上 下
45 / 45

43 運命の女神2

しおりを挟む
 ポポたんがピンゾロを出したのでチップ50枚になった。恐るべしビギナーズラック。
 ディーラーの人も笑顔でチップをポポたんに渡す。もうシッポは振り切れんばかりに振られている。
 そろそろ負けるかな。3回目のポポたんの番だ。
 また小声で『ポポたん』と言って投げる。チリン。

《4》《4》《6》

 《6》が出た。親が《5》だったので、またもやポポたんの勝ちである。チップ100枚・・。
 100枚のチップを見てポポたんは大興奮である。

「ポポ!!」「ポポ!!」
(「たん」が言えないほどか・・)

 ディーラーの顔付きが曇ってきた。ポポたんの出番が来たぞ。そろそろ負けるかね。
 『ポポたん』チリン。

《1》《1》《1》

 えーと。5倍だね。『ポポたん』チリン。

《4》《5》《6》

 うん。2倍かな。
 
 以降も勝ち続けるポポたん。ディーラーの顔からは汗が流れ落ちまくっている。幸也達の後ろにチップの入った木箱が山積みになった。
 ポポたんはサイコロに飽きてしまったようで、さっきからぬいぐるみとチップで遊んでいる。
 そして黒服の男が幸也に声をかけてきた。

「お客様、よろしかったらVIPルームの方へ。今よりもっと楽しめるかと」
「(やっと来たか。俺なにもしていないけど・・)楽しそうですね。行きましょう」

 黒服が幸也達をVIPルームに連れて行く。横目でチラリと警備をしている奴を見た。なかなか強そうだ。

 VIPルームの中にも数十人の男女がいた。これらは全部貴族や金持ちの連中だ。見るからに高価そうな貴金属を身に付けている。

「こちらへどうぞ」

 1番奥のテーブルに連れてこられた。4人の男が座っている。中央に座っている金髪碧眼の男がリゴナスだろう。目付きがいかにも悪人って感じだ。

「お客様は今日は大変ツイているようだ。どうです?私達と一緒に」
「ええ。構いませんよ」
「ただ・・このテーブルは通常の5倍の掛け金なんです。大丈夫ですかな?」
「ええ。もちろんです」

 後ろにある木箱をチラリと見る。リゴナスもさっきから木箱を見続けている。ポポたんは疲れてしまったようで、幸也の横の椅子で「すーすー」と寝ている。

「何で勝負をするんです?」
「ポーカーはどうですかな?」
「いいですね(いきなりイカサマポーカーか)」

「では始めましょう」

 幸也の手元にカードが配られる。
 同じマークが揃うフラッシュが完成されている。なかなかの良い手札だ。
 初めは様子見で少額を賭ける。しかし5倍の掛け金だ。幸也がノーチェンジなのが分かるとリゴナスを含めた他の者がおりた。
 残った1人と勝負である。

「スリーカード」「フラッシュ」

 幸也が勝ったようだ。チップが幸也の前に寄せられる。これ全部5倍のチップか・・。いくらになるんだ?

「若いのになかなかお強い!どんどん行きましょう」

 そのあと数回、幸也が勝ち続けた。チップが山積みになる。ここでリゴナスが動く。チラリとディーラーを見た。幸也もそれを見逃さない。
 次からは途端に役が揃わなくなった。あからさまにイカサマをされている。
 幸也の前にあった山積みのチップが減り出す。全く勝てなくなった。
 ついに木箱のチップにも手を出すようになる。それでも勝てない。

「調子が悪いようですな。今日はこの辺にしますか?」
「いいえ。まだまだこれからです」

 そう言うとリゴナスがニヤリと笑う。
 次からはまた幸也が勝ち出した。数回勝つ。

「ツキが戻ってしまったようだ。これはキツイ」
「ええ。ようやくです」
 
 初めは勝たせて、次に負け込ませる。そしてまた勝たせてドツボに嵌める気か。悪知恵の働く奴だな。
 
 幸也はまた負け出す。
 しかし、いくらイカサマしようとも偶然にこちらに良い手札が揃ってしまうこともある。
 今回幸也は久しぶりのフルハウスだ。しかも奴らはそれに気づかず大金を賭けてしまっている。チャンスだ。
 幸也が引かないのを見たリゴナスが疑いの目を向ける。手札公開。

「ツーペア」「ツーペア」「フルハウス」「フォーカード」

 フルハウスの幸也が負けた。・・おかしい。リゴナス達がニヤニヤと笑っている。

(そうか。こいつら自分達のカードを交換しやがったのか。もはやイカサマも隠す気がないと。容赦しなくていいんだな?)

 幸也はポケットに手を突っ込むと、を取り出し頭の中で念じた。【イーター】
 幸也の手がポワッと黄色く光る。

「どうしますかな?チップがもう残り少ないようだ」
「まだまだこれからですよ」

 リゴナスはニヤリと笑い続ける。隠す気もないようだ。
 ゲームが再開されカードが配られる。幸也はそれをチラリと見たあと残りのチップの全てを賭けた。

全賭けオールイン
「おおお!ここで勝負にきましたか!我々も受けよう」

 全員が幸也の賭けに乗った。手札が交換される。

「ツーペア」「ワンペア」「ストレート」「フォーカード」

 幸也がゆっくりとカードを公開する。

「ストレートフラッシュ」
「なんだと!」
「えーと。俺が勝ったらおかしいんですかね?」
「そんなことは・・」
「では続けましょうか」

 リゴナスはディーラーを睨んでいる。ディーラーからは汗が吹き出ている。カードが慎重に配られた。幸也はまたチラリと見る。

全賭けオールイン
「な、なんだと!」
「せっかく流れが来たんです。攻めますよ」

 リゴナスともう1人が残って他はおりた。

「フルハウス」「スリーカード」

 幸也はカードを公開する。

「フォーカード」
「イカサマだ!」
「どこにイカサマが?(どの口が言っているんだろう)」
「と、とにかくイカサマだ!」
「イカサマじゃなかったらどうします?もちろん真っ当な客を疑うんだから、それなりの償いはして頂きますよ?」
「う、うぐ・・」
「では、こうしましょう。ポーカーでなく、こちらのルーレットで俺とリゴナスさんの一騎打ちとか?」

「分かった(バカめ!自ら墓穴を掘りやがった。そのディーラーは好きな数字を自在に出せるんだ!)」


 
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(113件)

ヤマチャン
2019.02.06 ヤマチャン

更新お待ちしてます。

解除
パロダンK
2018.12.31 パロダンK

運武天武!幸運降臨!

解除
shinonono
2018.10.12 shinonono

楽しくて一気に読んでしまいました。
続きが楽しみです。

無理されない程度に執筆して頂けると嬉しいです。

ではでは。

解除

あなたにおすすめの小説

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界を【創造】【召喚】【付与】で無双します。

FREE
ファンタジー
ブラック企業へ就職して5年…今日も疲れ果て眠りにつく。 目が醒めるとそこは見慣れた部屋ではなかった。 ふと頭に直接聞こえる声。それに俺は火事で死んだことを伝えられ、異世界に転生できると言われる。 異世界、それは剣と魔法が存在するファンタジーな世界。 これは主人公、タイムが神様から選んだスキルで異世界を自由に生きる物語。 *リメイク作品です。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星
ファンタジー
仕事の修羅場を乗り越えて、徹夜明けもなんのその、年2回ある有○の戦場を駆けた夏。長期休暇を取得し、自宅に引きこもって戦利品を堪能すべく、帰宅の途上で食材を購入して後はただ帰るだけだった。しかし、学生4人組とすれ違ったと思ったら、俺はスマホの電波が届かない中世ヨーロッパと思しき建築物の複雑な幾何学模様の上にいた。学生4人組とともに。やってきた召喚者と思しき王女様達の魔族侵略の話を聞いて、俺は察した。これあかん系異世界勇者召喚だと。しかも、どうやら肝心の勇者は学生4人組みの方で俺は巻き込まれた一般人らしい。【鑑定】や【空間収納】といった鉄板スキルを保有して、とんでもないバグと思えるチートスキルいるが、違うらしい。そして、安定の「元の世界に帰る方法」は不明→絶望的な難易度。勇者系の称号がないとわかると王女達は掌返しをして俺を奴隷扱いするのは必至。1人を除いて学生共も俺を馬鹿にしだしたので俺は迷惑料を(強制的に)もらって早々に国を脱出し、この異世界をチートスキルを駆使して漫遊することにした。※10話前後までスタート地点の王城での話になります。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

スキルガチャで異世界を冒険しよう

つちねこ
ファンタジー
異世界に召喚されて手に入れたスキルは「ガチャ」だった。 それはガチャガチャを回すことで様々な魔道具やスキルが入手できる優れものスキル。 しかしながら、お城で披露した際にただのポーション精製スキルと勘違いされてしまう。 お偉いさん方による検討の結果、監視の目はつくもののあっさりと追放されてしまう事態に……。 そんな世知辛い異世界でのスタートからもめげることなく頑張る主人公ニール(銭形にぎる)。 少しずつ信頼できる仲間や知り合いが増え、何とか生活の基盤を作れるようになっていく。そんなニールにスキル「ガチャ」は少しづつ奇跡を起こしはじめる。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。