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第17章 フォマロート王国救国編

第253話 踊る銀ねこ亭での打ち上げ

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「実はオレ、女将に伝えなきゃならないことがあって…」
 オレは、ひと呼吸置いて女将に打ち明けた。
「マリンがオレの女になったんだ」

「あ~、その話ならマリンから聞いたよ。
 今や飛ぶ鳥落とす勢いの伯爵さまの愛妾おめかけさんだなんて、一生食いっぱぐれないねぇって、マリンと話してたんだよ。
 マリンもカイトさんのこと、大好きだから嬉しいって素直に喜んでたよ」

「そ、そうなんだ…」

「そう言えば、トリンちゃんも…愛妾おめかけさんなんだってねぇ…
 カイトさん、いったい何人愛妾おめかけさん、居るんだい?」

「え~っと、サクラ、リーファ、リオナ、トリン、マリン、レイチェル、ナツナ、ミナモの8人に、あと婚約者が6人かな」

「えぇ~っ、そんなに……!」

 その時、マリンたち女性陣一行が、元気よく扉を開けて入ってきた。
「ただいま~」とマリンが
「女将さん、おじゃましま~す」とトリンが
「ご無沙汰してま~す」とリオナが
 挨拶しながらドヤドヤと入ってきた。

「おやおや、今日も別嬪さんばかりだね~」
 今日のメンバーは『花の女神のパレード』に女神役で登場した7人(リオナ、マリン、トリン、エレナ、フローラ、アリエス、ジェスティーナ)と、それを見物に来たサクラ、アスナに加え、新たにオレの婚約者フィアンセとなったリアンナ王女とその妹のレイナ王女である。

 それに護衛の10名(ステラ、セレスティーナ、リリアーナ、フェリン、アンジェリーナ、レイフェリア、レクシア、ジュリアーナ、アストレア、ルーシア)の合計21名にオレを加えた総勢22名で打ち上げを行うのだ。

「女将、紹介するよ。
 こちらは、フォマロート王国のリアンナ王女殿下、今度女王に就任する予定だ」

「じょ、女王さま!?」
 女将は目を白黒させて驚いた。

「女将さん、この度カイト様の婚約者フィアンセになったリアンナです、宜しくお願いします」

「こ、こ、こ、こちらこそ…
 よよ、宜しく、お頼み申し上げ奉ります」
 女将は緊張の余り、言葉が滅茶苦茶であった。

「えっ、この方もカイトさんのお嫁さんになるのかい!」とオレの袖を引っ張り小声で聞いた。

「そうだよ。
 それと彼女がフローラ王女」

「えっ、えっ、も、もしかして、第一王女のフローラ殿下さまですか!」

「はい、そのフローラです。
 私もカイトさんの婚約者フィアンセなんですよ。
 銀ねこ亭さんのお料理が、とても美味しいってジェスティーナから聞いたので、ぜひ来てみたかったんです」
 そう言ってフローラは女将に微笑んだ。

「そ、そんな、勿体ないお言葉、きょ、恐縮でございます」

「さあ、挨拶はまた後にして…
 オレ、お腹ペコペコなんだよ」

「そ、そうだね。
 それじゃ、お料理出そうかね。
 マリン、手伝っておくれよ…」

「はーい」

「私も手伝う~」
 そう言ってトリンとリオナが席を立った。

「私も~」
 ジェスティーナが後に続こうと立ち上がったが、それを見た護衛たちが王女を制し、代わりに数人が厨房へ手伝いに行った。
「お、お待ち下さい。
 殿下、私共が致しますので、お座りになって下さい」
 護衛のリーダー格であるセレスティーナが冷や汗を掻きながらそう言った。

「え~、私も手伝いたかったのに~」
 ジェスティーナは、残念がっていたが、護衛達の面子も有るだろうと諦めた。

 その日は、店内にある4人がけのテーブルを6卓くっ付けて作った細長い席の両側に適当に座って貰った。
 テーブルには『踊る銀ねこ亭』の美味しそうな料理が所狭しと並べられた。
 それぞれが自分の好みの飲み物を注文して、乾杯の準備が整うと、全員がオレの方を見た。

 どうやら乾杯をオレにやれと言うことらしい。
「それじゃ、乾杯しよう。
 花の女神のパレードの無事成功と、オレ達のファミリーにリアンナ王女が加わった事を祝って、カンパーイ!」

「カンパーイ!」
 いずれ劣らぬ美女達21名がオレの乾杯に合わせて杯を重ねた。

「女将も一緒に飲んだらいいのに」とオレが言うと、マリンが女将を呼びに行ってくれた。
 近い将来、女将はオレの義母になるのだから仲間外れは可哀想だ。

 最近仲間になったメンバーも多いので、一人ずつ自己紹介してもらう事にした。
 しかしジェスティーナの発案で、オレに一言要望を言うという変なルールが追加され自己紹介が始まった。
「ジェスティーナです。
 この国の第3王女やってます。
 カイトの最初の婚約者です。
 大分待たされたので、そろそろ結婚したいでーす」

「アスナです。
 バレンシア商会の副当主とカイトのビジネスパートナーやってまーす。
 カイトの2番目の婚約者です。
 私もそろそろ結婚式挙げたいです」

「アリエスです。
 ソランスター王国第2王女です。
 カイトの3番目の婚約者です。
 私も早く結婚してカイトの赤ちゃんが欲しいでーす」

「サクラです。
 カイト様の秘書とアクアスタープロダクションの社長やってます。
 最近忙しすぎて、カイト様と会えないので、たまには2人っきりの時間が欲しいです」

「フローラです。
 この国の第1王女です。
 カイト様の4番目の婚約者です。
 今の所、特に決まった役目が無いので私も何かお仕事したいでーす」

「リアンナです。
 フォマロート王国の第1王女です。
 カイト様の6番目の婚約者です。
 新参者ですが宜しくお願いします。
 カイト様にひと言ですか?…
 ん~、国の復興と産業活性化の件、どうか宜しくお願いします」

「レイナです。
 フォマロート王国第2王女です。
 リアンナ姉様の妹やってます。
 カイト様、私をサルーテ将軍からお救いいただきありがとう御座います。
 姉を末永く宜しくお願いします」

「トリンです。
 カイト様の従者兼愛人です。
 アクアスターリゾートで錬金術師と錬金工房長もやってまーす。
 それとASR39のサブセンターもやってまーす。
 カイト様に一言?
 ん~、もっとたくさんHして欲しいです」

「エレナで~す。
 アルテオン公爵家の長女で~す。
 カイト様の5番目の婚約者で~す。
 特技はハニートラップです、てへっ!
 私もカイト様にもっとHして欲しいで~す」

「リオナで~す。
 アイドルやってま~す。
 歌って踊れるメイド兼ASR39のメインセンターです。
 私もカイト様にもっと愛されたいで~す」

「マリンです。
 躍る銀ねこ亭の娘です。
 ASR39のサブセンターとアクアスターリゾートの専属客室係バトラーも兼務してま~す。
 カイト様、末永く宜しくお願いしま~す」

「えっ、私もやるのかい?
 しょうがないね~…
 ま、マリアで~す。
 踊る銀ねこ亭の女将とマリンの母やってま~す。
 カイトさん、マリンを末永く宜しくお願いしま~す。
 あと、銀ねこ亭も宜しく~」

「母さん、ひと言だってばぁ」

「あ、ごめんごめん」

 こうして、護衛の女性戦士ヴァルキリー10名も含め、全員の自己紹介が終わった。
「えっ、カイトは自己紹介しないの?」
 ジェスティーナが不満そうに言った。
「そうよそうよ、私たち全員自己紹介したのに…、1人だけズルいわよ」
 アスナもその意見に同調した。

「はいはい、オレも自己紹介すればいいんだな、分かりました。
 カイトでーす。
 今は伯爵と領主やってまーす。
 あと大臣もやってまーす。
 え~っとそれから、色々な会社の役員やってまーす。
 後は、ジェスティーナ、アスナ、アリエス、エレナ、フローラ、リアンナの婚約者です。

「ちょっと待って……
 、って言ったわよね?
 カイト、もしかして陞爵しょうしゃくするの…」
 ジェスティーナは、オレの言葉尻を聞き逃さなかった。

陞爵しょうしゃくって何ですか?」
 トリンが言葉の意味を聞いた。

「爵位が上がるってことよ」

「へ~、そうなんですか?、カイト様」

「ん~、陛下から他言無用って言われたんだけど、明日発表だし、身内だから、いいか……
 ジェスティーナの言う通り、オレは明日の晩餐会で、陛下から褒賞を受けるんだが、その時に陞爵しょうしゃくが発表される予定なんだ」

「それじゃ侯爵マーキス?、それともまさか…」

「そう、そのまさかだ」

「え~っ!、公爵デュークなんて凄いじゃない」
 その場にいた全員は、我が事のように喜んだ。

「と言うことは…、領地とか王都屋敷も付いて来るわけね」
 そう言ったのはフローラであった。

「大出世じゃない、お祝いしなきゃ」
 アリエスも嬉しそうだ。

「みんな~、もう1回乾杯よ~!」
 アリエスが音頭を取って、もう1度乾杯する事となった。

「カイトの公爵陞爵しょうしゃくを祝って、カンパーイ!」
 あちこちで杯を重ねる賑やかな音が鳴り響いた。

「カイトさんが公爵様に…」
 女将は驚きの余り、暫く放心状態であった。
「ま、マリン、カイトさんを絶対手放すんじゃないよ!
 こうなりゃ、大盤振る舞いだ。
 今日は、あたしの奢りだよ~。
 何でも好きなもの、頼んどくれ~」

「やったー!」
 トリン達食べ盛りの女子達は、その言葉を聞き、大喜びだった。
 女将は上機嫌で、頼んでもいない王都の名物料理や、普段は提供していない秘伝の酒を振る舞ってくれた。

「今回は、それだけの働きをしたんですから…
 公爵位に異論を唱える人は居ないはずです」
 サクラが感慨深げに言った。

「カイト!
 貴族の最高位『公爵』に陞爵しょうしゃくするってことは…
 つまり、婚礼の儀を行う支障が無くなったって言うことよね」
 ジェスティーナは詰問調でオレに詰め寄った。

「そ、そう言う事になるかな」

「じゃあ、婚礼の儀はいつにする?」
 6人の婚約者フィアンセはオレに詰め寄った。

「う~ん、それは陛下と調整しないと決められないなぁ」

 その日は深夜まで色々な話に花が咲き、オレたちは女将のご好意に寄り、全員銀ねこ亭に泊めて貰った。
 貸切で予約と言うことは、宿も貸切にしなければならないと言う事をオレは後から知り恐縮した。
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