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本編
第十四話 緑色
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──そして────
────目が覚めた──
結局、今回も俺が何とかできるレベルのものじゃなかった。
民宿へ行くのは完全に死亡フラグだ。
こうなったら、棗を連れてすぐにでも部長たちと合流しなければならない。
そう思ったのもつかの間、さっきと同じように俺は車の中で寝ていて、棗が側にいるものだと思われた。
だが、そうではなかった。
薄暗い工場のような場所。前に俺がチェーンソーで首を切られた場所だ。
そして、体を動かすことはできない。なぜなら、俺の体が緑色の液状になっていたからだ。
バケツの中から体液を盛り上げ、かろうじて外を見ることができる。まるで、スライムにでもなった気分だ。
(なんだこれ……いったい何が起きてるんだ……)
しばらくして、低い男の声が聞こえてきた。
「じゃあ、これに人魚の血を入れてこの女の体と鮫をくっつければいいんだな」
緑色の体をした男だ。顔は影になってよく見えない。
「メスの鮫人間できるかな~」
そしてもう一人の声がした。甲高い子供のような声だ。
姿は緑色をした子供だった。だが、形が人間なのかどうかわからない。
その二人は、大きな作業テーブルで何かをしていた。
テーブルの上には首のない女の遺体が3体。そして、男の遺体が2体置かれている。
普段なら、こんな光景を見れば気分が悪くなるはずだ。だが、それがない。
俺は、どうにかなってしまったようだ。
クレーンが動き、黒く大きなものを運んでくる。それはしばらくすると、小さなスポットライトの光を浴び、その姿を現す。
それは…………鮫だった。
鋭い牙は、痛みの恐怖を思い起こさせる。なにせ、俺はこの牙に何度もかじられたわけだ。
もう、トラウマになってしまっている。見ただけでそれにかじられた時の痛みがわかる。
緑の子供は、作業テーブルに乗っている女の上半身を起こす。
そして、近くにあったバケツから緑色の液体を頭のない首の切り口へと流し込む。
バケツの液体が全て流し終わると、こんどは、死体の首が怪しく発光し、何かを形作り始めた。
(まさか……その液体は……棗!)
形作られたのは……棗の顔だった。
(いったいこいつら……何をするつもりだ……)
緑色の体の男は、クレーンを止める。鮫は死体のちょうど真上だ。
だが、これで何をしようとしているか、大体わかってきた。
この二人組は、鮫人間を作ろうとしている。もう、それしか考えられない。
鮫は、ゆっくりと下げられ、鮫の腹の部分が棗の頭にくっつく。
棗の顔は潰れて接着剤のように広がる。
ちょうど体と鮫が、鮫人間のような形になった。
「さあ、鮫人間になれ!」
緑の体の男は、鮫の口を開け、瓶に入った赤い液体をその口へと注ぐ。
「鮫人間、鮫人間、ぐふふふ」
しばらく静寂の時間が流れた。だが、何も起きない。
「ぐぐぐ……これ失敗じゃね……」
「ギャハハ! やっぱり死んでるのは無理~」
二人は、残念そうに合成した鮫人間を見ていた。
実験でもしているのだろうか。
「じゃあ、お前ならどうする?」
「液体に人魚の血をかけてみる」
「じゃあ、やってみろ」
緑の子供は、瓶に入った赤い液体を、俺の入っているバケツに注いだ。
おそらく、この血は人魚の血だ。
突然、全身に焼けるような熱がこみ上げてきた。
体が沸騰するようだ。
(熱い……熱すぎる……なんだこれ……熱い痛みだけ感じる……苦しくない……気持ちいい……)
なんだか、最高の気分だ。
今までのことがどうでもよくなってきた。
ただ、暴れたい……このわけのわからない二人を八つ裂きにしたい。
気が付くと、俺の体は鮫人間になっていた。
「なんだ……こいつ……鮫とくっつけてないのに、鮫人間になった」
緑の子供が騒ぐ。
「なんだ……こいつ……ちゃんと言う事聞くんだろうな……」
緑の男が呟く。
まずは、強そうな緑の男だ。
俺は、その男を丸飲みにした。
「グアアアアアアアアア!」
緑の男は悲鳴を上げた。
たぶん、頭が禿げている。それと、背中に甲羅がある。
俺はそれを何度もかみ砕く。かむたびにキュウリのようなさっぱりとした味が口の中にしみわたる。
「ウーーーーメーーーー!」
思わず俺は、叫んだ。
なんだか、俺の思考のどこかで、こいつは河童だと叫んでいる。
──だが、そんなことはどうでもいい──
この緑の子供は一体なんだ。
食べてみればわかる。
そうだ、食べよう。
「だぢげで!」
逃げようとする緑の子供を一気に口に入れる。
──グシャア──
やはり、こいつも人間ではなかった。
ゼリー状の物体。青汁のような臭い。下水の生臭さ。
だが、味は濃厚だ。
「ウーーーーメーーーー!」
思わず俺は、叫んだ。
残った首なし死体に目が行く。
「コイツラ……食ッタラ……ウマイカナ……」
なんだか食べたくなってきた。
俺は大口を開けてその死体を飲み込もうとした。
その時だ。
背中に何か強烈な痛みが走った。
全身が痺れて動かない。
「こんな……こともある……」
声がした。女性の声だ。
「ごめんなさい……」
なぜ、謝るのだろう。それにしても、この声、聞き覚えがある。
ここれは…………。
チェーンソーのエンジンがかかる音が聞こえた。
そして、その音はゆっくりと俺に近づいてくる。
(思い出した。これは、あの中学生の少女の声……)
少女は、チェーンソーを持って俺の前に姿を見せた。
そして、血の涙を流しながらチェーンソーを俺の体に無言で押し当てた。
「ギャアアアアアアアアアアア……」
────目が覚めた──
結局、今回も俺が何とかできるレベルのものじゃなかった。
民宿へ行くのは完全に死亡フラグだ。
こうなったら、棗を連れてすぐにでも部長たちと合流しなければならない。
そう思ったのもつかの間、さっきと同じように俺は車の中で寝ていて、棗が側にいるものだと思われた。
だが、そうではなかった。
薄暗い工場のような場所。前に俺がチェーンソーで首を切られた場所だ。
そして、体を動かすことはできない。なぜなら、俺の体が緑色の液状になっていたからだ。
バケツの中から体液を盛り上げ、かろうじて外を見ることができる。まるで、スライムにでもなった気分だ。
(なんだこれ……いったい何が起きてるんだ……)
しばらくして、低い男の声が聞こえてきた。
「じゃあ、これに人魚の血を入れてこの女の体と鮫をくっつければいいんだな」
緑色の体をした男だ。顔は影になってよく見えない。
「メスの鮫人間できるかな~」
そしてもう一人の声がした。甲高い子供のような声だ。
姿は緑色をした子供だった。だが、形が人間なのかどうかわからない。
その二人は、大きな作業テーブルで何かをしていた。
テーブルの上には首のない女の遺体が3体。そして、男の遺体が2体置かれている。
普段なら、こんな光景を見れば気分が悪くなるはずだ。だが、それがない。
俺は、どうにかなってしまったようだ。
クレーンが動き、黒く大きなものを運んでくる。それはしばらくすると、小さなスポットライトの光を浴び、その姿を現す。
それは…………鮫だった。
鋭い牙は、痛みの恐怖を思い起こさせる。なにせ、俺はこの牙に何度もかじられたわけだ。
もう、トラウマになってしまっている。見ただけでそれにかじられた時の痛みがわかる。
緑の子供は、作業テーブルに乗っている女の上半身を起こす。
そして、近くにあったバケツから緑色の液体を頭のない首の切り口へと流し込む。
バケツの液体が全て流し終わると、こんどは、死体の首が怪しく発光し、何かを形作り始めた。
(まさか……その液体は……棗!)
形作られたのは……棗の顔だった。
(いったいこいつら……何をするつもりだ……)
緑色の体の男は、クレーンを止める。鮫は死体のちょうど真上だ。
だが、これで何をしようとしているか、大体わかってきた。
この二人組は、鮫人間を作ろうとしている。もう、それしか考えられない。
鮫は、ゆっくりと下げられ、鮫の腹の部分が棗の頭にくっつく。
棗の顔は潰れて接着剤のように広がる。
ちょうど体と鮫が、鮫人間のような形になった。
「さあ、鮫人間になれ!」
緑の体の男は、鮫の口を開け、瓶に入った赤い液体をその口へと注ぐ。
「鮫人間、鮫人間、ぐふふふ」
しばらく静寂の時間が流れた。だが、何も起きない。
「ぐぐぐ……これ失敗じゃね……」
「ギャハハ! やっぱり死んでるのは無理~」
二人は、残念そうに合成した鮫人間を見ていた。
実験でもしているのだろうか。
「じゃあ、お前ならどうする?」
「液体に人魚の血をかけてみる」
「じゃあ、やってみろ」
緑の子供は、瓶に入った赤い液体を、俺の入っているバケツに注いだ。
おそらく、この血は人魚の血だ。
突然、全身に焼けるような熱がこみ上げてきた。
体が沸騰するようだ。
(熱い……熱すぎる……なんだこれ……熱い痛みだけ感じる……苦しくない……気持ちいい……)
なんだか、最高の気分だ。
今までのことがどうでもよくなってきた。
ただ、暴れたい……このわけのわからない二人を八つ裂きにしたい。
気が付くと、俺の体は鮫人間になっていた。
「なんだ……こいつ……鮫とくっつけてないのに、鮫人間になった」
緑の子供が騒ぐ。
「なんだ……こいつ……ちゃんと言う事聞くんだろうな……」
緑の男が呟く。
まずは、強そうな緑の男だ。
俺は、その男を丸飲みにした。
「グアアアアアアアアア!」
緑の男は悲鳴を上げた。
たぶん、頭が禿げている。それと、背中に甲羅がある。
俺はそれを何度もかみ砕く。かむたびにキュウリのようなさっぱりとした味が口の中にしみわたる。
「ウーーーーメーーーー!」
思わず俺は、叫んだ。
なんだか、俺の思考のどこかで、こいつは河童だと叫んでいる。
──だが、そんなことはどうでもいい──
この緑の子供は一体なんだ。
食べてみればわかる。
そうだ、食べよう。
「だぢげで!」
逃げようとする緑の子供を一気に口に入れる。
──グシャア──
やはり、こいつも人間ではなかった。
ゼリー状の物体。青汁のような臭い。下水の生臭さ。
だが、味は濃厚だ。
「ウーーーーメーーーー!」
思わず俺は、叫んだ。
残った首なし死体に目が行く。
「コイツラ……食ッタラ……ウマイカナ……」
なんだか食べたくなってきた。
俺は大口を開けてその死体を飲み込もうとした。
その時だ。
背中に何か強烈な痛みが走った。
全身が痺れて動かない。
「こんな……こともある……」
声がした。女性の声だ。
「ごめんなさい……」
なぜ、謝るのだろう。それにしても、この声、聞き覚えがある。
ここれは…………。
チェーンソーのエンジンがかかる音が聞こえた。
そして、その音はゆっくりと俺に近づいてくる。
(思い出した。これは、あの中学生の少女の声……)
少女は、チェーンソーを持って俺の前に姿を見せた。
そして、血の涙を流しながらチェーンソーを俺の体に無言で押し当てた。
「ギャアアアアアアアアアアア……」
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