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人食い花に転生しました ~復讐~~その人を食べる日まで~

森林炎上

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 矢が飛んできました。火矢です。炎で囲まれた円の中を埋め尽くすように飛んできます。

 私は、《魔法使い》に火矢を迎撃させます。《魔法使い》は私に向かって飛んでくる火矢を魔法の【ファイヤー】でマルチロックし、相殺していきます。

 取り残された兵たちは、小さな盾で防ぎますが、苦戦しているようです。このままでは、大事な食料がやられてしまいます。どうしたものか……。

 ──ふと、ある作戦を思いつきました。体が痛むので、あまりやりたくはないのですが、食べ物を粗末にするよりはマシといえる程度の作戦です。

 私は、葉を回転させ、地面を掘りました。そして、私は掘った穴にすっぽりと入り、大きく口をあけました。

 ここで《小隊長》の出番です。

「おい、おまえら! このままじゃ全滅だ! 早くこの穴に入るんだ!」

「「「はい!」」」

 よく訓練された兵たちです。《小隊長》の声に反応し、すぐに穴へ向かって走ってきます。私の姿は【キエール】で認識阻害されていて兵たちには見えません。

 一人……また一人……。次々と、何の疑いもなく私の口の中へと、兵たちは飛び込んできます。きっと兵たちには、ただの穴にしか見えていないのでしょう。【食事】の速度が上がっているおかげで、腹の中に溜め込まずに済みます。

 ────パクリ……パクリ……パクリ……パクパク……。


 少し、焦げた味が食欲をそそります。味は皆、統一されているような感じがします。同じものを食べている証拠です。おこげがなければ、飽きていたかもしれません。一気に食べ過ぎた感じはありますが、食あたりはなさそうです。

 ご・ち・そ・う・さ・ま・で・し・た。


LVUP!LV69《シュカ》(HP6900/6900:TP3450/3450)範囲 4900メートル

《スキル》
【種類】TP:使用ポイント

LVUP!【食事】TP:0(LV9)
【甘い香り】TP:0(LV4)
【捕獲】TP:10(LV5)
【ヒトバサミ】TP:100(LV5)
【移動】TP:(LV4(4メートル:1))
【複製】TP:50(LV6)
【茨の篭】TP:200(LV4)
【毒の霧】TP:50(LV4)
【樹液】TP:100(LV2)
【マンドレイク】TP:100(LV2)
【樹木落とし】TP:500(LV1)
【収縮】TP:200(固定)
【蔓ネット】TP:100(LV2)

【エナジークリスタル x 392】


 相変わらず火矢は飛んできます。そして炎はどんどん近づいてきます。このままいても焼けてしまうだけです。私は覚悟を決めることにしました。

《魔法使い》に【アクセル】の魔法をかけてもらいます。そして複製体を一時的に口の中に入れ、花と葉を閉じます。

 準備が整いました。私は一気に炎の壁に突っ込みます。燃える炎をかき分け、HPを削りながら進みます。そして…………。

 ────炎の壁を突き破りました。

 炎を抜けた先には、兵たちがずらりと並び、私の姿を怯える目で見ていました。【キエール】の効果が切れてしまっていました。

 ────ですがもう、魔法をかけ直す必要はありません。

 私の体力は半分以下です。この状態で、緑色のゲージの効果を使用します。

 そして…………この状態の時に現れるスキルを発動しました。


 ────【月華乱舞】────


 花びらは細かく砕け、三日月の形に変化し輝きます。そして、竜巻のように舞い。私の周囲を飛び交います。

 そして、私は人の形を成し、姿を晒します。

 今の私は、緑色のゲージのおかげでしばらくはTPが減りません。ですので、スキルを長く持続させることができます。

 そうです……この状態を維持できるのです!

 私は、腕を振り上げ、正面を薙ぎ払います。すると、花びらはその腕の動きと同調するかのように、正面の兵たちを薙ぎ払います。

「「「うわああああ」」」

 三日月の花びらは、兵たちを切り刻み、赤い血しぶきを上げて輝きます。その血しぶきは、私の薄い緑の肌を、赤く染め上げます。

「さあ、刻まれなさい! 愚かな人間たちよ!」

 私は、初めて自分の体で言葉を発しました。この姿でなら、言葉を自由に発することができるようです。

「「「うわああああ」」」

 兵たちは逃げます。ですが、足場が悪いせいか、思うように動けません。皆、這うようにして逃げていきます。ですが、そんな動きでは私から逃れることはできません。

「償いなさい。花を焼いた罪、森林を燃やした罪!」

 私は、森の神になった気分です…………。

 ────「あら、森の神にでもなったつもりかしら」

 ────「怖い女神ですね」

 ────「あまり調子に乗らない方がいい。人間をなめるな! 化け物め!」

 声……?

 次の瞬間、私を取り囲むように三人の人間が姿を現しました。
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