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第15章 アプロンティア王国編

第214話 リアンナ王女の歓迎夕食会

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 その夜、リアンナ王女一行を歓迎する夕食会が、11階のダイニングラウンジで行われた。

 リアンナ王女と妹のレイナ王女、従姉妹のクリスティーナ公爵令嬢の3名が出席し、主催側は、オレの他アリエス王女とジェスティーナ王女が出席した。

 フォマロート王国の美少女3人は、色違いのAラインカクテルドレスを着ていた。
 リアンナはロイヤルブルー、レイナは鮮やかなピンク、クリスティーナはオレンジ色のドレスである。
 胸元は控えめに開いている程度であるが、3人共十分な胸の大きさで、爽やかなお色気を感じさせた。

 対するアリエスは、自分のテーマカラーである鮮やかな黄色、ジェスティーナはスカイブルーのカクテルドレスであるが、二人とも肩と胸元が大きく開いた眼のやり場に困るセクシーなドレスである。
 それでもスタイル抜群の2人が着ると、自然に着こなすのだから大したものだ。

 色とりどりのドレスに身を包み、ドレスアップした美少女5人が揃い、会場の雰囲気は華やいだ。

「本日は、このような席を設けていただき、誠にありがとうございます」
 主賓であるリアンナ王女が謝意を述べた。

「いえいえ、急でしたので十分な準備は出来ませんでしたが、今ご用意出来得る限りの食材を揃えましたので、存分にお食事をお楽しみ下さい」

 今日の食材は、飛行船の定期便で運んだシュテリオンベルグ伯爵領の海の幸と、セントレーニアのアルカディア牧場の新鮮な牛肉を使用した料理を用意していた。
 メイド長のソニアが短時間の内に用意してくれたのだ。

 レイナとクリスティーナはレモネードで、その他はアクアスターワイナリーのスパークリングワインで乾杯した。

 メイド達が一斉に料理を運んでくると歓声が上がった。
 ロブスターの香草焼き、鯛の岩塩焼き、ズワイガニのスチーム、平目のアクアパッツァ、サーモンとアボガドのカルパッチョ、シーフードパエリア、カプレーゼ、ポタージュスープ、シャトーブリアンのステーキなどメイン食材が並べられた。

 その他に7種類のカットフルーツ盛り合わせ、12種類のプチケーキ、5種類のジェラート、チョコレートフォンデュなど、女子が喜びそうなデザートメニューが多数用意されていた。

「見て見てリアンナ姉さま、見たこともない美味しそうな料理ばかりよ。
 どれも美味しそうで、私どれから食べたらいいか決められないの…」
 レイナとクリスティーナは、テーブルに並べられた宝石のような色とりどりの料理に目を輝かせた。

「レイナ、クリスティーナも、はしたないですよ。
 王族としての礼儀作法を忘れたのですか?」

「慌てなくても、たくさんあるから大丈夫よ」
 ジェスティーナは微笑みながら、少し年下の少女たちに声をかけた。

 メイド達が少女たちに付きっきりで、希望の料理を取り分けてくれた

「わたし、こんなに新鮮で美味しい魚介料理食べた事ありません。
 この牛肉もとても柔らかくて、それに絶妙な焼き加減で、こんなに美味しい牛肉も食べたことがありません」
 リアンナ王女は、最高の褒め言葉で料理の感想を述べた。

「お褒めの言葉ありがとうございます。
 これらの食材は、私の所領であるシュテリオンベルグ伯爵領の特産品です」
 オレはサンドベリア海の豊かな水産資源とセントレーニアの牧畜と農産物の話をした。

「え、シュテリオンベルグ伯爵の所領は、ここ以外にもあるのですか?」

「はい、国王陛下からソランスター王国南東部にある領地を拝領したのです」
 オレはシュテリオンベルグ伯爵領を拝領するまでの経緯いきさつを簡単に説明した。

「なるほど、伯爵も苦労されているのですね…」

「まあ、苦労と言うほどでもありませんが、成り行きで色々と大変だったのは確かです」

「でも、カイトって、転んでもタダじゃ起きないんですよ」とアリエスが言う。

「そうそう、色々なことに巻き込まれるけど、的確に問題解決して陛下からご褒美もらっちゃうんですから」とジェスティーナが合いの手を入れる。

「そうなんですか?」

「いやぁ、今までは、単に運が良かっただけですよ」

「へ~、そんなに頼もしかったら、女性が惚れちゃうのも解る気がします」
 そこで少し間を置いてリアンナ王女はこう言った。
「あの~、失礼なことを申し上げても宜しいですか?」

「えっ?、失礼なことって何ですか?」

「実は私、シュテリオンベルグ伯爵は、女っ垂らしのプレイボーイだと思っていたのです。
 ソランスター王国の王女を、それも絶世の美女をお二人も婚約者フィアンセにされてるなんて…
 きっととんでも無い手練手管てれんてくだ篭絡ろうらくされたのだと思っていたんです。
 でも、今のお二人の話を聞いて分かりました。
 女性が惚れちゃうくらい頼もしくて、それに優しいし、気遣いも抜群でこんなに素敵な方だったら、どんな女性でも虜になっちゃいますね」

「う~ん、それは褒められているのか、貶されているのか」

「え~、褒めているに決まっていますよ…」
 そう言いながら、リアンナ王女は自分の発した言葉に顔を赤らめた。

「あれ、ひょっとして…
 リアンナ王女もカイトに惚れちゃいました?」とアリエスが言った。

「えっ、そんなことありません…」
 そう言いながら、リアンナ王女は更に顔を赤くした。

 その時、ちょうどピアノの音色が響いてきた。
『癒やしの天使』レイチェルのピアノ演奏が始まったのだ。
 オレが今日の夕食会に弾いて欲しいとリクエストしていたのだ。

 レイチェルは、清楚な純白のカクテルドレスに身を包み、背中までの黒髪ポニーテールがよく似合う、癒し系の美少女である。
 レイチェルがオリジナル曲を5曲ほど弾くと、女性陣はうっとりと聞き入っていた。
 曲が終わると、全員が立ち上がり拍手した。
 レイチェルは拍手に答えて、椅子から立ち上がり丁寧にお辞儀した。

 拍手が収まると、ステージ奥から天才ボーカリストのアイリス・リーンが登場した。
 アイリスは真紅のドレスに身を包み、レイチェルのピアノ伴奏で自ら作詞作曲したオリジナル曲を披露した。
 彼女は、美脚モデルのような綺麗な脚、細身ながらも理想的なボディライン、背中までの金色のポニーテールが良く似合う超絶美少女である。

 アイリスは、圧倒的な声量、豊かな表現力と聞く者を癒やす透明感のある声でリアンナ王女たちを魅了した。

「聴いているだけで、心が洗われていくような気がします…
 お二人共、素晴らしい才能をお持ちなのですね」

 リアンナ王女たち3人は存分に食事を楽しみ、レイチェルとアイリスの演奏に癒やされてとても満足そうだった。
 夕食会は午後9時過ぎにお開きとなった。
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