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第二十三話 裏切り
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城はまだ結界が張られている。だが、城の四方にある結界を維持する塔が3つ破壊されていた。あと一つ破壊されれば、結界が消失する。
攻撃しているのはオークの軍勢だ。かなり統率が取れている。しかも、魔力砲台を乗せ、赤い金属に包まれた戦車を所持している。戦車は激しい音をたてながら、魔力のチャージを始めていた。
「魔物が攻めてきているのか……にしては変だ……あの砲台は私の国のものだ……早く、お父様に事情を聴かねば……」
私は、国王である父、ブッコ・ローゼのいる玉座へと走った。
「お父様!」
王の間は静まり返っていた。
玉座の椅子にうつむきながら座っている父の姿があった。他には誰もいない。
「お父様! 一体何があったのですか!」
父は、顔を上げると私を睨みつけ、怒鳴るように声を上げた。
「クッ……クッコか! お前……今頃……何しにここへ戻ってきた!」
「城が攻められてるからに決まってるじゃないですか!」
そう言うと父は、頭を抱え、またうつむき、やる気のなさそうな声で話す。
「あ……そうだな……そうだ……お前も早く逃げろ……母のヌッコも裏から馬車で城を出た」
「教えてください! 一体何が……」
「ユダ・ブルータス侯爵が謀反を起こした。私と残った王宮騎士団は、最後まで戦わねばならん。わかるな、クッコ」
「ユダ・ブルータス侯爵が……」
ユダ・ブルータス侯爵。優秀な頭脳、愛国心にあふれ、国王を誰よりも慕っていた。もちろん、側近として一番大事にされていたはずだ。そんな侯爵が……なぜ……。
「お前も早く、隣のマタナワ王国に亡命するのだ」
「それじゃあ、この国は…キッコウ王国はどうなるんですか!」
弱気な父を姿を見ていられなくなった私は、首に飾ってある盾の形をしたペンダントを外し、父に見せつけた。
「このペンダントは祖母のコッコ・ローゼ様から頂いた形見です。何があってもあきらめず、どんな災いをもはねのけ、この国を守護する。この盾のペンダントには、そんな覚悟が込められていると祖母は言っておられました。祖母も、私と同じ姫騎士です。ならば、それを受け継いだ私の役目は決まっています」
「まさか……クッコ……コッコと同じ道をたどるつもりなのか!」
私は、首を横に振った。もちろん、死ぬつもりなどさらさらない。
「お願いがあります。コッコ様が着用されていた、メイデンアーマーを私に下さい」
「ならん……それだけは……あれは普通の人間には……」
その時、回廊のほうから、不敵な声が聞こえてきた。
「あら、クッコは人間ですけど、普通の人間ではありませんことよ」
「誰だ!」
父は、驚いて椅子から立ち上がり声を上げる。
振り向くと、視界にエリザ、エミリア、シグルドの姿が飛び込んできた。
城の外で待たせておいたはずなのだが……痺れを切らして乗り込んできたようだ。
「お前たち! 待ってろと言っただろ」
「なんだ、クッコの知り合いか」
父は、ホッとした様子でゆっくりと椅子に座る。
「もちろん、私たちもお手伝いします」
「主のために、この身を捧げましょう」
「もちろん、私もですわ」
3人は、私に付き合うつもりだ。
こんな内戦に仲間を巻き込みたくはない。だがこの調子だと、おそらく断っても無駄なのは目に見えている。なので私は……
「もし戦って負ければ、反逆者扱いだ。それでもいいのか?」
……意志を確認した。
「負ける……まさか、クッコさんが負けるのですか? そんな姿、想像できませんわ」
エリザに皮肉られ……
「教官が負けるはずありません!」
エミリアに熱い信頼を寄せられ……
「必ず私がお守りします」
シグルドに忠誠を示され……
いろいろ考えすぎた自分が、馬鹿に思えてきた。
どうやら、何も気にする必要はないようだ。
ならばもう、余計なことを言う必要はない。
「わかった。じゃあ行こう! 勝ちにいくぞ!」
こうして私たちは、戦闘の準備を整え、反乱軍の殲滅へと向かった。
攻撃しているのはオークの軍勢だ。かなり統率が取れている。しかも、魔力砲台を乗せ、赤い金属に包まれた戦車を所持している。戦車は激しい音をたてながら、魔力のチャージを始めていた。
「魔物が攻めてきているのか……にしては変だ……あの砲台は私の国のものだ……早く、お父様に事情を聴かねば……」
私は、国王である父、ブッコ・ローゼのいる玉座へと走った。
「お父様!」
王の間は静まり返っていた。
玉座の椅子にうつむきながら座っている父の姿があった。他には誰もいない。
「お父様! 一体何があったのですか!」
父は、顔を上げると私を睨みつけ、怒鳴るように声を上げた。
「クッ……クッコか! お前……今頃……何しにここへ戻ってきた!」
「城が攻められてるからに決まってるじゃないですか!」
そう言うと父は、頭を抱え、またうつむき、やる気のなさそうな声で話す。
「あ……そうだな……そうだ……お前も早く逃げろ……母のヌッコも裏から馬車で城を出た」
「教えてください! 一体何が……」
「ユダ・ブルータス侯爵が謀反を起こした。私と残った王宮騎士団は、最後まで戦わねばならん。わかるな、クッコ」
「ユダ・ブルータス侯爵が……」
ユダ・ブルータス侯爵。優秀な頭脳、愛国心にあふれ、国王を誰よりも慕っていた。もちろん、側近として一番大事にされていたはずだ。そんな侯爵が……なぜ……。
「お前も早く、隣のマタナワ王国に亡命するのだ」
「それじゃあ、この国は…キッコウ王国はどうなるんですか!」
弱気な父を姿を見ていられなくなった私は、首に飾ってある盾の形をしたペンダントを外し、父に見せつけた。
「このペンダントは祖母のコッコ・ローゼ様から頂いた形見です。何があってもあきらめず、どんな災いをもはねのけ、この国を守護する。この盾のペンダントには、そんな覚悟が込められていると祖母は言っておられました。祖母も、私と同じ姫騎士です。ならば、それを受け継いだ私の役目は決まっています」
「まさか……クッコ……コッコと同じ道をたどるつもりなのか!」
私は、首を横に振った。もちろん、死ぬつもりなどさらさらない。
「お願いがあります。コッコ様が着用されていた、メイデンアーマーを私に下さい」
「ならん……それだけは……あれは普通の人間には……」
その時、回廊のほうから、不敵な声が聞こえてきた。
「あら、クッコは人間ですけど、普通の人間ではありませんことよ」
「誰だ!」
父は、驚いて椅子から立ち上がり声を上げる。
振り向くと、視界にエリザ、エミリア、シグルドの姿が飛び込んできた。
城の外で待たせておいたはずなのだが……痺れを切らして乗り込んできたようだ。
「お前たち! 待ってろと言っただろ」
「なんだ、クッコの知り合いか」
父は、ホッとした様子でゆっくりと椅子に座る。
「もちろん、私たちもお手伝いします」
「主のために、この身を捧げましょう」
「もちろん、私もですわ」
3人は、私に付き合うつもりだ。
こんな内戦に仲間を巻き込みたくはない。だがこの調子だと、おそらく断っても無駄なのは目に見えている。なので私は……
「もし戦って負ければ、反逆者扱いだ。それでもいいのか?」
……意志を確認した。
「負ける……まさか、クッコさんが負けるのですか? そんな姿、想像できませんわ」
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エミリアに熱い信頼を寄せられ……
「必ず私がお守りします」
シグルドに忠誠を示され……
いろいろ考えすぎた自分が、馬鹿に思えてきた。
どうやら、何も気にする必要はないようだ。
ならばもう、余計なことを言う必要はない。
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