上 下
143 / 374
第12章 領都シュテリオンベルグ復興編

第141話 アクアスター・リゾートの長い夜

しおりを挟む
 その夜、オレは久々に男の本能を開放した。
 全開バリバリのフルスロットル状態で攻めまくったのだ。

 8階のリビングルームに集合したジェスティーナ、トリン、リリアーナ、エミリア、フェリン、アスナ、ステラ、サクラが40分おきにオレの待つ寝室をノックする。
 全員、一度はオレと体を重ねた間柄だ。
 『みんな一緒じゃ落ち着かないでしょ』とジェスティーナが考え出したシステムなのだ。
 因みに婚約者フィアンセには優先権があるとして、自分以外の順番はクジ引きで決めたそうだ。

 みんな、それぞれタイプは違うが、何れもこの上なく魅力的な女性たちだ。
 その女性たちと、決められた時間ではあるが、一夜を共にできるのだから男冥利に尽きると言うものだ。

 でも、さすがに多勢に無勢、体力が続かない。
 夜9時に始まり、深夜2時過ぎまで5時間以上に及んだ男と女の攻防戦は、オレの敗北で終わった。
 例えるならば、この上なく美味い料理を連続で何種類も食べ続け、腹一杯でもうこれ以上は入らないとでも言えば、お分かりいただけるだろうか。

 その話はさておき、時間を少し戻して夕食前まで遡ろう。

 リーファとSDTのメンバーは、増設した女性専用宿舎に入居した。
 ユニット住宅とは言え、彼女たちが今まで暮らして来た環境とは掛け離れた住みやすい環境であることは間違いない。
 各部屋は家具・トイレ・シャワー付で、共用の広いリビングダイニングもあり、3食付きだから食事の心配もない。
 スイッチを押せばあかりは点くし、蛇口から水はおろか、お湯まで出る。
 しかも安定した収入が約束されていて、興行収入に応じてボーナスまで出るのだから、やり甲斐もあると言うものだ。
 彼女たちには、ここを本拠地と定め、各地へ公演へ行って貰う予定だが、帰る場所があるという事は、精神衛生的にも良いのは間違いないだろう。

 ローレンに発注したインフィニティプール横の特設ステージを見に行ったが、オレの指示通り完璧に出来上がっていた。
 左右に開く簡易的な幕とステージ照明付きで音響設備完備の本格的なステージだ。
 リーファも一緒に見てもらったが、自分たちが使うには勿体ないくらい立派なステージだと言っていた。
 早速、練習に使いたいと言うので、ローレンに確認して使用許可を出した。
 練習風景は非公開とし、幕を締めたままのSDTの練習風景をジェスティーナとアスナ、サクラの4人で見学した。
 SDTの旗揚げ公演を明日の夜、このステージで行う予定だと宿泊客ゲストに告知したので、リーファたちの練習にもおのずと熱が籠もる。

 ローレンからは温泉について報告があった。
 屋上の天空露天風呂が完成し、泉質の違う3つの露天風呂に入れるようになったのだ。
 宿泊客がいるとオレが思うように露店風呂に入れないだろうと、3本の源泉からペントハウスまでパイプラインを伸ばし、スイッチひとつで好みの源泉が出るように改造してくれたのだ。
 これで、自室に居ながらにして好きな時にその日の気分に合った泉質の露天風呂に入れるようになった。

 トリンの錬金工房は順調に稼働していた。
 錬金工房に自分専用の錬金釜を設置したことにより、生産性と品質が格段に向上したのだ。
 加えて薬草園で栽培している原材料の収穫が順調なこともあり、在庫は2級ポーションが1000本、準1級ポーションは200本を超えるまでになり、出荷しないと保管場所が足りなくなるとトリンが言っていた。
 しかも、超希少な1級ポーションも20本あると言うのだ。

 トリンが作ったポーションはリゾートの売店で、王都の販売価格の70%と安いこともあって飛ぶように売れており、売れすぎるので出荷量を制限しているそうだ。
 オレが王都に行く時に、飛行船でポーションを運搬するので、バレンシア商会で買い取って貰えないかアスナに聞いた。

 アスナの話では、2級ポーションにも品質ランクがあり、トリンの作ったポーションは2級上ランクなので、最低でも1本当たり銀貨5枚で販売可能だと言う。
 準1級は最低でも1本当たり銀貨18枚で販売できるそうだ。
 販売手数料を差し引いた下記の金額でバレンシア商会が全数買い取るとアスナが約束してくれた。
 2級ポーション  銀貨4枚✕1000本=金貨200枚
 準1級ポーション 銀貨16枚✕200本=金貨160枚
 1級ポーション  金貨4枚✕20本=金貨80枚
 合計 金貨440枚(円換算4400万円)
 王都で修行した効果は十二分に出ているようだ。
 短期間にトリンがこんな大金を稼いでくれるとは予想以上の働きだ。
 
「トリン、良く頑張ったから給料上げてやるぞ」と言うと。
「給料なんて今のままでいいから、もっと可愛がってね♡」と言われてしまった。

 エミリアからはリゾート内でのトラブルについて報告があった。
 一番多いのは宿泊客のマナーの問題だそうだ。
 酔っ払って他の客に絡んだり、大声で騒いだり、女性スタッフにセクハラまがいの行為をする客や、食べ切れないのに料理を取りすぎて残す客などなど、開業して2週間しか経っていないのに色々と問題が出ているそうだ。

 エミリアによると元の職場でもそう言う客はいたので扱いは慣れており、対処法を他のスタッフに伝授しているので、今のところは事なきを得ているようだ。

 アスナからはリゾートの経営状況の説明と収支計画の説明があった。
 SDTがアクアスターリゾートの契約社員として傘下に入ったことで収支計画を修正したのだ。
 本業のリゾート自体の予約は4ヶ月先まで満室で今のところ順風満帆。
 再来週からは全室フル稼働に入る予定で、メイドたちが手伝ってくれてはいるが、若干人手が足りないので追加募集が必要とのことであった。

【アクアスター・リゾート年間収支計画書】
 ★収入の部
 ホテル収入   金貨8600枚
 売店収入    金貨1200枚
 SDT興行収入 金貨1200枚
 雑収入     金貨 800枚
 ――――――――――――――――――――――――――
 収入合計  金貨11800枚(円換算11億8000万円)

 ★支出の部
 ホテル従業員給与(20名) 金貨670枚
 ホテル従業員賞与(20名) 金貨120枚
 SDT給与(13名)    金貨340枚
 SDT賞与(13名)    金貨 70枚
 SDT契約金(13名)   金貨 70枚
 役員報酬(2名)      金貨530枚
 ――――――――――――――――――――――――――
 人経費合計       金貨1800枚
 賃借料         金貨2100枚
 食材仕入        金貨1800枚
 旅費交通費       金貨 580枚
 通信費         金貨 120枚
 予約委託手数料     金貨1200枚
 売店仕入        金貨 550枚
 維持管理費       金貨 800枚
 雑費          金貨 400枚
 ――――――――――――――――――――――――――
 支出合計        金貨9350枚(円換算9億3500万円)
 差し引き利益      金貨2450枚(円換算2億4500万円)
 利益率         20.76%
 株主配当予定      金貨 450枚

 幸いなことに、この地域はどの国にも属していないので無税であり、儲けがそのまま純利益になるのは大きい。
 ホテルと宿泊客の移動に使っている飛行船はオレ個人の所有物なので、本来賃借料など掛からないのだが、アスナが『会社組織なんだし、賃借料くらい貰わなきゃダメよ』と言って経費計上してくれたのだ。

 オレ個人には役員報酬と不動産収入、株主配当を合わせて年間金貨2740枚(円換算2億7400万円)入ってくるのだから、ありがたいことだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について

ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに…… しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。 NTRは始まりでしか、なかったのだ……

淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語

瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。 長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH! 途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

処理中です...