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第二話 草原のハンター
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次の日の朝、私は誰も活動していない時間帯に草原に出かけた。
そこには、私が冒険に出る前に狩りまくっていたモンスターがいるからだ。
その名は「鬼カマキリ」
やつは、草原のハンターと呼ばれている。
だが、こちらにしてみれば草原のハンターをハントする草原のハンターハンターだ。
奴の武器はのこぎりのような刃だ。両腕についたあのギザギザを見ると、心が震える。
あのギザギザが私の腕や足、首や胴をこするのだ。考えただけでもぞくぞくが止まらない。
もちろん、防具はつけていない。防具などつけたら、奴の攻撃を味わえないからだ。
だが、この鬼カマキリは、レベルの低い冒険者にとっては最初の難関だ。
こいつを攻略できるようになって初めて脱初心者ということになる。
私も戦い方はこいつで学んだ。受け、攻撃、間合い、タイミングの取り方の基本をマスターできる。
けれども、今回は倒しにきたのではない。やつの攻撃を受けるためにやってきたのだ。
しばらく私は草原をうろついた。
鬼カマキリは、周りの草と同化し、敵が近づくのを待っている。奴のエリアに入れば、奴の方から姿を現す。
『(「ガサガサッ)』
独特の音がした。これで鬼カマキリにタゲられたはずだ。
私は、奴を挑発するかのごとく、両腕を広げて叫んだ。
「あえてくらおう! その攻撃を!」
光る眼光、凶悪な面構え、緑の巨体。
鬼カマキリが姿を現した。
鬼カマキリは一直線に近づいてくる。
だが、そのまま攻撃はしない。
ギリギリまで近づいた後、いちど横に動いてから攻撃にはいる。
これは相手の攻撃をさそってよける動作だ。
だが、私は動かないのであまり意味はない。
鬼カマキリは、自慢のノコギリ鎌でわたしの耳を直撃する。
「はうううう! (なんてことだ! わたしのウィークポイントを知っているのか!)」
やつの攻撃は、私の弱い部分を直撃した。
耳がそぎ落とされるかと思えるほどの攻撃だ。こんな弱い所を集中攻撃されたら、平静を保っていられない。
「もっと、もっとだ! あるんだろう! とっておきの技が! 私を楽しませろ!」
鬼カマキリは、戦闘に時間をかけすぎると、必ず溜め技を放ってくる。
それは、白い粘液攻撃だ。
こいつを食らうと、動きが遅くなる。レベルの低い冒険者では、逃走は不可能。
だが、私はそれを楽しむことができる!
溜が終わると鬼カマキリは、口から白い粘液を噴射した。
粘液が、体にまとわりつき、私はベトベトのドロドロの不快感を味わう。
だが、その不快感は反転し、快感へと変わる。
「ううう、ベトベト……これだよぉ……これぇ……」
そして、動けなくなった私に鬼カマキリがノコギリ鎌を振るう。
鞭で叩かれているようなしなやかな快感に、ノコギリのトゲトゲしさが加わって爆発しそうな気分になる。
「いい! いいぞお! もっと、もっとだ! ハァハァ」
(だめだ、これ以上は……癖になる……)
その時だ。突然鬼カマキリの首が音もなく消失した。
そのまま鬼カマキリは、地面に倒れ込み、消失する。
もちろん、私は何もしていない。
いったい、何が起きたというのだ。
「お、鬼カマキリー!」
私は、草原いっぱいに悲痛な叫び声を上げた。
そこには、私が冒険に出る前に狩りまくっていたモンスターがいるからだ。
その名は「鬼カマキリ」
やつは、草原のハンターと呼ばれている。
だが、こちらにしてみれば草原のハンターをハントする草原のハンターハンターだ。
奴の武器はのこぎりのような刃だ。両腕についたあのギザギザを見ると、心が震える。
あのギザギザが私の腕や足、首や胴をこするのだ。考えただけでもぞくぞくが止まらない。
もちろん、防具はつけていない。防具などつけたら、奴の攻撃を味わえないからだ。
だが、この鬼カマキリは、レベルの低い冒険者にとっては最初の難関だ。
こいつを攻略できるようになって初めて脱初心者ということになる。
私も戦い方はこいつで学んだ。受け、攻撃、間合い、タイミングの取り方の基本をマスターできる。
けれども、今回は倒しにきたのではない。やつの攻撃を受けるためにやってきたのだ。
しばらく私は草原をうろついた。
鬼カマキリは、周りの草と同化し、敵が近づくのを待っている。奴のエリアに入れば、奴の方から姿を現す。
『(「ガサガサッ)』
独特の音がした。これで鬼カマキリにタゲられたはずだ。
私は、奴を挑発するかのごとく、両腕を広げて叫んだ。
「あえてくらおう! その攻撃を!」
光る眼光、凶悪な面構え、緑の巨体。
鬼カマキリが姿を現した。
鬼カマキリは一直線に近づいてくる。
だが、そのまま攻撃はしない。
ギリギリまで近づいた後、いちど横に動いてから攻撃にはいる。
これは相手の攻撃をさそってよける動作だ。
だが、私は動かないのであまり意味はない。
鬼カマキリは、自慢のノコギリ鎌でわたしの耳を直撃する。
「はうううう! (なんてことだ! わたしのウィークポイントを知っているのか!)」
やつの攻撃は、私の弱い部分を直撃した。
耳がそぎ落とされるかと思えるほどの攻撃だ。こんな弱い所を集中攻撃されたら、平静を保っていられない。
「もっと、もっとだ! あるんだろう! とっておきの技が! 私を楽しませろ!」
鬼カマキリは、戦闘に時間をかけすぎると、必ず溜め技を放ってくる。
それは、白い粘液攻撃だ。
こいつを食らうと、動きが遅くなる。レベルの低い冒険者では、逃走は不可能。
だが、私はそれを楽しむことができる!
溜が終わると鬼カマキリは、口から白い粘液を噴射した。
粘液が、体にまとわりつき、私はベトベトのドロドロの不快感を味わう。
だが、その不快感は反転し、快感へと変わる。
「ううう、ベトベト……これだよぉ……これぇ……」
そして、動けなくなった私に鬼カマキリがノコギリ鎌を振るう。
鞭で叩かれているようなしなやかな快感に、ノコギリのトゲトゲしさが加わって爆発しそうな気分になる。
「いい! いいぞお! もっと、もっとだ! ハァハァ」
(だめだ、これ以上は……癖になる……)
その時だ。突然鬼カマキリの首が音もなく消失した。
そのまま鬼カマキリは、地面に倒れ込み、消失する。
もちろん、私は何もしていない。
いったい、何が起きたというのだ。
「お、鬼カマキリー!」
私は、草原いっぱいに悲痛な叫び声を上げた。
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