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人食い花に転生しました ~復讐~~その人を食べる日まで~
勇者と踊ろう 後編
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私は、TPを50消費して【ヒトバサミ】を5つ再設置します。《勇者》の逃げ道を断ちます。
《人食い花》(HP1200/4000:TP1800/2000)
あとは……罠にはまるのを待つだけ…………。
────の、はずだったのですが……《勇者》はじっとして動きません。そして、その場に立ち、バトルアクスを持って構えました。
「はああぁぁっ! ────【真空斬撃】!」
《勇者》は、地面をえぐるようにバトルアクスを振りました。斬撃のようなものが飛んでいきます。土煙を上げながら雑草が飛び散り、退路が裸にされていきます。そして、罠のない場所を《おじいさん》を抱えて走っていきます。
まずいです……逃げられてしまいます……残る手段は…………。
────直接戦闘!────
私は、先回りしました。《勇者》のHPは(3500/7530)です。あと1000ポイント減らせばイエローゲージになります。
こうなったらゴリ押しです! 私のTPはまだ1800あります! 減らせるはずです!
私は、激しく根と蔓を動かして前進します。そして、獲物に追いつきました。
《勇者》の目の前に出て、【収縮】を解除します。私は、元の大きな人食い花の姿をさらけ出します。
「な、なんだこの植物は!」
《勇者》は足を止めました。そして、目を大きくして高さ2メートル、幅5メートル以上の私の姿を観察しています。
「こ…………こいつは…………! どおりで……気配がないわけだ……植物の化け物か! まさか、行方不明のやつらはこいつに食われたとでもいうのか……」
私は、《おじいさん》を勇者の体に巻き付かせ、動きを鈍らせます。
「じ、じいさん……何を……」
それでは、攻撃を始めます。カーソルが《勇者》をロックしました。
さあ、踊りましょう! すてきなダンスを!
【捕獲】【捕獲】【捕獲】【捕獲】…………!
私は、複数の蔓を伸ばして勇者の体に巻き付けます。
「くああぁぁ! なんだこの蔓は……! 体力が吸い取られる!」
《勇者》は、死に物狂いで、バトルアクスを巧みに使い、蔓をかき分け、半分ぐらいの攻撃をしのいでいます。
《勇者》(HP3000/7530)
まだです、もっと減らさなければいけません! さらに攻撃します!
【捕獲】【捕獲】【捕獲】【捕獲】…………!
《勇者》は、バトルアクスを回転させながら、蔓を弾きます。ですが、全てを弾くことはできません。
「なめるなぁ!」
勇者は勢いよく蔓を振り払いました。ですが……時すでに遅し……です。
HPゲージを確認します。《勇者》のHPは(2500/7530).イエローゲージです。いくら勇者であっても、この【食事】スキルの不思議な強制力の前にはひれ伏すしかありません。
それでは…………。
…………。
【食事】スキルが表示されません。
これはいったい……。
私は、すぐに視界の端に表示されている【メニュー】という項目の【ヘルプ】を参照しました。その中にある【食事】という項目を確認します。
”
【食事】
自分のレベル以下の相手の体力を1/3以下にすることにより、使用することができます。
自分よりレベルが高い相手の場合は1/10以下にしなければいけません。
自分のレベルの1/5以下の相手なら、そのまま使用できます。
”
────自分よりレベルが高い相手の場合は1/10以下にしなければいけません────
まさか────そんな……!
《勇者》が私よりレベルが高いことぐらいはわかっていました。ですけど、この条件は今初めて知りました。
最悪です…………。もう私のTPは100しかありません。どう考えても逆転の芽はありません。こんなことなら、面倒でも隅々まで説明を読んでおくべきでした……。
「動きが止まった……どけ、じじい!」
《勇者》は《おじいさん》を邪魔者のように振り払います。そして、バトルアクスを私に向かって振りおろし、私の葉の部分を削ぎ落しました。
《勇者》(HP3750/4000)
人食い花になってから初めて体力が削られました。痛みはないですが、このHPの数値が0になれば、どうなるかぐらいはわかるつもりです。
《勇者》は、ここぞとばかりに激しい連続攻撃を仕掛けます。
「くたばれえぇぇ!」
詰みました。もう手の打ちようは……。
…………。
まってください……勇者の攻撃を受けるごとにTPが回復しています……これはいったい……!?
《人食い花》(HP1200/4000:TP2000/2000)
TPが徐々に回復し最大値に達しました。さらに見たことのないスキルが現れました。
”
【月華乱舞】
”
何のスキルかはわかりません。ですが、強そうな名前なことはたしかです。私はそれを、一か八かで発動しました。
体全体が突然光を帯びます。
私の体はバラバラになり、花びらが細かく砕け散り、三日月のような形になりました。そして、竜巻のように渦を巻き、勇者に襲い掛かります。
残った葉は、かつて私が人間だった頃の姿を再構築しました。服を着ていませんが、恥ずかしいという気持ちは感じません。
今、月の花びらの舞を見ています。キラキラと輝いて、美しい光景です。でも、その光景はすぐに消え、花びらたちは、すぐに《勇者》に襲い掛かります。
TPゲージが減り続けます。そして、花びらは《勇者》を攻撃し続けます。
「ぐああああぁぁぁぁー!」
その舞は、《勇者》の鎧とバトルアクスを砕きました。
そして……《勇者》の体力は(HP400/7530)レッドゲージになりました。致命傷です。彼は、そのまま倒れました。
TPがなくなり、攻撃が止まります。すると、私は今まで通りの《人食い花》の姿に戻ります。
やっと念願の【食事】のスキルが表示されました。
私の……勝ちです。
────それでは…………。
い・た・だ・き・ま・す!
────パクッ。
すごく強靭な肉体です。あれだけ花びらに刻まれたのに、まだ歯ごたえがあります。味ですが……なにか別の味が混ざっているような気がしました。
それは……魔族の血です。この勇者は……魔族とのハーフだったのかもしれません。だからあれだけの体力を持っていたのですね……。
私は、屈辱を晴らせて満足です。この《勇者》は複製して、《私にたかる虫を食べる係》にしようと思います。
レベル46 HP4600 TP2300 範囲 2600メートル
スキルレベルUP【捕獲】LV4【ヒトバサミ】LV4
【エナジークリスタル数 x 62】
《人食い花》(HP1200/4000:TP1800/2000)
あとは……罠にはまるのを待つだけ…………。
────の、はずだったのですが……《勇者》はじっとして動きません。そして、その場に立ち、バトルアクスを持って構えました。
「はああぁぁっ! ────【真空斬撃】!」
《勇者》は、地面をえぐるようにバトルアクスを振りました。斬撃のようなものが飛んでいきます。土煙を上げながら雑草が飛び散り、退路が裸にされていきます。そして、罠のない場所を《おじいさん》を抱えて走っていきます。
まずいです……逃げられてしまいます……残る手段は…………。
────直接戦闘!────
私は、先回りしました。《勇者》のHPは(3500/7530)です。あと1000ポイント減らせばイエローゲージになります。
こうなったらゴリ押しです! 私のTPはまだ1800あります! 減らせるはずです!
私は、激しく根と蔓を動かして前進します。そして、獲物に追いつきました。
《勇者》の目の前に出て、【収縮】を解除します。私は、元の大きな人食い花の姿をさらけ出します。
「な、なんだこの植物は!」
《勇者》は足を止めました。そして、目を大きくして高さ2メートル、幅5メートル以上の私の姿を観察しています。
「こ…………こいつは…………! どおりで……気配がないわけだ……植物の化け物か! まさか、行方不明のやつらはこいつに食われたとでもいうのか……」
私は、《おじいさん》を勇者の体に巻き付かせ、動きを鈍らせます。
「じ、じいさん……何を……」
それでは、攻撃を始めます。カーソルが《勇者》をロックしました。
さあ、踊りましょう! すてきなダンスを!
【捕獲】【捕獲】【捕獲】【捕獲】…………!
私は、複数の蔓を伸ばして勇者の体に巻き付けます。
「くああぁぁ! なんだこの蔓は……! 体力が吸い取られる!」
《勇者》は、死に物狂いで、バトルアクスを巧みに使い、蔓をかき分け、半分ぐらいの攻撃をしのいでいます。
《勇者》(HP3000/7530)
まだです、もっと減らさなければいけません! さらに攻撃します!
【捕獲】【捕獲】【捕獲】【捕獲】…………!
《勇者》は、バトルアクスを回転させながら、蔓を弾きます。ですが、全てを弾くことはできません。
「なめるなぁ!」
勇者は勢いよく蔓を振り払いました。ですが……時すでに遅し……です。
HPゲージを確認します。《勇者》のHPは(2500/7530).イエローゲージです。いくら勇者であっても、この【食事】スキルの不思議な強制力の前にはひれ伏すしかありません。
それでは…………。
…………。
【食事】スキルが表示されません。
これはいったい……。
私は、すぐに視界の端に表示されている【メニュー】という項目の【ヘルプ】を参照しました。その中にある【食事】という項目を確認します。
”
【食事】
自分のレベル以下の相手の体力を1/3以下にすることにより、使用することができます。
自分よりレベルが高い相手の場合は1/10以下にしなければいけません。
自分のレベルの1/5以下の相手なら、そのまま使用できます。
”
────自分よりレベルが高い相手の場合は1/10以下にしなければいけません────
まさか────そんな……!
《勇者》が私よりレベルが高いことぐらいはわかっていました。ですけど、この条件は今初めて知りました。
最悪です…………。もう私のTPは100しかありません。どう考えても逆転の芽はありません。こんなことなら、面倒でも隅々まで説明を読んでおくべきでした……。
「動きが止まった……どけ、じじい!」
《勇者》は《おじいさん》を邪魔者のように振り払います。そして、バトルアクスを私に向かって振りおろし、私の葉の部分を削ぎ落しました。
《勇者》(HP3750/4000)
人食い花になってから初めて体力が削られました。痛みはないですが、このHPの数値が0になれば、どうなるかぐらいはわかるつもりです。
《勇者》は、ここぞとばかりに激しい連続攻撃を仕掛けます。
「くたばれえぇぇ!」
詰みました。もう手の打ちようは……。
…………。
まってください……勇者の攻撃を受けるごとにTPが回復しています……これはいったい……!?
《人食い花》(HP1200/4000:TP2000/2000)
TPが徐々に回復し最大値に達しました。さらに見たことのないスキルが現れました。
”
【月華乱舞】
”
何のスキルかはわかりません。ですが、強そうな名前なことはたしかです。私はそれを、一か八かで発動しました。
体全体が突然光を帯びます。
私の体はバラバラになり、花びらが細かく砕け散り、三日月のような形になりました。そして、竜巻のように渦を巻き、勇者に襲い掛かります。
残った葉は、かつて私が人間だった頃の姿を再構築しました。服を着ていませんが、恥ずかしいという気持ちは感じません。
今、月の花びらの舞を見ています。キラキラと輝いて、美しい光景です。でも、その光景はすぐに消え、花びらたちは、すぐに《勇者》に襲い掛かります。
TPゲージが減り続けます。そして、花びらは《勇者》を攻撃し続けます。
「ぐああああぁぁぁぁー!」
その舞は、《勇者》の鎧とバトルアクスを砕きました。
そして……《勇者》の体力は(HP400/7530)レッドゲージになりました。致命傷です。彼は、そのまま倒れました。
TPがなくなり、攻撃が止まります。すると、私は今まで通りの《人食い花》の姿に戻ります。
やっと念願の【食事】のスキルが表示されました。
私の……勝ちです。
────それでは…………。
い・た・だ・き・ま・す!
────パクッ。
すごく強靭な肉体です。あれだけ花びらに刻まれたのに、まだ歯ごたえがあります。味ですが……なにか別の味が混ざっているような気がしました。
それは……魔族の血です。この勇者は……魔族とのハーフだったのかもしれません。だからあれだけの体力を持っていたのですね……。
私は、屈辱を晴らせて満足です。この《勇者》は複製して、《私にたかる虫を食べる係》にしようと思います。
レベル46 HP4600 TP2300 範囲 2600メートル
スキルレベルUP【捕獲】LV4【ヒトバサミ】LV4
【エナジークリスタル数 x 62】
応援ありがとうございます!
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