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第20章 女神降臨編
第306話 女神の神託
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女神フィリアが天界へ戻った翌日、フィリア教を国教とする国々に神託があった。
神官たちが朝の礼拝で祈りを捧げていると、眩い光に包まれた女神フィリアが中空に現れ、直接神託を下したと言うのだ。
女神フィリアからの神託など前代未聞のことである。
神託を要約すると下記のような内容であった。
①女神フィリアの下僕である暗黒竜が、短慮を起こし神域内の『水と星の里』を尽く破壊し、世を不安に貶いれた罪により神罰を下した。
②女神フィリアを始めとする女神39柱が天界から降臨し、復興した『水と星の里』に逗留して、温泉に入り休養した。
③女神一行を美酒佳肴・歌舞音曲で持て成した功績により、『水と星の里』の主であるカイト・シュテリオンベルグに神域全体の統治を委ねることとした。
④この神託を老若男女、貧富貴賤問わず信者に広め、志ある者は神域に巡礼せよ。
さすれば女神の祝福が与えられるであろう。
この神託を神官から聞いた各国のフィリア教信者が騒然となったのは言うまでもない。
女神フィリアの『神託』は、オレにもメールで伝えられたが、その内容を見て思わず苦笑してしまった。
暗黒竜のせいで閑古鳥が鳴くアクアスター・リゾートに何とか客を戻そうと、女神フィリアなりに気を使ってくれているのが良く分かったからだ。
メールには、オレに対する指示が書かれていた。
1.神託が諸国に広がればアクアスター・リゾートには宿泊予約が殺到するであろう。
2.それとは別にフィリア教を信仰する諸国から聖地巡礼と称し、多数の信者が神域を訪れるであろう。
3.その際には下記を聖地巡礼の地とすると良い。
①ミラバス湖畔の大神殿(フィリアを含む39柱の女神像あり)
②ミラバス湖畔の女神の湯(入浴可/男女別の露天風呂)
③ミラバス湖畔の女神の庭園(年中枯れることのない広大な庭園)
④ミラバス山麓の女神の泉(ミラバス山の伏流水が湧き出す泉)
⑤ミラバス山麓の女神の滝(ミラバス山の伏流水が湧き出す滝)
⑥ミラバス山麓の女神の清流(ミラバス山の伏流水が流れ出す川)
⑦ミラバス山麓の女神の森(ミラバス山の伏流水が流れ出す森)
4.神域に入場する者から入場料(小銀貨2枚=2千円)を徴収せよ。
入場料は聖域の維持管理費として使うこと。お布施も同様とする。
5.大神殿の建築データ送るのでMOGで製作し、所定の場所に設置せよ。
6.39柱の女神像は異世界宅配便で届ける。
7.観光を兼ね聖地巡礼に大勢の信者が訪れるあろうから、次を用意せよ。
①宿泊施設
②飲食店
③土産物店
④道路の整備
⑤交通手段の提供
⑥観光案内所
⑦聖地入場ゲート
⑧国境検問所
⑨その他
8.上記に記述の無いことは、その都度領主(カイト)が決めて良い。
このような内容がサラッと書かれているが、これらを実現するのは並大抵なことではない。
特に宿泊施設や飲食店など何も無い所に作るのは、街を1から作るのと同じである。
第一、そこで働く従業員も居ないから、その手配や教育など準備することを数え上げれば枚挙に暇がないほどだ。
土産物店はアスナと相談するとして、宿をどうするかだ。
最初から大箱のホテルを建てても、コンスタントに客が入るかどうか今のところ不明である。
それに信者が食事する飲食店も必要だ。
出来ればアットホームな感じがいいだろうと考えていると、オレに1つのアイデアが浮かんだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オレは領主邸のビーナスラウンジに婚約者7名と主要スタッフを集めて女神フィリアからの神託の内容を説明した。
「えぇ~!、そんな大事になってたの?」
ジェスティーナは、予想もしない事態になったことを心配していた。
「そうなんだよ、建物建てたり、国境検問所作ったり、色々と準備しないとならないからなぁ、人の問題も有るし…」
「それよりもカイト、まずは陛下への説明が先じゃない?
今頃、陛下にも神託の内容が伝わってる筈だから、きっと王宮も大騒ぎになってるわよ。
他から色々な情報入って誤解するかも知れないし、余計な詮索されたくないでしょ」
女神フィリアから小国とは言え、独立国家を任されたのも同然なのだから、ジェスティーナの心配も当然だ。
「そうだなぁ、陛下に会って詳しいことを説明しないとな…。
それじゃ、これから行こうか」
オレはジェスティーナ、アリエス、フローラの3人の王女を伴い、ゲートを使ってフローリア王宮へ移動した。
謁見の間に入ると、クラウス国王は娘たちが3人揃って訪れた事が嬉しいようで、上機嫌でオレたちを迎えた。
「おう、4人揃って儂に会いに来るとは珍しいのう。
ふ~む、察するにあの話をを説明しに来たのだな…」
国王は既にオレたちが来た目的を察していた。
「陛下、それは女神フィリア様の神託のことですね」
「そうじゃ、今しがた、王宮の神官長が内容を知らせてくれたのじゃ」
「さすがに、情報が早いですね。
内容は既にご存知と思いますので、私からは女神フィリア様の真意をご説明致します」
オレは、女神フィリアが降臨した本当の理由を国王に説明した。
事の発端は、オレたちが地下を採掘し、暗黒竜の眠りを邪魔したことで目を覚まし、ドラゴンは怒り狂ってアクアスター・リゾートを破壊したこと。
その短慮を諫めるために女神フィリアが神罰『雷束』を下し、その影響でアクアスター・リゾートは完膚無きまで破壊されたこと。
その事に責任を感じた女神フィリアは、修復の専門チームをアクアスター・リゾートへ派遣し、2ヶ月の短期間で修復してくれたこと。
しかし、暗黒竜が暴れたことによる風評被害で、リゾートの予約が全く入らなくなり、困り果てたオレが女神フィリアに相談したこと。
女神フィリアが、風評被害解消を目的に配下の女神たち一行39名を引き連れてアクアスター・リゾートに1週間逗留してくれたこと。
オレは美味しい料理や旨い酒、毎晩違うステージショーで歓待し、女神たちは大満足してくれたこと。
オレたちの接待が甚く気に入った女神フィリアから、神域全体の統治を委任されたこと。
アクアスター・リゾートに客が戻るように神託を下し、女神降臨の地のお墨付きをもらったこと。
新たに統治を任された神域の振興策として、諸国から聖地巡礼を受け入れ収益化することまで考えてくれたこと。
聖地巡礼のための道路整備、宿泊施設、飲食店、土産物屋、国境検問所などをオレが早急に用意しなければならないことを説明した。
黙ってオレの話を聞いていた国王は、納得が行ったと言う表情だった。
「なるほどのう、カイト殿の説明で、女神様の真意が良~く分かったぞ。
しかし、これでカイト殿も1国の主となったわけじゃのう。
言わば儂と同じ立場と言う訳じゃ…
責任重大じゃが、儂たちとはこれからも今まで同様に宜しく頼むぞ」
「はい、それは勿論です」
3人の娘の近い将来の伴侶であり、公爵位を叙爵したクラウス国王の臣下でもあるのだから、当然のことである。
「それはそうとカイト殿、いつ儂を新しいリゾートに招待してくれるのだ?」
既に国王の興味は、エメラルド・リゾートに移っていた。
「はい、近々ご招待いたしますので、今暫くお待ち下さい」
オレは、所用があると3人の王女を国王の話し相手に残し、謁見の間を後にした。
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①女神フィリアの下僕である暗黒竜が、短慮を起こし神域内の『水と星の里』を尽く破壊し、世を不安に貶いれた罪により神罰を下した。
②女神フィリアを始めとする女神39柱が天界から降臨し、復興した『水と星の里』に逗留して、温泉に入り休養した。
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暗黒竜のせいで閑古鳥が鳴くアクアスター・リゾートに何とか客を戻そうと、女神フィリアなりに気を使ってくれているのが良く分かったからだ。
メールには、オレに対する指示が書かれていた。
1.神託が諸国に広がればアクアスター・リゾートには宿泊予約が殺到するであろう。
2.それとは別にフィリア教を信仰する諸国から聖地巡礼と称し、多数の信者が神域を訪れるであろう。
3.その際には下記を聖地巡礼の地とすると良い。
①ミラバス湖畔の大神殿(フィリアを含む39柱の女神像あり)
②ミラバス湖畔の女神の湯(入浴可/男女別の露天風呂)
③ミラバス湖畔の女神の庭園(年中枯れることのない広大な庭園)
④ミラバス山麓の女神の泉(ミラバス山の伏流水が湧き出す泉)
⑤ミラバス山麓の女神の滝(ミラバス山の伏流水が湧き出す滝)
⑥ミラバス山麓の女神の清流(ミラバス山の伏流水が流れ出す川)
⑦ミラバス山麓の女神の森(ミラバス山の伏流水が流れ出す森)
4.神域に入場する者から入場料(小銀貨2枚=2千円)を徴収せよ。
入場料は聖域の維持管理費として使うこと。お布施も同様とする。
5.大神殿の建築データ送るのでMOGで製作し、所定の場所に設置せよ。
6.39柱の女神像は異世界宅配便で届ける。
7.観光を兼ね聖地巡礼に大勢の信者が訪れるあろうから、次を用意せよ。
①宿泊施設
②飲食店
③土産物店
④道路の整備
⑤交通手段の提供
⑥観光案内所
⑦聖地入場ゲート
⑧国境検問所
⑨その他
8.上記に記述の無いことは、その都度領主(カイト)が決めて良い。
このような内容がサラッと書かれているが、これらを実現するのは並大抵なことではない。
特に宿泊施設や飲食店など何も無い所に作るのは、街を1から作るのと同じである。
第一、そこで働く従業員も居ないから、その手配や教育など準備することを数え上げれば枚挙に暇がないほどだ。
土産物店はアスナと相談するとして、宿をどうするかだ。
最初から大箱のホテルを建てても、コンスタントに客が入るかどうか今のところ不明である。
それに信者が食事する飲食店も必要だ。
出来ればアットホームな感じがいいだろうと考えていると、オレに1つのアイデアが浮かんだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オレは領主邸のビーナスラウンジに婚約者7名と主要スタッフを集めて女神フィリアからの神託の内容を説明した。
「えぇ~!、そんな大事になってたの?」
ジェスティーナは、予想もしない事態になったことを心配していた。
「そうなんだよ、建物建てたり、国境検問所作ったり、色々と準備しないとならないからなぁ、人の問題も有るし…」
「それよりもカイト、まずは陛下への説明が先じゃない?
今頃、陛下にも神託の内容が伝わってる筈だから、きっと王宮も大騒ぎになってるわよ。
他から色々な情報入って誤解するかも知れないし、余計な詮索されたくないでしょ」
女神フィリアから小国とは言え、独立国家を任されたのも同然なのだから、ジェスティーナの心配も当然だ。
「そうだなぁ、陛下に会って詳しいことを説明しないとな…。
それじゃ、これから行こうか」
オレはジェスティーナ、アリエス、フローラの3人の王女を伴い、ゲートを使ってフローリア王宮へ移動した。
謁見の間に入ると、クラウス国王は娘たちが3人揃って訪れた事が嬉しいようで、上機嫌でオレたちを迎えた。
「おう、4人揃って儂に会いに来るとは珍しいのう。
ふ~む、察するにあの話をを説明しに来たのだな…」
国王は既にオレたちが来た目的を察していた。
「陛下、それは女神フィリア様の神託のことですね」
「そうじゃ、今しがた、王宮の神官長が内容を知らせてくれたのじゃ」
「さすがに、情報が早いですね。
内容は既にご存知と思いますので、私からは女神フィリア様の真意をご説明致します」
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その事に責任を感じた女神フィリアは、修復の専門チームをアクアスター・リゾートへ派遣し、2ヶ月の短期間で修復してくれたこと。
しかし、暗黒竜が暴れたことによる風評被害で、リゾートの予約が全く入らなくなり、困り果てたオレが女神フィリアに相談したこと。
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オレは美味しい料理や旨い酒、毎晩違うステージショーで歓待し、女神たちは大満足してくれたこと。
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「はい、それは勿論です」
3人の娘の近い将来の伴侶であり、公爵位を叙爵したクラウス国王の臣下でもあるのだから、当然のことである。
「それはそうとカイト殿、いつ儂を新しいリゾートに招待してくれるのだ?」
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