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第一章
6 何かの裏事情
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ネズミのシロは血を流して倒れているメイを、ただ見ている事しかできなかった。
救急車、パトカー、病院、電話、止血、そんな元いた現実世界の言葉が頭を駆け巡る。
日本の常識は異世界の非常識。こんな言葉が今の状態によく合うような気がした。日本の生活に慣れてしまっていると、他国にいったときにいろいろと苦労するアレだ。まあ、日本には異世界の常識を予習をする手段があるのでまだマシだが……。
──どうすれば……。でもこのネズミの状態じゃ……。
シロは自分の役立たずさに、がっくりきた。
硝煙の臭いが辺りに漂う。そこには銃を持った少年と品のよい貴族がいた。
貴族は、通路の茂みから出てきて言葉を発した。
「殺ったのか」
そういったのはレイヤだった。酒場からついてきていたようだ。
「この出血量なら助からないね」
少年が笑顔で話す。
少年は、いいとこのボンボンのような風貌をしている、カイン・D・トラベルという少年だった
幸せそうな笑顔を常に絶やさないでいる。
「しかし、すごい武器だな。こんな簡単に漆黒の猫を倒せるなんて」
レイヤは関心していた。イレギュラーな事態が発生した場合の為にレイヤが控えていたのだが、その必要もなくなった為、驚きを隠しきれないでいた。
ほとんど武器のおかげなのは間違いないのだが……。
「オババがもってきた精霊が出してくれたんだよ。でもその精霊は、なにか叫んで爆発しちゃったんだけどね」
カインは銃を振り回しながらドヤ顔で倒れたメイを見ている。
「まあ、帝都領内なら、攻撃魔法には制限がかかるから、反撃されても平気だろうけど、反撃する暇も与えなかったな」
帝都領内の魔法制限。
この帝都には都民の安全を護る為、あらゆる防御機構が存在している。
まず攻撃系の魔法に対しては詠唱のキャンセルが働くようになっている。
移動系の魔法に対しては、飛行と速度規制が働いている。
防御系の魔法に対しては、一部仕様できるのだが、衛兵などが駆けつけるような事態になれば、その一部も規制される場合がある。
「ボクとしては、このナイフで殺ったほうが楽なんだけどね。これ、うるさいし。でも、ミスって無駄に動くのは嫌だったからね」
カインは自分のもっていたナイフをくるくる回した。
レイヤは、少しだけカインの持っていた銃を手に取り、眺めていた。
「この武器は小筒かい?連続で撃てる小筒は始めて見た」
レイヤは不思議そうに銃を眺める。
自慢げにカインは話す。
「魔法を込めなくても撃てる小筒ってオババがいってた」
小筒とは、魔法を込めた弾を発射する筒のことである。
他に中筒、大筒とある。いずれも単発の武器だ。
この世界では詠唱しないで魔法を撃てる便利な武器である。
「そんな物が存在するのか……。魔法だけに頼っていると、もしかしたら技術の発展を遅らせてしまうのかもしれないな」
レイヤは銃をカインに返した。
「にしても、この人工圧縮魔鉱石の情報が他に流れるのはまずいからね。悪い芽は早い内に摘んでおかなければならない。この少女には悪いことをした」
「でも、盗賊なんでしょ。悪いやつはやっつけなきゃね。正義は勝つ!当たり前!」
「まあ、正論だな」
「じゃあ、レイヤ。これであのでっかいおもちゃ、完成したらボクも遊んでいいんだよね」
「ああ、かまわないさ。その時がきたらまた連絡する」
そういってレイヤはその場を立ち去った。
カインは、飽きたおもちゃを見るように、メイを見ていた。
そして、メイのすぐ側でネズミが鳴いているのを見つけた。
「あーあ、ネズミがピーピーないてるよー。これで吹っ飛ばしてやろうかなー」
カインはネズミに銃口を近づけた。
シロは銃を突きつけられたことに気がつき、声を止めた。
──!!!!!!
生命の危険を感じた。
救急車、パトカー、病院、電話、止血、そんな元いた現実世界の言葉が頭を駆け巡る。
日本の常識は異世界の非常識。こんな言葉が今の状態によく合うような気がした。日本の生活に慣れてしまっていると、他国にいったときにいろいろと苦労するアレだ。まあ、日本には異世界の常識を予習をする手段があるのでまだマシだが……。
──どうすれば……。でもこのネズミの状態じゃ……。
シロは自分の役立たずさに、がっくりきた。
硝煙の臭いが辺りに漂う。そこには銃を持った少年と品のよい貴族がいた。
貴族は、通路の茂みから出てきて言葉を発した。
「殺ったのか」
そういったのはレイヤだった。酒場からついてきていたようだ。
「この出血量なら助からないね」
少年が笑顔で話す。
少年は、いいとこのボンボンのような風貌をしている、カイン・D・トラベルという少年だった
幸せそうな笑顔を常に絶やさないでいる。
「しかし、すごい武器だな。こんな簡単に漆黒の猫を倒せるなんて」
レイヤは関心していた。イレギュラーな事態が発生した場合の為にレイヤが控えていたのだが、その必要もなくなった為、驚きを隠しきれないでいた。
ほとんど武器のおかげなのは間違いないのだが……。
「オババがもってきた精霊が出してくれたんだよ。でもその精霊は、なにか叫んで爆発しちゃったんだけどね」
カインは銃を振り回しながらドヤ顔で倒れたメイを見ている。
「まあ、帝都領内なら、攻撃魔法には制限がかかるから、反撃されても平気だろうけど、反撃する暇も与えなかったな」
帝都領内の魔法制限。
この帝都には都民の安全を護る為、あらゆる防御機構が存在している。
まず攻撃系の魔法に対しては詠唱のキャンセルが働くようになっている。
移動系の魔法に対しては、飛行と速度規制が働いている。
防御系の魔法に対しては、一部仕様できるのだが、衛兵などが駆けつけるような事態になれば、その一部も規制される場合がある。
「ボクとしては、このナイフで殺ったほうが楽なんだけどね。これ、うるさいし。でも、ミスって無駄に動くのは嫌だったからね」
カインは自分のもっていたナイフをくるくる回した。
レイヤは、少しだけカインの持っていた銃を手に取り、眺めていた。
「この武器は小筒かい?連続で撃てる小筒は始めて見た」
レイヤは不思議そうに銃を眺める。
自慢げにカインは話す。
「魔法を込めなくても撃てる小筒ってオババがいってた」
小筒とは、魔法を込めた弾を発射する筒のことである。
他に中筒、大筒とある。いずれも単発の武器だ。
この世界では詠唱しないで魔法を撃てる便利な武器である。
「そんな物が存在するのか……。魔法だけに頼っていると、もしかしたら技術の発展を遅らせてしまうのかもしれないな」
レイヤは銃をカインに返した。
「にしても、この人工圧縮魔鉱石の情報が他に流れるのはまずいからね。悪い芽は早い内に摘んでおかなければならない。この少女には悪いことをした」
「でも、盗賊なんでしょ。悪いやつはやっつけなきゃね。正義は勝つ!当たり前!」
「まあ、正論だな」
「じゃあ、レイヤ。これであのでっかいおもちゃ、完成したらボクも遊んでいいんだよね」
「ああ、かまわないさ。その時がきたらまた連絡する」
そういってレイヤはその場を立ち去った。
カインは、飽きたおもちゃを見るように、メイを見ていた。
そして、メイのすぐ側でネズミが鳴いているのを見つけた。
「あーあ、ネズミがピーピーないてるよー。これで吹っ飛ばしてやろうかなー」
カインはネズミに銃口を近づけた。
シロは銃を突きつけられたことに気がつき、声を止めた。
──!!!!!!
生命の危険を感じた。
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