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女性国家
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イシスは世界でも稀な、女性のための女系相続の国だ。
国を代々治めるのは金髪金目の男女の双子。
国王と女王の2王制度で、女王が必ず産むと言われる男女の双子に不思議な力が備わっており、その双子が国の結界や神殿の仕組みを維持している。
結界で閉ざされた豊かで暖かい国
女性の出生率と人口が9割を占める世にも稀な国。
女性の殆どは結婚せず一人で女児を産み育て、社会を回す。
王族は不思議な力を使い、国内外から集めた男性の子種と画像を神殿に保管しておき、女性が産みたい時期になったら、その中から好きな種を選んで妊娠できる仕組みを作った。
人口の1割の可能性で男児も産まれるが、その場合は必ず女児との双子となって出生する。
男児は大きくなったら、結婚する相手を探すか、難しいようだったら仕事に生涯を捧げるか、少数だが外国へ渡る者もいる。
子種の登録は義務ではないが、遺伝子を残すために神殿に登録する人が殆どだ。
父親の容姿がどうあれ、国民の殆どは金髪で産まれてくることが多く、母親の遺伝が8割と言われている。
年中温暖な気候で水質にも恵まれ、植物や果物も実り豊かなため肉を食す人は少なく、皆スラリとしている。
聖水が国中を流れており身体に良いが、洗浄成分が強いため服や布を洗うと段々白くなっていく。
結果、国民は白い服を着ることになり、古代神話に出てくるような統一感のある風景が出来上がっている。
魔法の国とも女神の国とも言われる所以である。
これが世にも不思議な国イシス。
そんな結界の張られた鎖国に入って、なぜか黒髪の少女と泉で寛いでいるのが、狼にとっては不思議な出来事のはずだが、番に出逢えたことで有頂天になっており気がついていない。
「ねえアレン。この子はやっぱり肉食よね。お肉を買える場所って知ってる?」
「うーん。父上が燻製にしていた何かの肉ならあったけど、狼を王宮の森に入れたってわかったら追い出されるよね」
「お父様にはやっぱり言わない方がいい?」
「父上はアーシェンが絡むと心配性になるからなあ」
王宮の森、ここがそうだとすれば。
アレン少年が王子だろうか。
そうすると、アーシェンは双子の片割れの王女、次期女王だろうか?
金髪金目のアレンと、黒髪黒目のアーシェン。
全く似ていないが、もし王女だとすれば伴侶は不要のイシスの次期国主、番として求婚することは難しくなる。
「ごめんアーシェン僕、そろそろ授業だからもう行くね。夜までに何か食料持ってくるよ」
手をふるアーシェンに狼はスリスリと体をくっつける。まだふらつくが、どこも痛くないので思う存分番に甘える。
「ふふふっ。甘えん坊さん。さっきのはアレン。双子の兄なの」
番はつらつらと身の上を話してくれた。
国を代々治めるのは金髪金目の男女の双子。
国王と女王の2王制度で、女王が必ず産むと言われる男女の双子に不思議な力が備わっており、その双子が国の結界や神殿の仕組みを維持している。
結界で閉ざされた豊かで暖かい国
女性の出生率と人口が9割を占める世にも稀な国。
女性の殆どは結婚せず一人で女児を産み育て、社会を回す。
王族は不思議な力を使い、国内外から集めた男性の子種と画像を神殿に保管しておき、女性が産みたい時期になったら、その中から好きな種を選んで妊娠できる仕組みを作った。
人口の1割の可能性で男児も産まれるが、その場合は必ず女児との双子となって出生する。
男児は大きくなったら、結婚する相手を探すか、難しいようだったら仕事に生涯を捧げるか、少数だが外国へ渡る者もいる。
子種の登録は義務ではないが、遺伝子を残すために神殿に登録する人が殆どだ。
父親の容姿がどうあれ、国民の殆どは金髪で産まれてくることが多く、母親の遺伝が8割と言われている。
年中温暖な気候で水質にも恵まれ、植物や果物も実り豊かなため肉を食す人は少なく、皆スラリとしている。
聖水が国中を流れており身体に良いが、洗浄成分が強いため服や布を洗うと段々白くなっていく。
結果、国民は白い服を着ることになり、古代神話に出てくるような統一感のある風景が出来上がっている。
魔法の国とも女神の国とも言われる所以である。
これが世にも不思議な国イシス。
そんな結界の張られた鎖国に入って、なぜか黒髪の少女と泉で寛いでいるのが、狼にとっては不思議な出来事のはずだが、番に出逢えたことで有頂天になっており気がついていない。
「ねえアレン。この子はやっぱり肉食よね。お肉を買える場所って知ってる?」
「うーん。父上が燻製にしていた何かの肉ならあったけど、狼を王宮の森に入れたってわかったら追い出されるよね」
「お父様にはやっぱり言わない方がいい?」
「父上はアーシェンが絡むと心配性になるからなあ」
王宮の森、ここがそうだとすれば。
アレン少年が王子だろうか。
そうすると、アーシェンは双子の片割れの王女、次期女王だろうか?
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全く似ていないが、もし王女だとすれば伴侶は不要のイシスの次期国主、番として求婚することは難しくなる。
「ごめんアーシェン僕、そろそろ授業だからもう行くね。夜までに何か食料持ってくるよ」
手をふるアーシェンに狼はスリスリと体をくっつける。まだふらつくが、どこも痛くないので思う存分番に甘える。
「ふふふっ。甘えん坊さん。さっきのはアレン。双子の兄なの」
番はつらつらと身の上を話してくれた。
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