タライ落とし

マイきぃ

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タライ 四個目

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────7月8日(土曜日) 午後8時15分

 2度目のタライ事故から一週間が経った。さすがに今日は、お笑い番組は中止になっていた。

 さすがに2度も事故があったら、中止せざるをえないだろう。

 他は、あまり面白そうな番組もないので、僕は、久しぶりにオンラインゲームをやることにした。

 ごく普通のありふれたMMO「フリーファイトランド」である。僕らは【FFL】と呼んでいる。最近月額プレイ料金を廃止したので、新規の参入が多くなった。

 僕は、このゲームでは盾役のディフェンダーだ。火力の強い奴と組めばかなり戦闘が楽になる。昔はかなり強いPTで戦っていたが、そのフレはもう引退していない。まあ、やり方によっては一人でも戦えるので、安全なジョブには違いない。

 ゲームのチャットウインドウに、【Tell】の通知がきていた。僕はそれを開いた。

『ひっさひっさー しばらく何やってたじゃん ギルド新規いっぱいになったじゃん』

 ゲームのフレの《サクラ》だ。バフ系のプリーストをやっている。

 とりあえず、返答を入れてみた。

『違うゲームやってたm(_ _)mスマソ』

 実際、違うゲームなんてやってないが、ゲーム内の私のイメージはこんな感じだ。

『これから 新規と 狩りいくじゃん ギルメン集まるの待ってるじゃん』

『わかった 付き合うよ』

『おっけーじゃん そういえば 黄金のタライ 事件 見た?』

『ああ あれは見たよ 俺も』

『あれはね 異世界転生の真似事をしたからあんなことになったじゃん』

『そ そうだったのかー(棒)』

『いや 絶対そうじゃん』

 いや……ないだろ……。

『異世界は いい世界じゃん ほら いいせかい いせかい いけてるじゃん』

『そうだね』

 うわ……寒いギャグ……。まあ、適当に話を合わせてみた。

『…………』

 …………。

 フレの会話が止まった。離席かな……。

 ──しばらくして、新規のギルメンが集まってきた。

 みんな元気よく挨拶をしてくれた。

『どもー 今日はよろしくお願いします あれ 《サクラ》さん 離席っスか?』

『さっきまではいたんだけどね ああ なんなら 僕がかわりに引っ張ってもいいよ ブーストもってるよね』

『はい 大丈夫です えと 《ジャッジ》さんでいいですか あとでフレトーよろです』

 《ジャッジ》は、僕のIDだ。

『あ いいよ じゃあ いこうか』

 まあ、このぐらいなら僕でもなんとかなる。簡単なレベ上げだけだからね。でも……本当に《サクラ》はどこいったんだろう……ギルメンがこんなに集まったのに……。

 キャラがいるということは、ネットはつながってるはずなんだが……リア事情か……。責任感の強い《サクラ》のことだから、あとでメールがくるだろう……。

 僕は今日、新規のギルメンと一緒にゲームを楽しむことにした。
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