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1巻
1-2
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よし、《鑑定》の説明文が増えたぞ。この感じで使っていこう。
『イエス、マスター。《鑑定》のレベル2では【名称(種名)】と【説明(短)】が表示されます』
おお、便利。もう一回ステータスを確認してみよう。
「〈ステータスオープン〉」
名前・フブキ=アマサカ 年齢・17歳 種族・異世界人
レベル・1 職業・学生
H P 110/110(100+10)
M P 107/110(100+10)
STR(筋 力)110/110(100+10)
DEF(防御力)110/110(100+10)
VIT(生命力)110/110(100+10)
DEX(器用さ)110/110(100+10)
AGI(敏捷性)110/110(100+10)
MND(精神力)110/110(100+10)
INT(知 力)110/110(100+10)
LUK(幸 運)110/110(100+10)
【加護スキル】《アイテムボックス(時間停止)LV1》《パラメーター加算LV1》
【称号スキル】《言語理解LV1》《取得経験値補正LV1》《使用MP減少LV1》《スキル習得難易度低下LVMAX》
【補助スキル】《マップ〔NEW〕LV1》《サーチ〔NEW〕LV1》《鑑定〔NEW〕LV1→2》
【ユニークスキル】《ナビゲーターLV1》《コピーLV1》
【加護】《異世界神の加護×2》
【称号】《異世界より召喚されし者》《落とされた者》
MPが3減ってる。ということは、《鑑定》一回につき、MPを1消費するってことだな。
足元に杖にちょうどよさそうな枝が落ちている。
「〈鑑定〉」
=キノヒの枝
長さ二メートルのしなやか、かつ丈夫な枝=
うん、杖としても、ちょっとした武器としても使えそうだな。
次は《マップ》を試してみるか。えっとどうすれば?
『イエス、マスター、〈マップ表示〉と唱えるか思考することで視界に表示されます。表示中の《マップ》は〈マップ非表示〉と唱えるか思考すると視界から消えます。表示範囲はマスターの半径二十メートル周囲、および《サーチ》を使用した場所となります』
《マップ》を表示するよう意識したら、形は円形だが、ステータスと同じようなシースルーの何かが視界の右上に現れた。中心が水色で、他の部分はグレーだった。これが《マップ》か? 水色の部分がモノトーンの航空写真のようだ。
地形といっても周りは木や草ばかりなので、何もわからない。
《マップ》には《サーチ》したところが追加表示されるんだったな。《サーチ》の使い方も、唱えるか思考するかだろう。よし――
「〈サーチ〉」
表示していた《マップ》の水色の範囲が、円形に広がると同時に、大量の白や緑の点が現れた。《サーチ》の効果だな。減ったMPは10か、結構減るな。
「ナビゲーター、この《マップ》の白い点はなんだ?」
『イエス、マスター。《マップ》《サーチ》《鑑定》はリンクしており、現在のレベルでは過去に《鑑定》したものと同種のものを光点で表示することができます。光点をタップすることで【種名】の表示も設定が可能です。今回は初回なので、こちらで設定しました』
試しにタップしてみる。
=ルシウの木=
あ、出た。
『【種名】をさらにタップすることで、任意の色に変更できます』
おお、便利だ。欲しいものを《鑑定》して《サーチ》で探せるってことだよな。やっぱりチートかもしんない。
「こっちの緑色の点は?」
『先ほど【周囲の飲食可能なもの、それと危険物、および危険生物の有無】とおっしゃいましたので、【飲食可能なもの】として、《ナビゲーター》の蓄積情報内にあるビタンの実を緑色で表示しました。【危険物、および危険生物】については、現レベルの《サーチ》では範囲内の生物の【害意、敵意の有無】のみ探知可能ですので、【害意、敵意のある生物】を赤色で表示するよう設定しました。対象を任意に設定、色指定できる数は《マップ》レベル1で三種までです』
雪音たちの居場所って探せるのかな? 距離的に無理か。
『マスターを〝この場所〟に顕現させた力の残滓がかすかに南の方角に感知されました。しかしすでに霧散しており、追跡は不可能です』
南……大雑把だな。とりあえず南に向かうか? いやまずは食料確保だな。水も欲しいし、川か泉も探さないと。昼飯用のペットボトルのお茶はあるけど、これだけじゃあな。
「ナビゲーター、人のいる場所、集落や街の方向ってわかるか」
『イエス、マスター。■■■■にアクセスします。・・・・レベル不足により、情報の習得に失敗しました』
レベル1だし仕方ない。とりあえず《サーチ》をしつつ、移動しよう。雪音たちを探さないといけないが、なんにせよまずは生きぬかないとな。それには、人のいるところを目指すべきだろう。進行方向は……ここは勘というか運任せだ。
さっき拾った木の枝をまっすぐ立てて、手を離す。
パタン。
よし、枝の示す方向に行こうか。ビタンの実のなる木もあるみたいだしな。一番近いのは二十メートルほど先か。
歩いていくと、実がなっている木があった。《マップ》で緑色になってたやつだ。
「〈鑑定〉」
=ビタンの木
この地域特有の種。温暖な地域に生える。一年中実をつける=
ビタンって、携帯食の中の干し果物だよな。だから《ナビゲーター》が情報を持っていたのか。
リンゴのような形で、色は白い。一つもいでみた。
「〈鑑定〉」
=ビタンの実
栄養価の優れた甘い実。乾燥させて保存食にすると酸味が増す=
甘いとあるが、さっきの干しビタンはすっぱかった。制服の袖でこすって表面を拭く。おそるおそるひと齧り。
カシュ。
「甘いし、美味いじゃねえか……」
コレ、いくつかもいでいこう。
新たにもいだ実を、片っ端からアイテムボックスに収納する。ん、入らないぞ?
「〈アイテムリストオープン〉」
■通学カバン
■サバイバル生活十点セット
■携帯食十食入りバッグ
■結界石入り小袋
■ビタンの実
■ビタンの実
■ビタンの実
■ビタンの実
■ビタンの実
■ビタンの実
そっか、空きの数だけしか入らないんだった。なんか入れものないかな? これじゃすぐに《アイテムボックス》がいっぱいになる。
そうだ、体操着を入れていた袋に収納するのはどうだろう。
通学カバンを取り出して、体操着袋の中身を通学カバンに直接入れる。結界石も通学カバンに入れてしまおう。
空いた袋にビタンの実を入れた。七個ほど入ったので、《アイテムボックス》に袋ごと入れてみた。
■通学カバン
■サバイバル生活十点セット
■携帯食十食入りバッグ
■ビタンの実入り袋
■
■
■
■
■
■
よし、こんなもんか。
食べかけのビタンの実を齧りながら歩き出す。ステータスを確認するとMPが99になっていた。
トータルでMPを14使用したはずなので、3回復している計算になる。
五分で1くらい回復しているのかな。腕時計で五分経ったことを確認し、再度ステータスを確かめる。するとMPが100になっていた。
うん、五分で1回復だな。《サーチ》はMPを10使用するから、連発するとあっという間に枯渇してしまうので、どうするかな。
百メートルほど歩いたところで《マップ》の光点が途切れた。さっきの《サーチ》の効果範囲が百メートルってことか。もう一回使ってみよう。
「〈サーチ〉」
『スキル《サーチ》のレベルが上がりました』
お、これも二回使ったらレベルアップした。しばらく進んだらもう一回使って、レベルアップでどう変わったか確認するか。
『マスター、スキル《サーチ》レベル2では、範囲が半径百五十メートル、使用MPが8となります』
レベルアップで使用MPが減るのは地味に嬉しいな。
というわけで、森の中を黙々と歩く。ならされた道ではないので、拾った枝が役に立った。だが不思議と疲れないな。
うん? なんか水の流れる音がする。
「〈サーチ〉」
レベルアップしたため、さっきより表示範囲が広がっている。《マップ》の進行方向に川らしきものが表示されたので、そのまま進むことにした。
徐々に水の音が大きくなる。音の割に小さな川幅だと思ったら、川の途中に一メートルほどの段差があった。これも滝というのだろうか? 音のもとはこの滝だ。石の川原を通って、川に近付く。
「〈鑑定〉」
=森の中の小川
山の麓より湧き出した清水の流れる小川=
清水ってことなので飲めるとは思うが、念のため水を両手ですくって《鑑定》してみた。
『スキル《鑑定》のレベルが上がりました』
お、またスキルレベルが上がった。
=森の中の小川の水
小川の水、飲水可能なナチュラルミネラルウォーター、軟水=
飲めるのか。でも入れものがないな。すくい直した水を飲んでみると、普通においしい水だった。濡れた手を振って水気を飛ばす。
川の近くには人の住む場所があるっていうよな。ってことで、川に沿って歩き出そうとしたら……大きな石を踏んづけてしまった。
「おっと」
足元の石を見て思いついた。大きめの石を持ち上げて、足元の石に叩きつける。
バキッ。
砕けたカケラをもう一度叩きつける。石はさらに砕けた。
破片の中から比較的薄く尖ったものを選んで、さらに石で叩いて形を整えると、石器ナイフの完成だ。
いや、これで切れるとは思わないが、刺さりはするだろう。拾った枝の先にくくりつければ槍っぽい。
すぐに砕けそうなので、追加で石器ナイフを作ってみた。
次は、枝にくくりつけるヒモに代わる何か。辺りを探すと蔓性の植物があった。こいつを十徳ナイフで切り取り、石で叩いて柔らかくする。
うん、なんとかなりそうだ。お手製槍の完成。
『《スキル習得難易度低下》の効果により、新たなスキル《細工》を修得しました』
なんかスキルきた。《細工》って、もの作りの際に手先が器用になるのかな。とりあえず残りの石はブレザーのポケットに入れておく。
川沿いを下流に向かって三時間ほど歩き続ける。時々食べられそうなものを《鑑定》しながらだが、今のところビタンの実以外見つかってない。
ただ《鑑定》はレベル4にアップした。そして、《鑑定》と《サーチ》が2にレベルアップしたら《マップ》もレベルアップした。
どうも、《鑑定》と《サーチ》のレベルアップが、《マップ》のレベルアップの条件になっているようだ。リンクしてるって言ってたしな。
《マップ》のレベルアップで表示範囲が拡大し、出せる光点が三種類から五種類に増えた。
緑がビタンの木、白がルシウの木、赤が【害意、敵意のある生物】で表示していたのだが、さらに二種類増えたわけだ。
じゃあ、【害意、敵意のない動物】を黄色で表示させる。一つ残ったが、これまで他に《鑑定》したものは、食べられないものばかりだったので、特に表示させる必要はないし、思いつかないので、今は使わないでおく。
お腹が空いてきた。腕時計を見ると十二時半。この世界の一日が何時間かは知らないが、俺には昼飯時だ。お袋の弁当を食べよう。
周りが見通せる岩の上に座り、弁当とお茶を出す。そして、手を合わせる。
「いただきます」
お茶を一口飲んでからお袋の卵焼きをひとつ。うん、お袋の卵焼きは出汁と薄口醤油だ。俺は甘い卵焼きが好きではない。ご飯を一口、これが米の食いおさめかもしれないので、味わって食べよう。
食いおさめ……あっ!
しまった。ユニークスキルの《コピー》だ。あれでこの弁当とお茶を《コピー》できたんじゃないか? バカバカ、俺のバカ! どうして食う前に思い出さなかったんだ! いや、今からでも遅くないぞ。両手で弁当を持った。
「〈コピー〉」
途端に身体から何かが抜けていくような感じがし、直後目眩がした。だが、お袋の弁当をしっかり握って落とさないようにする。弁当を持つ手に違和感が、と思ったら、弁当が二つになった。
やった、成功だ。中身は……さっき食べた、卵焼きとご飯のスペースが空いているところまで一緒だ。
俺はオリジナルの弁当に蓋をして、カバンへ戻す。コピー品をさらにコピーすると劣化していくと聞いた気がしたので、オリジナルの方を保存する。
あ、蓋をして《コピー》すりゃよかった。お茶も《コピー》するかな。その前にMPを確認。
あ、MP50も減ってる。今の俺じゃ、二回《コピー》が精一杯か。さっきの抜ける感じはこれなのかも。
『イエス、マスター。総MPの半分近くが一度に消費されたため、貧血に似た症状を起こしました。MPが0になれば意識消失します。【加護】により命に別状はありませんが、ご注意ください』
やばい。こんなところで気を失ったら、シャレにならねえ。お茶の予備は欲しいが、もう少し後にしよう。とりあえず、コピー弁当を食べよう。味は……お袋の味だ。
食後、ぼんやりと小川を眺めていたが、ふと手の中のペットボトルのお茶に視線を移した。半分になっちまったな。ちょっとMP回復したし、お茶を《コピー》しよう。
「〈コピー〉」
またさっきと同じ、身体から何かが抜けるような感覚。ペットボトルが光り、二つに増えた。中身が半分なのも同じだ。
『スキル《コピー》のレベルが上がりました』
早いな、スキルを二回使うとレベルアップするなあ。
「ナビゲーター、《コピー》レベル2について教えてくれ」
『イエス、マスター。《コピー》レベル2では、最後に《コピー》したものに限り、新たに〈走査〉しなくとも〈複製〉と唱える、もしくは思考することで可能となります』
ということは、今の状態で言えば、お茶が半分入ったペットボトルがもう一個出せるのか。
MPないからやらないが。
《コピー》は〈走査〉して得た〈情報〉を〈複製〉するスキルだそうだ。
《コピー》したお茶をオリジナルのペットボトルに移しかえ、空いたペットボトルに小川の水を汲む。当分水分補給はこの水でいこう。
カバンの中に確か……あった。ペットボトルのジュースにおまけで付いていたボトルホルダー。カラビナ付きなので、水の入ったボトルにセットして、ズボンのベルト通しに吊り下げる。
空いた弁当箱と箸を小川で洗って、水気をふり切りカバンにしまった。蓋のないステンレスの弁当箱だが、何かに使えるだろう。
ではまた歩くとするか。下流に向かって道なき道を歩きはじめる。
歩いていると虫が飛んできた。バッタに似ているが、サイズが一回り大きかった。思わずはたき落としてしまう。バッタもどきは足元の川原の石にベチャっと張りついたせいで、俺はそのまま踏んでしまった。
「げ、踏んじまった」
『レベルが上がりました』
え、なに? どういうこと?
『モンスターを倒したことで経験値を取得。必要経験値に達しレベルアップ、各種パラメーターも上昇します』
踏み潰したバッタもどきを《鑑定》してみた。
=カワバッタの死骸 MR・H
水辺に生息する昆虫系モンスターの死骸=
このMR・Hってなんだ?
『これは、モンスターランク――この世界に存在するモンスターの脅威度を示すものです。マスターが理解しやすいように、アルファベット表示に変換しました。ちなみにHは〝子供でも倒せる〟ランクです』
そんなランクでもモンスターなんだ。で、その程度のモンスターを一匹殺しただけでランクアップするのか。
『イエス、マスター。マスターはスキル《取得経験値補正》の効果で、レベルが上がりやすくなっています』
あ、そうなんだ。それってやっぱりチートだよなあ。まあ、こんなどこともわからない場所で一人っきりなんだ。ありがたく享受しよう。
《鑑定》レベル3で【説明(短)】が【説明(中)】になり、レベル4では【MR】の表示が増えた。
レベルが上がったから、ステータスを確認しておこう。
「〈ステータスオープン〉」
名前・フブキ=アマサカ 年齢・17歳 種族・異世界人
レベル・1→2 職業・学生
H P 220/220(200+20)
M P 35/220(200+20)
STR(筋 力)209(190+19)
DEF(防御力)220(200+20)
VIT(生命力)220(200+20)
DEX(器用さ)198(180+18)
AGI(敏捷性)176(160+16)
MND(精神力)220(200+20)
INT(知 力)165(150+15)
LUK(幸 運)143(130+13)
【加護スキル】《アイテムボックス(時間停止)LV1》《パラメーター加算LV1》
【称号スキル】《言語理解LV1》《取得経験値補正LV1》《使用MP減少LV1》《スキル習得難易度低下LVMAX》
【補助スキル】《マップLV1→2》《サーチLV1→2》《鑑定LV2→4》
【技工スキル】《細工〔NEW〕LV1》
【ユニークスキル】《ナビゲーターLV1》《コピーLV1→2》
【加護】《異世界神の加護×2》
【称号】《異世界より召喚されし者》《落とされた者》
おお、なんか色々上がってる。レベルアップでMPがフル充電はされないのは残念だな。HPは満タンなんだけど、元の設定が別なんだろうか。まあ考えてもわからんものは放置だ。
あっ、ステータスを見ている間にMPが2回復した。
もしかしたら五分で1じゃなくて、五分で一パーセントかな。
レベルアップでMPの回復が早くなったら、スキルが使いやすくなるぞ。
意気込みも新たに歩き続けると――
バブルフロッグがあらわれた!
……いやゴメン、言ってみたかっただけです。《鑑定》するとこんな感じ。
=バブルフロッグ MR・H
カエル系モンスター。水辺に生息し、吐き出す泡に虫などの獲物を閉じ込めて捕らえる。脚は珍味=
「えい」
ブチュ。
お手製の槍で突いてみた。脚は珍味って出たけど、食べる気はないので無視する。
『レベルが上がりました。《スキル習得難易度低下》の効果により、新たなスキル《槍術》を習得しました』
早っ。これなんてイージーモードっすか。《槍術》って、武器の扱い上手くなるのかな? ステータスレベル3でこんな風になった。
『イエス、マスター。《鑑定》のレベル2では【名称(種名)】と【説明(短)】が表示されます』
おお、便利。もう一回ステータスを確認してみよう。
「〈ステータスオープン〉」
名前・フブキ=アマサカ 年齢・17歳 種族・異世界人
レベル・1 職業・学生
H P 110/110(100+10)
M P 107/110(100+10)
STR(筋 力)110/110(100+10)
DEF(防御力)110/110(100+10)
VIT(生命力)110/110(100+10)
DEX(器用さ)110/110(100+10)
AGI(敏捷性)110/110(100+10)
MND(精神力)110/110(100+10)
INT(知 力)110/110(100+10)
LUK(幸 運)110/110(100+10)
【加護スキル】《アイテムボックス(時間停止)LV1》《パラメーター加算LV1》
【称号スキル】《言語理解LV1》《取得経験値補正LV1》《使用MP減少LV1》《スキル習得難易度低下LVMAX》
【補助スキル】《マップ〔NEW〕LV1》《サーチ〔NEW〕LV1》《鑑定〔NEW〕LV1→2》
【ユニークスキル】《ナビゲーターLV1》《コピーLV1》
【加護】《異世界神の加護×2》
【称号】《異世界より召喚されし者》《落とされた者》
MPが3減ってる。ということは、《鑑定》一回につき、MPを1消費するってことだな。
足元に杖にちょうどよさそうな枝が落ちている。
「〈鑑定〉」
=キノヒの枝
長さ二メートルのしなやか、かつ丈夫な枝=
うん、杖としても、ちょっとした武器としても使えそうだな。
次は《マップ》を試してみるか。えっとどうすれば?
『イエス、マスター、〈マップ表示〉と唱えるか思考することで視界に表示されます。表示中の《マップ》は〈マップ非表示〉と唱えるか思考すると視界から消えます。表示範囲はマスターの半径二十メートル周囲、および《サーチ》を使用した場所となります』
《マップ》を表示するよう意識したら、形は円形だが、ステータスと同じようなシースルーの何かが視界の右上に現れた。中心が水色で、他の部分はグレーだった。これが《マップ》か? 水色の部分がモノトーンの航空写真のようだ。
地形といっても周りは木や草ばかりなので、何もわからない。
《マップ》には《サーチ》したところが追加表示されるんだったな。《サーチ》の使い方も、唱えるか思考するかだろう。よし――
「〈サーチ〉」
表示していた《マップ》の水色の範囲が、円形に広がると同時に、大量の白や緑の点が現れた。《サーチ》の効果だな。減ったMPは10か、結構減るな。
「ナビゲーター、この《マップ》の白い点はなんだ?」
『イエス、マスター。《マップ》《サーチ》《鑑定》はリンクしており、現在のレベルでは過去に《鑑定》したものと同種のものを光点で表示することができます。光点をタップすることで【種名】の表示も設定が可能です。今回は初回なので、こちらで設定しました』
試しにタップしてみる。
=ルシウの木=
あ、出た。
『【種名】をさらにタップすることで、任意の色に変更できます』
おお、便利だ。欲しいものを《鑑定》して《サーチ》で探せるってことだよな。やっぱりチートかもしんない。
「こっちの緑色の点は?」
『先ほど【周囲の飲食可能なもの、それと危険物、および危険生物の有無】とおっしゃいましたので、【飲食可能なもの】として、《ナビゲーター》の蓄積情報内にあるビタンの実を緑色で表示しました。【危険物、および危険生物】については、現レベルの《サーチ》では範囲内の生物の【害意、敵意の有無】のみ探知可能ですので、【害意、敵意のある生物】を赤色で表示するよう設定しました。対象を任意に設定、色指定できる数は《マップ》レベル1で三種までです』
雪音たちの居場所って探せるのかな? 距離的に無理か。
『マスターを〝この場所〟に顕現させた力の残滓がかすかに南の方角に感知されました。しかしすでに霧散しており、追跡は不可能です』
南……大雑把だな。とりあえず南に向かうか? いやまずは食料確保だな。水も欲しいし、川か泉も探さないと。昼飯用のペットボトルのお茶はあるけど、これだけじゃあな。
「ナビゲーター、人のいる場所、集落や街の方向ってわかるか」
『イエス、マスター。■■■■にアクセスします。・・・・レベル不足により、情報の習得に失敗しました』
レベル1だし仕方ない。とりあえず《サーチ》をしつつ、移動しよう。雪音たちを探さないといけないが、なんにせよまずは生きぬかないとな。それには、人のいるところを目指すべきだろう。進行方向は……ここは勘というか運任せだ。
さっき拾った木の枝をまっすぐ立てて、手を離す。
パタン。
よし、枝の示す方向に行こうか。ビタンの実のなる木もあるみたいだしな。一番近いのは二十メートルほど先か。
歩いていくと、実がなっている木があった。《マップ》で緑色になってたやつだ。
「〈鑑定〉」
=ビタンの木
この地域特有の種。温暖な地域に生える。一年中実をつける=
ビタンって、携帯食の中の干し果物だよな。だから《ナビゲーター》が情報を持っていたのか。
リンゴのような形で、色は白い。一つもいでみた。
「〈鑑定〉」
=ビタンの実
栄養価の優れた甘い実。乾燥させて保存食にすると酸味が増す=
甘いとあるが、さっきの干しビタンはすっぱかった。制服の袖でこすって表面を拭く。おそるおそるひと齧り。
カシュ。
「甘いし、美味いじゃねえか……」
コレ、いくつかもいでいこう。
新たにもいだ実を、片っ端からアイテムボックスに収納する。ん、入らないぞ?
「〈アイテムリストオープン〉」
■通学カバン
■サバイバル生活十点セット
■携帯食十食入りバッグ
■結界石入り小袋
■ビタンの実
■ビタンの実
■ビタンの実
■ビタンの実
■ビタンの実
■ビタンの実
そっか、空きの数だけしか入らないんだった。なんか入れものないかな? これじゃすぐに《アイテムボックス》がいっぱいになる。
そうだ、体操着を入れていた袋に収納するのはどうだろう。
通学カバンを取り出して、体操着袋の中身を通学カバンに直接入れる。結界石も通学カバンに入れてしまおう。
空いた袋にビタンの実を入れた。七個ほど入ったので、《アイテムボックス》に袋ごと入れてみた。
■通学カバン
■サバイバル生活十点セット
■携帯食十食入りバッグ
■ビタンの実入り袋
■
■
■
■
■
■
よし、こんなもんか。
食べかけのビタンの実を齧りながら歩き出す。ステータスを確認するとMPが99になっていた。
トータルでMPを14使用したはずなので、3回復している計算になる。
五分で1くらい回復しているのかな。腕時計で五分経ったことを確認し、再度ステータスを確かめる。するとMPが100になっていた。
うん、五分で1回復だな。《サーチ》はMPを10使用するから、連発するとあっという間に枯渇してしまうので、どうするかな。
百メートルほど歩いたところで《マップ》の光点が途切れた。さっきの《サーチ》の効果範囲が百メートルってことか。もう一回使ってみよう。
「〈サーチ〉」
『スキル《サーチ》のレベルが上がりました』
お、これも二回使ったらレベルアップした。しばらく進んだらもう一回使って、レベルアップでどう変わったか確認するか。
『マスター、スキル《サーチ》レベル2では、範囲が半径百五十メートル、使用MPが8となります』
レベルアップで使用MPが減るのは地味に嬉しいな。
というわけで、森の中を黙々と歩く。ならされた道ではないので、拾った枝が役に立った。だが不思議と疲れないな。
うん? なんか水の流れる音がする。
「〈サーチ〉」
レベルアップしたため、さっきより表示範囲が広がっている。《マップ》の進行方向に川らしきものが表示されたので、そのまま進むことにした。
徐々に水の音が大きくなる。音の割に小さな川幅だと思ったら、川の途中に一メートルほどの段差があった。これも滝というのだろうか? 音のもとはこの滝だ。石の川原を通って、川に近付く。
「〈鑑定〉」
=森の中の小川
山の麓より湧き出した清水の流れる小川=
清水ってことなので飲めるとは思うが、念のため水を両手ですくって《鑑定》してみた。
『スキル《鑑定》のレベルが上がりました』
お、またスキルレベルが上がった。
=森の中の小川の水
小川の水、飲水可能なナチュラルミネラルウォーター、軟水=
飲めるのか。でも入れものがないな。すくい直した水を飲んでみると、普通においしい水だった。濡れた手を振って水気を飛ばす。
川の近くには人の住む場所があるっていうよな。ってことで、川に沿って歩き出そうとしたら……大きな石を踏んづけてしまった。
「おっと」
足元の石を見て思いついた。大きめの石を持ち上げて、足元の石に叩きつける。
バキッ。
砕けたカケラをもう一度叩きつける。石はさらに砕けた。
破片の中から比較的薄く尖ったものを選んで、さらに石で叩いて形を整えると、石器ナイフの完成だ。
いや、これで切れるとは思わないが、刺さりはするだろう。拾った枝の先にくくりつければ槍っぽい。
すぐに砕けそうなので、追加で石器ナイフを作ってみた。
次は、枝にくくりつけるヒモに代わる何か。辺りを探すと蔓性の植物があった。こいつを十徳ナイフで切り取り、石で叩いて柔らかくする。
うん、なんとかなりそうだ。お手製槍の完成。
『《スキル習得難易度低下》の効果により、新たなスキル《細工》を修得しました』
なんかスキルきた。《細工》って、もの作りの際に手先が器用になるのかな。とりあえず残りの石はブレザーのポケットに入れておく。
川沿いを下流に向かって三時間ほど歩き続ける。時々食べられそうなものを《鑑定》しながらだが、今のところビタンの実以外見つかってない。
ただ《鑑定》はレベル4にアップした。そして、《鑑定》と《サーチ》が2にレベルアップしたら《マップ》もレベルアップした。
どうも、《鑑定》と《サーチ》のレベルアップが、《マップ》のレベルアップの条件になっているようだ。リンクしてるって言ってたしな。
《マップ》のレベルアップで表示範囲が拡大し、出せる光点が三種類から五種類に増えた。
緑がビタンの木、白がルシウの木、赤が【害意、敵意のある生物】で表示していたのだが、さらに二種類増えたわけだ。
じゃあ、【害意、敵意のない動物】を黄色で表示させる。一つ残ったが、これまで他に《鑑定》したものは、食べられないものばかりだったので、特に表示させる必要はないし、思いつかないので、今は使わないでおく。
お腹が空いてきた。腕時計を見ると十二時半。この世界の一日が何時間かは知らないが、俺には昼飯時だ。お袋の弁当を食べよう。
周りが見通せる岩の上に座り、弁当とお茶を出す。そして、手を合わせる。
「いただきます」
お茶を一口飲んでからお袋の卵焼きをひとつ。うん、お袋の卵焼きは出汁と薄口醤油だ。俺は甘い卵焼きが好きではない。ご飯を一口、これが米の食いおさめかもしれないので、味わって食べよう。
食いおさめ……あっ!
しまった。ユニークスキルの《コピー》だ。あれでこの弁当とお茶を《コピー》できたんじゃないか? バカバカ、俺のバカ! どうして食う前に思い出さなかったんだ! いや、今からでも遅くないぞ。両手で弁当を持った。
「〈コピー〉」
途端に身体から何かが抜けていくような感じがし、直後目眩がした。だが、お袋の弁当をしっかり握って落とさないようにする。弁当を持つ手に違和感が、と思ったら、弁当が二つになった。
やった、成功だ。中身は……さっき食べた、卵焼きとご飯のスペースが空いているところまで一緒だ。
俺はオリジナルの弁当に蓋をして、カバンへ戻す。コピー品をさらにコピーすると劣化していくと聞いた気がしたので、オリジナルの方を保存する。
あ、蓋をして《コピー》すりゃよかった。お茶も《コピー》するかな。その前にMPを確認。
あ、MP50も減ってる。今の俺じゃ、二回《コピー》が精一杯か。さっきの抜ける感じはこれなのかも。
『イエス、マスター。総MPの半分近くが一度に消費されたため、貧血に似た症状を起こしました。MPが0になれば意識消失します。【加護】により命に別状はありませんが、ご注意ください』
やばい。こんなところで気を失ったら、シャレにならねえ。お茶の予備は欲しいが、もう少し後にしよう。とりあえず、コピー弁当を食べよう。味は……お袋の味だ。
食後、ぼんやりと小川を眺めていたが、ふと手の中のペットボトルのお茶に視線を移した。半分になっちまったな。ちょっとMP回復したし、お茶を《コピー》しよう。
「〈コピー〉」
またさっきと同じ、身体から何かが抜けるような感覚。ペットボトルが光り、二つに増えた。中身が半分なのも同じだ。
『スキル《コピー》のレベルが上がりました』
早いな、スキルを二回使うとレベルアップするなあ。
「ナビゲーター、《コピー》レベル2について教えてくれ」
『イエス、マスター。《コピー》レベル2では、最後に《コピー》したものに限り、新たに〈走査〉しなくとも〈複製〉と唱える、もしくは思考することで可能となります』
ということは、今の状態で言えば、お茶が半分入ったペットボトルがもう一個出せるのか。
MPないからやらないが。
《コピー》は〈走査〉して得た〈情報〉を〈複製〉するスキルだそうだ。
《コピー》したお茶をオリジナルのペットボトルに移しかえ、空いたペットボトルに小川の水を汲む。当分水分補給はこの水でいこう。
カバンの中に確か……あった。ペットボトルのジュースにおまけで付いていたボトルホルダー。カラビナ付きなので、水の入ったボトルにセットして、ズボンのベルト通しに吊り下げる。
空いた弁当箱と箸を小川で洗って、水気をふり切りカバンにしまった。蓋のないステンレスの弁当箱だが、何かに使えるだろう。
ではまた歩くとするか。下流に向かって道なき道を歩きはじめる。
歩いていると虫が飛んできた。バッタに似ているが、サイズが一回り大きかった。思わずはたき落としてしまう。バッタもどきは足元の川原の石にベチャっと張りついたせいで、俺はそのまま踏んでしまった。
「げ、踏んじまった」
『レベルが上がりました』
え、なに? どういうこと?
『モンスターを倒したことで経験値を取得。必要経験値に達しレベルアップ、各種パラメーターも上昇します』
踏み潰したバッタもどきを《鑑定》してみた。
=カワバッタの死骸 MR・H
水辺に生息する昆虫系モンスターの死骸=
このMR・Hってなんだ?
『これは、モンスターランク――この世界に存在するモンスターの脅威度を示すものです。マスターが理解しやすいように、アルファベット表示に変換しました。ちなみにHは〝子供でも倒せる〟ランクです』
そんなランクでもモンスターなんだ。で、その程度のモンスターを一匹殺しただけでランクアップするのか。
『イエス、マスター。マスターはスキル《取得経験値補正》の効果で、レベルが上がりやすくなっています』
あ、そうなんだ。それってやっぱりチートだよなあ。まあ、こんなどこともわからない場所で一人っきりなんだ。ありがたく享受しよう。
《鑑定》レベル3で【説明(短)】が【説明(中)】になり、レベル4では【MR】の表示が増えた。
レベルが上がったから、ステータスを確認しておこう。
「〈ステータスオープン〉」
名前・フブキ=アマサカ 年齢・17歳 種族・異世界人
レベル・1→2 職業・学生
H P 220/220(200+20)
M P 35/220(200+20)
STR(筋 力)209(190+19)
DEF(防御力)220(200+20)
VIT(生命力)220(200+20)
DEX(器用さ)198(180+18)
AGI(敏捷性)176(160+16)
MND(精神力)220(200+20)
INT(知 力)165(150+15)
LUK(幸 運)143(130+13)
【加護スキル】《アイテムボックス(時間停止)LV1》《パラメーター加算LV1》
【称号スキル】《言語理解LV1》《取得経験値補正LV1》《使用MP減少LV1》《スキル習得難易度低下LVMAX》
【補助スキル】《マップLV1→2》《サーチLV1→2》《鑑定LV2→4》
【技工スキル】《細工〔NEW〕LV1》
【ユニークスキル】《ナビゲーターLV1》《コピーLV1→2》
【加護】《異世界神の加護×2》
【称号】《異世界より召喚されし者》《落とされた者》
おお、なんか色々上がってる。レベルアップでMPがフル充電はされないのは残念だな。HPは満タンなんだけど、元の設定が別なんだろうか。まあ考えてもわからんものは放置だ。
あっ、ステータスを見ている間にMPが2回復した。
もしかしたら五分で1じゃなくて、五分で一パーセントかな。
レベルアップでMPの回復が早くなったら、スキルが使いやすくなるぞ。
意気込みも新たに歩き続けると――
バブルフロッグがあらわれた!
……いやゴメン、言ってみたかっただけです。《鑑定》するとこんな感じ。
=バブルフロッグ MR・H
カエル系モンスター。水辺に生息し、吐き出す泡に虫などの獲物を閉じ込めて捕らえる。脚は珍味=
「えい」
ブチュ。
お手製の槍で突いてみた。脚は珍味って出たけど、食べる気はないので無視する。
『レベルが上がりました。《スキル習得難易度低下》の効果により、新たなスキル《槍術》を習得しました』
早っ。これなんてイージーモードっすか。《槍術》って、武器の扱い上手くなるのかな? ステータスレベル3でこんな風になった。
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