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〜美少女冒険者マーヤの事件簿?

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 「いやだ、死なないで、お母さん!

 僕を一人にしないでよ⁈」

 薄暗く狭い部屋の中、ベッドに寝かされている母親と泣きすがる少年。
 
 そして、周りで何も出来ず、ただ見ている事しか出来ない村の大人達。

 自分たちだってこの親子を助けたい、たまらず泣き出してしまうモノいる。

 あの母親とは子供の頃の付き合いで、少年も自分の子供の様に思って、イタズラをすれば叱るし、親の手伝いをしているのを見れば褒めていた。


 数年前、彼の父親が魔物に襲われ亡くなった時、コレからは自分が母を守ると父親の墓に誓っていた少年に、今は誰も声をかける事が出来ない。

 図らずも夫と同じ魔獣に襲われて、その毒で生命が尽きようとしている、


 正にその時!

 
 

 ドタバタ、ドタバタ!

 「お待たせしましたー!

 黒ネコ耳印の特製ポーション、只今到着デスよー!」


 それまでの重くて暗い空気を入れ替える様に部屋に飛び込んで来たのは、一人の冒険者の女の子である⁈


 「ハイ、退いてくださいな!

 ボク、もう大丈夫だからね!」


 ただ呆然と立ち尽くしているの大人たちを掻き分け、ベッドの前に到着した少女は待ってきたポーションを素早く母親の口に運んだ!



 「ふぅ~、コレでひと安心デスっ!」


 「お、お母さん!」


 「…あ、私、苦しくない?」

 その様子を見て、皆安堵の息を漏らす。

 

 「き、君は一体?」

 置き物同然の大人たちの中で、やっと状況を理解し始めたを開く。


 「ハイ、コチラのご主人から残した家族に何かあったら、助けて欲しいと依頼されており、を受けて参上しました!」


 連絡?

 そんな余裕は無かったと…

 何しろ村に有ったポーションは飲ませてみたモノの、余り効果が無くて、安モノなので劣化していたかも知れない?



 目の前の少女を改めて見ると、どう見ても!若過ぎる⁈

 14歳を越えると冒険者としてギルドに登録出来るのだが、彼女は幾つなのだろう?

 「あっ!

 申し遅れました、私マーヤと申します、素材収集から魔獣退治まで色々承っておりますよ!

 もちろん冒険者ギルドに登録してますよ。


 ちなみに昨晩14歳になりました。」

 彼女はその男性が何を思ったか、直ぐにわかったので恥ずかしいけど、そう告げたのだ。

 「そ、それはおめでとう。」

 「ありがとうございます!

 えっと、村長さんですか?」


 この中で一番、身形がしっかりとしている。

 「ああ、そうだが?」

 「コチラの書類に目を通して、問題無ければサイン下さい!」

 少女が渡してきたのは、ギルドに提出する報告書の様だ。

 「ハイ、確かに!

 では、次が有りますので失礼します!

 又のご用命お待ちしてますね!」

 
 「ま、待って、お姉ちゃん!」

 「えっ⁈ 
 …えっと、私かな?」

 お姉ちゃん、初めて呼ばれたかも?

 てれりこ( ̄▽ ̄;)

 「うん、お母さんを助けてくれてありがとう!」

 「…えへへボク、お母さんを大切にね!」






 「よし、ガルくん!

 次行くよ!」

 「ブルるん!」

 相棒のガルヴィーの背に乗り、次の依頼先に向かうマーヤ!


 「次の依頼は…あ、あれ?

 コレ、アレク義兄様の依頼じゃない?」

 何かな?

 甥っ子姪っ子のお世話とか?

 オムツの代えくらいなら経験ありますけど?


 
 
 「お待たせ、愛しい妹よ!」

 「えっと、アレク兄様、キモいよ?」

 義姉のダンナ様で、実は今の爵位は侯爵⁈

 出世したよね?

 本当はタケル兄様のお手柄なのに。



 待ち合わせに町で評判の定食屋で義妹を待たせる兄さま?

 あくまで御忍び非公式なので、ベテラン冒険者に変装してのお出ましだ!

 「相変わらずだね。
 噂は聞いてるよ、美少女従魔師テイマーのマーヤの大活躍をね⁈」

 「…ココの払い、お願いね♡」

 「…別にいいけど、お兄ちゃんに少し冷たくないかな?」


 「…この依頼が無ければ、今頃はお義父さんと久しぶりにお食事する約束してたのに、そのつもりで今日のクエストは全部モードだったの!」

 「全部って、幾つ掛け持ちしたのか聞かないけど、それなら義父上も誘えば良かったのに?」


 「言ったモン、だけどお義父さん遠慮しちゃって、二人で楽しんで来なさいって言うのよ?

 義兄様がで、こんな場所を指定してくるからだよ!」


 アレクお兄ちゃんは依頼の相談に見せかけて、酒でも飲んで息抜きしたかったのだ。

 バレバレだね。

 「…気を使わせたかな?」

 平民の娘を妻する為に、伯爵の叔父に彼女を養子にしてもらったり、色々と義理の父には迷惑をかけてしまってる。


 「同じ御忍びなら、ウチに来れば良かったのに!

 料理なら私が腕を振るうし、お酒もお義父さんの為にアッチコッチで色々銘酒を集めてるの。

 今からでもウチで良くない?」


 「…とっても魅力的な話しなんだけど、この後に会わないといけないので、深酒は出来ないのさ。」


 …ん~ん?

 アレク義兄様って、王様のって噂が有ったくらい似てるのよね?

 顔つきとか?

 何か有るのかしら?

 「ココで呑んだら同じだお⁈」
 まったくだね( ̄^ ̄)


 
 「まぁまぁ、安いエールじゃ水と変わらないさ。

 ソレよりマーヤにな依頼が有ってね。」


 「ソレ何ですけど、何でがお城のパーティーに出ないといけないの?」


 「アズレース君の姉が行けなくなったんだ、パーティーは女性同伴が原則でね。」

 「なるほど、おチビちゃんたちがグズっちゃたのかな?」

 そういえばしばらく会ってないのよね?

 「いや、子供たちはとても良い子だよ。

 別の理由で…いま、無理はさせたくないからね。」



 義兄の顔が赤い?

 この人、以前はカンナママが好きだったらしいけど、今は一途に奥様一筋なんで夫婦喧嘩とかでは無いとは思うけど…

 あっ!


 「もしかして、三人目かな?」

 聞いた私もちょっと恥ずかしいわ、モジモジ?


 「…うん、なのでダンスとかお腹に負担をかけたりさせたくないのさ!」


 「だ、ダンスって?

 私、10歳ぐらいにタケル兄さまの故郷の収穫祭で踊った事しか無いよ!

  そのパーティーっていつ?

 このクエストはキャンセルします⁈」


 「大丈夫、パーティーは五日後だから!

 ドレスは用意してあるし、ダンスのレッスンはアズとウチのメイド長が教えるから!

 実はお義父上から既に了解はもらったんだよ?」


 「ウソ!

 グルだったの?」


 …お義父さん、私に冒険者を辞めて成る可く家にいて欲しいのだと思っていたけど?

 まさか社交界デビューさせたいとか?

 メイド長さんって、確か私と同じ境遇のお姉さんだよね?

 ちょっと会いたい気もするけど、仕事に厳しい人なんだよね、確か?

 「パーティーには勇者候補生が来るらしいよ。」

 

 な・ん・で・す・と?

 「ソレ、本当、義兄様?」

 「本当さ、気になるだろ?」

 「そうだね、どちらかと言うと、かな。」

 「えっ?」


 
 ソレからマーヤがメイド長の鬼レッスンに耐え、お城のパーティーで小ちゃな可愛いプリンセスと仲良くなって、強くもない勇者候補生の誘いを袖にして、王様の目の前でコテンパンにした事が、「魔の森開拓村」でスローライフを送っていたタケルの日常を騒がしくするきっかけになるとは彼女自身知らなかったとさ。

 


 …とさじゃないよ⁈



 私、マーヤは義理の兄貴にお城のパーティーに連れ出され、

 「どうです、皆さん!

 彼女こそ、先の討伐で目覚ましい功績を挙げた、美しく可憐な少女テイマー、我が妹マーヤ嬢ですッ!」

 ってさ!

 すっかり見せ物の珍獣扱いだったよ?

 途中、ウンザリし
抜け出して、迷い込んだ部屋でちっちゃいお姫様に会ったよ。

 まだちっちゃくてパーティーに参加出来ないお姫様の為に、可愛い系の従魔の皆んなを召喚したよ。

 スライム少女のアオイにホーリーキャットのタマミ、フェンリルの子、モフくん。

 別枠でイケボの執事ゴーレムロボットのナイトファイタス!(もしもの時の護衛としてなんだけどね。)


 いやぁ、遊んだ遊んだ!

 私が小ちゃい時、兄様たちはこんな気持ちだったのかしら、なんか懐かしい。

 良い子は寝る時間なので帰ろうとしたら、勇者学園最強とか男の子が居てね?

 「オレ様が一曲踊ってやる!」

 とか、近づいて来たので、カンナママの真似して、切り切り舞にしてやったよ!

 ふん、私幼い頃から規格度外視のみんなとから、自然と鍛えられてるの。

 アンタとはレベルもラベルも違うんだからネ⁈

 もう、ドレスって、動きづらいよ!

 食べ物は美味しいけど、パーティーはもうたくさん!

 お姫様とはまた遊びに来ると約束して、お城を後にしたんだけど…


 三日後、今度は王様からご招待されちゃったよ!


 「良かったら、ウチの第三王子のにならんか?」

 「…すいません、私お付き合いしてる殿方がいるので…

 あと、勇者学校にも通いませんよ!

 必要ないし、意味ないし。」


 どうやら非公式のお招きだったので、帰りにお姫様と今年八歳の第三王子と遊んであげたよ。

 城内の庭園で大きめの従魔も呼んで、王子も姫様も喜んでくれたけど、

 「王家お抱えの従魔師に任命する!」

 と、また王様が!

 「嫌ですよ、私、束縛されるの苦手だから。

 てか、王様⁈」


 「な、何だ?」

 「14歳の私と8歳の王子様と結婚させようとしましたね!

 逆なら兎も角、離れ過ぎです!」

 うん、ウチの姉みたいにね。

 「ウチの王子に何か不服が有るのか!」

 「無いよ!無いけど、ダメでしょ?

 色々と!



 なので、この件をある人たちに報告したので御覚悟を。」


 「…報告、どうやった?

 いや、誰にだ⁈」

 「ハクメイおじいちゃんとレンカおばあちゃんデス!」

 鳥型の従魔、チルチルにお手紙を運んでもらったよ、ちょっぱやで!

 「な、何ぃ~⁈

 よりによって、レンカだとぉ~っ!」

 あ、おじいちゃんじやないんだ?


 ご存知メイメイちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんだお。


 私のことも孫みたいに心配してくれてるよ。
 
 特におばあちゃんはね、

 おお、王様の顔が蒼くなったよ?

 ちなみに王様とは私、5歳の頃に初めて会って、ソレから時々会う機会が有り、親戚のおじさんみたいな感覚なんだよね?

 だって、ゴブリン討伐とかジャイアントトード退治とか冒険者の先頭に立って大暴れしているの面白オジサンだと思ってたんだモン!


 もっとも、ゴブリンのほとんどはタケル兄様とエイジ兄ぃとおっきなファイタスが退治したんだもん。

 幼い私が世の中の事を分かりだした頃に、あの面白オジサンがこの国の王様だって、更に勇者パーティーの一人だってわかったんだモン⁈


 あっちだって私の事だって親戚の子供感覚、そんな感じだよ、きっと?

 多分、女王様はご苦労されてるよね?



 と、思ったら

 「ウラー、アレク!

 マーヤちゃんを困らせとるそうだな!」
 

 王様を呼び捨てにお城にやって来た豪傑…

 は、もう居ない。

 
 長年、患っていた目はメイメイちゃんの特製ポーションで完治したのね。


 今はひ孫の世話に追われるのお爺ちゃんだ。

 最近はお年の所為か、すっかり大人しくなったとか?

 お酒の量は減ったみたいだけど?


 ハクメイおじいちゃんは何でも、王国騎士団の顧問で、割と簡単に城内に来ているそうだ?


 また、メイメイちゃんのお兄ちゃんのお嫁さんは、王家の血筋の人らしいので、広い意味で親戚なんだって。
 
 「う、うるさい!

 ワシだって、マーヤの幸せを願えばこそだな!」

 「くだらない事考えるくらいなら、とっとと王位を息子に譲って隠居しろ!」
 

 この二人、顔を合わせるといつもこんな感じなんだよ。

 仲良いよね。


 
 「あら、マーヤちゃん、いらしていたのね?」

 「ハイ、女王さま!

 お騒がせしてすいませんデス!」

 

 女王様、いつ見ても綺麗!

 おいくつなんだろ?

 

 「コレから、姫たちとお茶にするのよ、よろしければ貴女も如何かしら?」

 「喜んで!」

 おじいちゃんたちは仲良くケンカしてもらって女王様のお茶会にお呼ばれしたよ。

 びっくり、なんとそこには師匠のマリエルさんもいらしたの⁈

 「あら、マーヤじゃないの?

 元気だった?」

 「はぁ、まぁなんとか?」

 
 「何か騒がしいのは、まさか国王アレク剣鬼ハクメイか?」


 「その通りです、実は色々有りまして…」

 師匠と女王様、姫サマたちの前で事の経緯を説明すると、


 「フフ、王様はお気に入りの子をそばに居て欲しいだけなの。」

 女王サマ、笑い事ではありませんのよ?

 「アレク国王はそんな理由で勇者養成学園なんてモノを作ったくらいだ、他国の王も半ば呆れているがとも取られている。


 そうそう、その学園のトップを大勢の目の前でやり込めたそうだな?」

 大師匠、揶揄うようにコチラを見る?

 怖いんですけど?


 ちなみにメイメイちゃんには「薬学」の師匠だけど、私にとっては「従魔術」の大師匠のマリエルさん。

 勇者学園の魔法学科の偉い人なんだって。

 「えっ、ダンスに誘われたのでお相手してあげただけですけど?

 田舎育ちの私とは、釣り合いが取れずにになったんでは?」


 「…再戦を挑まれたらどうする?」

 あ、笑ってるよ、この人?

 「う~ん、やタケル兄サマが黙ってないと思いますよ?」

 二人ともにあまり良い印象持ってないからなぁ?

 「もうマリエルさん、そんな怖い話しは止めてくださいな!

 マーヤちゃん、このお菓子どう?

 とっても美味しいのよ。」

 女王サマ、この焼き菓子クッキー、何処で手に入れましたか?

 あれ、まさか?


 「マーヤ様、ワタクシも可愛い従魔さん達と触れ合いたいですの!

 出来ればモフモフした従魔さんと!」


 私と同じ歳で二番目の王女サマが私の手を握り、目をキラキラさせてお願いするから「クーちゃん」を召喚したよ。

 ちなみに一番上の王女サマは去年、共和国の大統領と結婚したんだ。


 「マ、マーヤ、ボク呼んだ?」

 「まぁ、おっきなさん?」

 お城の衛兵さんより背の高い真っ白なお猿、毛も長くて暖かそう。

 少しなら人語も話せる賢い子、ただ何の魔獣か、わからないんだよね?

 イエティ?ソレともシルバーかな?

 私が小ちゃい時に旅の途中で保護した傷だらけの赤ちゃん猿が今は立派になって私を守ってくれるよ。


 小ちゃい第四王女お姫様は既にモフくんを抱っこして、キャッキャッしてるし、第三王女ちゃんは私に話しかけたいのか、モジモジしてる?


 「姫サマ、お茶のおかわりは如何ですか?」

 「…ぇ、 ⁈」

 イケボでイケメンな人型ゴーレムアンドロイド、執事のナイトファ…ナイト君が人見知りな姫サマに話しかけた?


 ぽっ…


 あ、あれ?

 姫さま?

 その反応はもしや?

 (人見知りだけど、人じゃないなら大丈夫なのかな?)


 ナイト君、何でも「対人戦闘用人型兵」なんだって?

 魔の森の奥深くに有る遺跡の地下で、ご兄弟共々お休みしてたの。

 ちなみにメイドさんもいるよ、開拓村でチビちゃん達のお世話とかで忙しいけど、ネコ達に囲まれて幸せそう?
 
 
 「マーヤちゃん、アナタの従魔ちゃんで一番大きな従魔ちゃんは誰なの?」

 「えっ?」


 マリエル大師匠がニヤニヤしてる?

 あ⁈

 女王サマを唆したでしょ?


 「そ、その~、ナイト君がと合体した、「ファイタスグレート」がギルド本部三階建てぐらいでしょうか?」


 「それだけ?

 ワタクシ女王が耳にしたのは、このお城くらい有るドラゴンさんだと聞いたような?」


 …バレてる?


 「えっと、その~、ゴジ太郎は私の従魔ではなくて、タケル兄様の子分と言うか、舎弟と言うか、パシリ?

 知り合いなので、お願いすればチカラを貸してくれない事もなくもないですけど?」

 
 ゴジ太郎…ドラゴンなのかも怪しい生き物なんだよね?

 異世界の錬金術で創造されたとか、メイメイちゃんが言っていたような?



 「…メイメイちゃんやマーヤちゃんが心配なのよ…。」


 女王サマ、急に悲しそうな顔に⁈


 「危険なクエストが多いそうね?

 いくら強い従魔ちゃんたちが側に居ても、この世に「絶対」と言う事は無いのよ?

 もし、アナタが大怪我をしたらと心配なのよ。

 きっと、あの人王様もね。」



 「王様や女王様のお気持ちは嬉しいのデスが、コレが私の生き甲斐なんです!

 私が頑張った分、私みたいに両親とた子供が減ると良いなぁ…って、思ったりも   うわ?」


 突然、抱きつかれたよ!

 何と、大師匠に?

 「え、えっと、大師匠?」

 そういう事しない人だと思ってたのに?

 女王サマ、先を越されたみたいなお顔で見てるよ?


 「…お前、やっぱり学園に来い、みっちり鍛えて直してやるから?」


 大師匠、異世界から来たの十七歳なんだよね?

 歳を取らないみたいだけと、その所為か心地がカンナママと違う?

 歳を取らない🟰イコール成長しない?

 「オイ、今とっても失礼な事考えたな?」

「いえ、大師匠って、私とお胸のサイズ変わらないなぁって?」



 「…何を~⁈

 自分はコレから成長するってか⁈

 お前もメイメイも生意気だぞ!

 少し寄越せ!」

「キャッ!

 揉まないで下さいよ、大師匠!」

 「姫サマ、お下がり下さい。

 大変危険デス!」

 ナイト君が人見知り姫サマを庇う様に前に出る!

 ぽぽっ!


 あやや、姫さまかお真っ赤だお?


 「いっ、痛いデスよ!

 ええい、師匠揉んであげます!」

 「アラアラ、ウフフ。

 二人とも楽しそうね?

 ワタクシも混ぜてもらおうかしら?」


 「嫌味か、シャルロッテ女王

 そんな重そうなモノ、二つもぶら下げて!」

 大師匠、いくら仲良くても女王サマにソレは不敬では?


 そんなこんなでお茶会は大騒ぎのウチ、お開きになったよ?


 ちなみに今日はお城にに⁈


 実は小ちゃいお姫様がモフくんを抱っこしたまま、寝ちゃったのね?


 その晩は、


 「さぁマーヤ様、今宵はに花を咲かせますわよ?」

 う~ん、テンション高いな、第二王女サマ?

 「えっと、姫サマ?」

 私は今まで着た事の無いフリフリした寝巻を姫サマからお借りして、姫サマの寝室のふかふかベットの上での姫サマに拘束されていた?

 「嫌ですわ、ワタクシ第二王女のコトは、「アクア」とお呼び下さいな。」

 「はぁ、そうおっしゃるなら。

 じゃあ、アクア?」


 「様もいりませんワ、マーヤ様!」

 「なら、私も様は要らないよ、

 コレでイイ?」


 「ハイ!

 嬉しいですワ‼︎

 ワタクシ、コレでですわね!」

 「う、うん、そうだね?」


 えっと、ちょっとね?

 「第三王女は「ファム」と呼んであげてくださいな。

 家族だけの時はそう呼んでますから。」

 本当の名前は「ファンネリア」、姉姫サマは「アクアリュア」、末っ子姫は「ルナマリア」なので「ルー」と呼ぶ事になったよ。



 「あ、あのマーヤ?」

 「えっ、お姉様?」

 ファムがモジモジしながら聞いてきたよ?

 「な、何かしら、ファム?」
 
 「あの、その、お姉様にはされてる、と、と、殿方がいらっしゃるとお聞きしたのですが、どの様な方なのですか?」

 「…本当に女子会だね?

 うん、いるよ。

 シラヌイ君、「新・魔の森開拓村」で暮らしてるの。

 とっ    ても優しくてカッコイイの!」

 あ、惚気ちった、へへへ?



 「あの、ナイト様はどんな方なのですか?」


 「なになに、ファムって、あの執事の方が気になるのデスか?」


 「い、いえ、そのあの?」

 「えっと、ごめんねファムちゃん、ナイト君は人型ゴーレムなの、人間じゃ無いよ?」



 「…えっ、…そんな…分かりませんでした、とても素敵な方なのに…。」


 「ナイト君のはモデルがいるけど、大昔の人だから、もう亡くなってるし、

 
 何なら、同じゴーレム用意してもらえるけど?」 


 「…すいません、私には難しくて…少し考えさせて下さいますか?」


 「ハイ、ワタクシはメイドゴーレムに会ってみたいデスわ!」

 「ハハ、女子会ってこんなんだっけ?」


 姫サマたちと友達になった私はこんな感じで、たまにお城にお呼ばれする事になるけど、何故か勇者候補生のお馬鹿たちにお仕事を邪魔されたりするんだよね?

 「俺様が手伝ってやろう!」

 「え~、リーダーやめときましょうよ。」


 付き合わされてるお仲間が気の毒だけどね?



 「えっと、格下に手伝ってもらう事はありませんのよ。」

 「か、格下だとっ!」


 「君、魔の森に入った事ある?」


 「な、なに!

 ま、ま、魔の森くらい行った事など…」

 「そこの修行場で合格したら、くらいにはしてあげるよ?」


 「い、言ったな!

 その忘れるなよ!」


 コレ約束になるかな?

 もしかして、私とんでもない事したのかしら?
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