猫カフェは探偵事務所ではありません。〜女子高生店長の奮闘記〜一応うかがいます。

猫寝 子猫

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バイトさん、いらっしゃる?〜面接は大変かも?

俺の妹が猫カフェ店長だった件・番外編、 義妹の前でヤンキーをボコる私! 結局はお父さんが頼り。

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 新しい朝が来たよ!

 可愛い妹たちと迎える希望と幸せな朝が!

 何かみんないい夢見たらしい。
まだ夢の途中みたいに寝惚け気味。
 でも、

 『みんな!夢見がちな妹たちよ!
 夢の内容はしゃべっては駄目よ!叶わなくなっちゃうよ!』

 『何を言っているの?
もぅ舞華てば、寝ぼけてるのかしら?』華ちゃん、寝起きから容赦ないね。

 『朝から姦しいな、お嬢たちは。お早うさん、朝の「朝ご飯の準備」をするぞー。』灯火ちゃん、今自分がどんな格好してるか分かってる?

 子供用猫耳フード付き野良猫風パジャマ♡

 『ほっとけ。ファンサービスだ。』

 顔を洗ってさっぱりしたら、猫たちの「朝ご飯」が先だよ!

 既に外にはモーニングをお待ちの「地域猫」たちが集まっている。
 また、この中で保護出来そうな子を見つけないと。


 『あれ、舞兄がいないのだ?
 まだ寝坊助なのだな!起こしくるのだ!』

 猫たちがお食事を始めたのを確認して私たちも朝食にする。

 けど、お兄ちゃんがいない?

 『舞斗さんなら、九院さんと一緒に某所の朝市に出かけられました、そろそろお戻りの筈です。』

 あらあら、パティさん。
 私服にエプロン姿、キュンです。

 『九院さんと?何でまた?』

 『バツゲームだそうです。』

 何の罰?


 って言ってるウチに

 『ただいま戻りました。
 朝の採れたてレタスと産みたて卵、師匠には鰯の一夜干しを仕入れて来ました。』

 涼しい顔の九院さんの後ろでゼィゼィ息を切らしている兄ちゃま?

 『舞斗、大丈夫?何が有ったの?』華ちゃんが駆け寄って介抱するけど、

 『俺もまだまだ「鍛え」が足らないようだ!九院さん、アンタやっぱり「バケモノ」だよ?』

 本当に何なの?

 

 兎に角、お腹空いてる幼女たちを待たせるのもアレだから、


 『いただきまーす!』

 美味~い!何ナニ?この玉子?

 目玉焼き、スクランブルエッグ、卵かけご飯などみんな好きな食べ方だけど、とにかく美味しい!

 『お父さんの鰯、それも美味しそう。まだ有るかな?』

 『九院、焼け。他に食べたい子いるかい?』相変わらずパシリ扱いだね?まさか同中の先輩後輩とか?

 『レタス、シャキシャキで美味しいですわ!ドレッシングいらないデス!』プチベジタリアン二葉ちゃんは華丸笑顔!

 
 『皆様に喜んで頂き、本当に…まで行った甲斐がありました。そうでしょう、舞斗くん!』

 『今度から車で行こうな!せめてチャリで!』

 『どこ、行ったの?』

 楽しき食事の最中、その「馬鹿」はやって来た?

 無駄にデカいエンジン音、庭で朝ご飯を食べていた地域猫は驚いて逃げてしまった。

 灯火が舌打ちし、舞斗が箸を置いた。

 食卓を離れ、一目散に表に出ていくリリ!ついてくアルファとショットガン!

 『猫たち驚かしたの、お前なのか!』プンプンだお!

 
 答えは聞かなくても分かる、間違いなくこの「車高が低い」車だ! 燃費ワルそう?

 『あー、もうーだからウチの車で行こうって言ったじゃないか、兄貴!
 何か外国の子が怒ってるし? あ、日本語か。』

 『バーカ!こうゆうのは最初が大事なんだよ!舐められたらお終いだからな? んわっ?何だ、デカい犬がいるぜ?「ドーベルマン」とか言う犬か? てか、チョー美幼女じゃん?』

 『はぁ? 「馬鹿」なのか?
 アルファはシェパードのMIX、   ショットガンはシェパードとシベリアンハスキーのハーフなのだ? 

 そんな事分からないお前たちは誰なのだ!
 楽しい朝ご飯の邪魔した分も合わせてWワンコで「ぶっ潰す」のだ!』

 呆れたり、怒ったり、百面相リリ助♡きゅんカワ!


 『ごめんね、リリ助ちゃん。アレ、ウチのお兄ちゃんと従業員なの!』
 車のエンジン音で察したのか、亜衣が慌ててリリの元へ駆け寄る。


 『あ、亜衣?なんで、そんなに悲しい顔をするのだ? 
 アイツら、いじめっ子か? 
 なら、やっぱりリリがやっつけるのだ!』
 仲良しの女の子を泣かした奴は許してはおかない。
 コレ「北代家の掟」ウラ!

 『違うの、リリちゃん。現実を見て情け無くなったの。ぎゅー。』

 身内を見て、情け無くなり憂鬱な表情する自分を見て気遣ってくれるリリを思わずハグしちゃう亜衣ちゃん。
 舞華の性癖が憑ったか?可愛いからいいのだ!(性癖言うな!)


 『何か、オレら亜衣ちゃんにデスられてね?』

 『シマ兄さんだけだよ、きっと? あ!舞ちゃん、おはよう~!って舞斗も居たか?』

 『いや居るだろ。ココ俺んちだし。』

『十夢くん、それ誰だっけ?』



 北代さんちの玄関前はざわざわしてる。ご近所さんも様子見してる。

 近所迷惑だし、治めないと?


 『おはよう、十夢くん。久しぶりね?』

 『あ、華さん!相変わらず美人だね!亜衣を迎えに来ました!』
 
 軽!そんな子じゃなかったのに?
 
 『それは分かったけど、車のエンジン止めて!うるさいし、ガス臭い。』


 『おい!十夢、あのお姉さん誰?アレもお前の従姉妹か?』
 コイツ、聞いてねーし!


 『あ~?叔父さんの知り合いの子を下宿させてる感じかな?』

 ちゃんと説明した事無いな、そう言えば。亜衣ちゃんは理解してるけど。


 

 『まぁいいや、今日は亜衣ちゃんを迎えに来たのが目的だからな!
 綺麗なお姉さんとはまた今度遊ぼーよ!』
 
 『亜衣ちゃんは今日の夕方にはコチラからお送りします。
 親同士で連絡が取れてる筈だけど聞いて無いかな?十夢くん。』

 『いや~、そうだと思うけど、このシマ兄さんが迎えに行こうって言うからさ。』
 華ちゃんに問われ、たじろぐ浦和家長男。


 『人の所為にするな、十夢。仮にもソイツの事「兄」って呼んでんだろ?』

 『うっせーよ!舞斗は!黙ってろよ!』

 
 『アイツ、やっぱり「テキ」だ!アル、ショット、襲え!』

 『やめなさーい!むぎゅ!』
 慌てて二匹を抱きしめる私、あぁ、猫たちとは違うもふもふ感?筋肉質なのね。

 この二匹が本気で人を襲う事は無いけど、仲間たちと灰色熊は倒した事有るらしいぞ?
 何だっけ「絶・なんとか抜刀斎」だっけ? 混ざったか?

 アルファのお爺ちゃんは参戦したとか、しないとか?


 『あー、もぅー!猫で吊るとか姑息なんだよ!いいから帰ろうぜ、亜衣ちゃん!「我が家」が一番なんだからさ!』

 嶋田が亜衣ちゃんの腕を掴もうとしたので、

 『亜衣に触るな!
 …十夢、本当にコレで良いのか!』舞斗が嶋田の手をグウで祓った!

 『なんだよ!オレの妹だぞ!オレが面倒見るさ!』

 『だったら、この「ヤンキー」に好き勝手させるな!』

 『痛ってーなー! 誰が「ヤンキーズ」だ!この野郎!』

 嶋田が舞斗を殴った!

 殴った嶋田が驚いてる?
 
 何で避けない?脅しのつもりだったのに?
 ヤバっ!社長の親戚のガキだよな?

 思いっきり良いの入ったぞ!顔面に‼︎

 なのに、

 亜衣ちゃん以外の女の子たちは

 「あ~あ、やっちゃったよ。」みたいな空気感で見ている。

 って言うか、コイツ微動もしない?

 ってか、オレの手が痛てー!

 
 『やっぱり、「テキ」だ!ビックフット、潰せ!』

 『わふ!』

 何処にいたのか?突然、巨大な犬が嶋田の背に乗った!

 『げふん!』潰れて無いけど、重くて起き上がれない!


 
 『何だ、何の騒ぎだい? おぅ、十夢、来てたのか? んじゃ朝飯、食ってけ!そっちの兄ちゃんもどうだい?』


 お父さん、メイを抱っこして登場すると、

 『おぅ、お前「ビックフット」か?またデカくなったなぁ。
 その兄ちゃんが潰れそうだから降りてやってくれ。』と言うと巨大な犬の頭を撫で回す。

 元々犬好きなんだよね。

 『わふ、わふ!』お父さんに「いい子いい子」してもらい、喜んで退くビック君。エモい!

 『九院、二人分追加だ、あとビックフットにもな。』





 





 『すいませんでした、叔父さん!』

 『いいから食べろ!腹が減っているからイライラするんだ。』

 『な、何だよ!朝飯なんかで誤魔化されないぞ、俺は!』

 とか言ってるが、最初家に入り、食卓を囲む女子達を見て、

 『ココはジュニアアイドルの合宿所デスか?』とはしゃいでいたのに。

 えぇ、可愛いでしょう!私のプチスール達は!

 『舞華ちゃん、ヨダレ出てない?』亜衣ちゃん、よく見てるね。

 起きた時は寝惚け気味だけど、気になるウチのお兄ちゃんや優斗、真琴君に、あと黙っていれば素敵なイケメン執事さんなど、急に意識して、
 皆んな神さまに「時間を止めて」とお願いした。 
 やれ、髪が乾かないとかリボンが決まらないとか、どんな夢見た所為かな?

 さてと、朝の「準備」は完璧っスよ!
 私と華ちゃん、パティが手伝いましたから!…って、パティ?貴女、いつ来たの?

 その中で二葉ちゃんだけ、

 『私は、七回程「やり直し」を要求しましたの、八回目でタイムアウトでした。』ご愁傷様?


 で、こちらの男子二人は

 『と、十夢、アッチのお姉さんも従姉妹か?』

 『あ、あの人は舞華ちゃんのお袋さん。気持ちは分かるけど。』

 『義理か?再婚か?あのオッさん、上手い事したな?』

 『シマ兄さん、いい加減失礼だよ。「俺と亜衣の叔父」なんだぜ!分かってる?』


 『ハイハイ、俺が悪いのかよ?  ん?うまっ! 何だ!この「玉子焼き」、ちょーうめぇ!』

 『誰も取らねーから落ち着いて食べな。  でだ、あんちゃん、お前さん、「浦和工務店」の社員だろ? 仕事の依頼していいか?』

 『へ?』



 この件をキッカケに、
 この「嶋田 大助」がウチの父に頭が上がらない事となる。

 おぅおぅ、思う存分こき使ってやるゼィ!



 食事が終わったら、開店前の「森猫」にお邪魔する事になった。

 お店には、夜勤のスタッフがいて、夜は「住み込み組」の猫たちがお店の奥に在る「猫たちの個室」で寝ている。

 程なく「出勤組」の猫たちもご到着。そのお手伝いをする事にした。
 
 九院さんが用意したマイクロバスで移動!何故かあの二人も連れてきた。


 『おはよう、今日も頑張って行こう!』

 『ふふ、店長、おはようございます。朝からご機嫌なのは、其方の可愛い「助っ人」さん達のおかげかしら?』

 華ちゃんのツテで派遣してもらった開業準備からの社員スタッフ、トイレの紙砂交換中でも爽やか笑顔。

 猫たちの健康状態を確認する大事なお仕事だからね!

 なんたって、「命」を扱うお仕事だもんね!

 夜間に有った事とか引き継ぎを行うと、

 『すごい、舞華ちゃん。店長みたい!』と驚く亜衣ちゃんたち。

 『店長だよ!バリバリの!』

 今時、バリバリって言う?

 開店当初からいる猫も今や半数を割った。譲渡会以外でも「良き出会い」が有れば里子に出している。

 最近はニャン-バロン君が週一で捨て猫を保護して連れてくる。

 お店で保護したり、保護団体に一時保護を協力して貰い、ウチのサイトに情報を掲示して里親探しをしている。

 こちらも馬鹿に出来ない、見て貰う事で「森猫」だけでなく、提携している保護団体にも里親の問い合わせが有るそうだ。

さて
 交換した際の「ゴミ」を男子達に「ゴミ置き場」に運んでもらう。

 
 戻って来た所で、ウチのビックダディーが真剣な顔でヤンキー嶋田?に話しかけた。

 『よぅ、大将。お前さんを見込んで「仕事」を頼みたい。
 どうだろう?そこそこ大きい「仕事」だぜ?』

 『あ?ナンすか? こちとら「プロ」なんすよ! 猫小屋掃除なんて請負無いスっよ!』

 微妙に敬語?になって来たのは餌付けが成功した所為かな?



 『まぁ聞けや、大将。
 この店はな、娘たちの手作りの店なんだ。
 内装とか、俺らも少し手伝ってはいるがな。
 営業を続けている内に欲が出たと言うか、もう少し手を入れたくなったのさ。
 そうすると「素人」では「安全性」とか「見栄え」とか色々心配なんだ。
 その辺を考慮するとやはり「プロ」に頼みたい。で、大将の出番だ!』

 この時、お父さんの後ろには何気に女子スタッフが集まって、シマ兄さんに微笑みかける?

 『へ?一体ナニを頼みたいんでスか?』テレデレ?


 『キャットウォークさ。
 コッチの壁とソッチの壁を渡す様にしっかりとしたモノを頼みたい。
 お客が下から猫の歩く所を見せたいから、安全面や機能性など考慮したプロの仕事が見たい。
 勿論、料金は「イロ」を付けるから期待していいぞ。
 まずそれが一つ、次が… 』

 『まだ有るんスか?』

 『コッチはお前さんを通して「浦和工務店」に提案したい、名付けて「保護猫お迎えリフォーム」だ。』

 『ネーミングセンス50点かな?そのまんまだね!』茶化す私を身もせずに、

 『こう言うのは分かりやすい方がいいのさ、だろ?大将!』

 『え! はぁ、まぁそっスね?分かりやすいの、サイコーっス?』分かってんのか、本当に?


 『保護猫を引き取る際に、出入り口に「逃走防止柵」を付ける事を条件にしている保護団体が殆どなんだ。
 まぁ、DIYが得意な人ならホームセンターで材料揃えて自分で出来るが、必ずしも皆んな上手く出来るとは限らない。』

 釘打っていけない所に柵付けたら、壁板が剥がれたとか聞いた事が有る。
 
 『ここは素人がヤルより、「基礎」とか「強度」とか「プロ」に任せる方が確実だと思うんだ。』


 『そりゃ、オレら「プロ」と趣味の「DIY」と一緒にされちゃ、たまらないスよ! でーもー、高々柵付けるだけっスよね? 大した仕事にならないっよ?
 さっきの「キャットナンとか」なら兎も角、柵だけ…ん?』
 

 『おぅ!さすがだ、気付いたか? その通りだ!』

 『どの通りだ!父よ!』

 『舞華、漢の話しに口を挟むな。』

 『…はぃ。』シュンです。

 『続けるぜ、 別にお店規模の大掛かりな物は必要無いさ。
 その家の規模に合わせた物や、爪研ぎ対策とか、こだわりの猫飼いリフォームは多種多様に有るからな。』

 『成る程っス!色々「オプション」を付けたりして値段設定爆上げスッね!』

 『オイオイ、程々にな。
 つまりは、お客の希望に応じてオプションを組み合わせていく。その辺のオプションのアイデアはココの「ネコ好き女子」に聞いてみな。 』

 『ハイ、ハイハイハイハイハイハイ、ハァーイッ!
 叔父貴公認でお話しオッケーなんっスね!』

 とうとう、お父さん「叔父貴」に昇格?って、娘たち売ったわね?

 『大体の流れとしては、ウチで保護猫の譲渡会する、「お迎えリフォーム」を告知して、譲渡の敷居を低くする。
 おっと、「料金設定」は良心的にな!』


 『これをウチで? 「浦和工務店」で取り扱うんスか!』

 最近、新規の客が少ない。
 
 流行りの「猫カフェ」とコラボしてリフォームを受注する!

 イケるんじゃネ?

 新規開拓したってコトでオレ、社長に褒められちゃうんじゃね?


 細かい料金設定は社に持ち帰って、決めてもらうとしても、

 もしかして、マスコミに取り上げられたりしねー?




 『どーよ、大将? この「仕事」引き受けるかい?』

 
 






 私たちは開店準備を終わらして、スピカで少し早い昼食を食べていた。

 オーダーは勿論、

 『特製オムライス、お願いしまーす!』だよね。


 『叔父様、さっきのお話し、いつから考えてたの?』
 
 亜衣ちゃん、ウチのお父さんの見る目が変わった。
 そうよ、この人は「悪巧み」してる時は本当楽しそうなのよ?

 『ん?あぁ、あれか? そだな、舞華が猫カフェやりたいって言う前からかな? あ、新名、お兄ちゃんはケチャップじゃなくて「味噌ダレ」な。』


 『叔母上、俺、大盛りで!』

 『新名ママ、リリはパンケーキ追加で!   パパ殿、良いか?』『良き!』
 

 
 十夢くんと嶋田さんは速攻で帰った!

 社長に早く伝えたいとか?

 安全運転で帰ってね。


 『昔な、庭に簀子を立て掛けてたら、猫たちが穴があくまで爪研ぎ始めてしまったんだ。それ見て思い付いた。』



 へ~。


 『あの~叔父様、私もお話しが有るんです。聞いてもらえますか?』

 『オイちゃんが亜衣の話し、聞かない訳ないだろ?』

 十夢くんも慌てて帰らなくても良かったのに。

 
 この後は皆んなで商店街をわちゃわちゃしながらウチに戻ったの、「ワルプル」にも寄って、試着しまくり!

 『ジュニアアイドルの合宿ですか?後で伺ってもいいですか?ハァハァ!』そのネタやってるから。



 その後は各おウチの方がお迎えに来たり、お兄ちゃんや九院さんに送らせたりと皆んな楽しそうで寂しそうで嬉しそうに帰って行った。


 お母さんがバイクで亜衣ちゃんを送ろうと話してたいると、再び十夢くんとシマ兄さんが来た。

 但し今度は「浦和工務店」と書かれたライトバンで、

 叔父様、つまりは十夢くんと亜衣ちゃんのお父さんも一緒に!


 『なら、遠慮は要らないやな。』




 『え!まだ早いよ!それに叔母様の「サイドマシン」に乗りたいのに!』

 『亜衣、あまりコチラにご迷惑をかけるんじゃない。
どうも、久美さん、久しぶりですね、旦那さんは中ですか?』


 『健義兄さん、本当にお久しぶりです。ウチのヒトならご近所に諸用で出てますけど、すぐに戻って来ますから、上がって待っててください。 十夢やダイちゃんもね!』


 『ハイ!姐さん!』
 チャラい…じゃない、チョロい。

 『いや、今日は会わずにこのまま亜衣を連れて…』

 『連れないコト言うなって、タケ義兄さん。ってか、オヤジに会っててくれよ。十夢もじいちゃんに挨拶したか?』

 『…ケン坊、久しぶりだな、そうだな。叔父さんもだけど叔母さんに線香をあげていくよ。本当に久しぶりだから。』


 
 お祖父ちゃん、本当に喜んでた。昨日も大勢の女の子が来て照れてたけど、久しぶりに顔を見せてくれた叔父様によく来たよく来たと、で、十夢くんにお小遣いをあげようとして叔父様に止められた。



 『それで義兄さん、あの話しは受けてくれるかい?』

 居間でお茶でもと成り、お父さんが「保護猫お迎えリフォーム」の事を切り出したんだけど?

 『何の話しだ? ……シマ、十夢?』

 『何だ、大将、まだ話してなかったのかい?』

 『ハハハ ハァ、戻って直ぐに社長に怒鳴られまして。ここに。』何か想像出来たよ。



 それでね、またお父さんが最初から叔父様に説明したんだけど、


 『確かに新規の仕事として開拓する価値はありそうだが…。』

 『何か心配事かよ?らしくないな?「攻め」の兄貴が尻込みとは。』


 『俺にはその、「猫」の事はわからない。お客に満足してもらえる「リフォーム」が出来ないと思う。
 まして、其方の信用にも関わる事をこの「半人前」に任せられないからな。』

 なんて言うとシマ兄さんを見る叔父様?

 半人前なんだ?

 『なー。』

 『ニャー。』

 とか言っているとシマとニタがトコトコやってきた。

 『おわっと!何だ、このちっこいのは?』

 『福の子だよ、覚えてるか?』

 何故か叔父の膝に登ってしまったシマ。

 亜衣ちゃんはニタを抱き上げ、頬擦りして

 『お父さん、この子、福ちゃんに似てるでしょう?』

 『相変わらず猫屋敷だな、ココは。』

 何か有るの?叔父様、もしかして猫苦手?

 『ところで義兄さん、亜衣ちゃん猫が飼いたいそうだね?どうだろう、ウチで世話しようか?』

 
 『その事だが、  悪いが…』


 『叔父様!良かったらコレ使って下さい!』

 強引に私が叔父様に「森猫」の割引きクーポンを差し上げた、亜衣ちゃんと二人でやって来て欲しい。


 『叔父様、ウチの「猫カフェ」で猫好きの事、勉強して下さいね! コレは「お仕事」に必要な事です!』

 『仕方ない、分かったよ、舞ちゃん。』
 諦めた様な顔で答える叔父。

 コレで叔父様が猫好きに、いや猫嫌いで無くなれば良いな。

 そうすれば亜衣ちゃんの希望も通りやすくなるし!
 




 『んじゃ、今度は姉さんも連れて三人で来てくれ。』

 『十夢くんは彼女と「デート」で「森猫」に来なさい!絶対よ!君には、「カップルクーポン」渡しておくわ!…嶋田さんも「彼女さん」と如何ですか?「デート」に猫カフェとか?』

 

 『…いないっス、お嬢さん。‥あの「オレ」ってイケてないっスか?』

 『ごめんね!私好き人がいます!』

 『んじゃ、そちらのお姉さんは?』華ちゃんの事?

 『やめとけよ、シマ兄さん。華さん、舞斗にベタだから。』

 『な!』

 『もう、十夢くん!』
 華ちゃん照れ照れ。
 ちなみにお兄ちゃんは羽柴ビルへ、地域猫たちに夜のゴハンタイムに行っていなかったよ。お父さんも古本屋さんを休みにして、アッチに居ないしね。


 まぁ、嶋田さんには自力で何とかしなさい!










 数日後、「森猫」の午前中だけ臨時休業。

 叔父様と嶋田さんがキャットウォークを設置しに来たよ!

 壁に直接取り付けるのでは無く、キャスターの付いた階段状の台座が三つ、左右、中央に固定し、透明なアクリルの渡し板をセットして出来上がった「キャットウォーク」! カッコイイよ!

 コレなら壁は痛まないし、大掃除の時は移動出来るし、模様替えも容易に出来る。

 流石プロだね!

 『ミャー、ミャー!』
 『ニャー、ニャー!』
 『なーなー!』
 『ニャん、ニャん!』

 お礼でも言っているの?猫達が叔父様の前に集まって鳴き出した。

 叔父様も腰を下ろして猫の頭を撫でている。ほっこり。

 休憩中に近くの公園にて、

 『よー、アンタ!この辺でガキ共〆てる「タツ」って奴だろ? 俺は「森猫」のダンナの身内で「シマ」って呼ばれてんよ。ヨロシクな!』

 焼きそばとたこ焼きを頬張ってる嶋田さんと、

 『ワレ、舞華お嬢に悪さしたら、ココの馬鹿たちが無事に帰さないから気をつけな!』

 訳知り顔で笑い、焼きそばを作ってるタッちゃん。

 『何の事はねぇ。馬鹿が一人増えただけ、私の「パシリ」が増えただけだ。』
 
 みんな大好き、十六夜ちゃん!

 『『パシリじゃあねーし!』』

 今日もタッちゃんのたこ焼き屋さんはお客さんは尽きない。





  


 『舞ちゃん、あのね、お父さんを助けてあげて! お父さんの「身体」はもう危ないの! 今は「へるばっと」ちゃんが守ってるけど、お父さんの「霊力」が切れたら、今度は…君にへるばっとちゃんは憑くから、「おおかみ」さんが心配してるの!
まだお父さんとの約束、「おおかみ」さんは果たしてないからって!
 だから私、「ねこかみ」さまにお願いしたの!お父さんを助ける「チカラ」を舞華にあげてって、だからお願いね!』





 ヒメのあの姿は私の趣味を反映したみたい。

 「おおかみ」「ねこかみ」「チカラ」???


 どういうこと?

 私はフウナに聞いてみた。

 『それって「狗神」様の事ではないかな?すまない、この辺だと「長老」なら仔細が分かるかも知らない。』

 月夜の晩に猫の集会に現れる「長老」さん?

 不安多事~だね?

 「ヘルバット」くんって、お父さんのイマジナリーなお友達だっけ?

 あれ?私、幼女の時に遊んでもらった事あるよ?おっきな手の「オバケ」に?

 ヒメ、わんすもあ わん どりーむ!





 『あ、舞華ちゃん! お父さんがアメリカの猫がいいかもって言ったよ!きっと「アメショ」の事よ!』



 『あのね、舞華お姉さん。お母さんが今度の譲渡会に行こうって言ってくれたよ!』

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