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人食い花に転生しました ~復讐~~その人を食べる日まで~

城内潜入

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 私は、城壁の裏手に回りました。そこには、《レイヤ王子》に会いに行くために使っていた裏門があります。そこから侵入したいと思います。

 城の城壁の角にある塔から、波紋が発生していました。探知系の魔法です。すぐに【キエサール】で対処します。

 波紋はなぜか、壁の中には入っていきません。これはいったい……。私はゆっくり裏門に近づきました。

「《シュカ》様。城の内部の建物は『魔封石』が混合しています。城の内部は魔法が使えなくなるため、私ではお役に立てないかと……」

「そうですか……」

 使えないとわかれば、対策も立てられそうです。とりあえず、《ジャスミン》の【複製】を消し、《シーフ》を【複製】します。そして、【カイージョ】のスキルで裏口の門の鍵を開けさせます。

 裏口の門は簡単に開きました。それでは、城の内部へ潜入します。

 城内の廊下は広く、ランプに火が灯されていますが、すこし薄暗いです。そして、定期的に衛兵が巡回していました。私は衛兵を、柱の陰にかくれてやり過ごしながら進みます。

 城内の外側の通路をぐるっと回った後、中庭に出ました。暗いですが、マップを頼りに進みます。中庭をまっすぐ抜け、また城内に入ると左側に階段が見えました。私はその階段を上ります。

 その先は、玉座の間です。マップには何の反応もありません。あとは、執務室と寝室ですが、私はその場所を知りません。手当たり次第に調べるしかなさそうです。

 マップ上に誰かが近づいてくる反応がありました。どうやらこの辺りはこれといった遮蔽物がありません。しょうがないので廊下に置いてある観葉植物の所に【収縮】をつかって避難することにしました。

 【収縮】を使うと人の姿ではなく、花の姿に戻りました。とりあえず、そのまま観葉植物の植木鉢に飛びつき、根を軽く下ろします。

「ええー! じゃあ、《サマンサ》様は毎日《カイン》様と?」

「そうよね、《レイヤ》様にずっと相手にされてなかったのですものね」

 イエローゲージの《メイド》が5人ほど歩いてきました。シーツを運んでいるようです。

「私にもすてきな王子様が現れてくれるわ……きっと」

「あなたには、王子様より牡牛様とやったほうがいいんじゃない」

「ひ、ひっどーい」

「ねえねえ、見てこれ」

「何?」

「この花かわいい、いつ植えたんだろう……」

《メイド》の一人は、笑顔で私に近づいてきます…………見つかってしまいました……。

「トゲトゲがあるよ」

「なんか、かわいいわね」

「ええ、どこが?」

 私の体を突っついてきます……面倒なので、一気に食べてしまいましょうか……。

「こら! あなたたち!」

「ああ! 《メイド長》」

「早くしなさい! 国王の寝室のシーツの交換があるでしょ。間に合わなかったら大変ですよ。またあの汚いシーツを擦り付けられたいのですか!」

「そうでした!」

「申し訳ありません!」

「今すぐに!」

 性格のきつそうな顔をした《メイド長》でした。とても良いタイミングです。うるさいハエを追い払ってくれたので助かりました。《メイド》たちは、走って階段を下りていきます。

「まだまだ子供ね…………あら、この花、綺麗ですわね。食虫植物の仲間なのかしら……」

《メイド長》は私に近づいてきました。

「昔を思い出すわね~。こんなところに指いれちゃったりして……」

 この人間もですか……やることは大して変わらないのですね……望み通りにかみついてあげましょう。

 ──パクリッ!

「はい、食われちゃったー。なんちゃって…………え……」

《メイド長》は指を引き抜きました。そして、その引き抜いた指をみて驚いていました。

「ああ……指から血が……どうして指がないの……それに……痛くない……あ、ああ……誰かー!」

 私の口に指を入れるからそうなるのです。

「指がああぁぁ!」

 ……ちょっとうるさいですね……今のうちに食べてしまいましょう。私は【収縮】を解除し、人型になります。

「キャッ…………あなた……誰なの! 誰か! 誰かき……」

 私の姿に気付いた《メイド長》は指を抑えながら後ずさりします。

 その《メイド長》を私は蔓で【捕獲】し、頭からかゆっくりと……。

 い・た・だ・き・ま・す!


 ────パクリッ……。(軽い頭痛が発生)

 肉が少ないです。固い筋肉で筋が多いです。ちょっと味気ないようにも思えます。しかし……食虫植物はそんなに珍しいものなのでしょうか……。

 せっかく《メイド長》を食べたので、一度【複製】して、《カイン》の居場所をきいてみることにしました。

《メイド長》が生成されます。

「《シュカ》様、《カイン》国王の所在ですね。おそらく今は寝室で《サマンサ》王女と一緒におられると思います」

「じゃあ、案内してくれますか」

「もちろんです、《シュカ》様」

《メイド長》は、廊下を歩き始めます。私はその後をついていきました。
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