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スライムを切った後の条件を変えてみる
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俺の目の前にスライムがいる。
そのスライムは、ゆっくりと近づいてくる。
俺は、買ったばかりの銅の剣を構え、そのスライムに颯爽と切りかかった。もちろん攻撃は命中、外すわけはない。
スライムは真っ二つ。俺の勝ちだ──と、普通ならこれでスライムは倒れ、お金を落とすはず──なのだが、どうもそうではないらしい。
真っ二つにしたスライムはまだ生きていた。どうやら切ったぐらいじゃ死なないらしい。おまけに半分の大きさのスライムを2匹相手にする羽目になった。
だが、武器はこの銅の剣だけ。仕方ないのでもう一度スライムを切り刻む。するとスライムは、切った分だけまた増えた。
***
「これ、どこがおもしろいの?」
──これが一般的な意見だろう。
私の場合、ネタがないときは、つくづくこういうストーリーになりがちだったりする。
話自体がおもしろくないのはさておき──この話はスライムが現れて、それを切ったら分裂しただけという落ちだ。さらに、その後の展開も予測できる。切っても切ってもスライムが増え続ける──ただそれだけだ。
オチは予想できるうえ、大したことはない。
──じゃあ、どうすればいいのか。
それを少し考えてみた。
例えばスライムを切ったら大爆発するとか、スライムを切ったら美少女エルフになったとか、さらにその美少女エルフを切ったら女神が現れて──そういう話ならどうだろうか。
***
俺の目の前にスライムがいる。
そのスライムは、ゆっくりと近づいてくる。
俺は、買ったばかりの銅の剣を構え、そのスライムに颯爽と切りかかった。もちろん攻撃は命中、外すわけはない。
だが、次の瞬間、スライムは大爆発! 俺はその爆発に巻き込まれ──気が付くと、俺の体はスライムになっていた。
「な、なんじゃごりゃー!?」
***
爆発させただけで違うネタが生まれた。これはある意味成功といっていいだろう。
さらに、スライムになった後、どうなるのかが気になる展開だ。
そして、これがもう一つの展開。さらに、新しく生まれたネタ、スライムになる展開を継承してみる。
***
俺は、買ったばかりの銅の剣を構え、そのスライムに颯爽と切りかかった。もちろん攻撃は命中、外すわけはない。
だが、次の瞬間、倒したスライムは形を変え、美少女エルフの姿に変身した。
「これはいったい……どういうことだ!?」
「私は美少女エルフです。救い出してくれてありがとうございます。これより私はあなたの下僕です」
「な……どういうことだ!? それより、自分を美少女エルフと呼び、さらに下僕になるとか……普通あり得ないだろ! さてはお前、その美しい体で俺を油断をさせて捕食する気だな!」
「そ……そんなことは……」
「なんて悪質なスライムなんだ……それなら……こうだ!」
俺は容赦なく美少女エルフの腹に剣を突き刺した。すると、美少女エルフは断末魔の悲鳴を上げながら灰と化した。やはり、こいつはモンスターで間違いない。
そう確信したその時──眩しい光とともに美しい女神が俺の目の前に姿を現した。
女神は、俺に怒鳴りつけるように話しかけてくる。
「なんてことをしてくれたのですか」
「なんで女神がこんなところに? しかも美女!」
「このエルフは、本当にスライムに捕食されそうになっていたのですよ。それを助けるふりをして殺そうとするなんて……私が来なければ、本当に死んでいたところです」
「な……なんだって……!? いや、これも罠だ……そうに違いない。こんなところにこんな美しい女神が現れる筈はない!」
俺は剣を構え、容赦なく女神に剣を突き立てた。だが、剣は通らない。まさか、本当に本物の女神──!?
「どうもあなたは血の気が多すぎるようですね。少し、反省しなさい」
「な……何を!?」
女神は、持っていた杖から光線を放った。その光線を浴びた俺は、気が付くと──。
──スライムになっていた。
***
文章が長くなっただけだと思われるが、そうではない。これこそ、展開を変えたことによって生まれてきたストーリーだ。
最初の話よりは、ずいぶんましになったと思う。
だが、この状態では主人公がスライムになっているので、人間にならないと次のプロットに話が続かない!
そんな状況に陥ることもあるだろう。
じゃあ──どうするか──。
スライムから人間に戻る方法を探す旅に出る話を作って盛り込めばいいのだ!
注)これはあくまで自己流の執筆スタイルです。この技法を用いて損害を被っても作者は一切責任を持ちません。
そのスライムは、ゆっくりと近づいてくる。
俺は、買ったばかりの銅の剣を構え、そのスライムに颯爽と切りかかった。もちろん攻撃は命中、外すわけはない。
スライムは真っ二つ。俺の勝ちだ──と、普通ならこれでスライムは倒れ、お金を落とすはず──なのだが、どうもそうではないらしい。
真っ二つにしたスライムはまだ生きていた。どうやら切ったぐらいじゃ死なないらしい。おまけに半分の大きさのスライムを2匹相手にする羽目になった。
だが、武器はこの銅の剣だけ。仕方ないのでもう一度スライムを切り刻む。するとスライムは、切った分だけまた増えた。
***
「これ、どこがおもしろいの?」
──これが一般的な意見だろう。
私の場合、ネタがないときは、つくづくこういうストーリーになりがちだったりする。
話自体がおもしろくないのはさておき──この話はスライムが現れて、それを切ったら分裂しただけという落ちだ。さらに、その後の展開も予測できる。切っても切ってもスライムが増え続ける──ただそれだけだ。
オチは予想できるうえ、大したことはない。
──じゃあ、どうすればいいのか。
それを少し考えてみた。
例えばスライムを切ったら大爆発するとか、スライムを切ったら美少女エルフになったとか、さらにその美少女エルフを切ったら女神が現れて──そういう話ならどうだろうか。
***
俺の目の前にスライムがいる。
そのスライムは、ゆっくりと近づいてくる。
俺は、買ったばかりの銅の剣を構え、そのスライムに颯爽と切りかかった。もちろん攻撃は命中、外すわけはない。
だが、次の瞬間、スライムは大爆発! 俺はその爆発に巻き込まれ──気が付くと、俺の体はスライムになっていた。
「な、なんじゃごりゃー!?」
***
爆発させただけで違うネタが生まれた。これはある意味成功といっていいだろう。
さらに、スライムになった後、どうなるのかが気になる展開だ。
そして、これがもう一つの展開。さらに、新しく生まれたネタ、スライムになる展開を継承してみる。
***
俺は、買ったばかりの銅の剣を構え、そのスライムに颯爽と切りかかった。もちろん攻撃は命中、外すわけはない。
だが、次の瞬間、倒したスライムは形を変え、美少女エルフの姿に変身した。
「これはいったい……どういうことだ!?」
「私は美少女エルフです。救い出してくれてありがとうございます。これより私はあなたの下僕です」
「な……どういうことだ!? それより、自分を美少女エルフと呼び、さらに下僕になるとか……普通あり得ないだろ! さてはお前、その美しい体で俺を油断をさせて捕食する気だな!」
「そ……そんなことは……」
「なんて悪質なスライムなんだ……それなら……こうだ!」
俺は容赦なく美少女エルフの腹に剣を突き刺した。すると、美少女エルフは断末魔の悲鳴を上げながら灰と化した。やはり、こいつはモンスターで間違いない。
そう確信したその時──眩しい光とともに美しい女神が俺の目の前に姿を現した。
女神は、俺に怒鳴りつけるように話しかけてくる。
「なんてことをしてくれたのですか」
「なんで女神がこんなところに? しかも美女!」
「このエルフは、本当にスライムに捕食されそうになっていたのですよ。それを助けるふりをして殺そうとするなんて……私が来なければ、本当に死んでいたところです」
「な……なんだって……!? いや、これも罠だ……そうに違いない。こんなところにこんな美しい女神が現れる筈はない!」
俺は剣を構え、容赦なく女神に剣を突き立てた。だが、剣は通らない。まさか、本当に本物の女神──!?
「どうもあなたは血の気が多すぎるようですね。少し、反省しなさい」
「な……何を!?」
女神は、持っていた杖から光線を放った。その光線を浴びた俺は、気が付くと──。
──スライムになっていた。
***
文章が長くなっただけだと思われるが、そうではない。これこそ、展開を変えたことによって生まれてきたストーリーだ。
最初の話よりは、ずいぶんましになったと思う。
だが、この状態では主人公がスライムになっているので、人間にならないと次のプロットに話が続かない!
そんな状況に陥ることもあるだろう。
じゃあ──どうするか──。
スライムから人間に戻る方法を探す旅に出る話を作って盛り込めばいいのだ!
注)これはあくまで自己流の執筆スタイルです。この技法を用いて損害を被っても作者は一切責任を持ちません。
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