スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助

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40 雪山の怪物2

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 少女が逃げて行く。幸也も追いかけるが雪に慣れていないせいで徐々に差が開く。
 森の中なので【エアウォーク】は使えない。

「仕方ない。【紅蓮ぐれんモード】」

 紅い炎をまとい急加速し少女の前に出る。少女は驚いたように目を見開くと、

【出でよ】
【オープン】

 少女が放った氷の槍アイスランスを、幸也はアイテムボックスの【オープン】で収納する。

「えっ!?同じ・・」
「驚かせてすまない。危害を加えるつもりはないんだ」
「えっ!?あっ!はい・・」
「君はこの辺りに住んでいるのかい?」
「・・はい。すぐ近くに集落があります」
「白い魔物について知らないかい?」
「それなら・・お爺様が・・」
「そのお爺様に話を聞いて大丈夫かな?」
「大丈夫だと思います」

 幸也は一旦、フェアラスさん達の所まで戻り少女の住んでいる集落まで歩き出した。
 しかし雪の上は歩きにくい。少女は慣れているためかどんどん進んで行くが、幸也達は遅れがちになる。

「ちょっと待って!もう少しゆっくり・・えーと、名前は?」
「ミヤビです」

(ミヤビ・・日本人みたいな名前だな) 

 ミヤビはペースを落として歩くがそれでも速い。
 しばらく進むと小さな集落が見えてきた。

「シロ!あいつらを蹴散らせ!」
「ワンワンワン!」
「い、犬!?しかも柴犬?!」

 シロと呼ばれる柴犬が幸也達に向かってくる。柴犬は幸也達の前で止まり威嚇を始めた。

「こら!シロやめなさい!」
「くーん、くーん」
「タケル、こちらの方々はお客様よ」
「え?!」

(タケル・・完全に日本人の名前だ)

 タケルとシロは、しょんぼりしながら集落に戻って行く。ミヤビは幸也達を族長の元まで案内してくれた。

「こんな所までよくおいでなさった客人。今日は、どういったご用件で?」
「白い魔物の調査ですにゃ」
「なるほど。アレですか。アレはこの辺りの魔物が突然変異したのです」
「突然変異?!」
「ここより離れたひと気の無い場所に、かつて勇者がある物を封印しほこらを作りました。あの魔物が現れる少し前に祠が壊されてしまったものです」
「その祠に封印した物のせいで突然変異を?」
「おそらく・・・」
「そのある物って何ですにゃ?」
「私も詳しくは分かりません。ただ魔族に関係する物としか・・」

(良かった・・神の魔石の破片と思ったよ。あれはもうこりごりだ。)

 今日はもう祠まで往復するのはキツいとのことで、集落に泊めてもらうことになった。明日の朝一番に案内してくれるらしい。
 族長の家に集まって集落の皆が料理をふるまってくれた。

「ところで、ミヤビは日本人なの?」
「いえ、私とタケルの祖先に日本人がいただけで」
「それってさっき聞いた勇者とか?」
「はい。そうだと思います」
(なるほど。だからスキルがアイテムボックスなのかな?)
「ミヤビのアイテムボックスはレベル上がる?」
「はい。今はLV4です」
「スキル収納まで使えるのか」
「スキル収納ってなんですか?」
「え?!LV4ってスキル収納だよね?」
「はい。でもあまり良く分からなくて・・」
「(スキル収納は、俺も迷ったしな・・)後で教えてあげるよ」
「本当ですかぁ!」

「あー!おまえ。俺の姉ちゃんをたぶらかしやがって!」

「たぶらかし・・」
「こら、タケル。やめなさい。たぶらかされてなんていません」
「だってー。男嫌いの姉ちゃんが隣に座るなんて・・」
「た、たまたまでしょう!」
「(なるほど。タケルはシスコンなのね)ププッ」
「おい、おまえ!何がおかしい!」

 幸也とミヤビの間に座りこんだタケルが料理をガッついて食べている。幸也はすでにこれからの事について考えていた。

(あとは、祠と魔物を確認して報告すれば依頼完了か・・)

「おい!おまえ」
「幸也だ」
「ユキヤは冒険者ってやつなのか?」
「そうだけど」
「魔物と戦ったりするのか?」
「するね」
「強いのかユキヤは?」
「どうだろうね~」
「あまり強そうに見えない・・」
「見た目で判断しない」
「剣とか持ってるのか?」
「まぁ。刀ってやつだね」
「へぇー」
「なに?タケルは姉ちゃんを守る為に強くなりたいって?(ニヤッ)」
「ううう・・」
「暇な時に教えてやるよ」
「本当かぁ!」

 翌朝、出発までの時間にタケルと剣術の稽古をした。10歳前後なのになかなか力が強い。鍛えればいい剣士になりそうかも。

「どうだー?俺は」
「全然ダメだね」
「ううう・・まだまだー」

 案内人ベリルさんに続いて祠のあった場所まで歩いて行く。さすがに顔が痛くなる寒さだ。
 2時間ほど休憩をはさみながら歩くと祠があった場所に着く。
 祠は半分以上崩れてその横には大きな穴が開いている。

「これは・・壊されたというより自然に崩れたみたいだ」
「地盤沈下ってやつですか?」 
「おそらく・・」
「この辺も脆くなってるかもしれませんね?」
「早く戻るですにゃ」

 祠の調査を終えて来た道を戻る。
 祠のことを族長に報告すると、

「やはりですか。ふもとの村に温泉ができてから度々このようなことが・・」
「温泉のせいで?」
「あの温泉はもう枯れかかっているのです。今はもう無理やり魔道具で吸い上げている」
「じゃ温泉を止めないと、また・・」

 頭の痛い話しである。温泉のせいで地盤沈下が起こり、その地盤沈下のせいで魔物が突然変異したと。
 なんて報告するべきか?
 あとは魔物を直接見て確認しなくてはならない。
 しばらくは、この集落にお邪魔させてもらうことになるのか。
 幸也達は族長にしばらく泊めてもらいたいとお願いすると快く返事をしてくれた。
 お礼にアイテムボックスから熱々の料理とお金を差し出すと、お金の方はいらないという。
 料理の方はとても喜んでもらえた。

「ミヤビ。スキル収納とは他人のスキルを使えるようになるんだよ」
「他の人の?!」
「そう。他の人の体の一部を念じながら収納してごらん」
「体の一部って、なんでもいいんですか?」
「まあ髪の毛とか楽かも」

 ミヤビは集落の人から髪の毛をもらってスキル収納してみる。

「きゃ!本当にスキルが・・」
「3つまでだからね。3つ以上からはいらないスキルに上書きするといい」
「すごいです。今までは他の人の魔法を収納させてもらって使っていたのに、これからは自分で使えるなんて」

「おい、ユキヤ!こっちも早く教えてくれよー。早く早くー」

 懐くの早すぎだろ、タケル。
 シロが遊んでもらえないから不満な顔してるぞ。
 あっ!シロのやつ、こっちに向かってオナラしたぞ!完全にスネてる・・。
 本当にごめんよ。シロさん・・・。

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