夢では夢と気づかないんだよね

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３４北の保養所

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　北の保養所ですが、実験的に色々な形式のものが建てられました。シウキアードさんのご両親は凄い商売人とのことで、御好意に甘えて、意見を聞かせて頂くことにしました。勿論、宿泊料金は無料です。

「こちらは、本当にのんびりゆったりしたい人向け、働かない保養所ですね。温泉付きで、湯治のよう・・・」
「体をゆっくり休めるのにはいいだろうが、働くことが好きな者に、これを一年近くはなかなか難しそうだな」

　シウキアードさんそっくりのシウキアードさんのお父さんである、オウディードさんが顎に手をやり考え込みます。シウキアードさんのお母さんのミカシシイさんも、妹さんですかというような美貌と若さです。シウキアードさんのお家は、年をとらない家系なのかな。子作り旅行に来ちゃうのも納得のお二人です。

「ええ。きっと皆さん、色々動きたくなると思うのですが、商売をされていらっしゃる方は支店なり、販路の拡大をして頂けるような形にするとして、北にいる間もお金を稼げた方がいいかなと思っています」
「勿論だわ。妊娠されている方は体調と相談してとなるとは思うのだけれど、一年近くを蓄えで過ごすというよりも、安心するわね。それに、戻ってすぐにお金が手に入る訳ではないし、待望の子供にもお金をかけたいでしょうし」
「はい。逆にお金を頂きますが、北の色々なことを学んで地元に帰ったら活用して頂けるような、何かもあったらいいなーと」
「それも、そうね。北も面白いことをしだしたものね。お金を払ってでも学んでいきたいという方もいらっしゃると思うわ」
「ありがとうございます。すぐに形になりそうなものは、美容くらいなのですが・・・」
「！！」

　ミカシシイさんが前のめりになりました。流石の美貌を誇る方でも、探究心は常に持ち続けられるのですね。勉強になります。美容は力を入れています、チッタさんが。
学校の同級生のチッタさんはリート君より一足早く、魔法研究所に就職してくれたのですが、この度、保養所付きの美容施設に異動してもらうこととなりました。まず、お金が稼げることを始めようと、魔法研究所で美容関係を研究してくれていたのです。ここで保養所の開設となり、更に美容に特化し、温泉から化粧品、運動、食事と多岐に渡るため、チッタさんの親戚のお姉さんたちも揃って、保養所で働いて下さることになりました。
　親族が多く、得意なことが少しずつ違うので本当に助かっています。チッタさんのように考えることが得意な方は温泉の成分分析、化粧品の開発、美容に良いという食事を考え、魅力的な体を作るという運動も考案して下さっています。それを情報共有して、来て下さるお客様に提供します。

「すげえな。ミカシシイがここまで喰いつくとなりゃー、いい商売になるわ。顧客の開拓は任せとけ」
「ありがとうございます。一応、北への滞在と旅行を組み合わせて、幾つか値段を設定しています」
「ほうほう。粗削りだが、中々だな。シウキアードが喜ぶ訳よ」

　そう言って、本当にシウキアードさんが可愛くて仕方がないというような、嬉しそうな表情をしたオウディードさんに、親にとって子供は幾つになっても可愛い子なのだなーと思ったのです。シウキアードさんが、照れたお手紙を書いてしまうのも納得です。
　お二人は温泉を堪能し、食事に舌鼓を打ち、適度な運動と、勉強、商売と全てを実践して下さり、色々ご意見を頂きました。

「それぞれに細かくお金を頂いても良いのですね」
「そうね。温泉から出てお化粧品なんて、初めて見て、使ってみるようなものばかりだわ。だから、説明するものと見本、手本が必要でしょう。そうするとお金をとっても大丈夫だわ。お試しと言っても立派な商品よ。気にすることはないわ」
「嬉しいです」
「最初の利用者は裕福な方々が多いはずだから、どんどん、頂いてしまいなさい。これからの、発展料も含んでいるのだから、そんなに気にしなくても良いのよ」
「確かに。お手頃価格はまだ、難しそうですが、所得の高い方は興味を持って頂けますか？」
「ええ。とっても。基本的に旅行というか、移動するものは、それなりにお金を持っているものだわ。だからこそ、型の違う方と知り合って結婚することも多いわね」
「やはり、住む場所によって型に偏りが？」
「あるわね。北もそうでしょう？」
「はい」
「おお～。温泉に酒はいいな。ん？勉強か？」
「ええ。オウディード。地方ごとの特色を、スウちゃんに教えてあげて欲しいの」
「いいぜ。ミカシシイはまた美容の研究するんだろう？ますます綺麗になるな。楽しみだぜ」
「楽しみに待っていてね。じゃあお願いするわね」
「おうよ。スウ、あっちで始めるか」
「はい。お願いします」

　美容の研究に戻るというか、最初は見学だったのですが、有難いことにミカシシイさんも研究員の一員になって下さったようです。時間があれば保養所にある北の美容研究所と銘打った施設で、チッタさんと日々実験を繰り返しているそうです。

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