夢では夢と気づかないんだよね

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15運動しよう

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 東に滞在して一週間がたちました。一応、ミリャさんを意識して視界に収めつつ、体力づくりをしています。生き物相手は朝が早い。活動量も多いです。学ぶ姿勢を見せていかないと不自然なので、できる限り色々、見て聞いて回っています。

「この辺りでしたら、自由にして下さって結構です」
「はい。初日の注意事項に基づき、学んでいきたいと思います」

 早期教育研修という名目を作ってくれたのは中央のお二人でしょう。西のお二人は学ぶべき点をまとめたお手紙を下さいました。有難い。でも、ふと疑問が。今まで必要とされ、感謝されてきたのが普通だったので、心は贅沢になってしまって。ここまで私がやらなきゃ駄目なのかなと、思ってしまうのですよね。
 学ぶのは楽しいと思うのですが、当然、作業させてもらったり、質問したりするとお仕事の邪魔をしちゃうのですよ。初日の注意で、今回はかなり遠くから見ることしかできないということになってしまっていたのです。私の魔法特性も子宝成就を伏せて、説明してはあったのです。色々、危険ですからね。そこで仕事の邪魔をしないことが、注意事項になってしまったらそうなりますよね。貪欲に学んでいきたかったら、邪魔以上に学んでから手伝えるというか、教わったことを活かせると主張して、どんどん体当たり的にいくという手法もとれますが・・・。
 そこで、私が希望した訳じゃないしという気持ちがむくむくと膨らみます。見ているだけ。とりあえず、自分の意欲が湧いてくるまで、存分に見学させて頂きましょう。

 ご懐妊です。良かった。こちらもすぐに分かるのですね。大事をとって、早期教育研修は切り上げとなりました。

「お世話になりました」
「いえ。こちらの都合で、申し訳ない」

 ミリャさんは体調が優れないとのことで、隠しきれない嬉しさが滲み出るシュタさんへ、父とケリーと三人で軽く挨拶して、車を出しました。

「スウ。戻ってもらうことになるかもしれない」

 車を暫く走らせていると父が残念そうに告げました。父は相変わらず、会うと愛情表現が過多ですね。どういうことかと思っていると、凄い勢いで後続の車が姿を見せました。

「お力を軽んじて、大変申し訳ない。厚かましいお願いだが、お戻り頂けないだろうか」
「何かありましたか?」

 父が半ば確信したように尋ねます。

「ミリャの体調が良くなくて、医者を呼んだら、」
「お父さん。私とケリーはシュタさんの車に乗せて貰って戻ります。迎えに来て頂く時期は、またご連絡させて頂きます。シュタさんもそれでよろしいですね」
「っはい」

 とりあえず、話は戻ってからです。こちらは保護者代理のケリーがいるので大丈夫ですよ。心配顔の父に手を振って、安全に走れる最高速度でシュタさんが来た道を戻りました。
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