タカシの異世界無双計画 ~銃と仲間と異世界と~

マイきぃ

文字の大きさ
上 下
14 / 138
第2章 依頼をこなそう

第14話 グランドドラゴン

しおりを挟む
 俺は、ファリスに説明を求めた。

「どうしてグランドドラゴンがこんなところに?」

「おそらく、リザードドラゴンを捕食しにやってきたっスよ」

「捕食? リザードドラゴンはグランドドラゴンの餌なのか? だって、同じ種族だろ?」

「厳密に言うとちがうっス。リザードドラゴンは、リザードマンの突然変異なんスよ」

「俺達に敵意はあるのか?」

「餌を荒らしてしまったっスからね、代わりにあっし達を餌にするつもりっスよ」

 状況は飲み込めた。いずれにしろイレギュラーな事態だ。俺たちは、グランドドラゴンに、エサとしてロックオンされているのだ。

 グランドドラゴンは、ゆっくりと後ろを向く。その瞬間、メイデンが俺に向かって走り込んできた。そして、俺の体を右腕で抱えると、ファリスの体も左腕で抱えてジャンプした。

「何だ?」

 何が起こったかをメイデンに問おうとした瞬間、グランドドラゴンの尻尾が鞭のように、空を切った。後ろを向いたのは、この攻撃の予備動作だったのか。

「あぶな……メイデン、助かった」

 メイデンの反応がなかったら、俺達は殺られていた。

「私がグランドドラゴンを引き付けます。その隙に……」

 メイデンは、俺たちをグランドドラゴンの射程外に避難させると、奴の目の前を飛び回り、注意を引き始めた。

「大将の技がもう一度使えるようになるまで、あっしも削りにいってくるっス」

 続いて、ファリスも攻撃に入る。

 メイデンは、狼のようにグランドドラゴンの周囲を飛び回る。グランドドラゴンは、それを振り払おうと、彼女を突き飛ばそうとする。だが、メイデンはその攻撃に当たる事はなかった。

 ファリスは、隙をついてグランドドラゴンの体の固い部分を破壊する。一撃離脱のその技の切れは、さすがSSSクラス任務達成者といって良いだろう。

 息が合ってきたのか、メイデンとファリスの連携が良くなってきた。俺は、安心して、クールタイムの終了を待つことができる。

 2人の攻撃は効いている。グランドドラゴンの動きはどんどん鈍くなってきた。徐々に削られているのだろう。

 鞘からクールタイム終了の鐘の音が聞こえた。これで俺も攻撃できる。どうせなら、この大ボスに最大の一撃を与えてやらなければいけない。俺は、イメージを絞り出した。

「打撃……粉砕……斬撃……貫通……破壊……」

 ──あの硬そうな鱗を貫いて、一刀両断する力を……。

 俺は、刀を抜いた。

「【竜王裂波斬】!」

 刀から、縦一閃の衝撃波がグランドドラゴンに向けて放たれた。衝撃波は、クランドドラゴンの体のど真ん中を捉える。すると、スイカが割れるようにグランドドラゴンは真っ二つになった。

 グランドドラゴンは肉塊となって崩れ去った。

「た、倒したのか、俺が」

「タカシ様、さすがです!」

「大将、やるっスね!」

 彼女たちは、驚いた表情で俺を称賛した。だが、勝てたのは、ほとんどこの武器、霊剣ファントムのおかげだ。

「霊剣ファントム……こんなに強い武器だったのか? エクスカリバーだったって落ちじゃないよな?」

 俺は、ファリスにさりげなく霊剣ファントムの事を聞いてみることにした。

「残念ながら、エクスカリバーではないっス。アレの本物を本気で使ったら、町が一つ消滅するっスよ」

「そんなに!」

「あっしが霊剣を使った時は、こんな攻撃は出来なかったっスけどね」

「と、いうと?」

「あっしのイメージ力が弱かったからっス。しょうがないんで、イメージはあっしの力技に耐えられるように霊剣の耐久力強化をしてたっス」

「じゃあ、純粋に俺のイメージ力の勝利って事でいいんだね」

「その通りっス」

 ファリスの説明で俺の疑問点は吹っ飛んだ。要するに、俺は武器の力を完全に引き出したということになる。つまり、俺とこの霊剣ファントムは、相性がいいということなのだろう。

 ふと、腕に付けていた冒険者リングが、虹色に輝きだした。

「これは……」

「今の功績が記録されています、タカシ様」

 メイデンはそういって、腕を見せた。メイデンのリングも同じように光りを放つ。同じくファリスのリングも輝いていた。

「グランドドラゴンは危険度が高いので特殊討伐モンスターに指定れてるっス。撃破すると、ポイントとお金が上乗せされるっス」

 確かに、危険度は高かった。長引けば、一つのミスが命取りになったはずだ。今回の戦闘が命がけだった事を、俺は再認識した。

「危険の分だけ、見返りがある……か」

「それが冒険者っスよ、大将!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主役の聖女は死にました

F.conoe
ファンタジー
聖女と一緒に召喚された私。私は聖女じゃないのに、聖女とされた。

ここは貴方の国ではありませんよ

水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。 厄介ごとが多いですね。 裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。 ※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

いい子ちゃんなんて嫌いだわ

F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが 聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。 おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。 どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。 それが優しさだと思ったの?

夫達の裏切りに復讐心で一杯だった私は、死の間際に本当の願いを見つけ幸せになれました。

Nao*
恋愛
家庭を顧みず、外泊も増えた夫ダリス。 それを寂しく思う私だったが、庭師のサムとその息子のシャルに癒される日々を送って居た。 そして私達は、三人であるバラの苗を庭に植える。 しかしその後…夫と親友のエリザによって、私は酷い裏切りを受ける事に─。 命の危機が迫る中、私の心は二人への復讐心で一杯になるが…駆けつけたシャルとサムを前に、本当の願いを見つけて─? (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)

処理中です...