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第3章 準備を整えよう
第24話 ボスとの遭遇
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通路を抜けると、獣臭さが際立つ広間に出た。その広間の中央で、、ゴブリン7匹と人型のイノシシ3匹が、のんきに酒盛りをしていた。
「あれは『オーク』っスね。あの硬そうな装備をしてるのがボスだと思うっス」ファリスは、奴等をオークと呼んだ。
──オーク……あいつらが首謀者なのか……。
奴等はまだ、こちらに気付いていない。辺りを見回すと、広間の奥に格子の牢屋があるのを見つけた。そして、その奥にケンタ君の姿を発見した。
ケンタ君は、牢屋の奥で蔓のような植物に絡まれ、うつろな目をしていた。
「なんだあの蔓は」俺は、ミツユスキーに尋ねた。
「まずいですね、あれは生き物の生命力を吸い取る『シバリカズラ』という植物です」
「ケンタ君は大丈夫なのか!」
「今すぐ死んでしまうというわけではないですが、徐々に生命力を奪われていきます。捕食した獲物の体内にまで蔓を伸ばしてしまうので、ものすごく厄介な植物です。捕食された者は、そこから特殊な樹液を注入され、感覚を奪われます」
「食虫植物みたいだな」
おそらくケンタ君がうつろな目をしているのは、その樹液の影響だろう。早く助け出さなければいけない。
ちょうど、霊剣ファントムのクールタイムが終わった。俺は、もう一度イメージを注ぎこみ、スキルを発動する。
「【乱舞】!」
俺は、ファリスと共に酒盛りをしている鬼畜野郎共を急襲した。
「誰だ、おめーら」
オークの1匹がこちらに気付いた。その瞬間、他のオークとゴブリン達も、俺たちに気付く。
「通りすがりの冒険者だ!」俺は、抜刀して衝撃波を放つ。「【即・撃・迅・雷】!」それと同時にファリスもスキルを放った。
俺とファリスの同時攻撃だ。その攻撃でゴブリンの2匹を壁まで吹っ飛ばした。
「コ……コイツラ! ケツ洗ッテネー人間ダ!」ゴブリンが騒ぐ。
「ケツケツうるせーぞ!」
「食らいやがるっス」
俺たちは、ほんの数秒で残りのゴブリン5匹を蹴散らした。残りはオークのみとなった。1匹は鉄の鎧、残りの2匹は皮の鎧だ。鉄の鎧を装備したオークをボスオークと名付けることにする。
ボスオークは、鼻の詰まった低い声を出す。
「ぐぬぬ……お前等……よくも大事な俺の部下たちを……」顔を真っ赤にして腹を立てていた。こいつがボスオーク格で間違いない。
「それはこっちのセリフだ! ケンタ君は返してもらう!」
俺は、ボスオークに向けて衝撃波を放った。すると、ボスオークは魔法陣の刻まれている鍋のような盾を前面に出した。衝撃波は、その盾に吸い込まれる。
「どうした、あんちゃん。もっと撃って来いよ!」
ボスオークは挑発してきた。何か嫌な予感がしたが、俺は焦ってもう2撃ほど、衝撃波を出してしまった。その衝撃波も盾に飲み込まれるように吸収される。
「今、嫌な予感がしたろ、あんちゃん。その感覚は大事だぜぇ」
そう言って、ボスオークは盾を俺に向けた。その盾に書かれた魔法陣が光を放つ。そして、盾から衝撃波が発せられた。その衝撃波は、俺の技と同質のものだった。
その衝撃波を俺はまともに食らう。その瞬間、パッシブスキル『ライフプロテクト』が発動した。受けた衝撃波はかき消される。『ライフプロテクト』は、守護騎士の物理攻撃無効化スキルである。ただし、一日一回が今の俺の限界だ。次はない。
「何なんだ、あの盾は……」俺は、攻撃を止め冷静さを取り戻した。攻撃を吸収して、任意に放つことのできるものだというのはわかった。これでは、うかつに攻撃できない。
「フッフッフッ」ボスオークは、不敵に笑い、俺を挑発していた。
俺は、ボスオークから一度、距離を取る。吸収されてから放たれる奴の攻撃は、俺の撃つ衝撃波の3倍以上の威力があった。衝撃波をホイホイ撃っていたのでは、さっきの二の舞だ。かといって、大技を使えば洞窟自体が崩れてしまう。
「大将、残りの2匹はあっしが引き受けるっス」ファリスは、そう言って残り2匹のオークと戦闘に入る。
「ファリス、任せた!」実の所、俺の戦っているオークも任せたい気分だった。だからといって、ここで引いたら格好が悪い。
──さて、どうしたものか……。
問題はあの盾だ。スキルを吸収するなら、普通に切り合うしかない。だが、それは不可だ。俺の近接戦闘の経験はまだ浅い。
──スキルのない、威力のある攻撃が出来れば……。
少し強引だが、ある方法を思いついた。俺は、それにかけてみることにした。
「あれは『オーク』っスね。あの硬そうな装備をしてるのがボスだと思うっス」ファリスは、奴等をオークと呼んだ。
──オーク……あいつらが首謀者なのか……。
奴等はまだ、こちらに気付いていない。辺りを見回すと、広間の奥に格子の牢屋があるのを見つけた。そして、その奥にケンタ君の姿を発見した。
ケンタ君は、牢屋の奥で蔓のような植物に絡まれ、うつろな目をしていた。
「なんだあの蔓は」俺は、ミツユスキーに尋ねた。
「まずいですね、あれは生き物の生命力を吸い取る『シバリカズラ』という植物です」
「ケンタ君は大丈夫なのか!」
「今すぐ死んでしまうというわけではないですが、徐々に生命力を奪われていきます。捕食した獲物の体内にまで蔓を伸ばしてしまうので、ものすごく厄介な植物です。捕食された者は、そこから特殊な樹液を注入され、感覚を奪われます」
「食虫植物みたいだな」
おそらくケンタ君がうつろな目をしているのは、その樹液の影響だろう。早く助け出さなければいけない。
ちょうど、霊剣ファントムのクールタイムが終わった。俺は、もう一度イメージを注ぎこみ、スキルを発動する。
「【乱舞】!」
俺は、ファリスと共に酒盛りをしている鬼畜野郎共を急襲した。
「誰だ、おめーら」
オークの1匹がこちらに気付いた。その瞬間、他のオークとゴブリン達も、俺たちに気付く。
「通りすがりの冒険者だ!」俺は、抜刀して衝撃波を放つ。「【即・撃・迅・雷】!」それと同時にファリスもスキルを放った。
俺とファリスの同時攻撃だ。その攻撃でゴブリンの2匹を壁まで吹っ飛ばした。
「コ……コイツラ! ケツ洗ッテネー人間ダ!」ゴブリンが騒ぐ。
「ケツケツうるせーぞ!」
「食らいやがるっス」
俺たちは、ほんの数秒で残りのゴブリン5匹を蹴散らした。残りはオークのみとなった。1匹は鉄の鎧、残りの2匹は皮の鎧だ。鉄の鎧を装備したオークをボスオークと名付けることにする。
ボスオークは、鼻の詰まった低い声を出す。
「ぐぬぬ……お前等……よくも大事な俺の部下たちを……」顔を真っ赤にして腹を立てていた。こいつがボスオーク格で間違いない。
「それはこっちのセリフだ! ケンタ君は返してもらう!」
俺は、ボスオークに向けて衝撃波を放った。すると、ボスオークは魔法陣の刻まれている鍋のような盾を前面に出した。衝撃波は、その盾に吸い込まれる。
「どうした、あんちゃん。もっと撃って来いよ!」
ボスオークは挑発してきた。何か嫌な予感がしたが、俺は焦ってもう2撃ほど、衝撃波を出してしまった。その衝撃波も盾に飲み込まれるように吸収される。
「今、嫌な予感がしたろ、あんちゃん。その感覚は大事だぜぇ」
そう言って、ボスオークは盾を俺に向けた。その盾に書かれた魔法陣が光を放つ。そして、盾から衝撃波が発せられた。その衝撃波は、俺の技と同質のものだった。
その衝撃波を俺はまともに食らう。その瞬間、パッシブスキル『ライフプロテクト』が発動した。受けた衝撃波はかき消される。『ライフプロテクト』は、守護騎士の物理攻撃無効化スキルである。ただし、一日一回が今の俺の限界だ。次はない。
「何なんだ、あの盾は……」俺は、攻撃を止め冷静さを取り戻した。攻撃を吸収して、任意に放つことのできるものだというのはわかった。これでは、うかつに攻撃できない。
「フッフッフッ」ボスオークは、不敵に笑い、俺を挑発していた。
俺は、ボスオークから一度、距離を取る。吸収されてから放たれる奴の攻撃は、俺の撃つ衝撃波の3倍以上の威力があった。衝撃波をホイホイ撃っていたのでは、さっきの二の舞だ。かといって、大技を使えば洞窟自体が崩れてしまう。
「大将、残りの2匹はあっしが引き受けるっス」ファリスは、そう言って残り2匹のオークと戦闘に入る。
「ファリス、任せた!」実の所、俺の戦っているオークも任せたい気分だった。だからといって、ここで引いたら格好が悪い。
──さて、どうしたものか……。
問題はあの盾だ。スキルを吸収するなら、普通に切り合うしかない。だが、それは不可だ。俺の近接戦闘の経験はまだ浅い。
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