拳銃とヒガンバナ

そらみはなこ

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どうにもおかしい。
もさもさとコンビニのお惣菜を食べながら、リコは首を傾げた。

元より性的なことには蛋白なほうだと思う。友達とそういう話をしたことなんてなかったし、リコ自身そもそもそんなに興味が湧かなかったのだ。地元は人より家畜の数のほうが圧倒的に多いというくらいの過疎地域で、同じくらいの年齢の若者は数えるほどしか居なかった。都会の文化が入ってくるのは数年後、そんな環境でエッチなことの知識が増えるわけもなく。そんなリコが今では、クリトリスとGスポットを刺激し続けてはイキ潮を吹き散らすピンクな毎日である。最初は感じていた恥ずかしさも、「誰も見ていないし、まぁいっか」と開き直ってからはあまり自覚していない。

そう。それもこれも。
「この部屋に引っ越してきてからなんだよね……」
最寄り駅から徒歩5分。広さは1DKで、家賃は3万2千円。大学進学に伴う上京が決まったのが年度末ギリギリだったのもあって、なかなか良い物件が見つからなかった矢先に出会ったのがこの部屋だった。おんぼろアパートだからか不動産屋さんに「本当に、本当にこの部屋でいいんですね!?」と念押しされたけれど、貧乏学生にとってこの家賃でこの広さは魅力的すぎたのだ。引っ越し早々に料理に失敗してキッチンを焦がしかけたときも、大家さんがすっ飛んできて助けてくれたし。まだ地元にいた頃ほどの安心感はないけれど、いいところだと思う。因みにその出来事以来、私に自炊は無理だなと諦めている。

「ごちそうさまでした」
誰もいない空間に声が浮かんで消えていく。コンビニのお惣菜は充分美味しいけれど、暗くてがらんとした部屋の中一人で食べているからか、なんだか味気ない。

 大学生活は、思い描いていたものとはだいぶ違った。
 上京しても、自分は自分のままだった。引っ込み思案で、冴えなくて、友達や家族以外とは目を合わせるのも難しい人見知り。東京で心機一転!憧れのキラキラした女子大生になりたいと思ってはいたけれど、具体的にどうすればいいのかわからなくて行動出来ず、結局なんてことないただの田舎者のまま日々がすぎている。当然こんな自分のままじゃ、大学でもバイト先でも友達はできていない。日常会話は行きつけのコンビニでの応対くらいしかなかった。

「もしかして、寂しいのかな」
寂しくて、人肌恋しくて、性欲が暴走しているのかもしれない。そう思ったら尚更惨めになってきてしまった。布団にくるまってスマホを手に取る。こうなったらマッチングアプリとか、手を出してみようかな……
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