15 / 17
タライ 十五個目
しおりを挟む
────8月5日(土曜日) 午後2時00分
僕は、零子とアルポリテレビにきた。そして、職員に誘導されて、局内を見学する。もちろん、タライに関するとろこだ。
僕たちは、じいさんが師範をしていたという、タライ落としの養成所を案内してもらった。
────タライ……タライ……タライイイィィー!
金属音のような幻聴が聞こえた。頭に響き、めまいがした。
「だ、大丈夫」
「うん、平気」
零子に肩を貸してもらった。……何か嫌な気配がする……。
職員に案内され、僕らは養成所についた。天井のある舞台セットが置いてある。
「この舞台の天井から、タライを落とすわけか……」
実際、天井付きの舞台セットの高さなら、落ちた場合の威力はさほどでもないだろう。安全面は考えてあったわけだ……。
なにやら、ざわめきが聞こえる。僕はその方向に足を向けた。
「そっちは、倉庫ですね。見てみますか?」
「はい」
職員は倉庫の錠前に手をかけ、古い鍵を使い錠前をこじ開ける。そして、引き戸を力いっぱい引いて戸を開けた。中は暗かった。
その後、職員は倉庫の中に入り、電気をつけた。
その瞬間、僕は、驚くべき光景を目にした。
「なに……これ……」
零子は、口を開けて目を丸くしてあっけにとられていた。
「これは……」
僕が最初に目にしたもの……それは……。
倉庫に山積みにされたタライだった。
倉庫の床はホコリまみれだ。かなりホコリが積もっているため、長いこと使われていない倉庫ということがわかる。
僕は、そのホコリの上に足跡をつけるかのように、倉庫に足を踏み入れた。
────タライィィィ……タァァラァァイィィー……。
「クッ」
また頭痛だ。聞こえる幻聴が大きくなっている……疲れているのか……それとも憑かれて……。
──ガタガタガタガタガタガタ…………。
「今度はなんだ!」
目の前に積んであったタライが、振動するように震え始めた。
────ア……ヒ……ノ……マーゴーォォォォ!
──ゴゴゴゴゴゴ。
倉庫が揺れているようだった。
「強い霊気ね……」
零子が、身構えた。ポケットから札を取り出し、何かを唱えている。
「キャッ!」
だが、次の瞬間……札は破け、はじけ飛ぶ。
「な、なんでしょうね……これ……」
職員は、足をガクガクさせてビビっている。
そして……僕の所にタライが波のように崩れてきた。
──ガンガンガンガラガラガラガラガシャガシャーン!
「うわああぁぁぁぁー!」
僕は、タライの波に飲まれてしまった。
僕は、零子とアルポリテレビにきた。そして、職員に誘導されて、局内を見学する。もちろん、タライに関するとろこだ。
僕たちは、じいさんが師範をしていたという、タライ落としの養成所を案内してもらった。
────タライ……タライ……タライイイィィー!
金属音のような幻聴が聞こえた。頭に響き、めまいがした。
「だ、大丈夫」
「うん、平気」
零子に肩を貸してもらった。……何か嫌な気配がする……。
職員に案内され、僕らは養成所についた。天井のある舞台セットが置いてある。
「この舞台の天井から、タライを落とすわけか……」
実際、天井付きの舞台セットの高さなら、落ちた場合の威力はさほどでもないだろう。安全面は考えてあったわけだ……。
なにやら、ざわめきが聞こえる。僕はその方向に足を向けた。
「そっちは、倉庫ですね。見てみますか?」
「はい」
職員は倉庫の錠前に手をかけ、古い鍵を使い錠前をこじ開ける。そして、引き戸を力いっぱい引いて戸を開けた。中は暗かった。
その後、職員は倉庫の中に入り、電気をつけた。
その瞬間、僕は、驚くべき光景を目にした。
「なに……これ……」
零子は、口を開けて目を丸くしてあっけにとられていた。
「これは……」
僕が最初に目にしたもの……それは……。
倉庫に山積みにされたタライだった。
倉庫の床はホコリまみれだ。かなりホコリが積もっているため、長いこと使われていない倉庫ということがわかる。
僕は、そのホコリの上に足跡をつけるかのように、倉庫に足を踏み入れた。
────タライィィィ……タァァラァァイィィー……。
「クッ」
また頭痛だ。聞こえる幻聴が大きくなっている……疲れているのか……それとも憑かれて……。
──ガタガタガタガタガタガタ…………。
「今度はなんだ!」
目の前に積んであったタライが、振動するように震え始めた。
────ア……ヒ……ノ……マーゴーォォォォ!
──ゴゴゴゴゴゴ。
倉庫が揺れているようだった。
「強い霊気ね……」
零子が、身構えた。ポケットから札を取り出し、何かを唱えている。
「キャッ!」
だが、次の瞬間……札は破け、はじけ飛ぶ。
「な、なんでしょうね……これ……」
職員は、足をガクガクさせてビビっている。
そして……僕の所にタライが波のように崩れてきた。
──ガンガンガンガラガラガラガラガシャガシャーン!
「うわああぁぁぁぁー!」
僕は、タライの波に飲まれてしまった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
Re:鮫人間
マイきぃ
ホラー
人魚伝説のある孤島。
だがそこには、無慈悲に人を食らう、鮫人間がいた!
人魚伝説の調査のため、オカルト研究会に所属している隆司は、とある孤島へと上陸する。
だがそこで、隆司を含むオカルト研究会のメンバーは、とてつもなく危険な生物に襲われたり、恐ろしい現象を経験することになる。
彼らは無事、この孤島から脱出できるのか、そして、島に伝わる人魚の伝説とは一体何なのか。
※警告! グロテスクな表現があります。気分を悪くする可能性がありますのでご注意ください!
※挿絵には自作画像、ぱくたそ様のフリー画像、photo-ac様のフリー画像、及び、CC0の画像、を使用。
※イメージキャラクター画像及びカバー背景、三日月アルペジオ様、Free SoZai様、より、お借りしています。
※この作品はフィクションです。実在の人物、地名、伝説、団体等とは一切関係ありません。
ゆっくり書いていきたいと思います。誤字脱字、多発する可能性があります。ご了承ください。

こちら御神楽学園心霊部!
緒方あきら
ホラー
取りつかれ体質の主人公、月城灯里が霊に憑かれた事を切っ掛けに心霊部に入部する。そこに数々の心霊体験が舞い込んでくる。事件を解決するごとに部員との絆は深まっていく。けれど、彼らにやってくる心霊事件は身の毛がよだつ恐ろしいものばかりで――。
灯里は取りつかれ体質で、事あるごとに幽霊に取りつかれる。
それがきっかけで学校の心霊部に入部する事になったが、いくつもの事件がやってきて――。
。
部屋に異音がなり、主人公を怯えさせる【トッテさん】。
前世から続く呪いにより死に導かれる生徒を救うが、彼にあげたお札は一週間でボロボロになってしまう【前世の名前】。
通ってはいけない道を通り、自分の影を失い、荒れた祠を修復し祈りを捧げて解決を試みる【竹林の道】。
どこまでもついて来る影が、家まで辿り着いたと安心した主人公の耳元に突然囁きかけてさっていく【楽しかった?】。
封印されていたものを解き放つと、それは江戸時代に封じられた幽霊。彼は門吉と名乗り主人公たちは土地神にするべく扱う【首無し地蔵】。
決して話してはいけない怪談を話してしまい、クラスメイトの背中に危険な影が現れ、咄嗟にこの話は嘘だったと弁明し霊を払う【嘘つき先生】。
事故死してさ迷う亡霊と出くわしてしまう。気付かぬふりをしてやり過ごすがすれ違い様に「見えてるくせに」と囁かれ襲われる【交差点】。
ひたすら振返らせようとする霊、駅まで着いたがトンネルを走る窓が鏡のようになり憑りついた霊の禍々しい姿を見る事になる【うしろ】。
都市伝説の噂を元に、エレベーターで消えてしまった生徒。記憶からさえもその存在を消す神隠し。心霊部は総出で生徒の救出を行った【異世界エレベーター】。
延々と名前を問う不気味な声【名前】。
10の怪異譚からなる心霊ホラー。心霊部の活躍は続いていく。
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

鈴ノ宮恋愛奇譚
麻竹
ホラー
霊感少年と平凡な少女との涙と感動のホラーラブコメディー・・・・かも。
第一章【きっかけ】
容姿端麗、冷静沈着、学校内では人気NO.1の鈴宮 兇。彼がひょんな場所で出会ったのはクラスメートの那々瀬 北斗だった。しかし北斗は・・・・。
--------------------------------------------------------------------------------
恋愛要素多め、ホラー要素ありますが、作者がチキンなため大して怖くないです(汗)
他サイト様にも投稿されています。
毎週金曜、丑三つ時に更新予定。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる