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人食い花に転生しました ~復讐~~その人を食べる日まで~
明日になあれ
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《勇者》と《魔法使い》は、その後一週間、毎日のように森を探索していました。
昼間は、彼らが探索しているので、思うように食事ができません。なので、夜間に動物や魔物を捕食する毎日が続きました。
本当に、邪魔です。鬱陶しいです。食べてしまいたいです。
ですが、我慢します。もう少しでスキルレベルも上がるころです。丁寧に狩ったおかげでレベルも40になりました。
あとはチャンスが来るのを待つだけです。
今日も、いつものように《勇者》たちが来ました。森にズカズカと入り込んできます。
「えーと、ごめんねアラン。明日は別の仕事が入ってるから来れないわ」
「そうか……わかった。俺は、あと三日ほどでここを切り上げようと思ってる。報告書もまとめたし、この分だと、おそらく何もないでしょ」
「そうね……。もしかすると、消えた家族は夜逃げだったとか……村の人たちも、実はムカつく領主の息子を殺してどこかへ逃亡した……なんて筋書だったりしてね」
「つじつまは大体あってる。報告書の備考欄にでも書いておくか」
「それにしても、この森……私たちが入ってきてはいけない気がするのは気のせいかしら……」
「そうだねぇ……森の精が俺たちを拒んでるのかもしれないぜ」
明日は、彼一人のようですね……これは捕食するチャンスです。《勇者》……いったいどんな味がするのでしょう……楽しみです。
早く明日にな~あれっ!
「あれ、かわいい。この花、なんて言う花なのかしら」
「花? なんだこのトゲトゲ……なんか血生臭くないか?」
「これってもしかして、食虫植物?」
「食虫植物か~、懐かしいな」
彼らが来た時は、【収縮】状態でやり過ごそうとしていたのですが……とうとう見つかってしまいました……でも、彼らは私を食虫植物ぐらいにしか見ていないようです。
小さい姿なら、人の目に映る私はそのようなものでしょう……怪しまれずに済みました。
「お、丁度こんなところに幼虫がいる」
男は、木の根元でうごめいていた幼虫を手に取り、こちらへ持ってきました。
「……こいつを食べさせてみるか」
──ちょっ! 何をする気ですか……そんなものを手に取って……!
「ふーん、それ、何の幼虫なの? 気持ち悪いわ……その黒と赤のまだら模様。それに……棘がある……」
「毒蛾の幼虫さ。見た目は気持ち悪いけど、成虫になると美しい羽を広げるんだ」
「へ~。あなたって物知りね。子供みたい」
「まあね!」
「褒めてない、褒めてないっ!」
「さあ、どんなふうに食べるかな」
ちょっと、やめてください……私、虫は嫌いです! ……冗談じゃないです。私の口に近付けないでください……押し込まないでください!
…………。
────食べなければ、怪しまれる…………。
──パクッ。
…………私は……虫を口に含んでしまいました……。
「ほら、食ったぜ!」
「ほんとだ。でも……動かないね」
「ん~。食虫植物じゃないのかな」
これは……屈辱です……私の口に虫を押し込むなんて……拷問です……まさか……人間にこんな仕打ちを…………されるなんて!
──グッチャグッチャグッチャ……。
「お、食べてる食べてる」
食感が……嫌です……変な味です……。
「やけに凶悪な食べ方ね……実は、これに食べられちゃったんじゃないの、村の人たち」
「かもな」
ドキッ……。
「なわけ、ないない。これが千匹も襲ってきたら、可能性はあるけどな」
「それもそうね……さ、こんなことしてないで、さっさと探索しましょう」
「へいへい」
…………。
彼らは、私の存在など、なかったかのようにこの場を離れて行きました…………。
口の中に広がる、この嫌な感じ……口直しせずにはいられません……。
やはり、人間は……残酷で馬鹿でガキでどうしようもないクズ! ……いや、クズ以下です!
明日が来るのが……楽しみです…………。こんなにも明日が待ち遠しいなんて……。
──あの勇者だけは……必ず捕食しなくては……。
早く……明日に…………なあぁぁ! ああぁぁ! れえええぇぇぇぇぇぇぇぇ!
【エナジークリスタル数 x 42】
昼間は、彼らが探索しているので、思うように食事ができません。なので、夜間に動物や魔物を捕食する毎日が続きました。
本当に、邪魔です。鬱陶しいです。食べてしまいたいです。
ですが、我慢します。もう少しでスキルレベルも上がるころです。丁寧に狩ったおかげでレベルも40になりました。
あとはチャンスが来るのを待つだけです。
今日も、いつものように《勇者》たちが来ました。森にズカズカと入り込んできます。
「えーと、ごめんねアラン。明日は別の仕事が入ってるから来れないわ」
「そうか……わかった。俺は、あと三日ほどでここを切り上げようと思ってる。報告書もまとめたし、この分だと、おそらく何もないでしょ」
「そうね……。もしかすると、消えた家族は夜逃げだったとか……村の人たちも、実はムカつく領主の息子を殺してどこかへ逃亡した……なんて筋書だったりしてね」
「つじつまは大体あってる。報告書の備考欄にでも書いておくか」
「それにしても、この森……私たちが入ってきてはいけない気がするのは気のせいかしら……」
「そうだねぇ……森の精が俺たちを拒んでるのかもしれないぜ」
明日は、彼一人のようですね……これは捕食するチャンスです。《勇者》……いったいどんな味がするのでしょう……楽しみです。
早く明日にな~あれっ!
「あれ、かわいい。この花、なんて言う花なのかしら」
「花? なんだこのトゲトゲ……なんか血生臭くないか?」
「これってもしかして、食虫植物?」
「食虫植物か~、懐かしいな」
彼らが来た時は、【収縮】状態でやり過ごそうとしていたのですが……とうとう見つかってしまいました……でも、彼らは私を食虫植物ぐらいにしか見ていないようです。
小さい姿なら、人の目に映る私はそのようなものでしょう……怪しまれずに済みました。
「お、丁度こんなところに幼虫がいる」
男は、木の根元でうごめいていた幼虫を手に取り、こちらへ持ってきました。
「……こいつを食べさせてみるか」
──ちょっ! 何をする気ですか……そんなものを手に取って……!
「ふーん、それ、何の幼虫なの? 気持ち悪いわ……その黒と赤のまだら模様。それに……棘がある……」
「毒蛾の幼虫さ。見た目は気持ち悪いけど、成虫になると美しい羽を広げるんだ」
「へ~。あなたって物知りね。子供みたい」
「まあね!」
「褒めてない、褒めてないっ!」
「さあ、どんなふうに食べるかな」
ちょっと、やめてください……私、虫は嫌いです! ……冗談じゃないです。私の口に近付けないでください……押し込まないでください!
…………。
────食べなければ、怪しまれる…………。
──パクッ。
…………私は……虫を口に含んでしまいました……。
「ほら、食ったぜ!」
「ほんとだ。でも……動かないね」
「ん~。食虫植物じゃないのかな」
これは……屈辱です……私の口に虫を押し込むなんて……拷問です……まさか……人間にこんな仕打ちを…………されるなんて!
──グッチャグッチャグッチャ……。
「お、食べてる食べてる」
食感が……嫌です……変な味です……。
「やけに凶悪な食べ方ね……実は、これに食べられちゃったんじゃないの、村の人たち」
「かもな」
ドキッ……。
「なわけ、ないない。これが千匹も襲ってきたら、可能性はあるけどな」
「それもそうね……さ、こんなことしてないで、さっさと探索しましょう」
「へいへい」
…………。
彼らは、私の存在など、なかったかのようにこの場を離れて行きました…………。
口の中に広がる、この嫌な感じ……口直しせずにはいられません……。
やはり、人間は……残酷で馬鹿でガキでどうしようもないクズ! ……いや、クズ以下です!
明日が来るのが……楽しみです…………。こんなにも明日が待ち遠しいなんて……。
──あの勇者だけは……必ず捕食しなくては……。
早く……明日に…………なあぁぁ! ああぁぁ! れえええぇぇぇぇぇぇぇぇ!
【エナジークリスタル数 x 42】
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