ど変態な姫騎士はガチパーティーから追放されて悦虐のソムリエを目指す

マイきぃ

文字の大きさ
上 下
15 / 31

第十五話 主の承認

しおりを挟む
 シグルドは、私の疑問に答えた。
「私は一人寂しいお嬢様たちの愛玩……じゃなくて、前線で戦う勇敢な方々をサポートするために作られた、高性能機械です」

「今、ちょっとだけ気になることを口走ったきがしますけどぉ~」
 シグルドの言葉を聞いたエミリアは、目をふさぎながら不安そうな声を出す。

 私が思うに、おそらくシグルドは、二つの機能を備えているということなのだろう。
 それよりも、さっきのロボットとの関係が気になった。それとなくシグルドに問う。

「君は、さっきのロボットの仲間なのか?」
「種類に関して言えば同類、仲間と言っていいでしょう。ですが、用途は違います。あなた方がロボットと言っているものは、守護兵器のことだと思われます。あれは、古代文明最後の生産ラインで作られた量産型です。後期型なので、マナを動力源に直接変換して動くことができます」
 
 彼の言っていることはよくわからなかった。
 だが、どうやらマナを消費して動くものということは分かったつもりだ。

 続いてシグルドは、真剣な表情で私に話しかける。

「私の創造主の命により、剣を抜いたあなたに忠誠を誓います。どんなことでも致します。なので、承認をお願いします」
 シグルドは、私の前にひざまずき、頭を下げた。

 どうやら、剣を抜いた私をご主人様に選ぼうとしているようだ。
 だが、本当にどんなことでもするのだろうか。
 どんなことでも…………なぜだか、わくわくが止まらない!

 だが、ここで私利私欲に走るのも気が引ける。
 ひとまず、裸のシグルドを見て恥ずかしがっているエミリアをどうにかしなければならない。

「ふむ……では、男の体を見せられてエミリアが困っているのだが……なんとかならないか?」
「男では、都合が悪いですか。では、シグルコに変形します」

「シグルコ?」

 すると、シグルドの体が開き、中から別のパーツが出てきた。シグルドは、見る見るうちに胸のある美少女へと姿を変えていく。さらに、大事な部分には神々しい光のおまけつきだ。

「私は一人寂しい男子たちを癒すためにこの世に放たれたダッ……じゃなくて、これが女形モードです。シグルコとお呼びください」
 と、シグルコと名乗ったシグルドはかわいいマシンボイスで話した。
 男の体から女の体に変形するのには正直驚いた。

「ぶっ……ブラボー!」
 それを見ていた隊長は、そう叫ぶと鼻血を吹いて倒れた。

「やっぱり、このロボット……何か怪しいですぅ……」
 エミリアは、さらに不審がっている。

 どうやら説明が足りなかったらしい。
 ……開いたコートを閉じてもらうだけでよかったのだが……
 ストレートにコートを閉じろと命令したほうがよさそうだ。
 それにしても、なぜコートを開く必要があったのだろう。

「それにしても、なぜ君はコートを開いて裸の姿を晒す必要があったのだ?」
「それは、販売促進用のプログラムが組み込まれていますので、人前でコートを開くように設定されていたからです。私たちは、売れるために必死でした」

「売り物……?」

「はい。実は私は大金持ちのあるお方にオーダーメイドで発注されたものでした。ですが、発注者が事故でお亡くなりになってしまい、受取人不在となってしまいました。もし私が玩具や召使い程度の品であれば、すぐに売り手はついたのですが、あいにく私は戦闘に特化されているのでマナを大量に消費します。なのでコスト面で買い手が付かなかったのです。廃棄するのももったいないとのことだったので、今まで封印されていたのです」

「そうか……お前……今までずっと一人で……」
 どうやら、聞いてはいけないことを聞いてしまったようだ。
 そのあまりにも悲しい話に、私は目を濡らす。

 私はロボットに告げる。
「ならば、私がお前の主として、面倒を見よう」
「本当ですか、では、あなたの手で魔剣グラムを私にお与えください」
「これをお前に授ければいいのか?」

 私は、王家のしきたり通りに、先ほど抜いた魔剣グラムをシグルドに授与する。
 すると、一瞬だけシグルドの目が赤く光った。
「認証完了しました。あなたを主と認識します」

 これで私は、シグルドの正式な主となった。

 その直後、突然シグルドがフラフラと倒れた。
「どうした! シグルド!」
「ああ……しばらくマナが充電されていなかったので……もう、活動限界です……」
 シグルドはそのまま私にもたれかかる。

「死んでないですよね……あ、ロボットだから……死なないのか……」
「私のマナを分け与えることができるといいのですけど……」
 エミリアとエリザは、シグルドを心配してくれている。
 どうやら、彼女たちもシグルドを仲間と認識してくれたようだ。

「ふう……持ち帰るのが、大変そうだ。じゃあ、帰るぞ」
 私たちは、マナ切れを起こしたシグルドを背負い、帰還の途に就くのだった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...