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第十七話 三人目の仲間

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 僕は、王妃の側近から、支度金、金貨100枚を貰い、城を出た。
 成功報酬の金貨1000枚を先に渡してもらえば、最強スキルを駆使して容易に片が付く気はするのだが──どこの馬の骨ともわからない勇者に報酬を先払いする程、この異世界は甘くない。

 ──とはいうものの、もともと魔王は倒す予定だ。それが前倒しになっただけのこと。そのおかげで金貨100枚をつかむことが出来たのだ。ありがたく思うしかない。

 一応、今回の支度金のおかげで資金に余裕ができたので、金貨を10枚消費し、キャラを作成することにする。


[

 名前:サード
 性別:女性
 髪型:ショートツインテール(金)
 声のタイプ:機械音声
 性格:好戦的・陽気
 戦闘タイプ:近接戦闘

]


 作成したのは、今回も少女風のメイドだ。これで、メイド三姉妹が完成した。三人ともメイドにしたことについては特に意味はない。僕の趣味についてとやかく言われる筋合いはないからね。
 ただ、残念なのは、今回も胸の大きさはAカップ以上に設定することができなかったことだ。これだけは、本当に悔しい。
 それにしても、この世界のすべての胸、更には、異世界スマホのキャラ設定にまで干渉してくる魔王とは、いったいどんな存在なのだろうか。

 わかっているのは、魔王の名前はギリメカーラ。物理攻撃を反射し、さらに魔法攻撃が弱点ながらも特別な装備をしていて効果が薄いということぐらいだ。
「どうやってこんな奴を倒せばいいんだ!」
 ──と、最初は思ったが、物理でも魔法でもない腐食系装備破壊スキル(レベル5スキル相当)が僕にはある。これで防具を破壊してしまえばいいだけの話だった。
  そして、軍資金さえあれば、スマホ勇者の突出した唯一の能力【課金スキル】を料金分だけ使用できる。いくら魔王でも、備えを失った状態からの課金による連続魔法攻撃には、耐えられない筈だ──と、僕は思う。

 だが、一つ問題がある。それは、スマホ勇者レベル3という状況だ。

 相手は魔王、一筋縄ではいかないのは至極当然。それに対してスマホ勇者レベル3──衛兵に毛が生えた程度で特に強いといったところはない。魔王ほどの存在の一撃を食らえば、一瞬で消し飛ぶだろう。
 勝ち筋があるなら先手必勝。相手に本気を出させずに、勝つ! これしかない!

 ──と、早速三体目の仲間を召喚する。
 キャラをタップすると、スマホから3Dホログラムのような映像が出現、実体化した。

「ご召喚ありがとうですマスター。私はサード、なんでも言ってくれていいんだからねっ!」

 ちょっとツンデレっぽい感じのするかわいいメイドだ。ツンデレ属性は入れてないのだが、これはこれで良しとしよう。
 ついでにファーストとセカンドも召喚する。ファーストは、既に再生されているので、召喚可能だ。

「ご召喚いただきありがとうございますマスター。この度は、相手の罠にはまるという失態を犯してしまい、申し訳ございませんでした。今後、より一層の注意を払う所存です」
「ご召喚いただきありがとうございますマスター。目的は達成されたのですね……無事でなによりです」

「これで……3人か……」

「ファースト姉さん、セカンド姉さん、初めまして! 私サード! よろしく!」

 サードの挨拶が元気よく響く。

「ふむ、挨拶がまだだったな。私はファースト。よろしく頼む」
「私はセカンド。よろしくお願いします」

 三人の挨拶が終わった。問題ないようなので、本題にはいる。

「皆、これから僕は、魔王討伐に行く。何か質問は?」

「ライト様、このレベルだと少々厳しい気もするのですが」
 と、不安そうな様子を見せるファースト。
「魔王のデータをください。勝つ可能性を割り出します」
 と、目を輝かせて情報を欲しがるセカンド。
「少ないレベルで魔王を倒すって……なんだかわくわくするなぁ」
 と、輝く視線を投げかけるサード。

 セカンドが情報を欲しているので、ひとまず知っている情報と僕の考えた作戦を伝える。すると、セカンドが真剣な顔で意見を出した。

「魔王だけならいいのですが……魔王軍をどうにかしなければなりませんね。スマホ爆弾を量産して、陽動するのはどうでしょうか」

 魔王軍──魔王以外の脅威を忘れるところだった。
 冷静に考えてみれば、魔王軍と遭遇せずに魔王のところへたどり着くのは困難だ。そう簡単に魔王のところまで行ければ、苦労はしない。このところ、動きも活発化してきているようだし──ちょちょっと暗殺といった具合にことを進められると思ったが、どうやらそれは、あきらめた方がよさそうだ。

「じゃあ、スマホ爆弾はある程度量産しよう。他に質問は?」

「それでいいと思います」
「難しいことはわからないからねー。私もそれでいいや」
 ファーストとサードは承諾したようだ。

 一応話はまとまった。出発は明朝。僕は、爆弾用のスマホを20個を目標に複製を開始。その後、各々町で装備を整え、明日に備えた。
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