夢の中で目覚めましたが、これは夢?

文字の大きさ
上 下
21 / 35

21可愛い

しおりを挟む
「ライ様」
「ああ。スウ今日も可愛いな」

 ライ様の顔が蕩けそうです。照れる。仕事もせっせとお手伝いして、ようやく目処が付きました。それで二人でお出掛けです。珍しく二人っきりです。

「スウ」
「ライ様」

 分かっていましたよ。親子の散歩か買い物にしか見えないことを。流石に、遊びっぱなしもあれなので、かつての同級生を訪ね歩きます。牧場をやっているスンマーモさんの所で、美味しい乳製品を買うつもりです。養鶏場と肉牛にも着手しようかと悩んでいるそうです。

「久しぶりだね」
「今日はよろしく頼む」
「おねぎゃいしまちゅ」
「すっかり、可愛くなって」
「いや、スウは前から可愛いぞ」
「確かに、小さくて可愛かったね」

 スンマーモさんは牛に牧草を上げる手を止めて、出迎えてくれました。好きに見て回って良いとのことで、最後に乳製品を買える場所で落ち合う予定です。

「ぴよこ」
「可愛いな」
「あい」

 早速、新しい養鶏場を見せて貰っています。卵はどうやって売っているのかな。生は駄目ですよね。

「にゃまたべりゅ?」
「にゃま?」
「生って言ってんじゃないのか?」

 おや?もしかしてスンマーモさんの弟さんでしょうか。

「今日のお客さん?」
「ああ」

 ライ様が私の支えに徹し始めました。まあ、いいでしょう。生卵のことは私しか聞かないですよね。

「あい。よろちくおねぎゃーしまちゅ」
「姉貴の同級だった人?」
「ちょ。おとうちょちゃん?」
「そ。俺はトスマーモ。で、生で食べるって言ったか?」
「ちれいにしちぇ」
「うーん。綺麗にしたくらいで食べれっかな?」
「おいちゃちゃんときゃぎゃくちゃちゃんにもききゅ」
「おう。そうだな。折角だし、色々ある方がいいよな」
「うみゅ」

 トスマーモさんと合流したので、ついでに買い物をさせて貰おうと思って乳製品が並ぶ・・・。あれ?思った程並んでいないな。よし、これは私の食い意地を発揮する所だ!

「ぎゅにゅ。ちーじゅ。ほきゃは?」
「他? 例えば?」

 これが普通の品揃えなんでしょう。トスマーモさんが先を促してきました。

「よーぎゅるちょ。ちーじゅいりょいりょ。ちょふときゅりーみゅ。ぎゅにゅいりょいりょ。ぴゅりん。たみゃごいりょいりょ。ちほんちぇーち」
「呪文だな」
「後日、文書で届けさせよう」
「そうしてくれるとありがたい」
「・・・ちゅん」
「すまないな、スウ。ケリーも連れてくれば良かった」
「うーう。ちゅくりきゃたもいりゅきゃら」

 伝わらなさに意気消沈していたら、ライ様が謝って来てくれました。いやいや。作り方とかも研究しなきゃいけないし、他の所の専売だったら困りますから、調べてからお伝えしましょう。生卵も科学者と医者の出番です。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

白い結婚をめぐる二年の攻防

藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」 「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」 「え、いやその」  父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。  だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。    妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。 ※ なろうにも投稿しています。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

処理中です...