神様に加護2人分貰いました

琳太

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1巻

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 よし、《鑑定》の説明文が増えたぞ。この感じで使っていこう。

『イエス、マスター。《鑑定》のレベル2では【名称(種名)】と【説明(短)】が表示されます』

 おお、便利。もう一回ステータスを確認してみよう。

「〈ステータスオープン〉」

 名前・フブキ=アマサカ 年齢・17歳 種族・異世界人 
 レベル・1 職業・学生
 H P 110/110(100+10)
 M P 107/110(100+10)
 STR(筋 力)110/110(100+10)
 DEF(防御力)110/110(100+10)
 VIT(生命力)110/110(100+10)
 DEX(器用さ)110/110(100+10)
 AGI(敏捷性)110/110(100+10)
 MND(精神力)110/110(100+10)
 INT(知 力)110/110(100+10)
 LUK(幸 運)110/110(100+10)

【加護スキル】《アイテムボックス(時間停止)LV1》《パラメーター加算LV1》
【称号スキル】《言語理解LV1》《取得経験値補正LV1》《使用MP減少LV1》《スキル習得難易度低下LVMAX》
【補助スキル】《マップ〔NEW〕LV1》《サーチ〔NEW〕LV1》《鑑定〔NEW〕LV1→2》
【ユニークスキル】《ナビゲーターLV1》《コピーLV1》
【加護】《異世界神の加護×2》
【称号】《異世界より召喚されし者》《落とされた者》

 MPが3減ってる。ということは、《鑑定》一回につき、MPを1消費するってことだな。
 足元につえにちょうどよさそうな枝が落ちている。

「〈鑑定〉」

 =キノヒの枝
 長さ二メートルのしなやか、かつ丈夫な枝=


 うん、つえとしても、ちょっとした武器としても使えそうだな。
 次は《マップ》を試してみるか。えっとどうすれば?

『イエス、マスター、〈マップ表示〉と唱えるか思考することで視界に表示されます。表示中の《マップ》は〈マップ非表示〉と唱えるか思考すると視界から消えます。表示範囲はマスターの半径二十メートル周囲、および《サーチ》を使用した場所となります』

《マップ》を表示するよう意識したら、形は円形だが、ステータスと同じようなシースルーの何かが視界の右上に現れた。中心が水色で、他の部分はグレーだった。これが《マップ》か? 水色の部分がモノトーンの航空写真のようだ。
 地形といっても周りは木や草ばかりなので、何もわからない。
《マップ》には《サーチ》したところが追加表示されるんだったな。《サーチ》の使い方も、唱えるか思考するかだろう。よし――

「〈サーチ〉」

 表示していた《マップ》の水色の範囲が、円形に広がると同時に、大量の白や緑の点が現れた。《サーチ》の効果だな。減ったMPは10か、結構減るな。

「ナビゲーター、この《マップ》の白い点はなんだ?」
『イエス、マスター。《マップ》《サーチ》《鑑定》はリンクしており、現在のレベルでは過去に《鑑定》したものと同種のものを光点で表示することができます。光点をタップすることで【種名】の表示も設定が可能です。今回は初回なので、こちらで設定しました』

 試しにタップしてみる。


 =ルシウの木=


 あ、出た。

『【種名】をさらにタップすることで、任意の色に変更できます』

 おお、便利だ。欲しいものを《鑑定》して《サーチ》で探せるってことだよな。やっぱりチートかもしんない。

「こっちの緑色の点は?」
『先ほど【周囲の飲食可能なもの、それと危険物、および危険生物の有無】とおっしゃいましたので、【飲食可能なもの】として、《ナビゲーター》の蓄積情報内にあるビタンの実を緑色で表示しました。【危険物、および危険生物】については、現レベルの《サーチ》では範囲内の生物の【害意、敵意の有無】のみ探知可能ですので、【害意、敵意のある生物】を赤色で表示するよう設定しました。対象を任意に設定、色指定できる数は《マップ》レベル1で三種までです』

 雪音たちの居場所って探せるのかな? 距離的に無理か。

『マスターを〝この場所〟に顕現させた力の残滓ざんしがかすかに南の方角に感知されました。しかしすでに霧散しており、追跡は不可能です』

 南……大雑把おおざっぱだな。とりあえず南に向かうか? いやまずは食料確保だな。水も欲しいし、川か泉も探さないと。昼飯用のペットボトルのお茶はあるけど、これだけじゃあな。

「ナビゲーター、人のいる場所、集落や街の方向ってわかるか」
『イエス、マスター。■■■■にアクセスします。・・・・レベル不足により、情報の習得に失敗しました』

 レベル1だし仕方ない。とりあえず《サーチ》をしつつ、移動しよう。雪音たちを探さないといけないが、なんにせよまずは生きぬかないとな。それには、人のいるところを目指すべきだろう。進行方向は……ここはかんというか運任せだ。
 さっき拾った木の枝をまっすぐ立てて、手を離す。


 パタン。
 よし、枝の示す方向に行こうか。ビタンの実のなる木もあるみたいだしな。一番近いのは二十メートルほど先か。
 歩いていくと、実がなっている木があった。《マップ》で緑色になってたやつだ。

「〈鑑定〉」

 =ビタンの木
 この地域特有の種。温暖な地域に生える。一年中実をつける=


 ビタンって、携帯食の中の干し果物だよな。だから《ナビゲーター》が情報を持っていたのか。
 リンゴのような形で、色は白い。一つもいでみた。

「〈鑑定〉」

 =ビタンの実
 栄養価の優れた甘い実。乾燥かんそうさせて保存食にすると酸味が増す=


 甘いとあるが、さっきの干しビタンはすっぱかった。制服の袖でこすって表面をく。おそるおそるひとかじり。
 カシュ。

「甘いし、美味うまいじゃねえか……」

 コレ、いくつかもいでいこう。
 新たにもいだ実を、片っぱしからアイテムボックスに収納する。ん、入らないぞ?

「〈アイテムリストオープン〉」

 ■通学カバン
 ■サバイバル生活十点セット
 ■携帯食十食入りバッグ
 ■結界石入り小袋
 ■ビタンの実
 ■ビタンの実
 ■ビタンの実
 ■ビタンの実
 ■ビタンの実
 ■ビタンの実


 そっか、空きの数だけしか入らないんだった。なんか入れものないかな? これじゃすぐに《アイテムボックス》がいっぱいになる。
 そうだ、体操着を入れていた袋に収納するのはどうだろう。
 通学カバンを取り出して、体操着袋の中身を通学カバンに直接入れる。結界石も通学カバンに入れてしまおう。
 空いた袋にビタンの実を入れた。七個ほど入ったので、《アイテムボックス》に袋ごと入れてみた。


 ■通学カバン
 ■サバイバル生活十点セット
 ■携帯食十食入りバッグ
 ■ビタンの実入り袋
 ■
 ■
 ■
 ■
 ■
 ■


 よし、こんなもんか。
 食べかけのビタンの実をかじりながら歩き出す。ステータスを確認するとMPが99になっていた。
 トータルでMPを14使用したはずなので、3回復している計算になる。
 五分で1くらい回復しているのかな。腕時計で五分経ったことを確認し、再度ステータスを確かめる。するとMPが100になっていた。
 うん、五分で1回復だな。《サーチ》はMPを10使用するから、連発するとあっという間に枯渇こかつしてしまうので、どうするかな。
 百メートルほど歩いたところで《マップ》の光点が途切れた。さっきの《サーチ》の効果範囲が百メートルってことか。もう一回使ってみよう。

「〈サーチ〉」
『スキル《サーチ》のレベルが上がりました』

 お、これも二回使ったらレベルアップした。しばらく進んだらもう一回使って、レベルアップでどう変わったか確認するか。

『マスター、スキル《サーチ》レベル2では、範囲が半径百五十メートル、使用MPが8となります』

 レベルアップで使用MPが減るのは地味に嬉しいな。
 というわけで、森の中を黙々と歩く。ならされた道ではないので、拾った枝が役に立った。だが不思議と疲れないな。
 うん? なんか水の流れる音がする。

「〈サーチ〉」

 レベルアップしたため、さっきより表示範囲が広がっている。《マップ》の進行方向に川らしきものが表示されたので、そのまま進むことにした。
 徐々に水の音が大きくなる。音の割に小さな川幅だと思ったら、川の途中に一メートルほどの段差があった。これも滝というのだろうか? 音のもとはこの滝だ。石の川原を通って、川に近付く。

「〈鑑定〉」

 =森の中の小川
 山のふもとよりき出した清水の流れる小川=


 清水ってことなので飲めるとは思うが、念のため水を両手ですくって《鑑定》してみた。

『スキル《鑑定》のレベルが上がりました』

 お、またスキルレベルが上がった。


 =森の中の小川の水
 小川の水、飲水可能なナチュラルミネラルウォーター、軟水=


 飲めるのか。でも入れものがないな。すくい直した水を飲んでみると、普通においしい水だった。れた手を振って水気を飛ばす。
 川の近くには人の住む場所があるっていうよな。ってことで、川に沿って歩き出そうとしたら……大きな石を踏んづけてしまった。

「おっと」

 足元の石を見て思いついた。大きめの石を持ち上げて、足元の石にたたきつける。
 バキッ。
 くだけたカケラをもう一度たたきつける。石はさらにくだけた。
 破片の中から比較的薄くとがったものを選んで、さらに石でたたいて形を整えると、石器ナイフの完成だ。
 いや、これで切れるとは思わないが、刺さりはするだろう。拾った枝の先にくくりつければやりっぽい。
 すぐにくだけそうなので、追加で石器ナイフを作ってみた。
 次は、枝にくくりつけるヒモに代わる何か。辺りを探すとつるせいの植物があった。こいつを十徳ナイフで切り取り、石でたたいてやわらかくする。
 うん、なんとかなりそうだ。お手製槍の完成。

『《スキル習得難易度低下》の効果により、新たなスキル《細工》を修得しました』

 なんかスキルきた。《細工》って、もの作りの際に手先が器用になるのかな。とりあえず残りの石はブレザーのポケットに入れておく。


 川沿いを下流に向かって三時間ほど歩き続ける。時々食べられそうなものを《鑑定》しながらだが、今のところビタンの実以外見つかってない。
 ただ《鑑定》はレベル4にアップした。そして、《鑑定》と《サーチ》が2にレベルアップしたら《マップ》もレベルアップした。
 どうも、《鑑定》と《サーチ》のレベルアップが、《マップ》のレベルアップの条件になっているようだ。リンクしてるって言ってたしな。
《マップ》のレベルアップで表示範囲が拡大し、出せる光点が三種類から五種類に増えた。
 緑がビタンの木、白がルシウの木、赤が【害意、敵意のある生物】で表示していたのだが、さらに二種類増えたわけだ。
 じゃあ、【害意、敵意のない動物】を黄色で表示させる。一つ残ったが、これまで他に《鑑定》したものは、食べられないものばかりだったので、特に表示させる必要はないし、思いつかないので、今は使わないでおく。
 お腹が空いてきた。腕時計を見ると十二時半。この世界の一日が何時間かは知らないが、俺には昼飯時だ。お袋の弁当を食べよう。
 周りが見通せる岩の上に座り、弁当とお茶を出す。そして、手を合わせる。

「いただきます」

 お茶を一口飲んでからお袋の卵焼きをひとつ。うん、お袋の卵焼きは出汁だしと薄口醤油しょうゆだ。俺は甘い卵焼きが好きではない。ご飯を一口、これが米の食いおさめかもしれないので、味わって食べよう。
 食いおさめ……あっ!
 しまった。ユニークスキルの《コピー》だ。あれでこの弁当とお茶を《コピー》できたんじゃないか? バカバカ、俺のバカ! どうして食う前に思い出さなかったんだ! いや、今からでも遅くないぞ。両手で弁当を持った。

「〈コピー〉」

 途端とたんに身体から何かが抜けていくような感じがし、直後目眩めまいがした。だが、お袋の弁当をしっかり握って落とさないようにする。弁当を持つ手に違和感が、と思ったら、弁当が二つになった。
 やった、成功だ。中身は……さっき食べた、卵焼きとご飯のスペースが空いているところまで一緒だ。
 俺はオリジナルの弁当に蓋をして、カバンへ戻す。コピー品をさらにコピーすると劣化れっかしていくと聞いた気がしたので、オリジナルの方を保存する。
 あ、蓋をして《コピー》すりゃよかった。お茶も《コピー》するかな。その前にMPを確認。
 あ、MP50も減ってる。今の俺じゃ、二回《コピー》が精一杯か。さっきの抜ける感じはこれなのかも。

『イエス、マスター。総MPの半分近くが一度に消費されたため、貧血に似た症状を起こしました。MPが0になれば意識消失します。【加護】により命に別状はありませんが、ご注意ください』

 やばい。こんなところで気を失ったら、シャレにならねえ。お茶の予備は欲しいが、もう少し後にしよう。とりあえず、コピー弁当を食べよう。味は……お袋の味だ。
 食後、ぼんやりと小川をながめていたが、ふと手の中のペットボトルのお茶に視線を移した。半分になっちまったな。ちょっとMP回復したし、お茶を《コピー》しよう。

「〈コピー〉」

 またさっきと同じ、身体から何かが抜けるような感覚。ペットボトルが光り、二つに増えた。中身が半分なのも同じだ。

『スキル《コピー》のレベルが上がりました』

 早いな、スキルを二回使うとレベルアップするなあ。

「ナビゲーター、《コピー》レベル2について教えてくれ」
『イエス、マスター。《コピー》レベル2では、最後に《コピー》したものに限り、新たに〈走査スキャン〉しなくとも〈複製デュプリケイト〉と唱える、もしくは思考することで可能となります』

 ということは、今の状態で言えば、お茶が半分入ったペットボトルがもう一個出せるのか。
 MPないからやらないが。
《コピー》は〈走査スキャン〉して得た〈情報インフォメーション〉を〈複製デュプリケイト〉するスキルだそうだ。
《コピー》したお茶をオリジナルのペットボトルに移しかえ、空いたペットボトルに小川の水をむ。当分水分補給はこの水でいこう。
 カバンの中に確か……あった。ペットボトルのジュースにおまけで付いていたボトルホルダー。カラビナ付きなので、水の入ったボトルにセットして、ズボンのベルト通しにり下げる。
 空いた弁当箱とはしを小川で洗って、水気をふり切りカバンにしまった。蓋のないステンレスの弁当箱だが、何かに使えるだろう。
 ではまた歩くとするか。下流に向かって道なき道を歩きはじめる。


 歩いていると虫が飛んできた。バッタに似ているが、サイズが一回り大きかった。思わずはたき落としてしまう。バッタもどきは足元の川原の石にベチャっと張りついたせいで、俺はそのまま踏んでしまった。

「げ、踏んじまった」
『レベルが上がりました』

 え、なに? どういうこと?

『モンスターを倒したことで経験値を取得。必要経験値に達しレベルアップ、各種パラメーターも上昇します』

 踏みつぶしたバッタもどきを《鑑定》してみた。


 =カワバッタの死骸しがい MR・H
 水辺に生息する昆虫系モンスターの死骸しがい


 このMR・Hってなんだ?

『これは、モンスターランクMR――この世界に存在するモンスターの脅威きょういを示すものです。マスターが理解しやすいように、アルファベット表示に変換しました。ちなみにHは〝子供でも倒せる〟ランクです』

 そんなランクでもモンスターなんだ。で、その程度のモンスターを一匹殺しただけでランクアップするのか。

『イエス、マスター。マスターはスキル《取得経験値補正》の効果で、レベルが上がりやすくなっています』

 あ、そうなんだ。それってやっぱりチートだよなあ。まあ、こんなどこともわからない場所で一人っきりなんだ。ありがたく享受きょうじゅしよう。
《鑑定》レベル3で【説明(短)】が【説明(中)】になり、レベル4では【MR】の表示が増えた。
 レベルが上がったから、ステータスを確認しておこう。

「〈ステータスオープン〉」

 名前・フブキ=アマサカ 年齢・17歳 種族・異世界人 
 レベル・1→2 職業・学生
 H P 220/220(200+20)
 M P 35/220(200+20)
 STR(筋 力)209(190+19)
 DEF(防御力)220(200+20)
 VIT(生命力)220(200+20)
 DEX(器用さ)198(180+18)
 AGI(敏捷性)176(160+16)
 MND(精神力)220(200+20)
 INT(知 力)165(150+15)
 LUK(幸 運)143(130+13)

【加護スキル】《アイテムボックス(時間停止)LV1》《パラメーター加算LV1》
【称号スキル】《言語理解LV1》《取得経験値補正LV1》《使用MP減少LV1》《スキル習得難易度低下LVMAX》
【補助スキル】《マップLV1→2》《サーチLV1→2》《鑑定LV2→4》
【技工スキル】《細工〔NEW〕LV1》
【ユニークスキル】《ナビゲーターLV1》《コピーLV1→2》
【加護】《異世界神の加護×2》
【称号】《異世界より召喚されし者》《落とされた者》

 おお、なんか色々上がってる。レベルアップでMPがフル充電はされないのは残念だな。HPは満タンなんだけど、元の設定が別なんだろうか。まあ考えてもわからんものは放置だ。
 あっ、ステータスを見ている間にMPが2回復した。
 もしかしたら五分で1じゃなくて、五分で一パーセントかな。
 レベルアップでMPの回復が早くなったら、スキルが使いやすくなるぞ。
 意気込みも新たに歩き続けると――
 バブルフロッグがあらわれた!
 ……いやゴメン、言ってみたかっただけです。《鑑定》するとこんな感じ。


 =バブルフロッグ MR・H
 カエル系モンスター。水辺に生息し、き出す泡に虫などの獲物を閉じ込めて捕らえる。脚は珍味=


「えい」

 ブチュ。
 お手製の槍で突いてみた。脚は珍味って出たけど、食べる気はないので無視する。

『レベルが上がりました。《スキル習得難易度低下》の効果により、新たなスキル《槍術》を習得しました』

 早っ。これなんてイージーモードっすか。《槍術》って、武器の扱い上手くなるのかな? ステータスレベル3でこんな風になった。


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