貴方の全てを愛してる

栢野すばる

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 未熟な襞を焼けるような肉杭で押し広げられながら、ゲオルグは嬌声をあげまいと必死に唇を噛む。

 ――畜生、俺よりでけぇな、部下のくせに……!

 異物に無理やり押し広げられた華奢な身体が悲鳴をあげた。リージェンスの杭はどこまでも沈んでいく。

 ――こ、これ、腹が破れるんじゃねえのか……

 ゲオルグの心に強い不安がこみ上げる。

「お、おい、根本まで挿れんな、俺の腹が破れる、っ、あ……だめ、でかいから……でかいから全部ダメ……っ」

 くす、とリージェンスが喉を鳴らし、無慈悲に身体をすすめる。

 鉄の棒でこじ開けられるような違和感とともに、不慣れなゲオルグの媚肉が押し開かれてゆく。

「あ、いやだぁ……っ、こんな大きいの、無理、だからぁ……ッ!」

「大丈夫、全部上手に食べてますよ。ほら、こんな美味しそうな音を立てて」

 収まりきらぬ屹立を、リージェンスが不意に前後に動かした。くちゅ、くちゅ、と小さな音が響いて、ゲオルグは身体をこわばらせる。

「ち、違う……俺は……」

 柔らかな刺激に、きゅうとゲオルグの蜜道が引き絞られる。

 女に変えられる、という言葉が、ゲオルグの中にぐるぐるこだました。否定しようとすればするほど、今の自分が『リージェンスのための女』なのだと分かってしまうような気がする。

「違わない、俺のことこんなに締め付けて……ほら」

 ひときわ大きなぐちゅりという音とともに、ゲオルグの奥が突き上げられた。胎内を満たすたくましい熱に、身体中が震え始める。

「班長、足開いて」

「い、いやだ……いや……」

「足開かないと、すぐイッちゃいますよ……だってここに当たる度にひくひく言ってる」

 首を振るゲオルグに構わず、リージェンスがゆるゆると抽送を始めた。

 行き来する肉杭が、先程押された部分にこすれて、とてつもない刺激が身体中を駆け巡った。

「ああ、だめっ、それやめ……ッ! ……ッ……」

 びくん、とゲオルグの身体が再び跳ねた。

 ゲオルグの意志と裏腹に、雄を咥え込む媚肉がはくはくと口を開け蠕動する。あまりの昂りに、目の前に星が飛ぶような感じさえした。

「もうイったの? 凄い体……でも、またイかせてあげるから大丈夫ですよ」

「いや、いやだ、これ抜いて……変になるから抜いてくれ……っ……」

「ダメです」

 ゲオルグを見つめ、汗の浮いた顔でリージェンスが微笑んだ。

「だ、だって、こんなの、おかし……」

 首を振るゲオルグの涙を、揺すられて揺れる大きな乳房を、雄を咥えこんで淫らな音を立てる秘裂を、リージェンスが一つ一つ幸せそうに見つめる。

「み、見るな……バカ……」

「見たいよ、全部見たい……俺にイカされるところ、全部見たい……可愛い班長、俺は貴方が世界一大好き」

 ゲオルグの両手首を藁の寝床につなぎとめ、幾度も幾度も繰り返し突き上げながら、リージェンスが呟く。

「ごめんなさい、班長が泣いてる顔見てたら興奮しちゃった……イッていい?」

「っ……バカ……出すなら……抜けよ……腹の上に出せ、っ、やり方分かるだろ? な?」

 喘ぎ声の合間に、ゲオルグは必死で言葉を紡ぐ。万が一にも孕まされるなど冗談ではない。女体にされただけで充分だ。

 だがリージェンスは当然ながら聞いている素振りなど見せなかった。

 片手でゲオルグの膝裏をひょいと持ち上げて片脚を大きく開かせ、リージェンスが更に奥まで剛直を埋める。

 果てたばかりの媚肉に、再び強い痙攣が走った。

 彼が何をしようとしているのかを悟り、ゲオルグは思わず悲鳴をあげた。

「……ぁ、いやぁ……っ! ダメ、ダメだバカ野郎……抜け……ッ」

「無理……繁殖したくて気が狂いそうなんです。ああ、大好き……俺達の赤ちゃん、早く作ろうね……」

 蜜を溢れさせる奥の花園に、リージェンスが容赦なく情欲をほとばしらせた。腹の奥にじわじわと広がる熱に、ゲオルグは大きく目を見開く。

「あ、あ、ばかぁ……っ」

 吐き出されたものを飲み込むように、腹の奥がうねり、ゲオルグの開かれた脚がわななく。身体中が燃えるように熱くて、その熱が癖になりそうなほど気持ちよくて……ゲオルグは悟った。

 ――あ、ダメだ、イッたわ、俺……

 とてつもない満足感と、敗北感が同時に襲ってくる。

 同時に、首筋や鎖骨に、ちくちくと違和感が走った。リージェンスが肌に唇を落とす度に、ピリッとした軽い痛みを感じるのだ。

 ――こ、こいつ、何してんの……? まだすることあるのか? 若さってやべえな……

 果てた男の体にのしかかられながら、ゲオルグはぼんやりと思った。

「痕付けないと……俺のだから……」

 激しく息を乱したリージェンスが、うわ言のように呟く。

「くすぐったいっつーの……それにそんなん付けてたら、どんな淫乱野郎かと思われるからやめろ」

「もう付けたよ、いっぱい付けた。班長は俺のものです」

 絶句したゲオルグの中で、再び熱の塊が硬度を取り戻し始める。

 ――えっ……抜かずに……二回目……?

 そんな事、俺には出来たっけ? 明後日のことを考えるゲオルグの足の間から、蜜と精のかき混ぜられる淫らな音が響き始めた。

 達して鋭敏になった花襞が、再び苦しげに疼き始める。

「あ、っ、動くな……っ、今日はもうやめようぜ、な?」

 思わずリージェンスの広い肩にしがみつきながら、ゲオルグは機嫌を取るように囁きかける。

「まだ一回しかしていません。蜜月はこれからですよ……十日間は抱けるだけ抱きます。はやく子供が出来るように……」

 汗ばんだリージェンスの身体に抱きすくめられ、ゲオルグはかたかたと身体を震わせた。

「あのね、十日もやったら死んじゃうよ……? 俺、すげえ可愛い女の子と付き合ってたときも四回やって翌朝に後悔したぜ……?」

「俺は大丈夫。俺の体液を吸収した班長も、大丈夫です。たくさんしましょう、二人で太陽と月を見送りながら」

 蜜音が強まる。無理やり馴染まされた甘い甘い快楽を振り払おうと、ゲオルグは思わず身を捩った。

「ば、ばか……馬鹿野郎! 離せええええ!」
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