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第二十四話 伝説の鎧
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国王側に残ってくれた王宮騎士団が最後の結界の塔を守ってくれていたおかげで城はまだ無事だった。だが、陥落寸前だ。急がなければならない。今攻めてきているのはオークの軍勢約1万。おそらく、魔物使いの仕業だ。
もちろん、このオークの軍勢を撃退したとしても、消耗しきったところを反乱軍が襲撃する手はずになっていることだろう。
こちらの兵力は王宮騎士団500と一般兵3000。残りの5万はユダ・ブルータス侯爵側についているものだと思われる。
だが、ユダ一人に、それだけの力があるとは思えない。何か裏があるはずだ。
おそらく、奴の後ろ盾にエムジー国がかかわっている可能性がある。外交上、エムジー国とつながりがあるのは奴だけだ。それに、エムジー国に関しては、内部工作を得意とする精鋭が多いと聞く。
弱みを握られたか、あるいは金で釣られたか、どちらにしても、軍資金を提供しているのは、おそらくエムジー国で間違いないだろう。
もし、エムジー国がこの内戦に手を出してくるようなら、絶望的な兵力がさらに絶望的になる。
さすがにそうなったら通常装備では苦しい。何らかの強化は必要だ。
なので私は、国王を無理やり説得し、メイデンアーマーと呼ばれるフルプレートの鎧を持ち出したのだ。
──メイデンアーマー──
過去、歴戦の姫騎士と呼ばれたコッコ・ローゼ。私の祖母が愛用した最強の鎧。
シルバーのゲルマニウムミスリル合金で作られた世界に一つしかない鎧だ。それが今、私の手元にある。
見た目は普通の鎧だが、内側に謎の突起物が張り巡らされている。実は、その突起物が曲者だ。
この突起物の数は全部で約700個。その全てが人体にある経絡秘孔という謎のツボと同じ場所に位置している。
この鎧はもともと東方の寺に住む昇林寺の老師が作ったものだ。彼は、力を求め、人体の研究を重ねた。
弱い刺激はこれを鼓舞し、適度の刺激はこれを亢進し、強い刺激はこれを抑制し、最も強い刺激はこれを停止する。
老師は、その4大原則を捻じ曲げ、十二の経絡を全て活性化させる方法を見つけた。その方法は、鎧に突起を仕込み、一度にすべての気の流れを調整することだった。それによって、人体の限界なる力を引き出すことに成功したのだ。
老師は、自分の体で鎧の効果を実験した。だが、その痛みに耐えられず、老師は発狂して狂い死ぬ。それ以来、鎧はただの拷問器具として扱われ、時が過ぎてただの骨董となってしまった。
だが、その骨董を入手し、その痛みに耐え、最強の力を得た者がいた。それが、メイデンアーマーの所持者である私の祖母、コッコ・ローゼだ。
実際のところ、祖母は最強になるつもりはなく、ただの拷問マニアだったようだ。たまたまこの鎧を見つけて装着したら、最強になってしまったと言っていたが……
……と、話が横にそれてしまったが、今から私は、その伝説のメイデンアーマーを着用する。
エミリアに、鎧を持たせ、装着を手伝ってもらうことにした。
パーツを装着する度に未知の激痛が襲う。
足を装着する。足の裏が……ふくらはぎが……すねが……膝が……
「はうっ」
続いて腰。尻が……股関節が……
「ウホッ」
そして、胴。ヘソが……胸が……背中が……肋骨が……
「おふぅっ」
さらに、腕と肩。指が……肘が……肩甲骨が……鎖骨が……僧帽筋が……
「うあああああ!」
まるで、体中に杭を打たれたような感覚だ。体をちょっとでも動かせば、その激痛はさらに脳を刺激し、意識が持っていかれそうになる。
「うへへ……うへへへ……」
「教官……もうやめてください!」
エミリアは涙目で、兜を抱えていた。
「ら……だめだ! 最後まで装着しないと、力は得られない! エミリア、頼む。お前の手でその兜を私の頭にかぶせてくれ!」
もう少しで、全ての鎧を装着できる。
「教官……わかりました。じゃあ、いきますよ……せえのっ!」
エミリアは、勢いよく兜を私の頭にかぶせてくれた。
「うぽあっ!」
エミリアのおかげで最後のパーツを装備することができた。
これで、全て装備した。
鼓動が早まる。体中の筋肉が悲鳴を上げる。目にキラキラとした光が見える。
力がみなぎってくる。鎧が服のように軽い。
全ての痛みは、快感へと変換されていく。
もう、突起の痛みは感じない。まるで、鎧と一体化した気分だ。
「ど……どーやら私は、限界を突破した……よ……よーだ。じゃ、オークを蹴散らしてくるー」
声を出しただけで……快感が、止まらない!
私は、その快感に任せてオークの群れへと突っ込んでいった。
もちろん、このオークの軍勢を撃退したとしても、消耗しきったところを反乱軍が襲撃する手はずになっていることだろう。
こちらの兵力は王宮騎士団500と一般兵3000。残りの5万はユダ・ブルータス侯爵側についているものだと思われる。
だが、ユダ一人に、それだけの力があるとは思えない。何か裏があるはずだ。
おそらく、奴の後ろ盾にエムジー国がかかわっている可能性がある。外交上、エムジー国とつながりがあるのは奴だけだ。それに、エムジー国に関しては、内部工作を得意とする精鋭が多いと聞く。
弱みを握られたか、あるいは金で釣られたか、どちらにしても、軍資金を提供しているのは、おそらくエムジー国で間違いないだろう。
もし、エムジー国がこの内戦に手を出してくるようなら、絶望的な兵力がさらに絶望的になる。
さすがにそうなったら通常装備では苦しい。何らかの強化は必要だ。
なので私は、国王を無理やり説得し、メイデンアーマーと呼ばれるフルプレートの鎧を持ち出したのだ。
──メイデンアーマー──
過去、歴戦の姫騎士と呼ばれたコッコ・ローゼ。私の祖母が愛用した最強の鎧。
シルバーのゲルマニウムミスリル合金で作られた世界に一つしかない鎧だ。それが今、私の手元にある。
見た目は普通の鎧だが、内側に謎の突起物が張り巡らされている。実は、その突起物が曲者だ。
この突起物の数は全部で約700個。その全てが人体にある経絡秘孔という謎のツボと同じ場所に位置している。
この鎧はもともと東方の寺に住む昇林寺の老師が作ったものだ。彼は、力を求め、人体の研究を重ねた。
弱い刺激はこれを鼓舞し、適度の刺激はこれを亢進し、強い刺激はこれを抑制し、最も強い刺激はこれを停止する。
老師は、その4大原則を捻じ曲げ、十二の経絡を全て活性化させる方法を見つけた。その方法は、鎧に突起を仕込み、一度にすべての気の流れを調整することだった。それによって、人体の限界なる力を引き出すことに成功したのだ。
老師は、自分の体で鎧の効果を実験した。だが、その痛みに耐えられず、老師は発狂して狂い死ぬ。それ以来、鎧はただの拷問器具として扱われ、時が過ぎてただの骨董となってしまった。
だが、その骨董を入手し、その痛みに耐え、最強の力を得た者がいた。それが、メイデンアーマーの所持者である私の祖母、コッコ・ローゼだ。
実際のところ、祖母は最強になるつもりはなく、ただの拷問マニアだったようだ。たまたまこの鎧を見つけて装着したら、最強になってしまったと言っていたが……
……と、話が横にそれてしまったが、今から私は、その伝説のメイデンアーマーを着用する。
エミリアに、鎧を持たせ、装着を手伝ってもらうことにした。
パーツを装着する度に未知の激痛が襲う。
足を装着する。足の裏が……ふくらはぎが……すねが……膝が……
「はうっ」
続いて腰。尻が……股関節が……
「ウホッ」
そして、胴。ヘソが……胸が……背中が……肋骨が……
「おふぅっ」
さらに、腕と肩。指が……肘が……肩甲骨が……鎖骨が……僧帽筋が……
「うあああああ!」
まるで、体中に杭を打たれたような感覚だ。体をちょっとでも動かせば、その激痛はさらに脳を刺激し、意識が持っていかれそうになる。
「うへへ……うへへへ……」
「教官……もうやめてください!」
エミリアは涙目で、兜を抱えていた。
「ら……だめだ! 最後まで装着しないと、力は得られない! エミリア、頼む。お前の手でその兜を私の頭にかぶせてくれ!」
もう少しで、全ての鎧を装着できる。
「教官……わかりました。じゃあ、いきますよ……せえのっ!」
エミリアは、勢いよく兜を私の頭にかぶせてくれた。
「うぽあっ!」
エミリアのおかげで最後のパーツを装備することができた。
これで、全て装備した。
鼓動が早まる。体中の筋肉が悲鳴を上げる。目にキラキラとした光が見える。
力がみなぎってくる。鎧が服のように軽い。
全ての痛みは、快感へと変換されていく。
もう、突起の痛みは感じない。まるで、鎧と一体化した気分だ。
「ど……どーやら私は、限界を突破した……よ……よーだ。じゃ、オークを蹴散らしてくるー」
声を出しただけで……快感が、止まらない!
私は、その快感に任せてオークの群れへと突っ込んでいった。
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