23 / 25
23
しおりを挟む
白い足にくっきりと残る歯形には、うっすらと赤い血が滲んでいました。
その血を舐めとるようにアデルの舌が動き、王女に化けたままの長い髪がくすぐったく、背徳感に苛まれます。
「完璧だと思ったんだけどなァ。」
『痛いッ!』
アステリアごときに見破られた事が悔しかったのか、アデルは足の甲だけでなく指にが噛みついたのです。
確かにアデルの変化は一級品。
ですが、アデルには欠点がありました。
『アデル、あんたは人に興味が無さすぎるのよ。』
色欲の悪魔であり、人をよく見て惑わすことに長けているのに、その本質の感情に興味をもっていないのです。
“何故”そんな事を言ったのか、“何故”そんな行動をしたのか。
ソフィア王女が以前、アステリアを聖堂で治療した時、決してトリスタンを聖堂には入れませんでした。治療を理由に外に出していたのではありません。
トリスタンを頑なに入れなかったのです。
あんなに聖堂への立ち入りを拒んでいた王女が自らの聖堂へ運んでくるはずがありません。
アステリアを下ろしてすぐに立ち去ったアデルには分からない事でした。
「興味がない…か。そんな事ねぇけどなァ。」
『じゃあ、腕が落ちたのよ。見た目だけ完璧なんて二流のやることでしょ?』
「…この見た目、好きでしょう?お姉様?」
上目遣いでニコリと見上げる王女の姿にアステリアは不覚にも胸が高なります。
王子とよく似たその姿に違うと否定する事も出来ません。
「ちょれーな、お前は。」
『うるさい!もういい加減元の姿に戻ってよ…。』
「そんなに元の俺がいいのか?」
『はいはい。もうそういう事でもいいから。』
「そーかそーか。でも悪いな、それは聞けないんだよ。」
そう言うとアデルはアステリアの首もとを掴み、そのまま長い木の椅子に押し倒したのです。
『かッ…はッッ!』
首を絞められ、油断しきっていた両手でなんとかアデルの腕を掴むものの、アデルの力にはびくともしません。
「悪いけどもう少し、ここにいてもらうぜ?」
アデルはアステリアの首に呪文を残すと、首から手を離し今度はアステリアのドレスを盛大に破り始めたのです。
『ちょっ、何…すんのよッ!』
「灯りもない建物で若い男女が2人きり。」
『は?』
「しかも一方は激しくドレスを損傷して、身体に傷までおってるって…」
破られたドレスの隙間からアステリアの白い肌が露になっていました。足には歯形もあり、これではまるで……
「こんなところ誰かにでも見られたら、どう思われるだろうな?」
アデルの言葉にアステリアは背筋がぞくっとしました。若い男女とはトリスタンとアステリアの事でしょう。そして灯りのない建物はこの聖堂。
もし今の状況を誰かに見られでもしたら、まるで恥辱をうけてしまったかのような場面に思えるでしょう。
大事なのはそれが事実かどうかではありません。そんな醜聞を作ってしまったかどうか。
特に今は王子不在。こんな事を王子の耳にはいれたくありません。
アステリアは懇願するように首を横に振りました。
「見られたくねぇの?」
『当たり前でしょッ!なんでこんな事すんのよ!ゲームの最中でしょ!』
「まぁ、ゲーム中ではあるんだけどさァ、俺にも契約があるから。」
『ゲーム中は保留じゃないの!?』
「んな事、誰が言ったかよ。俺にとってはゲームが先だろうが契約が先だろうが、どっちでもいいんだよ。」
『なっ!』
確かにアデルはゲームに負けたらアステリアを諦めるとは言ったものの、ゲーム中は契約行使を中止するとは言っていませんでした。
「まあ、俺も優しさがない訳じゃないぜ?」
『え?』
「満足させてみろよ。ほら、しゃぶれ。」
そう言うとアデルはアステリアの口もとに指を舐めろと付き出したのです。
無理矢理口に入れられるのも嫌ですが、自らアデルの指を舐めなければいけないというのは屈辱的でした。
それでも、これでアデルが納得するのなら…。
アステリアはアデルを睨みながらも舌を出し、アデルの指を舐め始めました。
「あー今、むちゃくちゃに犯してぇ。」
普段自分に対して強気なアステリアが、屈辱にまみれながら懇願してくる姿に、アデルはゾクッとした快感に満たされます。
女に化けていなかったら、口を塞ぎ、自分色に染め直すというのに。くちゅっという音が余計にアデルの欲を掻き立てます。
『ん…欲求不満はよそで解消して!』
これ以上は嫌だとアステリアは首を横にふりました。
『もういいでしょ?首の呪文解いてよ。』
「まあ、とりあえずいいけど、ソレは解かないぜ?」
『は?』
「俺解くなんて言ってねぇだろ?」
『いや、だって…優しさがないわけじゃないって……』
「だから選ばせてやるよ。」
王女に化けた王女の顔は王子にそっくりで、その美しい顔でアデルはキラキラとした笑顔を向けたのです。
「自ら俺と一緒に帰るか、ここで誰かに見つかって醜聞を広げた後で俺と一緒に帰るか。どっちがいい?」
アデルの目的はアステリアを連れ戻すこと。
契約もゲームもその途中での暇潰し。
選ぶチャンスを渡しつつ、最終的に行き着く選択肢は1つだけでした。
その血を舐めとるようにアデルの舌が動き、王女に化けたままの長い髪がくすぐったく、背徳感に苛まれます。
「完璧だと思ったんだけどなァ。」
『痛いッ!』
アステリアごときに見破られた事が悔しかったのか、アデルは足の甲だけでなく指にが噛みついたのです。
確かにアデルの変化は一級品。
ですが、アデルには欠点がありました。
『アデル、あんたは人に興味が無さすぎるのよ。』
色欲の悪魔であり、人をよく見て惑わすことに長けているのに、その本質の感情に興味をもっていないのです。
“何故”そんな事を言ったのか、“何故”そんな行動をしたのか。
ソフィア王女が以前、アステリアを聖堂で治療した時、決してトリスタンを聖堂には入れませんでした。治療を理由に外に出していたのではありません。
トリスタンを頑なに入れなかったのです。
あんなに聖堂への立ち入りを拒んでいた王女が自らの聖堂へ運んでくるはずがありません。
アステリアを下ろしてすぐに立ち去ったアデルには分からない事でした。
「興味がない…か。そんな事ねぇけどなァ。」
『じゃあ、腕が落ちたのよ。見た目だけ完璧なんて二流のやることでしょ?』
「…この見た目、好きでしょう?お姉様?」
上目遣いでニコリと見上げる王女の姿にアステリアは不覚にも胸が高なります。
王子とよく似たその姿に違うと否定する事も出来ません。
「ちょれーな、お前は。」
『うるさい!もういい加減元の姿に戻ってよ…。』
「そんなに元の俺がいいのか?」
『はいはい。もうそういう事でもいいから。』
「そーかそーか。でも悪いな、それは聞けないんだよ。」
そう言うとアデルはアステリアの首もとを掴み、そのまま長い木の椅子に押し倒したのです。
『かッ…はッッ!』
首を絞められ、油断しきっていた両手でなんとかアデルの腕を掴むものの、アデルの力にはびくともしません。
「悪いけどもう少し、ここにいてもらうぜ?」
アデルはアステリアの首に呪文を残すと、首から手を離し今度はアステリアのドレスを盛大に破り始めたのです。
『ちょっ、何…すんのよッ!』
「灯りもない建物で若い男女が2人きり。」
『は?』
「しかも一方は激しくドレスを損傷して、身体に傷までおってるって…」
破られたドレスの隙間からアステリアの白い肌が露になっていました。足には歯形もあり、これではまるで……
「こんなところ誰かにでも見られたら、どう思われるだろうな?」
アデルの言葉にアステリアは背筋がぞくっとしました。若い男女とはトリスタンとアステリアの事でしょう。そして灯りのない建物はこの聖堂。
もし今の状況を誰かに見られでもしたら、まるで恥辱をうけてしまったかのような場面に思えるでしょう。
大事なのはそれが事実かどうかではありません。そんな醜聞を作ってしまったかどうか。
特に今は王子不在。こんな事を王子の耳にはいれたくありません。
アステリアは懇願するように首を横に振りました。
「見られたくねぇの?」
『当たり前でしょッ!なんでこんな事すんのよ!ゲームの最中でしょ!』
「まぁ、ゲーム中ではあるんだけどさァ、俺にも契約があるから。」
『ゲーム中は保留じゃないの!?』
「んな事、誰が言ったかよ。俺にとってはゲームが先だろうが契約が先だろうが、どっちでもいいんだよ。」
『なっ!』
確かにアデルはゲームに負けたらアステリアを諦めるとは言ったものの、ゲーム中は契約行使を中止するとは言っていませんでした。
「まあ、俺も優しさがない訳じゃないぜ?」
『え?』
「満足させてみろよ。ほら、しゃぶれ。」
そう言うとアデルはアステリアの口もとに指を舐めろと付き出したのです。
無理矢理口に入れられるのも嫌ですが、自らアデルの指を舐めなければいけないというのは屈辱的でした。
それでも、これでアデルが納得するのなら…。
アステリアはアデルを睨みながらも舌を出し、アデルの指を舐め始めました。
「あー今、むちゃくちゃに犯してぇ。」
普段自分に対して強気なアステリアが、屈辱にまみれながら懇願してくる姿に、アデルはゾクッとした快感に満たされます。
女に化けていなかったら、口を塞ぎ、自分色に染め直すというのに。くちゅっという音が余計にアデルの欲を掻き立てます。
『ん…欲求不満はよそで解消して!』
これ以上は嫌だとアステリアは首を横にふりました。
『もういいでしょ?首の呪文解いてよ。』
「まあ、とりあえずいいけど、ソレは解かないぜ?」
『は?』
「俺解くなんて言ってねぇだろ?」
『いや、だって…優しさがないわけじゃないって……』
「だから選ばせてやるよ。」
王女に化けた王女の顔は王子にそっくりで、その美しい顔でアデルはキラキラとした笑顔を向けたのです。
「自ら俺と一緒に帰るか、ここで誰かに見つかって醜聞を広げた後で俺と一緒に帰るか。どっちがいい?」
アデルの目的はアステリアを連れ戻すこと。
契約もゲームもその途中での暇潰し。
選ぶチャンスを渡しつつ、最終的に行き着く選択肢は1つだけでした。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる