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バイトさん、いらっしゃる?〜面接は大変かも?

お父さん不在〜バイト募集開始!

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 おはよう御座います!

 「猫森」の「店長」の
「北代 舞華」です! 
 
 今、私は



 お腹が痛い!

 「夏休みが終わった登校初日、宿題が終わってない男子小学生」な気持ちで朝を迎えました。

 「猫森」のバイト募集が始まり、たった三日で二十人近くの問い合わせが有ったらしい。

 十六夜ちゃんや二葉ちゃんのアニメキャラクターみたいなメイド服が話題らしく、制服の質問も「自分で作った服を着たい」など猫要素の質問が余り無かったそう。 

 『猫、関係ないんかーい!』

 とりあえず、華ちゃんが山王院の人材育成事業の会社から三人ほど派遣してもらったよ。仮だけど。

 『募集要項にもっと詳しく特記事項を載せよう。』

 お父さんからの提案で

〇• 社員雇用有り、

〇• 社員割り引き有り(アルバイトも含む)、

〇• 社員特典有り、(例、関連会社の保養施設利用可、社員寮利用可)

などなど、福利厚生も盛り込んだ。
 出来るだけ地域の人に来て欲しい。
 地元の協力あっての保護猫活動だし、以前の様なトラブルの抑止力に成ればと思っていた。
 
 何故かご近所さんの「わるぷるKiss」が衣装提供させて欲しいと名乗り出して来た。
 そうか、お前の差し金か!
コスプレ店員は後輩ちゃんオンリーで、十六夜&二葉は店員じゃ無いし。(前回のアレが悪影響してる。)

 しかも、こんな時にお母さんがお父さんを連れて湯治に出かけたよ! 
 正解には、他にもお爺ちゃんと桐乃お婆ちゃん、綾乃さんも一緒に車でお爺ちゃんの実家近くの温泉地ヘ。運転手として七神の「一番目」と父が呼んでる「七神 南斗」さんも同行、なんでも介護士の資格もあるみたい。ちょっと憧れますね。ぱっと見ガテン系女子、お爺ちゃんの事「先生」って呼んでたから、整体のお弟子さんかも?

 ちなみに父母はサイドマシーン的なモノで移動するって。(運転は母)目的地まで高速のサービスエリアや「道の駅」とかで買い物して飲み食いしながら小旅行するらしい。 
 『足柄のパーキングに住み付いてる野良猫がいてな、今年は保護出来れば連れて来るからな!』って父が、
 『足柄って、燕の巣だらけだったけ、アジの素揚げは何処のパーキング?』って母が、
 『途中で母さんの墓参りするぞ。』っとジジ様がそれぞれはしゃいでました。
 
 『今回、なんかアニメとコラボしてるサービスエリアが有るから楽しみだ!』そうなんだ。作品にもよるけどね?以前等身大の初号機が有って、股下を潜れたらしい、私ちっちゃくて覚えて無いけど。

 車は山王院からトイレ付きのキャンピングカーを借りて来た。どうやら華ちゃんもこの件に一枚噛んでいるらしい。

 そんなこんなで北代宅は今、未成年だけなので保護者代わりに何故か「七神 悠夜」さんが泊り込みで来てくれた。家事とかの心配は無いのだけど、一応との事。
 
 『自分で無く、「戦貴」くんがお戻りなら良かったのでは?』


 なななななななな何言ってらしゃるのかしら?悠夜さささん。

 『気持ち駄々漏れだぞ。舞華。センにぃが戻ってくるの再来週だからな。』

 おおおおおおおおお兄ちゃんまで何か思い過ごしよ!


 とにかく、そんなこんなで、今日はバイト面接の日!
 気が重い!

 最終的に20人程のバイト希望者が来る!

 それは良いのよ!
 けどね?
   
 『リストによく知っている名前が四名ほどいるし、コレ「神衣 咲耶」って「カミイ」なの?「カムイ」なの?「カムイ」ならお父さんの知り合いにいたよね?』 
 華ちゃんに聞いてもわからない、七神さんに聞いても分かりませんか。 

 『さくやちゃん?懐かしい~
! サクラちゃんの娘ちゃんよ!仲良くね!』
 母にLINEした。お父さんが一文字の道場でしごいていた人の娘さんだってサ! 
 「神衣 砕破」さん、華月ちゃんのお父さんとライバル関係で、どっちがウチのお父さんの一番弟子か勝負していたらしい。(ウチのお父さん、何者なのよ?本当に!)
 奥さんのサクラさんはお母さんの後輩で妹分なお嬢様で、よく恋愛相談されてて、まぁそんな感じですか。

 『じゃあ、この咲耶ちゃんもお嬢様系?会った事無いよね?』
 
 ママンから追加情報、
大学、嵐姉ちゃんと同じらしい。
 
 新たな姉、登場かな?




 面接は、何故か

 地下の空き店舗を使わせてもらった。

 面接は、私と何故か新名叔母さまが行う事となったよ?

 『「森猫」不採用ならウチに来ないか聞いてもいい?』

 叔母様、知ってますよ!高校生の時に「スピカ」でバイトしてたの。あと嵐姉にも声掛けてますよね?
 「だって、ランちゃんは従姉妹だし。」


  カオスってるよね。


 1人目、森川 真琴さん。

 『あら、真琴くん。久しぶりね?すっかり美人になって。』

 『もうー、ニーナお姉さん!僕、男の子だから!美人とかは、やめて下さい!』

 えっと、まこっちゃんてば。

 あのね、
 幼少の頃は私たち近所に住んでた「まこっちゃん」のこと…

 女の子だと思ってたんだ。
 だってあんまりにも美幼女だったんだモン!

 ソレもそのハズ、亡くなったまこっちゃんのお母さん、わざと女の子の服を着せていたの!  

 趣味とかじゃなくて、
 
 何でもまこっちゃんの家系は男の子が五つの誕生日を迎えられず、

 「男子、生まれし時、五つ越えるまで天神あざむく為、女児の衣纏うべし。」と慣わしが有って…って言う体で、
 本当はまこっちゃんのご両親、駆け落ちしている。亡くなったお父さんのご実家が跡取り関係に複雑なおウチらしく、万が一にご実家に男の子が産まれたことが分かると跡取りとしてお母さんから引き離されるかもと、苦肉の策だったのよ。

 お母さんが病気で亡くなった時、今まで結婚に反対していたお爺さんが亡くなり、優しいお婆様が

 「跡取り問題は解決したので、貴女さえ良ければ一緒に暮らしましょう。」との事。こっちも女の子って思ってたらしく、政略結婚の駒に使う気だったらしい…ジジイがね。ゴホゴホッ!

 何でも、亡くなったお爺さんが何人も愛人がいて、反対していた本人が一番に跡取り問題を複雑にしていたらしい。



 まぁ、この件で一番不幸なのは、ウチのお兄ちゃんだよね?

 だって、お兄ちゃんの初恋っておそらくまこっちゃんだと思う。


 あっ、これナイショね!




 今更だけど、まこっちゃんに質問した。

 『猫は好きですか?』
 『大好きです!』
 『知ってました!』
 『舞ちゃん、それじゃ面接にならないわ、クスス。』

 
 『えっと、もうほとんど採用でいいんだけと、ココでバイトしたい理由は何?』
 
 『自立したいんだ。出来れば大学も自分で出稼いだお金で行きたい。』

 『今のお家は、何か不自由なの?』あ、つい聞いちゃった。まこっちゃん相手だから油断した。


 『そんな事無いよ。お婆様は優しいし、吹雪ちゃんは「兄様」って慕ってくれる。「妹」が出来たんだ!「兄」としてしっかりしないと、「舞斗」みたいに!』

 『んー。「お手本」は変えた方が良くなく無いかな?』他の人の話しが出ないのは何かな?って思う私は考え過ぎ?

 『余りにも「居心地が良すぎ」て、駄目に成りそうなんだ。お婆様は亡くなったお爺さんが僕の両親の結婚を許さない事で僕がとても辛い思いをしたと思っているんだ。
 だから「償い」の気持ちが大きいと思う。
 あの家を継ぐのはおそらく吹雪ちゃんだし、今更ボクが後継者候補なんて冗談じゃないし、普通の祖母と孫、兄と妹で居たいんだ。』

 苦労してるから、その分しっかりしてる。文句なしで採用!将来的に社員雇用も考慮してます。



 次の人…なんだけど?

 『舞、どうしたの?』時々叔母は私だけの時に「舞華」で無く「舞」と呼んだりする。

 「鈴木 春雄」さん、大学生

 やたら資料が多い?写真が多いのね?ん?どう見ても二人分の写真がまとめられている?

 太った人とそうじゃない人の写真?


 
 『鈴木ですっ!鈴木春雄、よろしくお願いしますっ!』

 体育会系!圧すご!

 『鈴木さん、緊張してますか?少し落ち着きましょう。深呼吸、深呼吸。』

 『いえっ!大丈夫でありますっ!お気遣いありがとうございますっ!』

 『そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ。鈴木さんは真面目な方なんですね。』
 ニコリと微笑み叔母がはなしかける、すると

 『め、女神さまにお声かけ頂けるとは恐悦至極でありますっ!』


 体育会系違う!信者かよ!

 『あ、あの鈴木さん?私は「店長」の北代です。こちらは私の叔母で一階の喫茶店の「副店長」の羽柴さんです。神さまじゃ有りませんよ。』

 『は!はい、申し訳有りません。ついお会い出来た喜びが溢れ出てしまいまして、まさか「猫の女神さま」が御降臨されてるとは!』
 うわあー、めんどくさいのキターよ!


 『あ、あのその節は大変申し訳ありませんでしたーーー!』

 なんと鈴木さん、イスから立ち上がりその場に土下座した?

 『この方、以前足立さんに不埒な真似をしようとしてふうなメイド長に粛清された一味の一人デス!』おっと、パティ!いつの間に?!

 私たちの後ろに初めからそこにいたかの様に彼女が凛として控えていたの。

 鈴木さんもびっくりして、
 『ははーぁ!?命ばかりはお許しくださいっ!』と宣う。

 『あら、貴女がパトリシアちゃんね。こんなに可愛いメイドちゃんが舞華付きなんて、舞華と仲良くしてくださいな、パトリシアちゃん。』新名叔母さまもパティを見るなり、トキメキモード!

 『あの、その、お嫌でなければ「パティ」とお呼び下さいませんか、新名様。』おや?パティ、頬染めかわゆすぎ。

 『親しい方には、そう呼んで頂ける様お願いしております。…ので…』むぎゅ!

 叔母さま、パティをホールド、じゃ有りません、「ハグ♡」つまり、抱きしめた。

 『もちろんよ、パティ。私とも仲良くしてね。』


 『と、尊い…、やはり自分の様な汚れきった存在がこんな「聖地」で息をする事自体が罪深いのだ…』オイオイ?大丈夫なの?鈴木は!で、何?後輩ちゃんに不埒な事?⁉︎




 『で、その時の事を大いに反省して罪滅ぼしをしたいと?』

 『ハイ!無償でかまいません!ここで下僕としてコキ使って下さい!』

 ん、いちいち面倒な人だ。不採用だよ!って思っていたんだけどね、

 『鈴木さん、以前は太っていたんですね。ここに以前の鈴木さんの写真が有ります。比べるとほとんど別人ですが、ここまでされて今ウチの「猫カフェ」で働きたいのは何故ですか?』

 ……しばし、呼吸を整えて鈴木さんが話し始める。

 『以前、猫を飼っていました。その辺に捨てられた子猫を拾って、親に頼んで家族で可愛いがってました、小学生の頃でした。』
 
 意外と猫好きなのねっと思いきや、その後が病み始めた!


 『その頃はまだ「室内飼育」とかピンと来なくて自由に表に出していたんです。でも、ある日酷い「暴行」を受けて逃げ帰って来たんです、辛うじて家に着いた時には虫の息でした。直ぐに近くの動物病院に連れて行きましたが間に合いませんでした。 
 病院で近頃この近辺で小動物を虐殺している奴がいる、何件も運び込まれてほとんど助けられなく悔しかったと、聞きました。』

 あ!何か覚えてる!ウチにご飯食べに来ていた猫も来なくなった子がいた。 小学生の頃だった。
 お父さんが危ないから絶対に外に出したら駄目と言われていたし。

 ある日、公園内の植え込みの影に隠して有った猫や子犬の遺体が見つかった。体の一部を切り取られたり、もっと酷い状態の遺体も有ったみたい。


 『辛い事をご自分からお話しするのはそれを乗り越えられたか、もしくは更に辛い事が有ったのでは?
 鈴木さん無理せず、別のお話しをしましょうか。』
 
 叔母が問い掛けるけど、

 『大丈夫です。聞いて頂けますか?』
 悔い改める信者の懺悔を聞くシスターの様で私が辛い。

 鈴木さん、この後何をぶち込んで来るの?


 『仇を取ろうと思いました。自分も耳を切られたり、めをえぐられたり、手足を切り落とされたりしたらどんなに痛いか、思い知らせてやる!そう誓って犯人探しをしました。しばらくして同じ思いの被害者と知り合いました。クラスや学校は違いますが、歳が近い所為か「友達」と呼んでも良い関係が築けました。犯人探しが幸じて「保護猫」活動に変わっていきました。それからは普通に僕らの活動に参加してくれる人も増えて、「復讐」の気持ちが薄れた頃、見つけたんです!犯人を!』






 『あ~あ、あそこのカツカレー、値段も手頃で美味かったのにな~。』

 サービスエリア大幅改修工事で利用者が増え、ある種の観光スポット化して食事やショッピングが楽しい。 
 その反面、それまで営業していた小店舗は無くなり、大手企業傘下の飲食店が参入していた。

 どこそこの駅前なら必ずありそうなファーストチェーンなハンバーガーショップや丼店などが、ご当地ならではの飲食店と取って代わる様な状態で、毎年楽しみのあのメニューやこの食材が味わえなかった。一応、高そうなお食事処にはご当地食材の「ノボリ」が掲げてあるけどね。


 『猫いなかったね?』
 妹の残念そうな言葉が更に残念感を上げる。

 某サービスエリアには「ドッグラン」の設備があり、その周辺に住み着いた「捨て猫」がいたのだ。子猫の頃は可愛い、可愛そうなどと、言いつつサービスエリアで購入した食品を上げる観光客の無責任な優しさに助けられていたが、ここも大分手が入って綺麗になっている。

 『可愛そうな捨て猫はいなかったんだ、それで良しとしよう。』

 わざわざ高速で猫捨てるとか、訳が分からん。
 前回は懐いている揚げ蒲鉾の屋台のおばさんから離れないので連れて行けなかった。
 今回、その屋台が見当たらない。あのおばさんが飼ってくれてるといいな。


 『お兄ちゃん、揚げ蒲の屋台は無いけど中で売ってるから子供たちのお土産に買って帰ろ。』と言いつつ既に「小エビ入り」の揚げ蒲鉾をパクついてる妹。

 『メロンパン、焼きたてがあと15分で出来るから待って買うよ!』嫁さん、慌て無くていいから。
 
 この調子だと初日の目的地に着くのは夕方かな?

 夕日を見ながら露天風呂も良いかも。



 『あれ?温泉入れるみたいよ?このサービスエリア。』


 



 

 『あの、ココ、バイト募集してますよね?』

 森の猫さまの受け付けカウンターに女子高生らしき制服の女の子が訪ねて来た。手にはこの地位で無料で配布しているタウン誌を持って。

 『ごめんなさい、バイトの受け付けは終了しました。希望者が多くてね、残念だけど。』
 
 『そんな⁉︎ そこを何とかなりませんか?せめて面接だけでもお願いします!』
 
 改めて見るとかなり可愛い娘だ、それにちゃんと「敬語」で話している。お客様の女子高生は割と多くは良く言えば「フレンドリー」、有体に言えば「馴れ馴れしく、タメ口」なのでより彼女に好感を持てる。
 本日、カウンターで受け付けを行なっていたのは山王院系列の派遣会社から短期で来ている女性で、まだ「猫」たちと打ち解けて無い部分が有って受け付けカウンターでの接客が多いのだ。
 本人も出来ればここで正規に働きたいと思っているので、このJK少女についチカラを貸したくなった。

 『ねえ貴女、履歴書とかは用意してある?あとそのフリーペーパーって先週号じゃない。無ければ
そのとじ込み付録で「履歴書」がついてるわよ!』

 『あ!ハイ、あの顔写真はどうしますか?プリクラとかじゃダメですよね?』
 
 『それが口実で書類審査で落とした人が何人かいたらしいわ?任せて!ねえ、そこの白い壁の前に立ってくれる、そうそう。』

 スマホを取り出して、JK女子を撮影すると、その画像を「森猫」のホームページに送り、カウンターに備え付けの端末で確認するとまたまたカウンター内のプリンターで出力、ハサミで切って彼女が記入した履歴書に貼り付けるまでわずか十分程で仕上げてしまった。
 まぁ、この時間帯は常連客ぐらいしか来ないんですけど、でなかったらここまでしてあげれないよ。

 『私が出来るのはここまでだから。』そう言って受け付けのお姉さんは彼女に地下の古本屋に行く様に指示した。




 
 


 『あの、揚げ蒲の「明太チーズ」と「イカ」「小エビ」「コーン」を二十個づつ下さい!』

 『えっ!ちょっとお待ちを、お時間かかりますが大丈夫ですか?』まぁ、そりゃかかるよね。

 『他のお客さんにご迷惑なら、本数を変えるけど?出来れば「土産」の分だけでも…?』

 『あ、いえ、大丈夫です。「お土産用」の調理済みのモノをご用意します。今、お客様が食べる分はお幾つですか?』

 どうやら大丈夫みたいだ、安心してところで駄目元で聞いてみた。

 『しばらく来なかったらんだけど、随分カッコ良くなったね、このサービスエリア!「揚げ蒲」売ってないかと思って心配したよ。』

 『そうですね、でも元から人気の有る「揚げ蒲鉾」や「メロンパン」、「鯵の唐揚げ」などは引き続き販売してますよ。なにしろ「ファン」が多いので。』!

『では「揚げ蒲」の屋台のおばさんは?どうされてます?』

 すると、店員さんは嬉しそうに、
 『お客様も「田中さんのファン」でしたか。あの方なら「引退」されましたよ、以前から腰が悪かったようで、今は娘さん夫婦と暮らされますよ、「猫」を連れて。』






 『メロンパン焼きたて買えたよー!待ち時間で「えびまる」も買った!』
 もはや、嫁と妹は食欲の権化だ、義母も笑ってる。
 ちなみに「えびまる」とは「たこ焼き」ならぬ「海老」が入っている球状の「粉もん」だ。

 『東京土産で「メイドクッキー」売ってたけど買う?』何故聞く?買いなさいよ。今更でしょ!


 『アキバで同じの売ってるけど、車内のお茶受けにしますか。』みなちゃん、ナイスな提案だ。今回、君が頼りだ。

 「みなちゃん」こと「七神 南斗」はフリーの整体師。親父の教え子で出張専門で太客を何人か居て、親父が引退する際に出張希望の顧客を引き継いでもらった。
 高校時代、女子柔道のオリンピック候補選手だったが、通学途中で飲酒運転の暴走車からそばにいた小学生たちを庇い負傷、通常生活にはさして問題無いが選手としては全力が出せない程、「視力」が落ちてしまった。

 選手時代に時折、親父の整体院に来ていた縁で弟子入りした。


 俺が一文字の道場で「雇われ師範代」をしていた「黒歴史」を「伝説」とか言ってる。そんな良いモンじゃナイやい。
 武勇伝なら嫁さんの方がえげつない。


 『一服したら、出発しますね。』フットワークが軽いみなちゃん、さすが二十代!
 
 『お父さん、トイレ大丈夫?車内よりココの「多目的トイレ」なら温水出るからさっぱりするよ。』父を気遣う妹、本当はキャンピングカーのトイレの使用限界を気にしている。

 『すました。それより「猫」いたのか?』
 
 『ああ、それなんだけどさ…』


 なんだよ、親父も気にしていたのか。まぁ「ニャン太」が亡くなった時、大泣きした人だし。



 『どした?何か嬉しそうね?』メットを被りながら嫁さんが指摘する。
 サイドカーの助手席に収まっている俺、絵的にチグハグな気もするが免許持っているのは嫁さんだし。

 『夜に話す。次のサービスエリアもこんな感じか?』

 『その為に稼いでますから!』

 ここの買い物で、如何程使ったか?敢えて聞くまい。

 ほぼ「食品」だけどね、時々ご当地限定ぽいガチャガチャも回してみる。
 今回は特になかったけどな。


 





 『鈴木さん、その件はこちらでも調査しております。「犯人」の少年は現在更生施設にいます。』

 メイドと言うより私の秘書的ポジションを確立したパトリシア嬢。有能なのは当たり前っす。


 『イジメにあっていた「犯人」の少年は小動物を虐待することでイジメのストレスを解消していたそうです。』

 調査書類に目を通して概要を伝えるパトリシアは機械的な冷たさで話している、こわいよ。

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