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天使系王子は悪魔と蜜月を過ごす
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悪魔にだって欲望があります。
アステリアも昔は“他から崇められ、ぐうたらしたい”と言っていたように。そして成長すればその欲望が変わることだってあるのです。
今のアステリアは王子と同じような欲望を持っていました。同じようで少し違う望みを。
「…なら、契約しようよ。ずっと一緒にいれるよ。」
『………主の言う“ずっと”っていつまで?』
「え?」
王子の望み通り契約を交わし、これから一緒に過ごし子どもを作れたとしても…いつかは王子はこの世を去ります。
その時、アステリアは王子の魂を食べることになるのでしょう。
「リアが私を食べてくれたら、私はリアの中に居続ける事が出来るじゃない。」
『それは嫌ッツ!だって!』
「だって……?」
『私は主の顔が好きだからッツ!!』
王子は予想していた答えの斜め上をいった返答に呆気をとられてしまいました。死んでしまえば顔も何もあったものではないというのに。
『顔も好き、声も好き、この腕も胸も……全部好きなの。食べたら何も残らない…。』
「………えーっと、リアは私を剥製にしたいの?」
『違うッツ!!』
王子はこの身体が衰える前に剥製にする事をアステリアが望んでいるのかと思いました。それなら早めがいいのかとも考えましたが、それはキッパリとアステリアが否定しました。
『主の魂を食べたら、主はもう生まれ変わる事は出来ないんだよ?』
「ああ、それなら気にしなくていいよ。生に執着はないから。」
魂を食べれば、王子の輪廻は出来なくなります。アステリアは唇をきゅっと尖らせました。
『私は執着してるし、主にも執着して欲しい!主が生まれ変わったらすぐ会いに行くし、また一緒にいれるよう努力もするよ?』
「リア……。」
『“ずっと”ってそういう事でしょ!?死んで終わりじゃない。人間の生なんて短いんだから、最初から1人にするような事言わないでッツ!』
今度はアステリアの口調が責めるように強くなり、王子はアステリアを胸に収め抱き締めました。
アステリアの望みは何度だってまた一緒になる事だったからです。
「何度生まれ変わっても、私を探してくれる?」
『当たり前でしょっ!地の底にだって探しに行くわ!』
「ちゃらんぽらんなダメ人間になっててもいい?」
『その時は探し出して説教してやるッ!』
「うわぁ、大変だ。未来の私は。」
2人は互いに目が合うとプッと吹き出し、声を出し目を細めて笑いました。そして呼吸がかみあい、再び互いの瞳が重なります。
「生まれ変わっても愛してくれる?」
『もちろんよ、嫌だと言ったってしがみついてやるんだから。』
「ふふっ、それ嬉しい。……ねぇアステリア。」
『なぁに?』
「キス…してもいい?」
アステリアの顔色を伺う王子が可愛くて、アステリアようやく首を縦に振ったのでした。
アステリアも昔は“他から崇められ、ぐうたらしたい”と言っていたように。そして成長すればその欲望が変わることだってあるのです。
今のアステリアは王子と同じような欲望を持っていました。同じようで少し違う望みを。
「…なら、契約しようよ。ずっと一緒にいれるよ。」
『………主の言う“ずっと”っていつまで?』
「え?」
王子の望み通り契約を交わし、これから一緒に過ごし子どもを作れたとしても…いつかは王子はこの世を去ります。
その時、アステリアは王子の魂を食べることになるのでしょう。
「リアが私を食べてくれたら、私はリアの中に居続ける事が出来るじゃない。」
『それは嫌ッツ!だって!』
「だって……?」
『私は主の顔が好きだからッツ!!』
王子は予想していた答えの斜め上をいった返答に呆気をとられてしまいました。死んでしまえば顔も何もあったものではないというのに。
『顔も好き、声も好き、この腕も胸も……全部好きなの。食べたら何も残らない…。』
「………えーっと、リアは私を剥製にしたいの?」
『違うッツ!!』
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『主の魂を食べたら、主はもう生まれ変わる事は出来ないんだよ?』
「ああ、それなら気にしなくていいよ。生に執着はないから。」
魂を食べれば、王子の輪廻は出来なくなります。アステリアは唇をきゅっと尖らせました。
『私は執着してるし、主にも執着して欲しい!主が生まれ変わったらすぐ会いに行くし、また一緒にいれるよう努力もするよ?』
「リア……。」
『“ずっと”ってそういう事でしょ!?死んで終わりじゃない。人間の生なんて短いんだから、最初から1人にするような事言わないでッツ!』
今度はアステリアの口調が責めるように強くなり、王子はアステリアを胸に収め抱き締めました。
アステリアの望みは何度だってまた一緒になる事だったからです。
「何度生まれ変わっても、私を探してくれる?」
『当たり前でしょっ!地の底にだって探しに行くわ!』
「ちゃらんぽらんなダメ人間になっててもいい?」
『その時は探し出して説教してやるッ!』
「うわぁ、大変だ。未来の私は。」
2人は互いに目が合うとプッと吹き出し、声を出し目を細めて笑いました。そして呼吸がかみあい、再び互いの瞳が重なります。
「生まれ変わっても愛してくれる?」
『もちろんよ、嫌だと言ったってしがみついてやるんだから。』
「ふふっ、それ嬉しい。……ねぇアステリア。」
『なぁに?』
「キス…してもいい?」
アステリアの顔色を伺う王子が可愛くて、アステリアようやく首を縦に振ったのでした。
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