから」
「だな。ロン兄と離れるときさ、いつもその感覚を味わうんだ。甘えてんだろうな……」
「いいと思います。甘えられる相手って、大事だと思うのです」
「かもな」

 ぎゅーっと後ろから抱きしめれ、寂しい気持ちを二人で分かち合うような感覚……
 いろんな気持ちを共有して、もっとお互いを感じて知っていく。
 とても不思議で、とても尊いと感じる。
 大切な人と共に歩んでいく中で、これはきっと特別で大切なのだと思った。



 片付けを終えてガゼボから出ると、リュート様は迷う事無く先程のルナフィルラの丘へと向かい始めましたが……何かあるのでしょうか。
 手をつなぎ歩いていると、まばらだった人がどんどん集まってきます。
 やっぱり、何かあるみたいですね。

「そろそろだな」

 周囲を見れば、先程のカップルや明らかにこのイベント参加の方々、黒の騎士団の方々も集まってきていますが……なんだろうと思っている私の目の前で、小さな光が浮かび上がりました。
 光る球体?
 それはスプリンクラーのように、水を振りまき、雨のように降り注ぎます。
 え、えっ!?
 濡れると思った水は、リュート様が指をスッと空へ滑らすことで回避されたようで、私の体に届くこと無く弾かれた。
 周囲に歓声がわき、どうしたのかと目を凝らしてみると、誰も水に濡れていない。
 このことを知っていたのだろう方々が用意した雨傘や雨具なども、使用すること無く終わったようです。
 傘やマントを用意していた方々が、無言でこちらを睨んできます。
 このイベントの参加者でしょうか……

「リュート様の魔法ですか?」
「ああ。別段水に濡れなくてもいいだろう?濡れたルナは艶っぽくて綺麗だろうが、それを他の男に見せるのは癪に障る」
「っ!?」

 魅惑の笑みと共に言われた言葉に、思わず凍りついてしまいます。
 ね、狙って言いました?
 ドキドキする胸をおさえつつチラリと見上げると、彼はとても素敵な笑顔を浮かべていて……だ、ダメです、直視は死を意味しますよ!
 急ぎ意識を逸らすために周囲に目を向けると、この広範囲に巻かれた水全てを弾いたのか、誰も濡れているような気配がない。
 良かったですね、黒の騎士団の方々。
 鎧着用で水濡れって、大変なのでしょう?
 ベオルフ様が、それでなくても重量のある鎧を身に纏っているのに、体が重くなってとても動きづらいのだと仰ってましたもの。

「ルナ。足元の水たまりは汚れるから、こっちへおいで」
「え……?」
「歩くと汚れる」

 地面の水たまりを見て、確かにこれを踏めば汚れはするでしょうけど……洗浄石で綺麗にすれば良いのでは?
 そう考えている私の耳に、男女の会話が聞こえてきた。

「ほら、そこは危ないよ、こっちにおいで」
「ありがとう、助かるわ」

 違う方向では……

「僕のマントで君の進む道を作ってあげるよ」
「でも……」
「いいんだよ。君のためだから」
「……嬉しい」

 ……あ、これも色々と駆け引きがあるわけですか?
 ど、どうすればいいのでしょう。
 私は、どう反応するのが正解ですか?

 戸惑いリュート様を見上げると、彼は苦笑して「変に考えすぎだ」と耳元で囁き、一瞬身を屈めたかと思うと、いきなり感じる浮遊感に驚いた。

「ひゃっ!」
「ほら、これで濡れねーだろ」
「ふわっ!リュート様!で、でもっ!わ、私は重いですから!」
「重くなんてねーよ。鍛え方が違うから、ルナくらい軽いもんだ」

 こ、これは俗にいうお姫様抱っこですよっ!?
 公衆の面前でお姫様抱っこ!
 周囲から「きゃーっ」という黄色い声が上がってます!
 心臓がもちませんから降ろしてくださいーっ!

「ほら、首に腕を回してくれないと、安定しねーだろ?」
「で、ですがっ」
「ルナ、ほら、あの高さのルナフィルラが見えるか?」

 いきなり話が別方向に飛び、視線だけで示された方向を見ると、少し高い場所に設置された木製プランターのルナフィルラが水分を含んでキラキラ輝いていた。
 あれ?輝く?
 ジッと目を凝らしてみると、白や空色や桜色だったルナフィルラがガラス細工のように透けていたのである。

「わ……わっ!凄いです!ガラス細工みたいに透けて、キラキラしてとっても綺麗ですよリュート様!」
「そうだろ?水を含むとこの花びらはこうして透明になるんだ。綺麗だな」
「はいっ!とっても!」
「髪飾りは、これをイメージして作っているんだ。天色の髪に空色のルナフィルラは同色で見えなくなっちまうけど、ルナはやっぱり桜色……薄紅のこれだよな。俺の一番好きな色だ」

 甘く優しく微笑んで言われた言葉は、胸をぎゅううっと締め付けた。
 も……もう!
 一番好きな色って……それが私って……リュート様ったら!
 嬉しすぎて泣いちゃいますよっ!?

 感極まった私は、思わず彼の首筋にぎゅうっと抱きつき首筋に顔を埋める。

「今まで見てきた中で一番綺麗で勿体無いくらいです!すごく……ものすごく楽しみです。ありがとうございます、リュート様」
「どういたしまして。ルナが喜んでくれるのが何よりも嬉しいよ。さっきの飯も美味かったし、また今度、ああやって一緒に外で弁当を食おうな」
「はい!今度は何を作りましょう。リュート様のお好きな物をいっぱい作って、一緒に食べましょうね。こんなに良い天気でいい景色を眺めてなんて……とっても贅沢ですもの」
「俺はルナを独り占めできて、とても贅沢な気分だ」
「そ、それはお互い様なのです」

 リュート様には、いつも誰かが声をかけてきて、忙しそうにしてますから……独り占め出来る時って、夜くらいですものね。
 でも……今は、独り占めです!
 なんて考えていたら少し恥ずかしくなってしまって照れ笑いを浮かべた私に、リュート様が慈しむような笑みをうかべ、額に頬を寄せてくださいました。
 肌がぴたりとくっついて、ちょっとドキドキしてしまいます。
 こんなに素敵な笑顔をくださるリュート様を間近に見て、独り占め……なんて幸せなんでしょう!
 きっと、この場にいる誰よりも私は幸せものだと、信じて疑う余地などどこにもないほど、心は苦しいくらいの幸福でいっぱいに満たされていたのである。

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