ど変態な姫騎士はガチパーティーから追放されて悦虐のソムリエを目指す

マイきぃ

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第二十七話 幻想的な輝き

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 ボスオークを倒すと、周囲にいた雑魚オークは後退を始めた。分隊長であるボスオークを倒したことにより、士気が下がったようだ。

「クッコ! いきますわよ!」

 黄金に光る女体像からエリザの声がした。
 やはり、あのデカ物はエリザの仕業か……どうやら、中に乗っているようだな。
 となると、おそらくさっきの光線をまた発射するつもりなのだろう。
 もちろん、意図的に私を巻き込む予定の攻撃に違いない。

「こい! エリザ! 受け止めてやる」

 黄金の女体像の口から光線が横一閃に発射された。光線に巻き込まれたオークは、塵と化してゆく。
 そんな光線が今、私の体に触れた。

「(ああ……体が焼ける……熱い……ああああ……熱さが……こそばゆい……はああああ……まるで……これは……昔東方の地で夜泣きの治療で受けた時の……お灸というものに似ている……あああ……ピンポイントに体中が焼けて……はちきれそうだぁ!)」

 もし、このメイデンアーマーがなかったら……もし、耐久力がなかったら……私もオークと同じように塵と化していただろう。
 そんなやばい攻撃だった。

「さすがはクッコさんですわ。この攻撃をもしのぐだなんて……今最高に気分がいいですわ……だって……こんな攻撃うけたら、死んじゃうかも……でも、ちょっとだけならって……ああ、背徳感が心地よすぎてつい……あっ、また魔力を吸い取られる……あひぃっ! はううっ! ら……らめぇ~っ!」

 エリザは私を称賛した後、絶叫していた。中で何が行われているかはわからないが、エリザの乗っている女体像は、また膝をついて倒れた。あれだけの攻撃力だ。魔力の消費も激しいはずだ。また力を溜めるのに時間が必要なのだろう。

 私の陰になって助かったオークが、私を指差し、何やらつぶやいている。

「トイナジューラミ……トイナジューラミ……」

 とっさに、自分の体を確認する。すると、鎧が変色していた。まるで幻想的な輝きを放っている。
 そういえば、その熱のおかげで体が重力が感じられないぐらい軽い。

 私は軽く腕を振った。

──ブォン──

 その瞬間、空気を切り裂く激しい音とともに、かまいたちのような衝撃波が生まれた。
 衝撃波は、目の前にいたオークを一瞬にして切り裂き、モザイク状態にする。

 どうやら私は、この鎧の新たな使い方を見出してしまったようだ。痛みの他に熱が加わることによって、さらに人体の機能が亢進される。
 私は、この鎧の曖昧な輝きにちなんで、これをこう名付けた。

──メイデンアーマー・ミラージュモード──


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 形勢は逆転した。一見不利かと思われた我々の戦力は、私たちの力のみでひっくり返った。これが本当の少数精鋭というやつだろう。
 こちらはほとんど犠牲を出さず、オークの軍勢一万をモザイクの山へと変貌させた。

「これで……オークは壊滅……次は……クッ……自国兵か……」

 後方に控えた約5万の自国兵。そのほとんどは若い兵士たちばかりだ。裏切ったとはいえ、指揮系統のせいで上官に逆らえない者たちばかりだ。おそらく、部隊長たちはユダ・ブルータス側についていると思って間違いない。
 だが、万が一これを殲滅してしまえば、おそらく、背後に控えたエムジー国の奴らの思う壺だ。ユダ・ブルータスはおそらくそれに気づいていない。
 同軍同士で削りあい、兵が疲弊した時点で味方のふりをしていたエムジー国が裏切り、疲弊した残りの全兵力を殲滅しにくるだろう。それが奴らのやり口だ。

 どちらにしても、このままでは自国兵の犠牲はやむを得ない状況だ。
 それを避けるためには、犠牲が出る前にユダ・ブルータスを直接仕留めて兵の指揮権を取り戻すしか方法はない。
 奴の居場所さえつかめれば……。

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