夢では夢と気づかないんだよね

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32魔法研究所

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 聞いて回って、考え続けて、交換日記のように質問と答えの応酬を続けました。経過観察も順調です。私の同学年の方たちで、最短の一年の通学の方は卒業していかれました。

「スウ。魔法研究所を建てようと思っている」
「はい。それは北のためになりますね」
「ああ。今のスウの研究を支え、様々な方向へ展開できるように、魔法研究所としたいと思う、どうだろうか」
「大は小を兼ねますし。同じような施設は無いのですよね?」
「北には無いな」
「では、北の魔法研究所とした方がいいかもしれませんね」
「確かに、差別化を図った方がいいな」
「ええ」

 ライ様はわくわくした感じを隠さずに、唐突に仰いました。ふむ、私も魔法研究者の一員になれるでしょうか。

「以前から、考えていたのだ。スウに学校に行っては貰っているが、学んでいるというよりも研究しているという状況だ。学校側からも卒業に対しては何の問題もないと言われている」
「私、卒業ですか!」
「ああ。今年は優秀で一年でほぼ半数が卒業する」
「そんなに!」
「スウのお陰だ。どうもありがとう」
「いえ、私は何も」
「いや。スウが皆に、問いかけ続け、仲を繋いでくれたお陰で、学校で学ぶことのほぼ全てが一年で達成できたのだ」
「あれ?もしかして、卒業試験だったのですか?」
「二日前に受けたものか?そうだぞ。知らなかったのか」
「はい」

 珍しく、試験なんてものがあったので何だろうとは思っていたのですが。なるほど。卒業試験の内容は読み書き計算と、学校で知り合った人の名前を書きなさいというものでした。先生でも良いそうです。

「学校は基本的な読み書き計算、社交性というか人間関係の築き方だな。北では上下関係はあっても、横の繋がりが希薄でな」
「それで、名前を書いて、教師が状況を鑑みてという感じですか」
「そうだ。試験は全員が受ける。今年は留年なしで、進学を望んだもの以外は皆、卒業だ」
「凄いですね」
「皆、学んだことをすぐにでも仕事に生かしたいそうだ」
「それは頼もしいですね」
「本当に。スウも進学を望んでいなかったので、魔法研究所に就職だ」
「おお。なるほど。とりあえずは今までと同じような感じでいいですか?すぐにお金になるような研究にはなりませんが・・・」

 確かに、いつまでも学校に間借りするのも、悪いなーと思っていたのです。授業を受けていなかったですしね。ということで、私も一年で卒業して、魔法研究所に就職しました。やったね。魔法研究員になれましたよ。でも、働き始めるのが早いなー。まあ、将来の安定のためにお金は必要です。

「お金については心配しなくて良い」

 うわ。いつかは言ってみたい台詞。

「でも、研究所のお給料とかは・・・」
「俺は兼任で、主に研究するのはスウだけだ。本当に今までとあまり変わらない気持で、場所が隣に移っただけだと考えて貰えればいい」

 学校の隣に建つ?もう、建ったのかな?魔法研究所ですが、所長、ライ様、副所長、私!、以上です。え?二人?しかも、副所長!んんん。展開が早いな。卒業して、就職して、肩書ついた。でも、通常の研究員はいないから、ライ様の配慮か。ああ、落ち着いた。所長、ライ様、平、私よりも響きがいいですもんね。そう、ケリーですが私の護衛という職種だそうで、研究は手伝ってはくれますが、研究所の所属では無いのです。

「お言葉に甘えます」
「研究員は追々募集することにする」

 確かに、研究所のあれこれを決めないと研究員も募集できないので仕方がありません。決まっていない所に就職なんて不安でしょうからね。
 でも、そうなると名前は北の魔法研究所で良いのでしょうか。北の子宝祈祷所とする訳にはいかないですしね。魔法を研究する過程の副産物ということで。
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