上 下
32 / 35

32完成

しおりを挟む
 お金はあるそうです。素敵な言葉です。

「ライ様。おかね、いっぱい」
「魔道具と美容関係、宿泊も良い調子だからな」

 それは何よりです。そのお陰で、遊園地兼娯楽施設が大きく建設されています。身体能力の高い北の方達には遊園地はあまり興味を惹かれないかなと思ったのですが、自分の力ではなく体験できる速度や動きが新鮮だという事で、意外と人気が出そうです。
 様々な設備は耐久性を重視しています。素材から開発したりしたものもありますし、機械系もかなり作り込みました。リート君が。歯車とかてこの原理とかで。詳しくは分かりません。お任せしています。本当に、いつもありがとうございます。

「かんせい! すごい」
「これは、目にも楽しいな」

 今日は、こつこつ作って完成した施設の見学に来ています。ライ様に抱き上げられて、進みます。ケリーも興味深そうに見てくれています。昼は彩と形で、夜はイルミネーションが楽しめるように、電飾をびしばし、付けたのです。これも、お任せで。
 ルイとロアも来てくれています。もう、大人の仲間入りをする年頃ですが、二人の様子を見るとまだまだ旺盛な子供心は掴めたようですね。身内贔屓ではないといいのですが・・・。子供達もライ様と同様で、嬉しいくらいに好きを表してくれるんですよね。私も大好きです。

「お母様、凄いですね」
「母上、試運転もするんですよね?」
「のろう!」

 まずは穏やかな物から。

「くるくるしてる」

 ロアがカップ型の乗り物で、不思議そうに呟いています。折角なので、一人一つずつに乗っています。あ、ケリーと私は一緒です。ルイは探求心が疼くのか、凄い勢いで手元の回転を更に加える円盤を掴んで回しています。遠心力で飛んでいかないでしょうか。ライ様は乗らずに、外で見守ることにしたようです。おや。

「あっちでも遊んでみたいです!」

よし、絶叫系も乗ってみましょう。ライ様はやはり、見学のようです。ふむ。

「ひゃー!!」
「おおっ!」

 ルイの悲鳴のような歓声とそれに驚いたのか、乗り物に驚いたのかロアも声を出しています。ケリーは涼しい顔です。・・・。私は、力尽きました。ルイとロアは全てに乗って試してくれたようです。私はライ様の腕の中で休憩中でした。

「楽しかったか?」
「「はいっ!」」

 意識の遠くの方で、ライ様の問い掛けに嬉しそうに答える二人の声を聞きました。ぼそっと溢されたライ様の言葉も。

「・・・俺には無理そうだ」

 ああ、やっぱり。苦手な人用に何があったらいいかの意見を貰おうと、夢現で考えていました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

婚姻初日、「好きになることはない」と宣言された公爵家の姫は、英雄騎士の夫を翻弄する~夫は家庭内で私を見つめていますが~

扇 レンナ
恋愛
公爵令嬢のローゼリーンは1年前の戦にて、英雄となった騎士バーグフリートの元に嫁ぐこととなる。それは、彼が褒賞としてローゼリーンを望んだからだ。 公爵令嬢である以上に国王の姪っ子という立場を持つローゼリーンは、母譲りの美貌から『宝石姫』と呼ばれている。 はっきりと言って、全く釣り合わない結婚だ。それでも、王家の血を引く者として、ローゼリーンはバーグフリートの元に嫁ぐことに。 しかし、婚姻初日。晩餐の際に彼が告げたのは、予想もしていない言葉だった。 拗らせストーカータイプの英雄騎士(26)×『宝石姫』と名高い公爵令嬢(21)のすれ違いラブコメ。 ▼掲載先→アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

処理中です...