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第2章 依頼をこなそう
第14話 グランドドラゴン
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俺は、ファリスに説明を求めた。
「どうしてグランドドラゴンがこんなところに?」
「おそらく、リザードドラゴンを捕食しにやってきたっスよ」
「捕食? リザードドラゴンはグランドドラゴンの餌なのか? だって、同じ種族だろ?」
「厳密に言うとちがうっス。リザードドラゴンは、リザードマンの突然変異なんスよ」
「俺達に敵意はあるのか?」
「餌を荒らしてしまったっスからね、代わりにあっし達を餌にするつもりっスよ」
状況は飲み込めた。いずれにしろイレギュラーな事態だ。俺たちは、グランドドラゴンに、エサとしてロックオンされているのだ。
グランドドラゴンは、ゆっくりと後ろを向く。その瞬間、メイデンが俺に向かって走り込んできた。そして、俺の体を右腕で抱えると、ファリスの体も左腕で抱えてジャンプした。
「何だ?」
何が起こったかをメイデンに問おうとした瞬間、グランドドラゴンの尻尾が鞭のように、空を切った。後ろを向いたのは、この攻撃の予備動作だったのか。
「あぶな……メイデン、助かった」
メイデンの反応がなかったら、俺達は殺られていた。
「私がグランドドラゴンを引き付けます。その隙に……」
メイデンは、俺たちをグランドドラゴンの射程外に避難させると、奴の目の前を飛び回り、注意を引き始めた。
「大将の技がもう一度使えるようになるまで、あっしも削りにいってくるっス」
続いて、ファリスも攻撃に入る。
メイデンは、狼のようにグランドドラゴンの周囲を飛び回る。グランドドラゴンは、それを振り払おうと、彼女を突き飛ばそうとする。だが、メイデンはその攻撃に当たる事はなかった。
ファリスは、隙をついてグランドドラゴンの体の固い部分を破壊する。一撃離脱のその技の切れは、さすがSSSクラス任務達成者といって良いだろう。
息が合ってきたのか、メイデンとファリスの連携が良くなってきた。俺は、安心して、クールタイムの終了を待つことができる。
2人の攻撃は効いている。グランドドラゴンの動きはどんどん鈍くなってきた。徐々に削られているのだろう。
鞘からクールタイム終了の鐘の音が聞こえた。これで俺も攻撃できる。どうせなら、この大ボスに最大の一撃を与えてやらなければいけない。俺は、イメージを絞り出した。
「打撃……粉砕……斬撃……貫通……破壊……」
──あの硬そうな鱗を貫いて、一刀両断する力を……。
俺は、刀を抜いた。
「【竜王裂波斬】!」
刀から、縦一閃の衝撃波がグランドドラゴンに向けて放たれた。衝撃波は、クランドドラゴンの体のど真ん中を捉える。すると、スイカが割れるようにグランドドラゴンは真っ二つになった。
グランドドラゴンは肉塊となって崩れ去った。
「た、倒したのか、俺が」
「タカシ様、さすがです!」
「大将、やるっスね!」
彼女たちは、驚いた表情で俺を称賛した。だが、勝てたのは、ほとんどこの武器、霊剣ファントムのおかげだ。
「霊剣ファントム……こんなに強い武器だったのか? エクスカリバーだったって落ちじゃないよな?」
俺は、ファリスにさりげなく霊剣ファントムの事を聞いてみることにした。
「残念ながら、エクスカリバーではないっス。アレの本物を本気で使ったら、町が一つ消滅するっスよ」
「そんなに!」
「あっしが霊剣を使った時は、こんな攻撃は出来なかったっスけどね」
「と、いうと?」
「あっしのイメージ力が弱かったからっス。しょうがないんで、イメージはあっしの力技に耐えられるように霊剣の耐久力強化をしてたっス」
「じゃあ、純粋に俺のイメージ力の勝利って事でいいんだね」
「その通りっス」
ファリスの説明で俺の疑問点は吹っ飛んだ。要するに、俺は武器の力を完全に引き出したということになる。つまり、俺とこの霊剣ファントムは、相性がいいということなのだろう。
ふと、腕に付けていた冒険者リングが、虹色に輝きだした。
「これは……」
「今の功績が記録されています、タカシ様」
メイデンはそういって、腕を見せた。メイデンのリングも同じように光りを放つ。同じくファリスのリングも輝いていた。
「グランドドラゴンは危険度が高いので特殊討伐モンスターに指定れてるっス。撃破すると、ポイントとお金が上乗せされるっス」
確かに、危険度は高かった。長引けば、一つのミスが命取りになったはずだ。今回の戦闘が命がけだった事を、俺は再認識した。
「危険の分だけ、見返りがある……か」
「それが冒険者っスよ、大将!」
「どうしてグランドドラゴンがこんなところに?」
「おそらく、リザードドラゴンを捕食しにやってきたっスよ」
「捕食? リザードドラゴンはグランドドラゴンの餌なのか? だって、同じ種族だろ?」
「厳密に言うとちがうっス。リザードドラゴンは、リザードマンの突然変異なんスよ」
「俺達に敵意はあるのか?」
「餌を荒らしてしまったっスからね、代わりにあっし達を餌にするつもりっスよ」
状況は飲み込めた。いずれにしろイレギュラーな事態だ。俺たちは、グランドドラゴンに、エサとしてロックオンされているのだ。
グランドドラゴンは、ゆっくりと後ろを向く。その瞬間、メイデンが俺に向かって走り込んできた。そして、俺の体を右腕で抱えると、ファリスの体も左腕で抱えてジャンプした。
「何だ?」
何が起こったかをメイデンに問おうとした瞬間、グランドドラゴンの尻尾が鞭のように、空を切った。後ろを向いたのは、この攻撃の予備動作だったのか。
「あぶな……メイデン、助かった」
メイデンの反応がなかったら、俺達は殺られていた。
「私がグランドドラゴンを引き付けます。その隙に……」
メイデンは、俺たちをグランドドラゴンの射程外に避難させると、奴の目の前を飛び回り、注意を引き始めた。
「大将の技がもう一度使えるようになるまで、あっしも削りにいってくるっス」
続いて、ファリスも攻撃に入る。
メイデンは、狼のようにグランドドラゴンの周囲を飛び回る。グランドドラゴンは、それを振り払おうと、彼女を突き飛ばそうとする。だが、メイデンはその攻撃に当たる事はなかった。
ファリスは、隙をついてグランドドラゴンの体の固い部分を破壊する。一撃離脱のその技の切れは、さすがSSSクラス任務達成者といって良いだろう。
息が合ってきたのか、メイデンとファリスの連携が良くなってきた。俺は、安心して、クールタイムの終了を待つことができる。
2人の攻撃は効いている。グランドドラゴンの動きはどんどん鈍くなってきた。徐々に削られているのだろう。
鞘からクールタイム終了の鐘の音が聞こえた。これで俺も攻撃できる。どうせなら、この大ボスに最大の一撃を与えてやらなければいけない。俺は、イメージを絞り出した。
「打撃……粉砕……斬撃……貫通……破壊……」
──あの硬そうな鱗を貫いて、一刀両断する力を……。
俺は、刀を抜いた。
「【竜王裂波斬】!」
刀から、縦一閃の衝撃波がグランドドラゴンに向けて放たれた。衝撃波は、クランドドラゴンの体のど真ん中を捉える。すると、スイカが割れるようにグランドドラゴンは真っ二つになった。
グランドドラゴンは肉塊となって崩れ去った。
「た、倒したのか、俺が」
「タカシ様、さすがです!」
「大将、やるっスね!」
彼女たちは、驚いた表情で俺を称賛した。だが、勝てたのは、ほとんどこの武器、霊剣ファントムのおかげだ。
「霊剣ファントム……こんなに強い武器だったのか? エクスカリバーだったって落ちじゃないよな?」
俺は、ファリスにさりげなく霊剣ファントムの事を聞いてみることにした。
「残念ながら、エクスカリバーではないっス。アレの本物を本気で使ったら、町が一つ消滅するっスよ」
「そんなに!」
「あっしが霊剣を使った時は、こんな攻撃は出来なかったっスけどね」
「と、いうと?」
「あっしのイメージ力が弱かったからっス。しょうがないんで、イメージはあっしの力技に耐えられるように霊剣の耐久力強化をしてたっス」
「じゃあ、純粋に俺のイメージ力の勝利って事でいいんだね」
「その通りっス」
ファリスの説明で俺の疑問点は吹っ飛んだ。要するに、俺は武器の力を完全に引き出したということになる。つまり、俺とこの霊剣ファントムは、相性がいいということなのだろう。
ふと、腕に付けていた冒険者リングが、虹色に輝きだした。
「これは……」
「今の功績が記録されています、タカシ様」
メイデンはそういって、腕を見せた。メイデンのリングも同じように光りを放つ。同じくファリスのリングも輝いていた。
「グランドドラゴンは危険度が高いので特殊討伐モンスターに指定れてるっス。撃破すると、ポイントとお金が上乗せされるっス」
確かに、危険度は高かった。長引けば、一つのミスが命取りになったはずだ。今回の戦闘が命がけだった事を、俺は再認識した。
「危険の分だけ、見返りがある……か」
「それが冒険者っスよ、大将!」
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