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第17章 フォマロート王国救国編

第245話 フローラとエレナの専属護衛

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 オレの4人目の婚約者であるフローラは、ソランスター王国第1王女にして王位継承権2位の王族である。
 そして5人目の婚約者に決まったエレナは、王弟であるアルテオン公爵家の長女にして王位継承権第6位の王族である。
 また既にオレの婚約者であるアリエスは、ソランスター王国第2王女にして王位継承権第3位、ジェスティーナは、ソランスター王国第3王女にして王位継承権第4位の王族なのだ。

 つまり、王位継承権第1位のマリウス王子に不測の事態があり、王位を継げないとなれば、かなりの高確率でオレの嫁になる女性が王位を継ぐことになるのだ。
 もし国王の配偶者となれば、即ちそれは莫大な権力を手中にしたのと同意義語であるが、オレにそんな野心はないし、それに付随する諸々のしがらみに縛られるのは面倒臭さそうで嫌なのだ。

 第1王子のマリウスは今年15歳で、来年はいよいよ王太子となる。
 3人の姉に隠れて目立たないキャラであるが、基本スペックはかなり高い。
 絶世の美女と呼ばれる3人の王女の弟であるから、眉目秀麗にしてオレさえ足元にも及ばない超絶イケメンなのだ。
 しかも、頭脳明晰で王立学園高等部トップの成績であり、将来玉の輿に乗りたいと思っている貴族の子女が虎視眈々と狙っているのだ。
 やや内向的な優しい性格で、もう少し雄々しく育って欲しいと、国王は愚痴っているが、オレはそんな心配はいらないと思っている。

 そんなマリウス王子の婚約が決まった。
 相手はアプロンティア王国第1王女のセリーナである。
 両国は、今回の侵略戦争を機に一層良好な信頼関係を築こうと、レオニウス国王がクラウス国王に相談を持ちかけ、双方合意したのだ。
 セリーナ王女の輿入れは来月になるとのことである。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 フローラとエレナがオレの婚約者となり、アクアスターリゾートで一緒に生活することとなり、2人に女性の護衛が付くことが決まっていた。
 今回も全員、聖騎士隊所属の現役女戦士ヴァルキュリーである。
 エレナの引っ越しが終わり、今日はその4人がオレに挨拶に来たのだ。

 アクアスター・リゾート11階のダイニング・ラウンジで、これから一緒に暮らすこととなるアリエスとジェスティーナ、もう一人の婚約者フィアンセであるアスナと秘書のサクラ、既存の護衛6名(ステラ、セレスティーナ、リリアーナ、フェリン、アンジェリーナ、レイフェリア)も同席した。

 ラウンドフォルムの大きなテーブルの周りに17名が腰掛けた。
 男はオレ1人だけで、あとの16名は全員女性、しかも若くてキレイな美女ばかりと言うのだから、正にハーレム状態である。

「みんな、紹介するわね。
 私の護衛になったレクシアとジュリアーナよ」
 フローラ王女が紹介した。

「皆様、フローラ王女殿下の専属護衛として本日着任致しましたレクシア・スタージェスと申します」

「同じくフローラ王女殿下の専任護衛を努めますジュリアーナ・レイシスと申します」
 2人は聖騎士隊の制服である白のアーマースーツに身を包み、起立して深々と頭を下げた。

「次は私の番ね。
 私の護衛のアストレアとルーシアです」
 エレナが皆んなに紹介した。

「エレナ公爵令嬢の専属護衛として本日着任致しましたアストレア・レーベンハウトと申します」

「同じくエレナ様の専任護衛を努めますルーシア・ガーランドと申します」

「本日より、どうぞ宜しくお願い致します」
 2人は、白のアーマースーツに身を包み、深々と頭を下げた。
 
「はい、こちらこそ宜しくね。
 それじゃ、折角だから皆んなで昼飯食べながら話をしようか」
 オレが合図すると、ソニアと数名のメイド達が豪華料理を運んできた。
 今日はイタリアンのアラカルトメニューだ。
 ズワイガニのパスタ、生ウニのパスタ、4種のチーズのピザクワトロフォルマッジ、マルゲリータピザ、トマトソースのニョッキ、オリーブと野菜のピクルス盛り合わせ、プロシュートと自家製グリッシーニ、スズキのアクアパッツァ、エビのアヒージョ、モッツァレラチーズのカプレーゼ、新鮮野菜のバーニャカウダ、ミネストローネ、ブルスケッタなど16種類の料理が所狭しと並べられた。

 新しくメンバーに加わった護衛4名は、次々に運ばれてくる豪華料理に目を見張った。
「こんな豪華な料理、滅多に食べられません」
 これが昼食だと言うのだから、夕食はどれくらい豪華なのだとアストレア・レーベンハウトは驚いていた。
 彼女は根っからの食いしん坊なのである。

 昼間なので、ノンアルコールドリンクで乾杯し、会食が開始された。

「カイト様、アストレアのお兄さんは、情報省に勤めているんですよ」とエレナが教えてくれた。

「え、もしかして…」
 オレは事前に配られた資料を見なおした。
 そこには、アストレアの兄は情報省特務本部長を務めていると書かれていた。
「へ~、キミはシラー・レーベンハウトの妹だったんだ」
 シラーは25歳の優秀な男で情報省の特務本部のトップであり、切れ者として皆から一目置かれている人物だ。

「はい、兄は以前、軍務省に勤めておりましたが、情報省創設の際に移籍したのです」

「なるほど、今後とも宜しく頼むね」

「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
 アストレアは、ピザを口いっぱいに頬張りながら答えた。

 資料を見ると他にも知った名があった。
 スタージェス、レイシス、ガーランド、何れもソランスター王国軍の将軍の名字ではないか…

「カイト様、ジュリアーナは私の末の妹ですのよ」
 そう言ったのは、セレスティーナ・レイシスであった。
 ジュリアーナはレイシス将軍の娘にして、セレスティーナとアンジェリーナの妹だったのだ。
 そう言えば、顔立ちが2人の姉によく似ている。

「なるほど、どこかで見たような気がしたんだが、セレスティーナとアンジェリーナの妹だからか、納得したよ。
 それにしても、レイシス将軍の娘さんに3人も来て貰って、なんか申し訳ないな」

「カイト様、王族の護衛に選抜されるのは、とても名誉なことですのよ。
 それに王族の護衛に成りたくても、成れない人もたくさんいるんですから…」
 とセレスティーナが言った。

「そうです」
 そこで話に入ってきたのはレクシア・スタージェスであった。
「私は前回、前々回と落選して、今回ようやく護衛に選ばれました。
 これで、ようやくスタージェス家の面目が保てたと、父が安堵しておりました。
 それは、ガーランド将軍の娘である、ルーシアも同じだと思います」

「はい、その通りです。
 私の父も、私がエレナ様の護衛に選ばれたと聞いて、号泣しておりました」
 ルーシアは幸せそうな顔でパスタを頬張りながら言った。

「ふ~ん、なるほどねぇ。
 見えないところで熾烈な争いがあるんだなぁ」
 王族の護衛になることが、これほど名誉なこととは、思いもしなかった。
 
「はい、少々下世話ではありますが、実は家の名誉のためだけではありません。
 王族の護衛に選ばれることは、将来を約束されたのと同意義語なのです。
 任期を無事勤め上げれば、官公庁や王宮の管理職の地位は約束されていますし、気に入られれば、将来的に王族や高位貴族の側妃に収まる可能性もあるのですから」
 一番年長の護衛であるセレスティーナが教えてくれた。

 以前、アリエスの護衛であるアンジェリーナとレイフェリアと話した時に、聖騎士隊に入ることは、女性の出世コースだと聞かされたが、それの上位版ということか。
 なるほど、それで王族の護衛が人気があり、狭き門なのも納得できた。

 美味しい食事で腹が満たされてくると、新任の護衛4名も緊張感から解き放たれて、あちこちで雑談に花が咲いていた。

 その中で、リリアーナが何気なく言った一言が皆んなの注目を集めた。
「そう言えば、あなたたち今夜が初めての忠誠の儀になるわけね…」

「リリアさん、初めての時って痛かったですか?」
 そう聞いたのは、16歳のルーシア・ガーランドであった。

「初めての時?
 そうね、最初、少しだけね。
 でも、聖騎士隊で受けた訓練に比べれば、どうってことないわよ」

「わ、分かりました…
 私、頑張ります!」
 と言ってルーシアは両手を握りしめ気合を入れた。

 それを聞いていた周りのみんなは笑いを堪えていた。
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