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剣の強さとは?
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師匠に弟子入りしてはや五年、まだ思った様な成果が出せない。
「エイジ君、そろそろお昼にしましょう。」
「ハイ、おカミさん!」
タケル兄貴の母親で師匠の奥方。
とても優しくて、俺の事を息子の様に扱ってくれる理想の母みたいな人だ。
「エイジ兄ちゃん、汗ダクだから先にお風呂入って!」
ちっちゃくても女の子、汗臭いのは嫌だとお風呂を勧められた。
「わ、わかったよ、モニカちゃん。」
数年前に折れてしまった俺の剣を修復する為に兄貴たちの生まれ故郷に立ち寄った。
その時、兄貴の親父さんの鍛治の腕前に惚れ込んで、旅が終わった時に俺だけこの村に戻り、師匠に弟子入りした。
モニカちゃんは俺のことを兄貴みたいに思っているのか、色々と世話を焼いてくれる。
兄貴はあの開拓村に永住すると決めた時、
ココには偶に帰ってくるのは、十五歳も離れている妹のモニカちゃんにまた来るも約束して、師匠に孫を見せに来た時の一度だけだ。
モニカちゃんもいきなり叔母になって驚いてしまったが、兄に甘える事が出来ずに複雑な心境だった様?
この間、マーヤが新たな仲間とこの村に来た時には、兄貴たちに第二子が産まれた事を聞いて呆れていた。
村で兄貴は有名人だから、妹で有るモニカちゃんは会うのを楽しみにしていたのが、現れたのはお兄ちゃんでは無くて、赤ちゃんのお父さんだったのだから、甘えたくても出来なかったらしい。
まぁ、姪っ子は可愛い様だった様?
つまり、俺は兄貴の代わりなのだ。
一応、俺の為の剣が作れたら再び旅に出ようかと思っている。
たまにラグル大師匠の双子のお子さんとも相手をしてやる事も有るが、
「お前、タケルの弟子ならオレの弟子でも有る。
免許皆伝してやるから、修行しに来い。」
って、息子さんの修行相手をさせられている。
ちなみにモニカちゃんと双子の女の子の方は大の仲良しだ。
「フフフ、そうしてると本当の兄妹みたいね?」
「もう、何を言うかな、お母さんは?」
ダンカンが先日、大剣を打って欲しいと大金を持ってやって来た。
アイツともそこそこ長い付き合いになる。
「出来ればエイジ、お前に打って欲しい!
お前なら、俺の気持ちを分かってくれるだろ!」
どうやら、近々彼女にプロポーズするらしく、大物のモンスターを倒してハクを付けたいそうだ。
「分かったよ、最高の素材で最高のウデで最強の剣を作ってヤル!」
ダンカンは珍しい鉱石なども持ち込んでくれた、ミノタウロスの角も!
「ミスリルゴーレムが出るダンジョンを見つけてな、ソイツでゆ、指輪を作って送りたいんだ!」
「三日で作ってヤル!
その間、「雷鳴の銀狼」の稽古を受けてみないか?」
「な、な、「雷鳴の銀狼」だとぉ~⁈」
大師匠はダンカンに大剣を使った奥義「大回転魔斬」を伝授しようとしていた。
もう一子相伝じゃないんだな?
エメ兄さんに鱗と爪をタダで貰い、ミノタウロスの角は今回使わない事にした。
素材が喧嘩するかもしれないと師匠に言われたからだ。
五日後、ボロボロになってるダンカンに出来立ての大剣を渡した。
ダンカンの今まで使っていた大剣も一度素鉄になるまで、溶かして打ち直した。
エメ兄さんの協力で「ドラゴンブレス」で焼き入れしたので、技さえ決まれば、ミスリルゴーレムも真っ二つのハズだ?
「悪い、焼き入れで思ったより時間かかった⁈」
「お、お互い様だ、俺もナントカ形になるまで、今さっきまでかかったさ。」
プロポーズの相手はどうやら俺も知っている人で、子供っぽいけど優しくて一緒にいて安心出来る素晴らしい女性らしい。
事情を知ったベルさんも大喜びだとか?
六日目の朝、大剣を掲げ帰っていく友に、
「メイメイ姐さんに会う事が有ったら、ココにも顔出せって言っといてくれなぁー?」
唯一あの旅の仲間で行方不明なのは彼女なのだか、あの人の事だから心配ないだろう。
ある日の事、
「…ねえエイジ君、」
「ん、何、モニカちゃん?」
「エイジ君の剣が出来たら、まだ旅に出るの?」
「あぁ、そのつもりだよ。
多分、もう直ぐだと思うけど、ソレが?」
「何でもない。」
普通の剣なら、師匠のお墨付きが貰えるレベルなのだけど、
「ニホントウ」に関しては、師匠も全身全霊を持って命懸けで鉄を鍛える為、滅多に作らない。
ソレをヒヨッコの俺が挑むのだから、五年費やした。
もうすっかり村の住人と変わらない。
でも、俺には有る目的がある。
兄貴たちに鍛えてもらい、強くなった俺なら、もう可能だろう。
「…なら、私もついてく。
エイジくんに。」
えっ?
ソレから数年後、俺は両親の仇を見つけ復讐を遂げた。
相手は貴族と繋がっていた山賊の頭になっていた。
俺は新たな仲間たちとその悪党共を追い詰めて、王城の地下牢にぶち込む事が出来た。
後日、メイメイ姐さんの親父さんから斬首刑が下されたと教えられた。
「よぅエイジ、コレからどうするよ?」
相棒のダンカンは故郷に帰り、婚約者とついに結婚だ。
俺は…
師匠の所に帰ろうと思う。
第二の父と母と言える人の元へ。
「私、もう少し旅がしたいんですけど?」
「モニカ、そろそろ帰らないと、俺が師匠に殺されるかも?」
これはマズい!
途中でタケル兄貴の所に寄って、カンナ姐さんにも説得してもらわないと!
「兄さんやカンナさんに説得されても、私の気持ちは変わらないから!」
「…俺は師匠たちがいるあの村で落ち着いて、鉄を叩いて暮らしたいんだけどなぁ?」
「私はマーヤ姉ぇみたいに自由に旅をしたいだけ‼︎」
「ひとりで?」
「…私みたいな若くて可愛い女の子に一人で旅をさせる気なの、エイジ君は?
ひどい、信じられない⁈」
「マーヤだって、基本ひとりで冒険者してるけど?」
「マーヤ姉ぇはテイマーでしょ!
モノ凄い強い従魔を連れてるモン!」
オレ、従魔扱いなのか?
さすが、兄貴の実妹だけある、意思は固いようだ…けど?
「俺としては、今まで無茶な事ばかりしていたから、しばらく穏やかに過ごしたかったんだ。
あの村で師匠の仕事を次いで、その内に嫁さんでももらって、子供とか産まれて、今の兄貴たちみたいな暮らしも良いかなって…
まぁソレは少し先延ばしにしても…」
「……る、」
「えっ?」
「帰る、村に!今すぐ!!」
な、何だ、急に?
目が怖いよ、モニカ?
「じゃあ帰ろうか、途中で寄りたい所も有るし。」
「よりたい所?」
「墓参りさ、俺の本当の両親の。
村の近くの林の中に、山賊や盗賊に襲われ亡くなった身元のわからない人を埋葬した場所が有るだろ?
そこに眠ってるのさ。」
初めて、兄貴の村に向かう時に見覚えのある場所を目にして気がついた。
幼い日、山賊に襲われたのはココだと。
村にいる時に村長に聞いた、誰の墓とはわからないが、きっとどれかに両親が埋葬されている。
その時からあの村で暮らすのも良いかもと思ったのだけど?
「じゃあ、途中でお花とか用意しないとね。
行こう、エイジ君!」
「うん、行こうか。」
こうして村に帰る事になったけど、しばらく彼女に振り回されそうだ。
「エイジ君、そろそろお昼にしましょう。」
「ハイ、おカミさん!」
タケル兄貴の母親で師匠の奥方。
とても優しくて、俺の事を息子の様に扱ってくれる理想の母みたいな人だ。
「エイジ兄ちゃん、汗ダクだから先にお風呂入って!」
ちっちゃくても女の子、汗臭いのは嫌だとお風呂を勧められた。
「わ、わかったよ、モニカちゃん。」
数年前に折れてしまった俺の剣を修復する為に兄貴たちの生まれ故郷に立ち寄った。
その時、兄貴の親父さんの鍛治の腕前に惚れ込んで、旅が終わった時に俺だけこの村に戻り、師匠に弟子入りした。
モニカちゃんは俺のことを兄貴みたいに思っているのか、色々と世話を焼いてくれる。
兄貴はあの開拓村に永住すると決めた時、
ココには偶に帰ってくるのは、十五歳も離れている妹のモニカちゃんにまた来るも約束して、師匠に孫を見せに来た時の一度だけだ。
モニカちゃんもいきなり叔母になって驚いてしまったが、兄に甘える事が出来ずに複雑な心境だった様?
この間、マーヤが新たな仲間とこの村に来た時には、兄貴たちに第二子が産まれた事を聞いて呆れていた。
村で兄貴は有名人だから、妹で有るモニカちゃんは会うのを楽しみにしていたのが、現れたのはお兄ちゃんでは無くて、赤ちゃんのお父さんだったのだから、甘えたくても出来なかったらしい。
まぁ、姪っ子は可愛い様だった様?
つまり、俺は兄貴の代わりなのだ。
一応、俺の為の剣が作れたら再び旅に出ようかと思っている。
たまにラグル大師匠の双子のお子さんとも相手をしてやる事も有るが、
「お前、タケルの弟子ならオレの弟子でも有る。
免許皆伝してやるから、修行しに来い。」
って、息子さんの修行相手をさせられている。
ちなみにモニカちゃんと双子の女の子の方は大の仲良しだ。
「フフフ、そうしてると本当の兄妹みたいね?」
「もう、何を言うかな、お母さんは?」
ダンカンが先日、大剣を打って欲しいと大金を持ってやって来た。
アイツともそこそこ長い付き合いになる。
「出来ればエイジ、お前に打って欲しい!
お前なら、俺の気持ちを分かってくれるだろ!」
どうやら、近々彼女にプロポーズするらしく、大物のモンスターを倒してハクを付けたいそうだ。
「分かったよ、最高の素材で最高のウデで最強の剣を作ってヤル!」
ダンカンは珍しい鉱石なども持ち込んでくれた、ミノタウロスの角も!
「ミスリルゴーレムが出るダンジョンを見つけてな、ソイツでゆ、指輪を作って送りたいんだ!」
「三日で作ってヤル!
その間、「雷鳴の銀狼」の稽古を受けてみないか?」
「な、な、「雷鳴の銀狼」だとぉ~⁈」
大師匠はダンカンに大剣を使った奥義「大回転魔斬」を伝授しようとしていた。
もう一子相伝じゃないんだな?
エメ兄さんに鱗と爪をタダで貰い、ミノタウロスの角は今回使わない事にした。
素材が喧嘩するかもしれないと師匠に言われたからだ。
五日後、ボロボロになってるダンカンに出来立ての大剣を渡した。
ダンカンの今まで使っていた大剣も一度素鉄になるまで、溶かして打ち直した。
エメ兄さんの協力で「ドラゴンブレス」で焼き入れしたので、技さえ決まれば、ミスリルゴーレムも真っ二つのハズだ?
「悪い、焼き入れで思ったより時間かかった⁈」
「お、お互い様だ、俺もナントカ形になるまで、今さっきまでかかったさ。」
プロポーズの相手はどうやら俺も知っている人で、子供っぽいけど優しくて一緒にいて安心出来る素晴らしい女性らしい。
事情を知ったベルさんも大喜びだとか?
六日目の朝、大剣を掲げ帰っていく友に、
「メイメイ姐さんに会う事が有ったら、ココにも顔出せって言っといてくれなぁー?」
唯一あの旅の仲間で行方不明なのは彼女なのだか、あの人の事だから心配ないだろう。
ある日の事、
「…ねえエイジ君、」
「ん、何、モニカちゃん?」
「エイジ君の剣が出来たら、まだ旅に出るの?」
「あぁ、そのつもりだよ。
多分、もう直ぐだと思うけど、ソレが?」
「何でもない。」
普通の剣なら、師匠のお墨付きが貰えるレベルなのだけど、
「ニホントウ」に関しては、師匠も全身全霊を持って命懸けで鉄を鍛える為、滅多に作らない。
ソレをヒヨッコの俺が挑むのだから、五年費やした。
もうすっかり村の住人と変わらない。
でも、俺には有る目的がある。
兄貴たちに鍛えてもらい、強くなった俺なら、もう可能だろう。
「…なら、私もついてく。
エイジくんに。」
えっ?
ソレから数年後、俺は両親の仇を見つけ復讐を遂げた。
相手は貴族と繋がっていた山賊の頭になっていた。
俺は新たな仲間たちとその悪党共を追い詰めて、王城の地下牢にぶち込む事が出来た。
後日、メイメイ姐さんの親父さんから斬首刑が下されたと教えられた。
「よぅエイジ、コレからどうするよ?」
相棒のダンカンは故郷に帰り、婚約者とついに結婚だ。
俺は…
師匠の所に帰ろうと思う。
第二の父と母と言える人の元へ。
「私、もう少し旅がしたいんですけど?」
「モニカ、そろそろ帰らないと、俺が師匠に殺されるかも?」
これはマズい!
途中でタケル兄貴の所に寄って、カンナ姐さんにも説得してもらわないと!
「兄さんやカンナさんに説得されても、私の気持ちは変わらないから!」
「…俺は師匠たちがいるあの村で落ち着いて、鉄を叩いて暮らしたいんだけどなぁ?」
「私はマーヤ姉ぇみたいに自由に旅をしたいだけ‼︎」
「ひとりで?」
「…私みたいな若くて可愛い女の子に一人で旅をさせる気なの、エイジ君は?
ひどい、信じられない⁈」
「マーヤだって、基本ひとりで冒険者してるけど?」
「マーヤ姉ぇはテイマーでしょ!
モノ凄い強い従魔を連れてるモン!」
オレ、従魔扱いなのか?
さすが、兄貴の実妹だけある、意思は固いようだ…けど?
「俺としては、今まで無茶な事ばかりしていたから、しばらく穏やかに過ごしたかったんだ。
あの村で師匠の仕事を次いで、その内に嫁さんでももらって、子供とか産まれて、今の兄貴たちみたいな暮らしも良いかなって…
まぁソレは少し先延ばしにしても…」
「……る、」
「えっ?」
「帰る、村に!今すぐ!!」
な、何だ、急に?
目が怖いよ、モニカ?
「じゃあ帰ろうか、途中で寄りたい所も有るし。」
「よりたい所?」
「墓参りさ、俺の本当の両親の。
村の近くの林の中に、山賊や盗賊に襲われ亡くなった身元のわからない人を埋葬した場所が有るだろ?
そこに眠ってるのさ。」
初めて、兄貴の村に向かう時に見覚えのある場所を目にして気がついた。
幼い日、山賊に襲われたのはココだと。
村にいる時に村長に聞いた、誰の墓とはわからないが、きっとどれかに両親が埋葬されている。
その時からあの村で暮らすのも良いかもと思ったのだけど?
「じゃあ、途中でお花とか用意しないとね。
行こう、エイジ君!」
「うん、行こうか。」
こうして村に帰る事になったけど、しばらく彼女に振り回されそうだ。
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