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4巻
4-3
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午前中も一時間ほど《風魔法》を吹かせた。
昼ご飯をどうするか少し悩んだが、カモフラージュ用に木箱に入れて持ち込んだ食材を、調理してもらうことにした。
ブッシュボアの肉の塊とエレインの市場で買った野菜などを持ってギャレーに行くと、俺を見つけたダムニーの方から寄ってきてくれた。
「昼食っすか? もうちょっと待って欲しいっす」
「今食べるんじゃなくって、昼食用の食材を持ってきたんだ」
木箱ごとダムニーに見せる。
「ニイちゃんと豹の嬢ちゃんの二人だと、三食分くらいありそう」
「なんだ、持ち込み食材か?」
ダムニーの後ろから、ミデルさんがやって来た。
「これ、冷やしてあったのか?」
中の食材を手に取り、状態を見る。
「氷を直接入れると野菜が傷むから、水袋を凍らせて箱の中の温度を下げたんだ。木箱じゃなく、もっと密封性の高い箱だと氷が溶けにくいんだが」
「ああ、保冷箱か。まあ、お前さんは《氷魔法》が使えるから必要ないだろう。それより、この材料で四回分の昼食を作ってやる。氷を出してもらってるし、お代はまけておく。半刻もしたら、嬢ちゃんを連れて食べに来い」
ダムニーは木箱の中身を取り出し、箱を返してくれた。ツーダンでヴァンカまでの食料を仕入れるのに俺が必要になるからだ。
昼食は半刻後だし、一旦部屋に戻ってるか。
部屋に戻ると、ルーナたちも戻っていた。
「おかえり、物見台はどうだった?」
『気持ちええかった』
「遠見鏡覗かせてもらったの、遠くの島が見えたよ。ちっちゃいの」
遠見鏡は望遠鏡のようなものかな。そういえば、ミデルさんが言ってた保冷箱っていうのは、冷蔵庫みたいなものなのだろうか。昔の冷蔵庫って、上に氷を入れて冷やしてたっていうし、どちらかと言えばクーラーボックスみたいなものか? 船にあるなら今度見せてもらおうかな。似たようなものが作れたらごまかしやすいだろうし。でも隠れて《コピー》した方が早いか。明日氷作るときでも頼んでみよう。
俺たちは食堂に行くが、ジライヤたちには部屋で先に食べてもらうことにする。
「さて、ジライヤはブッシュボアでいいか? それとチッキャ。オロチマルは野菜多めにシローナとジンロットもだな。ツナデにはムークとチーチェだ」
『ごはん? フブキまま、ごはん?』
『オロチマルは相変わらず食い意地はっとんなあ』
「フブキ、ルーナもチーチェ食べたい」
「じゃあ、ご飯の後でな」
『フブキ、オレフブキの水欲しい』
「じゃあこっちに出すぞ。船の揺れでこぼれるからちょっとずつな」
『うん』
『まま、ボクもお水~』
「はいはい」
◇ ◇ ◇
午後から風が凪いできたとかで、レブさんから三隻に《風魔法》を頼まれてアッパーデッキに上がっていた。
帆はだらんと垂れ、海面も静かだ。
「さて、今日は誰がどの船に――」
『ほな、行ってくるわ』
『コッチ、任せてフブキ』
言い終わる前に、ツナデとジライヤがミラー号とエイラ号の二隻に跳んでいった。することがなくて暇してたし、まあいいか。
「きゅ?」
よくわかってないオロチマルが首を傾げる。
「オロチマルはコッチ」
『あい、ルーまって~』
ルーナがオロチマルを連れて、最後尾の物見台に向かっていく。
俺は今日も見てるだけかな。一応オロチマルたちの後を追いかける。
ゆっくり歩いて、コンパスデッキに上がる外階段を上る。
オロチマルは短距離なら飛べる……いや跳べるようになった。二階までならツーステップだ。危ないから船の上ではやめるように言ってるんだが、ルーナに追いつこうとぴょんぴょん跳んでいる。風がないので船外に落ちることはないだろうが、あとで注意だな。しかし、コッコトリスは飛べるようになるのだろうか?
『マスター、コッコトリスには飛行能力はありません。オロチマルはスキル《跳躍》で跳んでいるようです』
そうか、コッコトリスは飛べないのか。レベルも上がって既に幼体ではなくなっている。大きさもペリカン並みだしな。ただ、レブさんがまだ大きくなるって言ってた。卵がメロンサイズだったもんな。
ジライヤやツナデに当て嵌めて考えると、コッコトリスはハイブラックウルフとリトルマンキーと同じMR・Dだから、レベル15で進化先が解放されるだろう。
今レベル14だからもう少しなんだよ。これってこの船旅の間に来そうだよな。船を降りるまで進化を見合わせた方が無難だろうか。
「おう、フブキ。今日も頼むぜ」
コンパスブリッジ前のコンパスデッキに、デロースさんが腕組みをして立っていた。考え事をしながらだったので、声をかけられるまで気がつかなかった。
「日程的には余裕があるんだが、せっかくのジャンピングソードフィッシュをツーダンで売りたいんだ。フブキの氷のおかげで二、三日はもつとは思う。だが、できるだけ先に進んでおきたくてな」
俺たちが倒したジャンピングソードフィッシュは合計四十四匹だけど、船員たちが倒した分もある。大量のジャンピングソードフィッシュをどうするかと思ったけど、売るんだ。商船だったよな、この船。
「わかりました。じゃあ――」
「副船長! 前方に鳥山発見、鳥山発見!」
「規模はどれくらいだ」
デッキの柵に身を乗り出すように、デロースさんは物見台の見張りに向かってどなった。
「およそ……百ほどかと」
「でかいな」
しばらく考えるようなポーズののち、俺を見てからマストを仰ぎ見る。
俺もつられて仰ぎ見るが、風がなく帆は垂れていた。
デロースさんが振り返り、ブリッジにいたレブさんに向かって声をかけた。
「レブ、ミラー号とエイラ号に連絡! 網を出せ、囲い込むぞ」
「了解です」
「野郎ども、漁の時間だぜ」
「「「「おう!」」」」
……はあ? 漁?
「おう、フブキ、すまんが従魔に言って、二隻をセレン号に寄せたい。微速で進める程度で風を吹かせててくれ」
「え? ええ、いいですよ」
わけもわからず言われた通り、ジライヤとツナデに軽く風を吹かせて三隻が横並びになるよう念話で指示する。
アッパーデッキでは船員が慌ただしく動き出していた。
船首楼の倉庫から茶色い何かを抱えて出てきたと思ったら、両サイドに寄せたミラー号とエイラ号の船首デッキにいる船員にロープを投げ渡した。
向こうでは、受け取ったロープを船にくくりつけている。
「副船長! 準備できました」
「よし、皆始めるぞ。フブキ、あの鳥山を囲うようにミラー号とエイラ号を動かしたい。ゆっくり船を進めさせてくれ」
「はあ」
もう一度ジライヤたちに念話を送る。
『ほな、行くで』
『わかった、始める』
念話のあと、両サイドの船がゆっくり進み出すと、船首デッキに置かれた茶色い山が引っ張られ、引き出されていく。
「網?」
「ああ、そうだ。豹の嬢ちゃん! セレン号をあの鳥山の手前までゆっくり進めてくれ」
鳥山? そういえばさっきそんなことを言っていた。
前方を見ると海鳥だろうか? 空中から海面に突っ込んでは飛び立つ群れが見えた。
ルーナには、デロースさんの言う通り、ゆっくり船を進めるため、時間短めの風を吹かせるように言う。
海鳥が海面近くにいる魚を捕食しているのか。前に何かのテレビで見たな。鳥山が見える下には小魚の群れがあり、さらにその下では大型の魚が小魚を狙っているとかなんとか。
船に乗ってからずっと切っていた《マップ》を表示した。
前方一キロメートルほど先が、橙色と黄色、時々赤色の光点で埋まっている。
黄色の光点を《鑑定》してみた。
=種族・ハイワシ 固有名・─ 年齢・3歳 状態・混乱
サーディン目に属する魚類。海水魚で、回遊魚である。遊泳能力が高く、群れで行動する。全長は成魚で十五から三十センチほど。体は細長く、断面は円筒形ないしやや縦長、小さく鋭い歯を持つ。赤身の青魚で、新鮮ならナマ食も可能=
次は赤色。
=種族・オーマーノマグロ MR・F 固有名・─ 年齢・8歳 状態・警戒
マグロ属の大型魚系モンスター。成魚で全長は三メートルから五メートルだが、まれに十メートルに達する個体がいる。スキル《高速遊泳》で遊泳することができる。体の横断面はほぼ楕円形、鱗は胸鰭周辺を除けばごく小さいかほとんどなく、《高速遊泳》に適した体型である。新鮮ならナマ食も可能=
マグロキターー!
ていうか、イワシは魚だけど、マグロはモンスターなんだな。うわぁー、マグロを刺身で食いてえ。
ミラー号とエイラ号が左右に大きく広がっていく。この船、網も積んでたんだ。これって囲い込み漁ってやつだよな。でも、こんなでかい網を人力で引き上げるのか? まあ筋肉ムキムキの船員がいっぱいいるから問題なさそうだな。
商船だと思ってたんだが、漁船なのか? 百メートル級のマグロ漁船?
「フブキ、速度を上げたい、三隻に風を頼む」
「あ、はい。ルーナ、頼む」
「はーい」
デロースさんのでかい声は後ろのルーナにも届いているので、説明はいらないだろう。ツナデとジライヤには念話で指示をする。
三隻の帆が風をはらみ、船が速度を上げたせいで、ぐらりと揺れる。
「おう、行けそうか」
「ああ、見たところハイワシの群れだが、下にはでかいやつらがいるはずだ」
船長がコンパスデッキに上がってきてデロースさんに声をかける。そのとき《マップ》にこちらに向かってくる赤点があった。
オーマーノマグロもモンスターだ。ジャンピングソードフィッシュのように船に被害が出るかもしれない。そう思って海面を覗こうとした。
「チッ」
「ミャーッ」
「弓を使えるもんはシーガルキャットを落とせ」
船長の声で上を仰ぐと、デロースさんがナイフを投げてカモメのような鳥を落としていた。
赤点は魚じゃなくて鳥の方か! 餌を横取りされると思って襲ってきたんだな。その通りだが。
=種族名・シーガルキャット MR・G 固有名・─ 年齢・4歳 状態・激怒
シーガル属の鳥系モンスター。鋭い嘴と爪を持つ。全長〇・五から一メートル、翼開張時は一・五から二メートル。スキル《急降下》で獲物に襲いかかる。水中でも短時間なら行動可能。雑食で動物、魚、虫などなんでも食べる。肉は臭みがあり固く、食用には適さない=
弓を構えた船員が、近づくシーガルキャットに向かって矢を放つ。
「ピャピャーッ」
後ろからオロチマルの声がして振り向くと、〈風の刃〉が、飛んできたシーガルキャットを真っ二つにする。
食事の邪魔をされたシーガルキャットが次々と三隻の船に向かっていくが、MR・Gなので船員たちに簡単に蹴散らされている。
俺も〈ストーンバレット〉で飛んできたシーガルキャットを撃ち落とす。脳天を貫かれたシーガルキャットは海面に落ちていった。食用に適さないってあったから、別に惜しくないかな。
『オロチマルのレベルが上がりました。オロチマルの進化ツリーが一段階解放されました』
あ、オロチマルが進化できるようになってしまった。
シーガルキャットは不利を悟ったか、ミャーミャー鳴きながら船から離れていく。
いつの間にかミラー号とエイラ号船は船首を交わらせ、網を仕掛け終わったようだった。
「よし、引き上げろ!」
「「「「「おう!」」」」」
えーっと、もう一回言うけど、商船だよね、漁船じゃないよね。
ガチムチ船員たちが一斉に網を引き上げはじめる。
ハイワシは、大きめのイワシというか、鯖サイズだ。それが引き上げられる網の中でビチビチと跳ねている。
「船長! オーマーノマグロがかかってます」
「急ぎ吊り上げろ、網を破られる前に手早くな」
それぞれの船から二隻ずつ小舟を下ろし、タモ網ようなものでハイワシを回収していると、三メートル以上ありそうなでかい魚、あれがオーマーノマグロか。本当にでかい。まあ、地球の黒鮪だってでかいしな。
小舟からデロースさんの他、何人かの船員がロープを持って網の中に飛び込んでいく。
大丈夫なのか? あ、胡獱獣族とか海獣系の人たちか。あんな魚だらけの中でスイスイ移動してる。
デロースさんが、掴んだオーマーノマグロの尾にロープをかけ、上に合図を送った。
「そーれっ」
デッキにいた船員が、五人掛かりでマストからぶら下がる滑車を使って引き上げだした。
だが、オーマーノマグロはビッタンビッタンと暴れてなかなか引き上げられない。
「くそ、海上で血抜きをすると他のモンスターが寄ってくるから、引き上げてからじゃないとトドメが刺せねえんだ。てめーら、気張りやがれ!」
「「「「「おう!」」」」」
船長の親切解説の後、怒鳴り声が飛ぶ。
マグロは生きてるうちに血抜きしないと価値が下がるとか、暴れると身焼けするとか聞いたことがあるが、こっちの魚類モンスターもそうなのか? 美味しいマグロを食べるためにはおとなしくさせるべきか。
「船長、オーマーノマグロを麻痺させますか?」
「フブキは麻痺の魔法が使えるのか?」
ガシッと両肩を掴まれた。
「え、ええ。使えますよ」
「頼む、やってくれ」
「わ、わか、わかりまし、た」
わかったからガクガク揺さぶるのをやめてくれ。
船長から逃れ、吊り下げられビッチビッチ暴れるオーマーノマグロに魔法をかける。
「〈空間指定〉〈麻痺〉」
飛び込んだ船員に被害が行かないよう範囲指定した上で、サイズがでかいためMPマシマシでかける。暴れていたオーマーノマグロがピタリと静かになった。
「よし、次だ」
そうして十五匹のオーマーノマグロがセレン号に釣り上げられた。
俺も一匹欲しいので、釣り上げたオーマーノマグロにさりげなくタッチする。
あれ? 〈記憶〉できないぞ。
『マスター。オーマーノマグロは麻痺状態なだけで、生きています。生きているものは《コピー》できません』
そうだった。仕方ない。血抜きと内臓処理の終わったやつを後で触っておこう。
オーマーノマグロの血と内臓は別々の樽に詰められていく。内臓も食べられるんだとか。血の方は離脱直前にまとめて海に捨て、そこから急いで離れるため、風を吹かせて欲しいと言われた。
大量のハイワシはエイラ号とミラー号の生簀に入れる分と、締めてセレン号に入れる分とに分けられた。
生簀がある船ってやっぱり漁船じゃねえか?
そして俺は、大量のジャンピングソードフィッシュとハイワシとオーマーノマグロが入れられた倉庫に大量の氷を作り出し、冷蔵室に変えた。カチコチに凍らせた方がいい気もするが、どうなんだろう?
倉庫で忘れず、ハイワシとオーマーノマグロの〈記憶〉をやっておいた。
わーい、マグロの刺身だー!
血を捨てた後は言っていた通り、全速力で海域を離れる。漁と解体で三時間以上かかったので、その後は陽が沈むまで、交代で《風魔法》をかけ続けた。
その日の夕食はハイワシの煮物だった。ぶつ切りにしたハイワシをハーブと香辛料のようなもので煮込んである。
マグロじゃないんだ。まあマグロだったとしても、刺身じゃないだろうし。
ハイワシは香辛料のおかげか、臭みもなく美味しかった。
多くの船員がパンに挟んでハイワシバーガーにしていたから、俺もやってみた。これもなかなかいける。ミデルさんはジライヤたちに、ハーブで茹でたハイワシを出してくれた。ツナデも少しは魚を食べるんだよな。テトポも出したけど。
部屋に戻ってから、オーマーノマグロを〈複製〉する。三メートルサイズと大きめの五メートルサイズを〈記憶〉してあるため、まずは三メートルの方。
「でかっ! 三メートルでこれだと部屋で捌けないぞ」
仕方なく二匹とも〈複製〉してすぐに《アイテムボックス》にしまう。ハイワシも十匹ほど〈複製〉して、しまっておいた。
これはツーダンに着いてから、どこか広い場所でやるべきだな。仕方ない。刺身はしばらくお預けだ。
昼ご飯をどうするか少し悩んだが、カモフラージュ用に木箱に入れて持ち込んだ食材を、調理してもらうことにした。
ブッシュボアの肉の塊とエレインの市場で買った野菜などを持ってギャレーに行くと、俺を見つけたダムニーの方から寄ってきてくれた。
「昼食っすか? もうちょっと待って欲しいっす」
「今食べるんじゃなくって、昼食用の食材を持ってきたんだ」
木箱ごとダムニーに見せる。
「ニイちゃんと豹の嬢ちゃんの二人だと、三食分くらいありそう」
「なんだ、持ち込み食材か?」
ダムニーの後ろから、ミデルさんがやって来た。
「これ、冷やしてあったのか?」
中の食材を手に取り、状態を見る。
「氷を直接入れると野菜が傷むから、水袋を凍らせて箱の中の温度を下げたんだ。木箱じゃなく、もっと密封性の高い箱だと氷が溶けにくいんだが」
「ああ、保冷箱か。まあ、お前さんは《氷魔法》が使えるから必要ないだろう。それより、この材料で四回分の昼食を作ってやる。氷を出してもらってるし、お代はまけておく。半刻もしたら、嬢ちゃんを連れて食べに来い」
ダムニーは木箱の中身を取り出し、箱を返してくれた。ツーダンでヴァンカまでの食料を仕入れるのに俺が必要になるからだ。
昼食は半刻後だし、一旦部屋に戻ってるか。
部屋に戻ると、ルーナたちも戻っていた。
「おかえり、物見台はどうだった?」
『気持ちええかった』
「遠見鏡覗かせてもらったの、遠くの島が見えたよ。ちっちゃいの」
遠見鏡は望遠鏡のようなものかな。そういえば、ミデルさんが言ってた保冷箱っていうのは、冷蔵庫みたいなものなのだろうか。昔の冷蔵庫って、上に氷を入れて冷やしてたっていうし、どちらかと言えばクーラーボックスみたいなものか? 船にあるなら今度見せてもらおうかな。似たようなものが作れたらごまかしやすいだろうし。でも隠れて《コピー》した方が早いか。明日氷作るときでも頼んでみよう。
俺たちは食堂に行くが、ジライヤたちには部屋で先に食べてもらうことにする。
「さて、ジライヤはブッシュボアでいいか? それとチッキャ。オロチマルは野菜多めにシローナとジンロットもだな。ツナデにはムークとチーチェだ」
『ごはん? フブキまま、ごはん?』
『オロチマルは相変わらず食い意地はっとんなあ』
「フブキ、ルーナもチーチェ食べたい」
「じゃあ、ご飯の後でな」
『フブキ、オレフブキの水欲しい』
「じゃあこっちに出すぞ。船の揺れでこぼれるからちょっとずつな」
『うん』
『まま、ボクもお水~』
「はいはい」
◇ ◇ ◇
午後から風が凪いできたとかで、レブさんから三隻に《風魔法》を頼まれてアッパーデッキに上がっていた。
帆はだらんと垂れ、海面も静かだ。
「さて、今日は誰がどの船に――」
『ほな、行ってくるわ』
『コッチ、任せてフブキ』
言い終わる前に、ツナデとジライヤがミラー号とエイラ号の二隻に跳んでいった。することがなくて暇してたし、まあいいか。
「きゅ?」
よくわかってないオロチマルが首を傾げる。
「オロチマルはコッチ」
『あい、ルーまって~』
ルーナがオロチマルを連れて、最後尾の物見台に向かっていく。
俺は今日も見てるだけかな。一応オロチマルたちの後を追いかける。
ゆっくり歩いて、コンパスデッキに上がる外階段を上る。
オロチマルは短距離なら飛べる……いや跳べるようになった。二階までならツーステップだ。危ないから船の上ではやめるように言ってるんだが、ルーナに追いつこうとぴょんぴょん跳んでいる。風がないので船外に落ちることはないだろうが、あとで注意だな。しかし、コッコトリスは飛べるようになるのだろうか?
『マスター、コッコトリスには飛行能力はありません。オロチマルはスキル《跳躍》で跳んでいるようです』
そうか、コッコトリスは飛べないのか。レベルも上がって既に幼体ではなくなっている。大きさもペリカン並みだしな。ただ、レブさんがまだ大きくなるって言ってた。卵がメロンサイズだったもんな。
ジライヤやツナデに当て嵌めて考えると、コッコトリスはハイブラックウルフとリトルマンキーと同じMR・Dだから、レベル15で進化先が解放されるだろう。
今レベル14だからもう少しなんだよ。これってこの船旅の間に来そうだよな。船を降りるまで進化を見合わせた方が無難だろうか。
「おう、フブキ。今日も頼むぜ」
コンパスブリッジ前のコンパスデッキに、デロースさんが腕組みをして立っていた。考え事をしながらだったので、声をかけられるまで気がつかなかった。
「日程的には余裕があるんだが、せっかくのジャンピングソードフィッシュをツーダンで売りたいんだ。フブキの氷のおかげで二、三日はもつとは思う。だが、できるだけ先に進んでおきたくてな」
俺たちが倒したジャンピングソードフィッシュは合計四十四匹だけど、船員たちが倒した分もある。大量のジャンピングソードフィッシュをどうするかと思ったけど、売るんだ。商船だったよな、この船。
「わかりました。じゃあ――」
「副船長! 前方に鳥山発見、鳥山発見!」
「規模はどれくらいだ」
デッキの柵に身を乗り出すように、デロースさんは物見台の見張りに向かってどなった。
「およそ……百ほどかと」
「でかいな」
しばらく考えるようなポーズののち、俺を見てからマストを仰ぎ見る。
俺もつられて仰ぎ見るが、風がなく帆は垂れていた。
デロースさんが振り返り、ブリッジにいたレブさんに向かって声をかけた。
「レブ、ミラー号とエイラ号に連絡! 網を出せ、囲い込むぞ」
「了解です」
「野郎ども、漁の時間だぜ」
「「「「おう!」」」」
……はあ? 漁?
「おう、フブキ、すまんが従魔に言って、二隻をセレン号に寄せたい。微速で進める程度で風を吹かせててくれ」
「え? ええ、いいですよ」
わけもわからず言われた通り、ジライヤとツナデに軽く風を吹かせて三隻が横並びになるよう念話で指示する。
アッパーデッキでは船員が慌ただしく動き出していた。
船首楼の倉庫から茶色い何かを抱えて出てきたと思ったら、両サイドに寄せたミラー号とエイラ号の船首デッキにいる船員にロープを投げ渡した。
向こうでは、受け取ったロープを船にくくりつけている。
「副船長! 準備できました」
「よし、皆始めるぞ。フブキ、あの鳥山を囲うようにミラー号とエイラ号を動かしたい。ゆっくり船を進めさせてくれ」
「はあ」
もう一度ジライヤたちに念話を送る。
『ほな、行くで』
『わかった、始める』
念話のあと、両サイドの船がゆっくり進み出すと、船首デッキに置かれた茶色い山が引っ張られ、引き出されていく。
「網?」
「ああ、そうだ。豹の嬢ちゃん! セレン号をあの鳥山の手前までゆっくり進めてくれ」
鳥山? そういえばさっきそんなことを言っていた。
前方を見ると海鳥だろうか? 空中から海面に突っ込んでは飛び立つ群れが見えた。
ルーナには、デロースさんの言う通り、ゆっくり船を進めるため、時間短めの風を吹かせるように言う。
海鳥が海面近くにいる魚を捕食しているのか。前に何かのテレビで見たな。鳥山が見える下には小魚の群れがあり、さらにその下では大型の魚が小魚を狙っているとかなんとか。
船に乗ってからずっと切っていた《マップ》を表示した。
前方一キロメートルほど先が、橙色と黄色、時々赤色の光点で埋まっている。
黄色の光点を《鑑定》してみた。
=種族・ハイワシ 固有名・─ 年齢・3歳 状態・混乱
サーディン目に属する魚類。海水魚で、回遊魚である。遊泳能力が高く、群れで行動する。全長は成魚で十五から三十センチほど。体は細長く、断面は円筒形ないしやや縦長、小さく鋭い歯を持つ。赤身の青魚で、新鮮ならナマ食も可能=
次は赤色。
=種族・オーマーノマグロ MR・F 固有名・─ 年齢・8歳 状態・警戒
マグロ属の大型魚系モンスター。成魚で全長は三メートルから五メートルだが、まれに十メートルに達する個体がいる。スキル《高速遊泳》で遊泳することができる。体の横断面はほぼ楕円形、鱗は胸鰭周辺を除けばごく小さいかほとんどなく、《高速遊泳》に適した体型である。新鮮ならナマ食も可能=
マグロキターー!
ていうか、イワシは魚だけど、マグロはモンスターなんだな。うわぁー、マグロを刺身で食いてえ。
ミラー号とエイラ号が左右に大きく広がっていく。この船、網も積んでたんだ。これって囲い込み漁ってやつだよな。でも、こんなでかい網を人力で引き上げるのか? まあ筋肉ムキムキの船員がいっぱいいるから問題なさそうだな。
商船だと思ってたんだが、漁船なのか? 百メートル級のマグロ漁船?
「フブキ、速度を上げたい、三隻に風を頼む」
「あ、はい。ルーナ、頼む」
「はーい」
デロースさんのでかい声は後ろのルーナにも届いているので、説明はいらないだろう。ツナデとジライヤには念話で指示をする。
三隻の帆が風をはらみ、船が速度を上げたせいで、ぐらりと揺れる。
「おう、行けそうか」
「ああ、見たところハイワシの群れだが、下にはでかいやつらがいるはずだ」
船長がコンパスデッキに上がってきてデロースさんに声をかける。そのとき《マップ》にこちらに向かってくる赤点があった。
オーマーノマグロもモンスターだ。ジャンピングソードフィッシュのように船に被害が出るかもしれない。そう思って海面を覗こうとした。
「チッ」
「ミャーッ」
「弓を使えるもんはシーガルキャットを落とせ」
船長の声で上を仰ぐと、デロースさんがナイフを投げてカモメのような鳥を落としていた。
赤点は魚じゃなくて鳥の方か! 餌を横取りされると思って襲ってきたんだな。その通りだが。
=種族名・シーガルキャット MR・G 固有名・─ 年齢・4歳 状態・激怒
シーガル属の鳥系モンスター。鋭い嘴と爪を持つ。全長〇・五から一メートル、翼開張時は一・五から二メートル。スキル《急降下》で獲物に襲いかかる。水中でも短時間なら行動可能。雑食で動物、魚、虫などなんでも食べる。肉は臭みがあり固く、食用には適さない=
弓を構えた船員が、近づくシーガルキャットに向かって矢を放つ。
「ピャピャーッ」
後ろからオロチマルの声がして振り向くと、〈風の刃〉が、飛んできたシーガルキャットを真っ二つにする。
食事の邪魔をされたシーガルキャットが次々と三隻の船に向かっていくが、MR・Gなので船員たちに簡単に蹴散らされている。
俺も〈ストーンバレット〉で飛んできたシーガルキャットを撃ち落とす。脳天を貫かれたシーガルキャットは海面に落ちていった。食用に適さないってあったから、別に惜しくないかな。
『オロチマルのレベルが上がりました。オロチマルの進化ツリーが一段階解放されました』
あ、オロチマルが進化できるようになってしまった。
シーガルキャットは不利を悟ったか、ミャーミャー鳴きながら船から離れていく。
いつの間にかミラー号とエイラ号船は船首を交わらせ、網を仕掛け終わったようだった。
「よし、引き上げろ!」
「「「「「おう!」」」」」
えーっと、もう一回言うけど、商船だよね、漁船じゃないよね。
ガチムチ船員たちが一斉に網を引き上げはじめる。
ハイワシは、大きめのイワシというか、鯖サイズだ。それが引き上げられる網の中でビチビチと跳ねている。
「船長! オーマーノマグロがかかってます」
「急ぎ吊り上げろ、網を破られる前に手早くな」
それぞれの船から二隻ずつ小舟を下ろし、タモ網ようなものでハイワシを回収していると、三メートル以上ありそうなでかい魚、あれがオーマーノマグロか。本当にでかい。まあ、地球の黒鮪だってでかいしな。
小舟からデロースさんの他、何人かの船員がロープを持って網の中に飛び込んでいく。
大丈夫なのか? あ、胡獱獣族とか海獣系の人たちか。あんな魚だらけの中でスイスイ移動してる。
デロースさんが、掴んだオーマーノマグロの尾にロープをかけ、上に合図を送った。
「そーれっ」
デッキにいた船員が、五人掛かりでマストからぶら下がる滑車を使って引き上げだした。
だが、オーマーノマグロはビッタンビッタンと暴れてなかなか引き上げられない。
「くそ、海上で血抜きをすると他のモンスターが寄ってくるから、引き上げてからじゃないとトドメが刺せねえんだ。てめーら、気張りやがれ!」
「「「「「おう!」」」」」
船長の親切解説の後、怒鳴り声が飛ぶ。
マグロは生きてるうちに血抜きしないと価値が下がるとか、暴れると身焼けするとか聞いたことがあるが、こっちの魚類モンスターもそうなのか? 美味しいマグロを食べるためにはおとなしくさせるべきか。
「船長、オーマーノマグロを麻痺させますか?」
「フブキは麻痺の魔法が使えるのか?」
ガシッと両肩を掴まれた。
「え、ええ。使えますよ」
「頼む、やってくれ」
「わ、わか、わかりまし、た」
わかったからガクガク揺さぶるのをやめてくれ。
船長から逃れ、吊り下げられビッチビッチ暴れるオーマーノマグロに魔法をかける。
「〈空間指定〉〈麻痺〉」
飛び込んだ船員に被害が行かないよう範囲指定した上で、サイズがでかいためMPマシマシでかける。暴れていたオーマーノマグロがピタリと静かになった。
「よし、次だ」
そうして十五匹のオーマーノマグロがセレン号に釣り上げられた。
俺も一匹欲しいので、釣り上げたオーマーノマグロにさりげなくタッチする。
あれ? 〈記憶〉できないぞ。
『マスター。オーマーノマグロは麻痺状態なだけで、生きています。生きているものは《コピー》できません』
そうだった。仕方ない。血抜きと内臓処理の終わったやつを後で触っておこう。
オーマーノマグロの血と内臓は別々の樽に詰められていく。内臓も食べられるんだとか。血の方は離脱直前にまとめて海に捨て、そこから急いで離れるため、風を吹かせて欲しいと言われた。
大量のハイワシはエイラ号とミラー号の生簀に入れる分と、締めてセレン号に入れる分とに分けられた。
生簀がある船ってやっぱり漁船じゃねえか?
そして俺は、大量のジャンピングソードフィッシュとハイワシとオーマーノマグロが入れられた倉庫に大量の氷を作り出し、冷蔵室に変えた。カチコチに凍らせた方がいい気もするが、どうなんだろう?
倉庫で忘れず、ハイワシとオーマーノマグロの〈記憶〉をやっておいた。
わーい、マグロの刺身だー!
血を捨てた後は言っていた通り、全速力で海域を離れる。漁と解体で三時間以上かかったので、その後は陽が沈むまで、交代で《風魔法》をかけ続けた。
その日の夕食はハイワシの煮物だった。ぶつ切りにしたハイワシをハーブと香辛料のようなもので煮込んである。
マグロじゃないんだ。まあマグロだったとしても、刺身じゃないだろうし。
ハイワシは香辛料のおかげか、臭みもなく美味しかった。
多くの船員がパンに挟んでハイワシバーガーにしていたから、俺もやってみた。これもなかなかいける。ミデルさんはジライヤたちに、ハーブで茹でたハイワシを出してくれた。ツナデも少しは魚を食べるんだよな。テトポも出したけど。
部屋に戻ってから、オーマーノマグロを〈複製〉する。三メートルサイズと大きめの五メートルサイズを〈記憶〉してあるため、まずは三メートルの方。
「でかっ! 三メートルでこれだと部屋で捌けないぞ」
仕方なく二匹とも〈複製〉してすぐに《アイテムボックス》にしまう。ハイワシも十匹ほど〈複製〉して、しまっておいた。
これはツーダンに着いてから、どこか広い場所でやるべきだな。仕方ない。刺身はしばらくお預けだ。
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