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ショータイムなのニャ
第13話 ひらめいたのニャ
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サクラがうちの店の猫スタッフになってから一週間が経ちました。
始めはいろいろと戸惑うこともあったようですが、次第にうちの生活に慣れてきたようです。
サクラが来てくれたこともあって、ココアも手伝いにこれるようになりました。メス同士なので、なにかと心強いのでしょう。
サクラは、夜はわたしの部屋で寝ています。
さすがにオス5匹の中に一緒においておくのは抵抗があります。
猫といえども獣です。勝手に増やされては大変です。
サクラと一緒にいたギンは、しばらくわたしの店にいましたが、サクラの様子を見て安心すると、フラッとどこかへ消えてしまいました。
さすらい猫という二つ名があるぐらいですから、さすらうのが好きなのでしょう。
でも、たまにはサクラに会ってあげてほしいものです。
それはそうと、今、うちの店の経営は赤字状態に入っています。
このままでは、運営資金がガリガリと削られてしまいす。
ですが今回、猫探しで思わぬ軍資金が手に入りました。
それを有効活用しない手はありません。
有効活用といっても、ビラを配ったり、設備投資ぐらいのものですが、おそらくそれだけだと、集客効果は一時的なものになりかねません。
それよりも、猫を好きになってもらうほうが、確実にお客様を増やせるような気がします。
……何か良い方法がないものか……しばらくわたしは考えました。
考えてみたものの、あまりいい発想は浮かびません。
一人で考えていてもしょうがないので、お客がこなくて暇な父に、何か知恵を出してもらうことにしました。
……と、思ったのですが、父は今、いらない物を整理していて忙しそうでした。
空いた時間を遊ばせていたわけではないようです。
われながら関心します。
ゴミ袋に、いっぱい詰め込まれたビデオテープの山がありました。
さすがに詰め込みすぎたようで、上のほうが崩れそうです。
直してあげようと思い、ちょっとだけ手を添えます。すると、ビデオテープの山が音を立てて崩れてしまいました。
「ほのか~。それ、ちゃんと直しておいてもらえるか~」
「ごめんなさ~い」
父に見られてしまいました。
しょうがないので、ゆっくりとビデオテープを元に戻します。
もちろん、崩れたのはわたしのせいではありません。父が、適当に積んでしまったのが原因です。
それにしても、ビデオテープなんてものは、すでに骨董です。化石です。天然記念物です。
それを再生できるデッキは、もう生産されていません。
それでも昔は、一世を風靡していたのですから、驚きです。
拾ったビデオテープのラベルをみると、そこには「OKサーカス一座」と書かれていました。
18禁のビデオじゃなかっただけましです。(まあ、あっても不思議じゃないですが)
ですが、このまま女日照りが続くのもどうかと思います。
おそらく、父の性格上、母以上の人に出会わなければ、駄目かもしれません。
そういえば、サーカスで思い出しました。
死んだ母は、サーカスがとても好きだった気がします。
わたしが小さいころのことです。
ここからずっと北の方にあるゴルフ場近くの大きな駐車場。
そこに、有名なサーカスの一座が巡業に来ていて、大きなテントを張っていました。
その時わたしは、父と母に連れられて、そのサーカスを見に行きます。
母は嬉しそうにサーカスを眺めていました。
空中ブランコの団員のファンだったようです。
そこでのサーカスの記憶は、わたしも記憶に残っています。
ライオンのショーがとっても印象的でした。
雄たけびを上げて登場し、豪快にジャンプして火の輪をくぐり、平均台を駆け抜け、大だるを転がすという、まるで猫のような俊敏さに驚かされていました。
──まるで猫……………………!?
ちょっと、ひらめきました。
サーカスとまではいかなくても、簡単な動物ショーでお客を楽しませることができれば、猫を好きになってもらえるはずです。ファンが付けば、うちのお店に来てくれる可能性も出てきます。
──わたしの猫は特別です。
────いいえ、わたしが特別です。
猫を自由自在に操る能力を持っています。
(ただし、高級猫缶を消費しますが……)
そして、やるのは……
──猿回しならぬ、猫回しです!
「お父さん! そのビデオ。捨てるの少し待ってほしいのだけど」
「なんだい、見たいビデオでもあったのかい?」
「サーカスのビデオを見てみたいの」
「そうか、じゃあデッキを持ってくるから、あとは自分でできるかい」
「取り付け方ぐらいは知ってるから大丈夫です」
父に、ビデオデッキを持ってきてもらい、わたしの部屋のテレビに取り付けます。
そして、先ほど見つけた「OKサーカス一座」と書かれたビデオテープをデッキに差し込みました。
再生ボタンを押します。
映像が出ました。いよいよ始まります。
猫たちに教える前に、わたしが覚えなければいけません。
(少しでも、ビデオを見て研究しないと……)
女の人がベッドの上で座っています。
場所は個室でしょうか、紫色のランプに照らされて怪しい雰囲気です。
その後、はげでちょび髭の怪しい男がやってきます。
そして、ベッドに座っていた女の後ろに回り込み、服をゆっくりと脱がせ始めました。
────これは……!
その瞬間、わたしはビデオデッキのイジェクトボタンを押し、ビデオテープを取り出して床に叩き付けました。
始めはいろいろと戸惑うこともあったようですが、次第にうちの生活に慣れてきたようです。
サクラが来てくれたこともあって、ココアも手伝いにこれるようになりました。メス同士なので、なにかと心強いのでしょう。
サクラは、夜はわたしの部屋で寝ています。
さすがにオス5匹の中に一緒においておくのは抵抗があります。
猫といえども獣です。勝手に増やされては大変です。
サクラと一緒にいたギンは、しばらくわたしの店にいましたが、サクラの様子を見て安心すると、フラッとどこかへ消えてしまいました。
さすらい猫という二つ名があるぐらいですから、さすらうのが好きなのでしょう。
でも、たまにはサクラに会ってあげてほしいものです。
それはそうと、今、うちの店の経営は赤字状態に入っています。
このままでは、運営資金がガリガリと削られてしまいす。
ですが今回、猫探しで思わぬ軍資金が手に入りました。
それを有効活用しない手はありません。
有効活用といっても、ビラを配ったり、設備投資ぐらいのものですが、おそらくそれだけだと、集客効果は一時的なものになりかねません。
それよりも、猫を好きになってもらうほうが、確実にお客様を増やせるような気がします。
……何か良い方法がないものか……しばらくわたしは考えました。
考えてみたものの、あまりいい発想は浮かびません。
一人で考えていてもしょうがないので、お客がこなくて暇な父に、何か知恵を出してもらうことにしました。
……と、思ったのですが、父は今、いらない物を整理していて忙しそうでした。
空いた時間を遊ばせていたわけではないようです。
われながら関心します。
ゴミ袋に、いっぱい詰め込まれたビデオテープの山がありました。
さすがに詰め込みすぎたようで、上のほうが崩れそうです。
直してあげようと思い、ちょっとだけ手を添えます。すると、ビデオテープの山が音を立てて崩れてしまいました。
「ほのか~。それ、ちゃんと直しておいてもらえるか~」
「ごめんなさ~い」
父に見られてしまいました。
しょうがないので、ゆっくりとビデオテープを元に戻します。
もちろん、崩れたのはわたしのせいではありません。父が、適当に積んでしまったのが原因です。
それにしても、ビデオテープなんてものは、すでに骨董です。化石です。天然記念物です。
それを再生できるデッキは、もう生産されていません。
それでも昔は、一世を風靡していたのですから、驚きです。
拾ったビデオテープのラベルをみると、そこには「OKサーカス一座」と書かれていました。
18禁のビデオじゃなかっただけましです。(まあ、あっても不思議じゃないですが)
ですが、このまま女日照りが続くのもどうかと思います。
おそらく、父の性格上、母以上の人に出会わなければ、駄目かもしれません。
そういえば、サーカスで思い出しました。
死んだ母は、サーカスがとても好きだった気がします。
わたしが小さいころのことです。
ここからずっと北の方にあるゴルフ場近くの大きな駐車場。
そこに、有名なサーカスの一座が巡業に来ていて、大きなテントを張っていました。
その時わたしは、父と母に連れられて、そのサーカスを見に行きます。
母は嬉しそうにサーカスを眺めていました。
空中ブランコの団員のファンだったようです。
そこでのサーカスの記憶は、わたしも記憶に残っています。
ライオンのショーがとっても印象的でした。
雄たけびを上げて登場し、豪快にジャンプして火の輪をくぐり、平均台を駆け抜け、大だるを転がすという、まるで猫のような俊敏さに驚かされていました。
──まるで猫……………………!?
ちょっと、ひらめきました。
サーカスとまではいかなくても、簡単な動物ショーでお客を楽しませることができれば、猫を好きになってもらえるはずです。ファンが付けば、うちのお店に来てくれる可能性も出てきます。
──わたしの猫は特別です。
────いいえ、わたしが特別です。
猫を自由自在に操る能力を持っています。
(ただし、高級猫缶を消費しますが……)
そして、やるのは……
──猿回しならぬ、猫回しです!
「お父さん! そのビデオ。捨てるの少し待ってほしいのだけど」
「なんだい、見たいビデオでもあったのかい?」
「サーカスのビデオを見てみたいの」
「そうか、じゃあデッキを持ってくるから、あとは自分でできるかい」
「取り付け方ぐらいは知ってるから大丈夫です」
父に、ビデオデッキを持ってきてもらい、わたしの部屋のテレビに取り付けます。
そして、先ほど見つけた「OKサーカス一座」と書かれたビデオテープをデッキに差し込みました。
再生ボタンを押します。
映像が出ました。いよいよ始まります。
猫たちに教える前に、わたしが覚えなければいけません。
(少しでも、ビデオを見て研究しないと……)
女の人がベッドの上で座っています。
場所は個室でしょうか、紫色のランプに照らされて怪しい雰囲気です。
その後、はげでちょび髭の怪しい男がやってきます。
そして、ベッドに座っていた女の後ろに回り込み、服をゆっくりと脱がせ始めました。
────これは……!
その瞬間、わたしはビデオデッキのイジェクトボタンを押し、ビデオテープを取り出して床に叩き付けました。
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